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7-2 朝食
しおりを挟む「ふぁ……、あー。今、何時だ……」
大きなあくびをしながら広いベッドの中で目を覚ますと、まだぼんやりとした意識の中で夢から覚める感覚に余韻を残す。
部屋には窓から明るい陽光が差し込み、部屋全体が明るく照らされている。白い壁と床は清潔で、明かりを反射しており、広々とした空間がより幻想的な静けさを漂わせている。
ゆっくりと体を起こし窓から見える外の景色を眺めながら、静かな朝のひとときを楽しんでいると、扉をノックする音が聞こえ入室の許可を出す。
「シュガー様、おはようございます。よくお休みになれましたでしょうか?」
凛々しい声色で入室をしてきたのは執事長セルノスだ。
「ああ、久しぶりによく眠れた気がするよ」
1日目はアークとの宴会で酔いつぶれて寝てしまったのもあるが、転移前の激務な環境では寝ても疲れが取れなかったものだ。
「それは良うございました。……シュガー様、朝食のご準備が整っておりますが、いかがいたしましょうか。」
「じゃあ、もらおうかな」
「それではこちらのテーブルに手配させて頂きますので、少々お待ちくださいませ。……シュガー様にお食事の準備を」
セルノスは部屋の扉に向かって声をかけると、一人のメイドがサービスワゴンを持って入室してきた。
「し、失礼致します!」
金色の髪を短く後ろに束ねたそのメイドは、なぜか緊張している様子ではあるが、テーブルに手際よく準備をしている。
「ありがとう、頂くよ。……これ……多すぎると思うんだが……」
テーブルに用意されたのはハムとたっぷりのチーズをはさんだクロックムッシュのようなものと、デミグラスソースのかかったオムレツ。色とりどりなサラダに丁寧に剥き身されているオレンジである。そのほかサービスワゴンには、肉厚のステーキや魚のカルパッチョなど、数種類の料理が用意されており、食べたいものをサービスワゴンから取り分けてもらうシステムのようだ。
「久しぶりにシュガー様がご帰宅されましたので、どうやら料理長が張り切ってるようです……。申し訳ありません……、ですが、気持ちはわかります」
セルノスはしみじみと答えているが、準備を終え隣で静かに控えているメイドも激しくうなずいている。
「そうか……」
目の前のテーブルに並べられた料理の匂いが空腹を刺激する。ふわとろのクロックムッシュに一番に手を伸ばし、豪快にかぶりつく。
「うわ、これめちゃくちゃ美味いな、昨日の夕食も絶品だったし。あとで料理長に声かけとこ」
一口で胃が刺激され食欲が爆発し、並べられた料理を次々と食べ進める。サービスワゴンに用意された料理も、全種類食べたがすべてうまい。オムレツのデミグラスは奥行きがあるように錯覚する豊潤な味わい、ステーキも濃厚なソースが肉のジューシーさを引き立て、口の中に広がる旨味。魚料理はシンプルな調理法ではあるが、素材本来の美味しさを存分に引き出していた。
「それは大変喜ぶと思います! 料理の味を少し気にかけていたみたいですし。先に私の方からも伝えておきますね」
「ああ、頼むよ! めちゃくちゃ美味かった。と先に伝えておいてくれ」
「かしこまりました。それでシュガー様、今日のご予定はいかがいたしましょうか」
「今日は色々検証したいことがあるから、トレーニングルームに引きこもると思う」
「左様でございますか、それでは、何かあればなんなりとお申しつけくださいませ」
去り際にセルノスとメイドはキレイな一礼をし部屋から退出した。
ふと、テーブルに目を移すと、どうやらメイドは俺とセルノスが少し話してる間に食器をワゴンに片付けていたようだ。仕事が早い。
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