命、からがら尽きる

四季坊

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おばあちゃんの大事な水筒

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 あるところに、ミオちゃんという小さな女の子がいました。ミオちゃんは、ピクニックや遠足が大好きで、誰よりも元気に走り回っていました。しかし、おばあちゃんと2人で暮らしていたため、他のお家と比べて貧しかったミオちゃんは、自分の水筒を持っていませんでした。
 見かねたおばあちゃんは、ミオちゃんの誕生日に、自分が大事にしていた水筒をプレゼントすることにしました。
 
 誕生日の前日、ケーキは買ってあげれそうになかったので、いつもより少し豪華な食べ物と、手作りのトマトジュースを用意しました。
 ミオちゃんの喜ぶ顔が見れると思うと、おばあちゃんはなんだか幸せな気持ちになりました。

 迎えた当日、ミオちゃんが布団から出ると、おいしそうなご飯がたくさん並んでいました。目を輝かせながらご飯を頬張るミオちゃんを、おばあちゃんは満足そうな顔で見ていました。
 ご飯を食べて元気いっぱいのミオちゃんに、おばあちゃんはプレゼントを渡しました。
 すると、ついさっきまではしゃいでいたミオちゃんから笑顔が消えました。どうしたのかと聞こうとした瞬間、水筒がおばあちゃんを目掛けて飛んできました。何かを叫んでいたミオちゃんは、怒った顔をして家を飛び出しました。
 周りのお友達がゲームやおままごとセットをもらっている中、色の落ちた古い水筒を渡されたミオちゃんは、なんだか馬鹿にされたような気がして腹立たしかったのです。

 1人で歩くお外は楽しいものではなく、いつも隣に
はおばあちゃんがいてくれた事を思い出しました。おいしいご飯をたくさん用意してくれたおばあちゃんに、とてもひどいことをしてしまったと思い、泣きながらお家に帰りました。
 しかし、ミオちゃんはとうとうおばあちゃんにごめんなさいを伝えることは出来ませんでした。
 おばあちゃんは水筒が当たった拍子に机で頭を打ってしまい、たくさんの血を流して死んでしまったのです。

 ミオちゃんはこれまでにないほどの声で泣き叫びました。どれだけ時間が経ったかわからないほど泣き、ふと目を起こすと、床に転がっていた水筒はいつもおばあちゃんが大事にしていたものだと気がつきました。


 泣き疲れたミオちゃんは自分のトマトジュースを水筒に注いで、おばあちゃんを抱きしめながら安らかに眠るのでした。
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