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たまにこんな夢を見る。
幼い俺が同い年くらいの女の子といつもの公園で遊んでいる。彼女の顔はぼやけている。
覚えているのは、彼女のかぼそくも、可愛らしい声。
そして、子供らしく鬼ごっこや、砂場で遊び、最後にブランコに乗り何回か漕ぎ、
「ねー名前なんて言うの?」
と彼女に問いかけると笑顔で答えてくれる。
「私の名前は…」
いつもここで終わり目が覚める。
今日もその夢を見た。
いつもはうろ覚えの夢が、今日はやけに鮮明に覚えている。
放課後、部活もやらず帰宅部であった俺は帰り道、今日は金曜日であり翌日が休みだという優越感に浸り、道草をくっていた。
自販機で缶コーヒーを買い、いつもの公園で飲もうとベンチに座った。
空を見上げると何気ない景色だった。
雲が流れていくのを何も考えずに、眺めていた。
何気ない景色でも、ずっと見ていると段々疲れてくるものである。
片手に持っていた缶コーヒーを開けた。
コーヒーの香りがあたり一面に広がり、その匂いを嗅ぐと心が落ち着いたような気がした。
あっという間に飲み干し、ゴミとなった缶を捨てようと立ち上がるとベンチの下に手紙が落ちているのを発見した。
それを拾い上げてみると、宛名や差出人も不明。
ただのゴミだと思い、捨てようと思ったのも束の間、封がしてあるのに気がついた。
手紙というものは誰かが相手に想いを馳せて送るもの。恋文だとしたら本当に気まずい。その抑止力のお陰で開けようと思わなかったが、それと同時に何が入っているのかわからないというスリルを味わいたいという思いが込み上げてきた。
開けるか、開けないか、
結局結論は出ずに、制服のポケットにしまった。
帰宅し、お風呂に入った頃にはその事はもう忘れていた。
そのまま休日は過ぎ、手紙のことを思い出したのは学校に着いてからだった。
昼休みになり1人で屋上に行き、手紙を覗くことにした。屋上は立ち入り禁止のため誰もいない。
スリルとスリルが交差する時間が胸の鼓動を高めた。
チラッと見て、また封をしなおせばバレないような気する。
いつもならこんなことをすれば、バレるのは当たり前だとわかるのだが、脳にあるはずの欲望の抑制機能は働かなかった。
「慎重に…慎重に…」
「なにしてんの?」
封を開けようとした途端後ろからいきなり声が聞こえてきたことに驚き、封を破いてしまった。
「手紙…もしかしてラブレター?」
「何でお前はここにいるんだよ!」
「…いやー授業が終わって、そそくさと教室から出たらそりゃ面白半分で見にいくわ」
そして飯田はゲラゲラと笑っていた。
飯田は幼なじみで小中高、全て同じクラスであった。
「…で手紙の中身はなんだったんだい?」
飯田のちょっかいが腹立たしくなり、「黙れ」と飯田の頭頂部にチョップを喰らわせて教室に戻った。
学校が終わり、手紙の存在を思い出したのは夜ご飯を食べて、自分の部屋で寝っ転がり、恋愛ものの漫画を読んでいた時だった。
「…あ!忘れてた…」
制服から封が破けた手紙を出すと先程まで読んでいた漫画の内容がフラッシュバックした。
「手紙から始まるラブストーリー…」
淡い期待を抱いてしまった。
そんなことが俺の人生で起こる訳もないのに…
「いやいやいや…そんなことが…
こういう時は無心が一番…!!」
封は開いていたというテイでいこうと決心し、
中身を取り出した。
中には2枚の手紙が入っていた。
「達筆だなぁ…」
どこか文豪のようなお方が書いたような、書いてないような…言葉では言い表せない程に、その字列は美しかった。
「こんな字が上手い人がこの世にはいるとは…」
感心している場合ではなかった。
大事なのは中身である。
この手紙を拾ったあなたへ
あなたに伝えたいことがあります
この手紙を拾った後に来る月曜日、午後8時になったらあの公園に来てください
「午後8時…」
時計の針は午後8時半を指していた。
「やらかした!」
すぐに支度をし玄関のドアノブを回そうとすると、リビングから母の声が聞こえてきた。
「用事でもあるの?」
用事と言われ立ち止まってしまった。
よくよく考えてみれば、そんなうまい話があるわけがない、公園に残した手紙を拾った方が運命の相手ですなんて言われる可能性は限りなく少ない。
「…散歩ー」
散歩という口実ならば、公園に立ち寄っても変ではない。
大丈夫、淡い期待なんて膨らませてはいない、散歩にただ行くだけだ。
ドアを開けると、冷たい風が身体を包んだ。
「今日から寒くなるとか母さん言ってたな…」
こんな寒い中待たせてるのは少し申し訳なくなった。
公園に向かう途中、ふと思った。
「悪ふざけとかだったらどうしよ」
もし仮にそれが知り合いだとしたら、変なレッテルを貼られそうで恐かった。
しかし足は動き続けた、公園に向かって。
「…悪ふざけか」
公園の入り口に立ち周りを見回してみると、ベンチに座ったガラの悪いおじさんしかいなかった。
それを見た瞬間、恥ずかしくなり何も無かったように、立ち去ろうとした。
するとガラの悪いおじさんが立ち上がった。
その様子をチラッと見ると、ガラの悪いおじさんと目があってしまい気まずくなってしまった。
「おーい!こっちへ来ないのか?」
ガラの悪いおじさんが俺の方を見て手招きをした。
「え…ヤバイ人…?」
頭がパニック状態に陥り、何もできずに立ち止まってしまった。
すると、ガラの悪いおじさんはこちらへ歩いてきた。
逃げたら殺されるのだろうか、そんな縁起でもないことを考えているうちにガラの悪いおじさんは目の前にいた。
「お前、手紙の事で用あるんだろ、さっさとこっちこいよ」
腕を引っ張られ、先ほどまでガラの悪いおじさ
んが座っていたベンチに座わらせられた。
「金は持ってきてないです…」
そう小声で言うと、ガラの悪いおじさんの目が鋭く光った。
「別に金はいらねーよ」
その言葉で少しホッとした。
しかしガラの悪いおじさんがズボンのポケットから何かを取り出そうとした。
それがナイフか銃であれば俺の人生は終わったも同然だろう。
咄嗟にベンチから地面に降りて、土下座をした。
「すみません!ど、どうか命だけは…」
するとガラの悪いおじさんは立ち上がった。
「確かにお前は、約束の時間を過ぎて、こんな寒い中俺を待たせた…
だけど…そんなんで命はとらねーよ…」
「え…」
その後ベンチに座り、ガラの悪いおじさんは気さくに話してくれた。
俺は人を見る目がないようだ。
ガラの悪いおじさんの名前は堂円寺、あの手紙は自分の姪っ子が書いたらしく、伝言を預かっているらしい。
「帰ってからその番号に電話したら、出ると思うから、じゃ!お先にー」
そして堂円寺は公園から立ち去った。
家に帰ると、母から「さむかったでしょ!早くお風呂入りな!」と少し怒られたがそんなことは気にもとめなかった。
寒い外からすぐに暖かい風呂に浸かったため、気分が高揚した。
風呂から上がると、すぐに2階に行き、部屋の扉を閉めた。
家族の誰かに聞かれては、恥ずかしくてたまったものではない。
堂円寺からもらった紙に書いてある電話番号を打った。
発信ボタンを押す指が震える。
息を整え、身体落ち着かせた。
「よし…」
発信ボタンを押すと、コール音が鳴った。
この音を聞いているときは本当に緊張するものだ。
「…もしもし?」
電話相手からか細い声が聞こえてきた。
「もしもし」
相手の反応を待ったが、何も言われず時が過ぎたので、自分から話を持ち込もうとした瞬間相手の反応があった。
「もしかして…テツくん?」
確かに俺の名前はテツだが相手の名前がわからない、しかしどこかでこの声は聞いたことがある。
「えっと…」
「幼なじみのアキだよ!…覚えてる?」
アキという幼なじみを俺は覚えてはいなかった。
「堂円寺さんの…姪っ子さんですよね?」
「堂…円寺?なんて知らないですけど…
人違いか…すみません!この電話はなかったことに…」
そして電話は切られた。
「え…」
ただただ困惑してこの日は終わった。
幼い俺が同い年くらいの女の子といつもの公園で遊んでいる。彼女の顔はぼやけている。
覚えているのは、彼女のかぼそくも、可愛らしい声。
そして、子供らしく鬼ごっこや、砂場で遊び、最後にブランコに乗り何回か漕ぎ、
「ねー名前なんて言うの?」
と彼女に問いかけると笑顔で答えてくれる。
「私の名前は…」
いつもここで終わり目が覚める。
今日もその夢を見た。
いつもはうろ覚えの夢が、今日はやけに鮮明に覚えている。
放課後、部活もやらず帰宅部であった俺は帰り道、今日は金曜日であり翌日が休みだという優越感に浸り、道草をくっていた。
自販機で缶コーヒーを買い、いつもの公園で飲もうとベンチに座った。
空を見上げると何気ない景色だった。
雲が流れていくのを何も考えずに、眺めていた。
何気ない景色でも、ずっと見ていると段々疲れてくるものである。
片手に持っていた缶コーヒーを開けた。
コーヒーの香りがあたり一面に広がり、その匂いを嗅ぐと心が落ち着いたような気がした。
あっという間に飲み干し、ゴミとなった缶を捨てようと立ち上がるとベンチの下に手紙が落ちているのを発見した。
それを拾い上げてみると、宛名や差出人も不明。
ただのゴミだと思い、捨てようと思ったのも束の間、封がしてあるのに気がついた。
手紙というものは誰かが相手に想いを馳せて送るもの。恋文だとしたら本当に気まずい。その抑止力のお陰で開けようと思わなかったが、それと同時に何が入っているのかわからないというスリルを味わいたいという思いが込み上げてきた。
開けるか、開けないか、
結局結論は出ずに、制服のポケットにしまった。
帰宅し、お風呂に入った頃にはその事はもう忘れていた。
そのまま休日は過ぎ、手紙のことを思い出したのは学校に着いてからだった。
昼休みになり1人で屋上に行き、手紙を覗くことにした。屋上は立ち入り禁止のため誰もいない。
スリルとスリルが交差する時間が胸の鼓動を高めた。
チラッと見て、また封をしなおせばバレないような気する。
いつもならこんなことをすれば、バレるのは当たり前だとわかるのだが、脳にあるはずの欲望の抑制機能は働かなかった。
「慎重に…慎重に…」
「なにしてんの?」
封を開けようとした途端後ろからいきなり声が聞こえてきたことに驚き、封を破いてしまった。
「手紙…もしかしてラブレター?」
「何でお前はここにいるんだよ!」
「…いやー授業が終わって、そそくさと教室から出たらそりゃ面白半分で見にいくわ」
そして飯田はゲラゲラと笑っていた。
飯田は幼なじみで小中高、全て同じクラスであった。
「…で手紙の中身はなんだったんだい?」
飯田のちょっかいが腹立たしくなり、「黙れ」と飯田の頭頂部にチョップを喰らわせて教室に戻った。
学校が終わり、手紙の存在を思い出したのは夜ご飯を食べて、自分の部屋で寝っ転がり、恋愛ものの漫画を読んでいた時だった。
「…あ!忘れてた…」
制服から封が破けた手紙を出すと先程まで読んでいた漫画の内容がフラッシュバックした。
「手紙から始まるラブストーリー…」
淡い期待を抱いてしまった。
そんなことが俺の人生で起こる訳もないのに…
「いやいやいや…そんなことが…
こういう時は無心が一番…!!」
封は開いていたというテイでいこうと決心し、
中身を取り出した。
中には2枚の手紙が入っていた。
「達筆だなぁ…」
どこか文豪のようなお方が書いたような、書いてないような…言葉では言い表せない程に、その字列は美しかった。
「こんな字が上手い人がこの世にはいるとは…」
感心している場合ではなかった。
大事なのは中身である。
この手紙を拾ったあなたへ
あなたに伝えたいことがあります
この手紙を拾った後に来る月曜日、午後8時になったらあの公園に来てください
「午後8時…」
時計の針は午後8時半を指していた。
「やらかした!」
すぐに支度をし玄関のドアノブを回そうとすると、リビングから母の声が聞こえてきた。
「用事でもあるの?」
用事と言われ立ち止まってしまった。
よくよく考えてみれば、そんなうまい話があるわけがない、公園に残した手紙を拾った方が運命の相手ですなんて言われる可能性は限りなく少ない。
「…散歩ー」
散歩という口実ならば、公園に立ち寄っても変ではない。
大丈夫、淡い期待なんて膨らませてはいない、散歩にただ行くだけだ。
ドアを開けると、冷たい風が身体を包んだ。
「今日から寒くなるとか母さん言ってたな…」
こんな寒い中待たせてるのは少し申し訳なくなった。
公園に向かう途中、ふと思った。
「悪ふざけとかだったらどうしよ」
もし仮にそれが知り合いだとしたら、変なレッテルを貼られそうで恐かった。
しかし足は動き続けた、公園に向かって。
「…悪ふざけか」
公園の入り口に立ち周りを見回してみると、ベンチに座ったガラの悪いおじさんしかいなかった。
それを見た瞬間、恥ずかしくなり何も無かったように、立ち去ろうとした。
するとガラの悪いおじさんが立ち上がった。
その様子をチラッと見ると、ガラの悪いおじさんと目があってしまい気まずくなってしまった。
「おーい!こっちへ来ないのか?」
ガラの悪いおじさんが俺の方を見て手招きをした。
「え…ヤバイ人…?」
頭がパニック状態に陥り、何もできずに立ち止まってしまった。
すると、ガラの悪いおじさんはこちらへ歩いてきた。
逃げたら殺されるのだろうか、そんな縁起でもないことを考えているうちにガラの悪いおじさんは目の前にいた。
「お前、手紙の事で用あるんだろ、さっさとこっちこいよ」
腕を引っ張られ、先ほどまでガラの悪いおじさ
んが座っていたベンチに座わらせられた。
「金は持ってきてないです…」
そう小声で言うと、ガラの悪いおじさんの目が鋭く光った。
「別に金はいらねーよ」
その言葉で少しホッとした。
しかしガラの悪いおじさんがズボンのポケットから何かを取り出そうとした。
それがナイフか銃であれば俺の人生は終わったも同然だろう。
咄嗟にベンチから地面に降りて、土下座をした。
「すみません!ど、どうか命だけは…」
するとガラの悪いおじさんは立ち上がった。
「確かにお前は、約束の時間を過ぎて、こんな寒い中俺を待たせた…
だけど…そんなんで命はとらねーよ…」
「え…」
その後ベンチに座り、ガラの悪いおじさんは気さくに話してくれた。
俺は人を見る目がないようだ。
ガラの悪いおじさんの名前は堂円寺、あの手紙は自分の姪っ子が書いたらしく、伝言を預かっているらしい。
「帰ってからその番号に電話したら、出ると思うから、じゃ!お先にー」
そして堂円寺は公園から立ち去った。
家に帰ると、母から「さむかったでしょ!早くお風呂入りな!」と少し怒られたがそんなことは気にもとめなかった。
寒い外からすぐに暖かい風呂に浸かったため、気分が高揚した。
風呂から上がると、すぐに2階に行き、部屋の扉を閉めた。
家族の誰かに聞かれては、恥ずかしくてたまったものではない。
堂円寺からもらった紙に書いてある電話番号を打った。
発信ボタンを押す指が震える。
息を整え、身体落ち着かせた。
「よし…」
発信ボタンを押すと、コール音が鳴った。
この音を聞いているときは本当に緊張するものだ。
「…もしもし?」
電話相手からか細い声が聞こえてきた。
「もしもし」
相手の反応を待ったが、何も言われず時が過ぎたので、自分から話を持ち込もうとした瞬間相手の反応があった。
「もしかして…テツくん?」
確かに俺の名前はテツだが相手の名前がわからない、しかしどこかでこの声は聞いたことがある。
「えっと…」
「幼なじみのアキだよ!…覚えてる?」
アキという幼なじみを俺は覚えてはいなかった。
「堂円寺さんの…姪っ子さんですよね?」
「堂…円寺?なんて知らないですけど…
人違いか…すみません!この電話はなかったことに…」
そして電話は切られた。
「え…」
ただただ困惑してこの日は終わった。
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