22 / 24
ボーイズ・トーク
しおりを挟む
僕が聞かないふりをしたのに、光くんは僕は腹黒じゃないよと笑顔で言いながらも目が笑ってないなかった。
俺が腹黒を呼び寄せる能力があったりして……
そんな能力いらねぇ~よ、と言いながらもまだ横たわっている空くんに、口元だけに笑顔を浮かべながら僕たちの他にも腹黒が居るの?と光くんが問いかけると
躊躇うことなく空くんは【れんと】と答えた。
アレ?光くんも知ってたの……かな?
なんて考えていると、今まで見たことがない笑みを浮かべている光くんがいた。
「あはっ……やっぱり……2人はそうだったんだ……」
クスクスと笑っている光くん、その横で転がっていた空くんが凄い速さでガバッと起き上がると、額には変な汗をダラダラと浮かべていた。
あぁ~やっぱり空くんは、伝えてなかったんだ……
「僕、誰にも言わないから大丈夫だよ」
空くんは両手で自分の頬を叩くと、光くんに向き合うと口を開いた。
「ひかりんは友達だし、別に知られたくないとかじゃなかったけど言えなくてゴメン……担任と付き合ってるって退かれるかもしれないけどさ……担任になる前から付き合ってるんだ……」
空くんは本当に真っ直ぐな男だな……先生は幸せだな……
「空くんは年上が好きなんだね……僕と気が合いそうだ……」
光くんの言葉に、背中に冷たいものが走った……まさか……違うよね……
「僕は、遥先生が大好きなんだぁ~」
屈託のない笑顔を浮かべている光くんの顔を虚無の表情で見ている事に自分でも分かって手が震えた、と同時に光くんと目があった。
「楓くん……そんな顔しなくても大丈夫だよ、楓くんのパパになりたいとは、まったく思ってないから。」
衝撃的な事を言い出した光くんに、どういう態度を取れば正解なのか分からなくなってきた時、光くんが恍惚こうこつな表情を浮かべながら
僕の推しなんだと頬を赤らめながら言った……。
変化球すぎる……自分の親を推しだと言う友達に戸惑わないと言ったら嘘になる……
「そっか……それじゃ俺と、ひかりんは好みが似てるってことなんだな」
空気が読めてない空くんが、嬉しそうに話しているけど、それは違うと言いたい……
「空くん!よく気付いたね、そうなんだよ似てるんだよ」
えぇーー遥と、先生じゃ全然違うと思っていると
「年上の儚い系の美人、いいよなぁ~」
そう話す空くんの頭に浮かんでいるのは間違いなく先生なんだろうな……。
「僕ね、遥先生に憧れてるんだ……番が居て、その人との間に子供を授かれるなんて、おとぎ話の中だけだと思っていたから……」
光くんの今の発言で、空くんは光くんのバースに気付いた事だろう……
「ひかりんΩだったんだ……そんな気がしてたよ腹黒だしw」
空くんの中でのΩが腹黒設定は、なんでなんだろう……
「やっぱり空くんは知っても変わらないね……楓くんの話を聞いた時から、大丈夫だとは思っていたけど……」
そう話す光くんは、どこかホッとしたように見えた。
「俺だけじゃなくて、クラスのみんなも変わらないと思うぜ」
そう話す空くんの笑顔に僕も救われた気がした。
けれど、そうでない人が大半なのは僕も理解している……
理解しているからこそ、空くんみたいに発言してくれると暖かい何かが胸に刺さって苦しくなる……。
「俺、βなんだよ……楓にαが怖い理由わけきかれた時には言い辛かったんだけど、元彼がΩでさ……同時進行で俺の他にαとも付き合ってたみたいで……αにバレた時に俺が別れる事を拒んでるって、ていで話されて……相手のαにボコられたんだよね……メンタル的にも……そして肉体的にも……」
笑いながら話す空くんの気持ちを考えると、気付いた時には涙が零れた……
バースで悩んでいたのは僕だけじゃなかったんだ……僕は本当に回りが見えてない。
僕は空くんの隣に移動して座ると無意識に口から言葉が出た……
「僕がそいつボコる……」
僕がそう言うと、光くんは僕はネチネチ締め上げますと冷たい笑みを浮かべていた。
空くんは、僕と光くんの肩にてを回すと、震える声でありがとう……と言った。
一呼吸置いた空くんは、あの時は絶望的だったけど……その後にすぐ楓と仲良くなったり、れんとと付き合い始めたりしたから、あの時は今の幸せの為の通過点だったんだよな……そう思うようにしてる。
楓と仲良くなったから、ひかりんとも仲良くなれたし……
俺さ今すげぇ~、毎日が楽しいんだ……
そう笑う空くんの顔に嘘はまったく感じられなかった。
あぁ~この感じ……なんかいいな……
「―――なぁ、楓に聞きたい事があるんだけど翠先輩と、どうなった?」
そうだ……この話しもしたいと思っていたんだ。
「翠くんと付き合うことになったよ……仮だけど」
僕の答えを聞いた空くんは、光くんの肩から腕を外すとそのまま僕の首に絡めると、ヘッドロックをかましながら、よかったなぁ~と涙声で言った。
何度も感じてるけど空くんの力が強すぎて痛い……
「空くん痛いw」
空くんはゴメンと言いながらすぐに離してくれた。
「楓くん、よかったね」
ニカッと笑った光くんを見て素の光くんをみた気がした。
バース関係なく、こんなにも仲良くなれるのは奇跡かもしれない……
「付き合ってるって言っても仮だから、これからは翠くんをドロドロに甘やかして僕から離れられないように僕っていう檻の中に閉じ込めたいんだ……」
僕の言葉に、なぜか空くんも光くんも若干退いてたのが意味が分からなかった。
そんな空気を変えたのは光くんだった。
「楓くん、空くん……実は僕はヒートを抑える薬を飲んでるとはいえ、まだヒートの経験がなくて……もし非常事態の時は嫌がっても薬を飲ませて……くれますか?」
――ヒートのツラさは僕には分からない……でも遥の時の状況をみると……辛いんだろうな……
僕が一瞬、考えている間に空くんは当たり前だと笑っていた。
「ねぇ空くん、先生ってΩなら先生にもフォローして貰えないかな?」
僕の言葉を聞いた空くんの表情が、文字通りにキラキラと輝きだした時に、嫌な予感がした。
「楓!すげぇ~な、すぐにそんなことは思いつかねぇ~よマジで!!」
そう言いながら僕の背中をバシバシ叩きながら笑っていた。
なんども思うけど力強すぎ!
「空くん!痛いってば!」
僕と空くんの、やりとりを見ている光くんの目尻が滲んでいたのは……見なかったことにした。
俺が腹黒を呼び寄せる能力があったりして……
そんな能力いらねぇ~よ、と言いながらもまだ横たわっている空くんに、口元だけに笑顔を浮かべながら僕たちの他にも腹黒が居るの?と光くんが問いかけると
躊躇うことなく空くんは【れんと】と答えた。
アレ?光くんも知ってたの……かな?
なんて考えていると、今まで見たことがない笑みを浮かべている光くんがいた。
「あはっ……やっぱり……2人はそうだったんだ……」
クスクスと笑っている光くん、その横で転がっていた空くんが凄い速さでガバッと起き上がると、額には変な汗をダラダラと浮かべていた。
あぁ~やっぱり空くんは、伝えてなかったんだ……
「僕、誰にも言わないから大丈夫だよ」
空くんは両手で自分の頬を叩くと、光くんに向き合うと口を開いた。
「ひかりんは友達だし、別に知られたくないとかじゃなかったけど言えなくてゴメン……担任と付き合ってるって退かれるかもしれないけどさ……担任になる前から付き合ってるんだ……」
空くんは本当に真っ直ぐな男だな……先生は幸せだな……
「空くんは年上が好きなんだね……僕と気が合いそうだ……」
光くんの言葉に、背中に冷たいものが走った……まさか……違うよね……
「僕は、遥先生が大好きなんだぁ~」
屈託のない笑顔を浮かべている光くんの顔を虚無の表情で見ている事に自分でも分かって手が震えた、と同時に光くんと目があった。
「楓くん……そんな顔しなくても大丈夫だよ、楓くんのパパになりたいとは、まったく思ってないから。」
衝撃的な事を言い出した光くんに、どういう態度を取れば正解なのか分からなくなってきた時、光くんが恍惚こうこつな表情を浮かべながら
僕の推しなんだと頬を赤らめながら言った……。
変化球すぎる……自分の親を推しだと言う友達に戸惑わないと言ったら嘘になる……
「そっか……それじゃ俺と、ひかりんは好みが似てるってことなんだな」
空気が読めてない空くんが、嬉しそうに話しているけど、それは違うと言いたい……
「空くん!よく気付いたね、そうなんだよ似てるんだよ」
えぇーー遥と、先生じゃ全然違うと思っていると
「年上の儚い系の美人、いいよなぁ~」
そう話す空くんの頭に浮かんでいるのは間違いなく先生なんだろうな……。
「僕ね、遥先生に憧れてるんだ……番が居て、その人との間に子供を授かれるなんて、おとぎ話の中だけだと思っていたから……」
光くんの今の発言で、空くんは光くんのバースに気付いた事だろう……
「ひかりんΩだったんだ……そんな気がしてたよ腹黒だしw」
空くんの中でのΩが腹黒設定は、なんでなんだろう……
「やっぱり空くんは知っても変わらないね……楓くんの話を聞いた時から、大丈夫だとは思っていたけど……」
そう話す光くんは、どこかホッとしたように見えた。
「俺だけじゃなくて、クラスのみんなも変わらないと思うぜ」
そう話す空くんの笑顔に僕も救われた気がした。
けれど、そうでない人が大半なのは僕も理解している……
理解しているからこそ、空くんみたいに発言してくれると暖かい何かが胸に刺さって苦しくなる……。
「俺、βなんだよ……楓にαが怖い理由わけきかれた時には言い辛かったんだけど、元彼がΩでさ……同時進行で俺の他にαとも付き合ってたみたいで……αにバレた時に俺が別れる事を拒んでるって、ていで話されて……相手のαにボコられたんだよね……メンタル的にも……そして肉体的にも……」
笑いながら話す空くんの気持ちを考えると、気付いた時には涙が零れた……
バースで悩んでいたのは僕だけじゃなかったんだ……僕は本当に回りが見えてない。
僕は空くんの隣に移動して座ると無意識に口から言葉が出た……
「僕がそいつボコる……」
僕がそう言うと、光くんは僕はネチネチ締め上げますと冷たい笑みを浮かべていた。
空くんは、僕と光くんの肩にてを回すと、震える声でありがとう……と言った。
一呼吸置いた空くんは、あの時は絶望的だったけど……その後にすぐ楓と仲良くなったり、れんとと付き合い始めたりしたから、あの時は今の幸せの為の通過点だったんだよな……そう思うようにしてる。
楓と仲良くなったから、ひかりんとも仲良くなれたし……
俺さ今すげぇ~、毎日が楽しいんだ……
そう笑う空くんの顔に嘘はまったく感じられなかった。
あぁ~この感じ……なんかいいな……
「―――なぁ、楓に聞きたい事があるんだけど翠先輩と、どうなった?」
そうだ……この話しもしたいと思っていたんだ。
「翠くんと付き合うことになったよ……仮だけど」
僕の答えを聞いた空くんは、光くんの肩から腕を外すとそのまま僕の首に絡めると、ヘッドロックをかましながら、よかったなぁ~と涙声で言った。
何度も感じてるけど空くんの力が強すぎて痛い……
「空くん痛いw」
空くんはゴメンと言いながらすぐに離してくれた。
「楓くん、よかったね」
ニカッと笑った光くんを見て素の光くんをみた気がした。
バース関係なく、こんなにも仲良くなれるのは奇跡かもしれない……
「付き合ってるって言っても仮だから、これからは翠くんをドロドロに甘やかして僕から離れられないように僕っていう檻の中に閉じ込めたいんだ……」
僕の言葉に、なぜか空くんも光くんも若干退いてたのが意味が分からなかった。
そんな空気を変えたのは光くんだった。
「楓くん、空くん……実は僕はヒートを抑える薬を飲んでるとはいえ、まだヒートの経験がなくて……もし非常事態の時は嫌がっても薬を飲ませて……くれますか?」
――ヒートのツラさは僕には分からない……でも遥の時の状況をみると……辛いんだろうな……
僕が一瞬、考えている間に空くんは当たり前だと笑っていた。
「ねぇ空くん、先生ってΩなら先生にもフォローして貰えないかな?」
僕の言葉を聞いた空くんの表情が、文字通りにキラキラと輝きだした時に、嫌な予感がした。
「楓!すげぇ~な、すぐにそんなことは思いつかねぇ~よマジで!!」
そう言いながら僕の背中をバシバシ叩きながら笑っていた。
なんども思うけど力強すぎ!
「空くん!痛いってば!」
僕と空くんの、やりとりを見ている光くんの目尻が滲んでいたのは……見なかったことにした。
1
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
オメガに転化したアルファ騎士は王の寵愛に戸惑う
hina
BL
国王を護るαの護衛騎士ルカは最近続く体調不良に悩まされていた。
それはビッチングによるものだった。
幼い頃から共に育ってきたαの国王イゼフといつからか身体の関係を持っていたが、それが原因とは思ってもみなかった。
国王から寵愛され戸惑うルカの行方は。
※不定期更新になります。
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
この愛のすべて
高嗣水清太
BL
「妊娠しています」
そう言われた瞬間、冗談だろう?と思った。
俺はどこからどう見ても男だ。そりゃ恋人も男で、俺が受け身で、ヤることやってたけど。いきなり両性具有でした、なんて言われても困る。どうすればいいんだ――。
※この話は2014年にpixivで連載、2015年に再録発行した二次小説をオリジナルとして少し改稿してリメイクしたものになります。
両性具有や生理、妊娠、中絶等、描写はないもののそういった表現がある地雷が多い話になってます。少し生々しいと感じるかもしれません。加えて私は医学を学んだわけではありませんので、独学で調べはしましたが、両性具有者についての正しい知識は無いに等しいと思います。完全フィクションと捉えて下さいますよう、お願いします。
奴の執着から逃れられない件について
B介
BL
幼稚園から中学まで、ずっと同じクラスだった幼馴染。
しかし、全く仲良くなかったし、あまり話したこともない。
なのに、高校まで一緒!?まあ、今回はクラスが違うから、内心ホッとしていたら、放課後まさかの呼び出され...,
途中からTLになるので、どちらに設定にしようか迷いました。
何でもできる幼馴染への告白を邪魔してみたら
たけむら
BL
何でもできる幼馴染への告白を邪魔してみたら
何でも出来る美形男子高校生(17)×ちょっと詰めが甘い平凡な男子高校生(17)が、とある生徒からの告白をきっかけに大きく関係が変わる話。
特に秀でたところがない花岡李久は、何でもできる幼馴染、月野秋斗に嫉妬して、日々何とか距離を取ろうと奮闘していた。それにも関わらず、その幼馴染に恋人はいるのか、と李久に聞いてくる人が後を絶たない。魔が差した李久は、ある日嘘をついてしまう。それがどんな結果になるのか、あまり考えもしないで…
*別タイトルでpixivに掲載していた作品をこちらでも公開いたしました。
振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話
雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。
諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。
実は翔には諒平に隠している事実があり——。
諒平(20)攻め。大学生。
翔(20) 受け。大学生。
慶介(21)翔と同じサークルの友人。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる