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ほたる咲く丘
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しゅっ……こう? なんだろう、初めて聞く言葉だ。
よくわからないまま、僕はシュッコーってなんでしょうと駅長に聞いた。
……簡単に言うと、別の会社への異動、だとか。
けどこれが子会社だったり全然違うところだったりとか、僕の頭ではまだまだ付いていけない。とにかく複雑なんだ。
駅長がいうことには、所属する会社が変わるだけで、給料とか勤務形態や待遇は一切変わらないとのこと。
「つい数年前にできた会社なんだがね、駅の者に一人欠員ができたそうなんだ。それで今回君が適任ということに決まったんだよ」
僕が適任って……最年少ってこと以外に全く取り柄がないんだけどなあ。
でも今の僕にはこの辞令を断ることなんて不可能だし。分かりましたとまずは快く返事で返した。
……って、そうだ、なんて鉄道会社なんだろう。
駅長に教えてもらった名前をさっそく調べ……ようと思ったけど。自分スマホ持ってないんだった。おまけに仕事中は、ながらスマホ防止ってことで社員は利用制限されちゃってるし。
もちろんみんなには思いっきり驚かれた。この年になるまでケータイはおろかスマホすら僕はもってなかったんで。っていうか今まで生きてて必要なかったんだけど……ね。まあ理由については後々話すとして。
ってなわけで上長の許可申請とって会社の社有PCで調べてみたんだけど……
………………
…………
……
ない。
その名前の鉄道会社、検索しても出てこないんだ!
「マジ? ちゃんとかな入力とかできてる? 貸してみなよ」先輩の一人が慣れた手つきでキーボードをカタカタと。
けれどもやっぱり出てこない。
「なんだっけ名前、もいっかい教えて」
「合歓の宮……です」
「ネムノミヤ……なんか眠そうな名前だな。って、あれ? おっかしいな~」
僕の聞いた鉄道会社の名前が「合歓の宮鉄道株式会社」これまたネムってなんだろうと先輩に聞いてみたら、ネムノキっていう植物があるんだとか。うん、全然知らなかった。
「でもよ、今回その鉄道の方で志乃田クン直々にお呼ばれされたってことなんだろ? これって結構名誉なんじゃねーか?」
別の先輩にそう言われたものの、やっぱり不安だ。検索しても出てこない会社に出向だなんて!
そうしてなんかうやむやの内に駅長からの出向命令は終わってしまった……でも。
でもやっぱり気になる!
僕はあえて恥を忍んで駅長にもう一度話を聞こうと決心した。もしかしたら会社名が間違いなんじゃないのかなって。
でなきゃ検索しても出てこないだなんておかしすぎる!
大きく深呼吸して、駅長室の表札が付いたドアをノックしようとしたとき、事務の副駅長が偶然部屋から出てきた。
「どうしたんだい、志乃田さん」
「え、あの、えっと、駅長と、その、お話を」
「? 駅長は今日は会議で一日こちらへは来ないよ」
……え?
でも、僕の出向はきちんと決まっていた。
そしてなにが起こっているのか全く分からないまま、僕は翌日すぐ、荷物をまとめて新たな職場へと向かっていった。
合歓の宮鉄道という、地図にない会社へと。
よくわからないまま、僕はシュッコーってなんでしょうと駅長に聞いた。
……簡単に言うと、別の会社への異動、だとか。
けどこれが子会社だったり全然違うところだったりとか、僕の頭ではまだまだ付いていけない。とにかく複雑なんだ。
駅長がいうことには、所属する会社が変わるだけで、給料とか勤務形態や待遇は一切変わらないとのこと。
「つい数年前にできた会社なんだがね、駅の者に一人欠員ができたそうなんだ。それで今回君が適任ということに決まったんだよ」
僕が適任って……最年少ってこと以外に全く取り柄がないんだけどなあ。
でも今の僕にはこの辞令を断ることなんて不可能だし。分かりましたとまずは快く返事で返した。
……って、そうだ、なんて鉄道会社なんだろう。
駅長に教えてもらった名前をさっそく調べ……ようと思ったけど。自分スマホ持ってないんだった。おまけに仕事中は、ながらスマホ防止ってことで社員は利用制限されちゃってるし。
もちろんみんなには思いっきり驚かれた。この年になるまでケータイはおろかスマホすら僕はもってなかったんで。っていうか今まで生きてて必要なかったんだけど……ね。まあ理由については後々話すとして。
ってなわけで上長の許可申請とって会社の社有PCで調べてみたんだけど……
………………
…………
……
ない。
その名前の鉄道会社、検索しても出てこないんだ!
「マジ? ちゃんとかな入力とかできてる? 貸してみなよ」先輩の一人が慣れた手つきでキーボードをカタカタと。
けれどもやっぱり出てこない。
「なんだっけ名前、もいっかい教えて」
「合歓の宮……です」
「ネムノミヤ……なんか眠そうな名前だな。って、あれ? おっかしいな~」
僕の聞いた鉄道会社の名前が「合歓の宮鉄道株式会社」これまたネムってなんだろうと先輩に聞いてみたら、ネムノキっていう植物があるんだとか。うん、全然知らなかった。
「でもよ、今回その鉄道の方で志乃田クン直々にお呼ばれされたってことなんだろ? これって結構名誉なんじゃねーか?」
別の先輩にそう言われたものの、やっぱり不安だ。検索しても出てこない会社に出向だなんて!
そうしてなんかうやむやの内に駅長からの出向命令は終わってしまった……でも。
でもやっぱり気になる!
僕はあえて恥を忍んで駅長にもう一度話を聞こうと決心した。もしかしたら会社名が間違いなんじゃないのかなって。
でなきゃ検索しても出てこないだなんておかしすぎる!
大きく深呼吸して、駅長室の表札が付いたドアをノックしようとしたとき、事務の副駅長が偶然部屋から出てきた。
「どうしたんだい、志乃田さん」
「え、あの、えっと、駅長と、その、お話を」
「? 駅長は今日は会議で一日こちらへは来ないよ」
……え?
でも、僕の出向はきちんと決まっていた。
そしてなにが起こっているのか全く分からないまま、僕は翌日すぐ、荷物をまとめて新たな職場へと向かっていった。
合歓の宮鉄道という、地図にない会社へと。
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