【完結】I adore you

ひつじのめい

文字の大きさ
上 下
16 / 18

ブラコンで腐女子な心桜の心情〜心桜視点〜

しおりを挟む
 両親が多忙だった事もあり、お世話する事が多かった少し年の離れた弟が私は可愛くて仕方ない。

 小さな頃は、お姉ちゃんと付いてくる弟をウザく感じる事もあったけど弟が思春期を迎えた今は、色んな意味で凄く可愛いし守りたい。

 弟の夏樹がある日を境に雰囲気が変り、もしかしたらお付き合いしてる人が出来たんじゃないかな?

 そう断片的ではあったけど感じることが多くなってきた。

 夏樹が自分らしく居られる相手なら、ブラコンだけど全身全霊で応援したいと思いながらも頭の片隅では、我が家とも交流のある蒼だと良いなと思ってしまう。

 私の腐センサーは、蒼が夏樹に好意を持っているのは確かなんだけど、若さゆえ同性って事がネックになっているのか、蒼は一向に行動を起こす気配はない。

 確かに偏見を持つ人は少なからず居るとは思う、でも腐女子な私は2人が付き合うことになったら人目をはばからす小躍りしながら喜ぶし、持てる力を最大限に使って応援もする。

 ただ、あわよくば薄い本のネタになるかもと邪よこしまな気持ちが有ったりする。

 2人の関係が、あきらかに今までと変わったと感じたのは蒼が私の勤務先の病院に入院した頃だった。

 夏樹の隣には見たことのない女の子の姿を確認した時、私の頭に警笛が鳴り響いたと同時に小さい私が、彼女は危険と騒いでる。

 表面上では冷静を装っていたけど、あの時は本当に夏樹が傷付けられたらどうしようかと気が気でなかった。

 そして今、私は久々の休日という事もあって気の抜けた格好で帰宅した夏樹と蒼を出迎えている。

 これって夏樹と蒼にフラグ立ってるんじゃない?

 そう思うと冷静で居られなくなって早口で捲り立ててしまうオタクの悲しい性で興奮すると、早口になってしまうのよね。

 私の暴走の甲斐もあり、蒼は今日は泊まることになり私はラッキースケベ的なサプライズを影で見守るシュチュになったら、どうしようと考えていた。

 2人が夏樹の部屋へ向かう姿を見て、付き合う前のドキドキキュンキュン状態なのかしらと思うと、早く夕飯の用意をして、2人を思う存分に脳内に供給せねばと使命感に萌えてしまった。

 早くご飯つくらなきゃ

 私の妄想が大暴走しているからか、時間間隔が分からなくなり気付いたら、いつもより品数の多い夕食を作り上げていた。

 楽しい事を妄想すると、なんでこんなに幸せな気分になるんだろう。

 軽やかな足取りで、夏樹の部屋へと向かいドアの前のに立つと私の腐センサーがビンビン反応してる。

 ノックをするな! 

 未知なる世界へいざゆかん!

 私が勢いよくドアを開けると、夏樹が蒼の顔を両手で包み込み今にも唇同士が触れ合いそうだった。

 ハァハァ……尊い……ヤバい……鼻血でそう……

 心桜……落ち着いて、さすがに弟に腐だと気づかれてはいけないわ。

 そう自分に言い聞かせた結果、口から出た言葉は。

「あっらぁ~お邪魔だったかしら?」

 なに質問してるのよ、お邪魔かどうかなんて考えれば分かるじゃない、あきらかに邪魔してしまった……

 夏樹は私の声を聞くと同時にパッと手を離すと、みるみるうちに、耳まで赤く染まっていった。

 やだぁ~私の弟、照れた顔すら本当に可愛い!姉はあなた達2人をずっと推すわ、夏樹が攻めっぽい見た目で実は受けとか、癖に刺さりまくるわぁ~。

 妄想世界に取り込まれそうに、なりながらも慌てて現実世界に戻ると、ご飯出来てるから早く食べちゃいな!と急かしてしまった。

 大丈夫、私が2人を、見てイケナイ妄想をしてるとは1ミクロンも気付いてはいないはず……だと思いたい。

 テーブルに着いた2人を見ていると、少し前みたいな変な空気感は消えていて昔見たいと言ったら変だけど、関係が修復されたのかなと思うと純粋に嬉しかった。

 向かい合って座って楽しそうに話をしてる2人を見ているだけで私の中のけがれたモノが浄化されるようで、無意識にニヤついてしまっていた。

 食べざかりの2人も、そろそろ食べ終わる頃かなと思ったその時、蒼が夏樹の口元に付いたシチューを指で拭い、その指を自分の口元へと運んだ。

 な・な・なんて事でしょう!

 私は一体何を見せられているのでしょうか?

 気付いた時には私は勢いよく頭をテーブルに打ち付けていた。

 ヤバいわイケナイ妄想をしてると気づかれる……
 悟られてはいけなわ……

 そう思うと同時に私の口は私の意志とは関係なく早くお風呂に入っちゃいなさいよ!と叫んでいた。

 2人は、ご馳走さまと言うと部屋を出ていった。

 ドアが閉まると同時に、私の声とは思えない奇声が溢あふれ出た。

 私の推し最高、しかもリアルタイムでラブラブ進行中。

 蒼が家に来てる時、わたしは壁になりきり見守りたいと使命感に萌えたのだった。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタからの贈り物

未瑠
BL
ずっと片思いをしていた冴木光流(さえきひかる)に想いを告げた橘唯人(たちばなゆいと)。でも、彼は出来るビジネスエリートで仕事第一。なかなか会うこともできない日々に、唯人は不安が募る。付き合って初めてのクリスマスも冴木は出張でいない。一人寂しくイブを過ごしていると、玄関チャイムが鳴る。 ※別小説のセルフリメイクです。

楽な片恋

藍川 東
BL
 蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。  ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。  それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……  早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。  ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。  平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。  高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。  優一朗のひとことさえなければ…………

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

総長の彼氏が俺にだけ優しい

桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、 関東で最強の暴走族の総長。 みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。 そんな日常を描いた話である。

黄色い水仙を君に贈る

えんがわ
BL
────────── 「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」 「ああ、そうだな」 「っ……ばいばい……」 俺は……ただっ…… 「うわああああああああ!」 君に愛して欲しかっただけなのに……

俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした

たっこ
BL
【加筆修正済】  7話完結の短編です。  中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。  二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。 「優、迎えに来たぞ」  でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。  

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

処理中です...