ライディびより

夕凪カサネ

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ライディと青春 02年(平成14年)

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 この頃、現代へと繋がる混沌とした世界情勢が、すでに始まりつつあった。

 前年の9月11日に起きた、アメリカ同時多発テロ。当時観ていた中井貴一とフェイ・ウォン主演のドラマ「ウソコイ」が中断され、ワールドトレードセンターに航空機が突撃する映像が流された時の衝撃。

 平成の世においては、地下鉄サリン事件に続いて、日本人の世界観が、大きく変わってしまった出来事の一つだと思う。

 そんな、どこかキナ臭い空気感の中で、何か不安な日々を過ごしつつも、しかし貴重な大学生活を満喫すべく、私は頑張っていた。

 告白してはフラれ、告白してはフラれ。

 その果てに、ついに、二年後輩の女の子と交際が始まった。

 同時期に、ついにライディをゲットした。

 人生初めての彼女と、思い焦がれていたゲームを購入できた喜びから、あろうことか、信じられないコラボを、私は実現させてしまった。

 彼女の前で、ライディをプレイするという、超絶すさまじい羞恥プレイ(私にとっても彼女にとっても)をやらかしてしまったのである。

 1階のボス、人狼に敗北すると、媚薬付きの爪で切られてしまったライディが、薬の効果でアソコを濡らしてしまう――という展開になるのだが、その時の「じゅん」という濡れたことを表すテキストに、彼女が大爆笑していたのを憶えている。

「あははは! 『じゅん』だって! 『じゅん』だって~!」

 ちなみに、初めて遊んだライディの感想は、実際のところ、そこまで感動は深くなかったと思う。

 なにせ、じらされすぎた。

 実際に遊べるようになるまで、妄想を働かせていた。ちょうど使えるようになっていたインターネットで情報収集もして。

 そのせいで、実際にプレイする頃には、早くも冷静になっていた。「うん、やっぱりこうか」くらいの印象でしかなかった。

 その当時、すでに「超昂天使エスカレイヤー」も発売されていて、エロゲーはひとつのピークを迎えつつある時代だった。

 発売から8年も経ち、CGも、音声も、ゲームシステムも古めかしくなっていたライディは、もはや過去のゲームであった。

 それでも、その後途切れること無く虜になり続けた魅力が、このゲームにはあった。

 大学生活において、色々な思い出はあるのだけれど、その一部を占めているのは、やはりライディだと思う。

 当時、自分専用に、RPGツクールを使ってライディのゲームを作ろうとしていたりしたくらい、ハマっていた。

 ライディの絵をトレースして、ノートに描いたりもしていた。

 最終的に、大学卒業前に彼女にフラれたりしたが、その悲しみの中でも、ライディをベースにした活動は留まることはなかったのである。

 青春の一ページに、ライディあり、だ。

 大学四年の頃、オアシスの町レイクブルーでの邪神との戦いを描いた「2」も購入した私は、社会人になってからも、さらに精力的にライディ活動を続けていた。

 その原動力となっていたのが、知る人ぞ知る「ライディファンページ」である。
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