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猫がしゃべった⁉︎

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 そうだ、もうひとつ変わってるところがあるんだ。それは、パートで近所のおばさんが来ること。
 売店とか清掃じゃない。きちんとした、僕らと同じ駅の仕事を。
 初めて仕事した日に交代で来た人が、私服に制帽と名札だけを付けたおばさんだったわけで……驚いちゃった。
 村雨先輩はこのこと何も言ってはくれなかったけど……この会社はまだまだ人員不足らしくって、こうやってA番とB番を受け持つパート番が、月に何出番か存在するとのこと。
 まあ、それに関しては別にいいんだけど……だったらなんで僕だけしかこの会社に呼ばなかったんだろう? 一気にドーンと異動で呼んでくれればいいものを。
 ……うん。これもとりあえずいいか。この会社なりの事情とかがあるのかも知れないしね。

 そうして、お客さんが1人もこないまま、お昼の時間が到来した。
 リンゴーンと正午を知らせる鐘の音の放送が広い空に響く……と同時に僕のお腹もつられてぐうと鳴った。

 特に忙しくなければ、自由に食事休憩をとっていい。それがこの駅のスタイルなんだ。
 最初は自分も戸惑ったけど、ずーっと窓口で待っていたところで全然人は来ないし、来たら来たで食堂は事務所のすぐ隣。すぐに応対もできるしね。

「窓口に誰もいなくったって文句言う人なんていねーって。もしそんな奴がいたら逆に言い返してやるわ。俺はメシ食ってンだってな」
 と、村雨先輩は以前そう話してはいたものの……僕にはちょっと、それは。

〈御用の際はチャイムを鳴らしてください〉

 と書かれた看板を窓口の前に置く。これでOK。
 駅長にお昼休み入ります! と言おうとしたけど、相変わらず彼女はドアの向こうで寝ているみたいだ。猫は1日の大半を寝て過ごすって話だし。
 ……けど、この猫一体どこでご飯食べてるんだろ? パート番のおばさんたちがあげたりしてるのかな。

 さてさてお昼の準備。
 とは言っても、隣のコンビニで買ってきたインスタントのラーメンに、おにぎりが二つ。これが僕のいつものお昼ご飯。
 その都度おにぎりがパンに変わることもあるけど、高校の頃からこれはいつも変わることはなかった。

 沸騰したお湯を入れて5分……さて、いただきます!
 そうしていつも通りお昼を食べている……と、
「ふむ、情けない食事だのう」

 突然どこからか女の人の声が聞こえた。
 驚いて僕は周りを見渡した……けど、誰もいない。備え付けのラジオも電源は入ってないし……うん。いるわけがない。それに唯一の存在である駅長は猫だし。

「お主、食事は変わらずずっとそれで通してきたのか?」

 同時に、テーブルの向かいからぴょこんと、小さな三角の耳が。
 続けて、あのミニ制帽と白いふわふわの毛が……

「ん? どうした。なにを驚いた顔で見ておるのじゃ?」

 猫だ。彼女だ。白妙さんだ。
 ……いや、白妙駅長だ。
 猫が人間の言葉で喋ってる⁉︎
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