トンネルを抜けると、そこはあやかしの駅でした。

猫がしゃべった⁉︎

閑話休題 その2

「おっ時雨、なにを作っとるんじゃ？」
「ああ駅長、今日はあいつに餃子でも作ってやろうかと思いましてね」
「ほほお、お前にしてはなかなか凝っておるのう」
「ええ、正月のやつにきちんと栄養つけてもらわねえといけませんしね」
「……」
「どうしました、駅長？」
「……この見慣れぬ大量の野菜クズはなんじゃ？」
「それはニンニクですよ、スタミナつけて仕事バリバリできるようにね、いっぱい餃子の中に仕込んどきました」
「……時雨、わしらの仕事はなんじゃ？」
「え、駅員ですよね……⁉︎」
「つまるところ、駅員とは一体なんじゃ？」
「え……っと、接客業でしたっけ」
「あのなー時雨。こんなに大量のニンニクを食ってしまうと、吐息から身体から凄まじいほどの臭いがするであろうが！ そこまできちんと考えておらんかったのか⁉︎」
「あ……」
「我々はお客第一じゃぞ時雨。確かに身体に良いことは分かるが、〈あふたーけあ〉もちゃんと考えてこその食事じゃ。そこを忘れるでないぞ」
「す、すいませんアネさん……でもこれこんなに大量に作っちまったけど、一体どうすれば……」
「よい、わしが全部食べる」
「えっ？」
「餃子は大好物だしの。これだけ食えれば本望じゃ」
「……マジですか」

ー翌日ー

「時雨先輩……なんか駅長室からすっごいニンニク料理の臭いがしてきてるんですけど、あれっていったい……」
「ああ、昨晩駅長がちょっと……な。だから今日は駅長は仕事は休みってことだ」
「ニンニクが原因で、ですか？」
「そうだ、ニンニクだ」

「(ニンニク……まさか駅長の正体って⁉︎)」


　おしまい