その、向こう

どんぐり

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プロローグ セウ※※

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美しい事は、いい事ばかりではない。

そのせいで、私はこうしてのたうち回る。


目が見えない事は、悪い事ばかりではない。

そのおかげで、私は恐れずにいられる。






光も闇も、苦痛も快楽も。


感じるものは冷えきったいのち。

手離すことさえできずに持て余す。



私が求めたのは、何もないまどろみ。

息をする必要さえない、安寧。

ぼんやりとした視界の、その、向こう。


真っ暗な闇の中の、暖かなゆりかご。








ーーーーーーーーーー








「…あっ、…、あ…ぅ、、っは、っう。」

日も沈みきらない夕刻からの執拗な責め苦の末、セウは横向きで上の足の膝を抱えられ、主人である男の昂ぶったものを後口に突き入れられていた。

何度も、何度も…


そして、、、


バチン!
「っあぁああ!」

グチュ、パチュ、パン、、
「ぁ、う、んゥ、はっ、…あっ。」

バチン!
「っあぁ!…う、ん、ああっ。」

卑猥な水音と喘ぎに混じる、
鞭の音と悲鳴。

背中と二の腕の裂ける皮膚、滲む血と冷たい汗。

繰り返し、繰り返し、
鞭打たれ、突き込まれる。

も…、いやだ…。

「お前、鞭が好きだねえ。すごく、締まる。」

この男は本当にそう思っているのだろうか。
痛みで体が強張っているだけなのに。

セウは少し呆れ気味にそう思った。

触ろうが揺らそうが、鞭打たれた痛みでほとんど反応を見せないセウのモノを、男は執拗に弄りまわす。

やがて、反応しないそれに飽きた手がそこから離れ、男の歪んだ口元から熱と期待を帯びた息が、吐き出された。

バチン!
「っあぁああ!」
「…っ、イイぞ。」

バチン!
「っあああ、ぁあ、んゥ、ああっ。」

セウは大袈裟に声をあげる。


早く、終われ…。


それだけを願って。

ゴトン…。


鞭が捨てられたようだ。

が、安堵を隠す間も無く、昂ぶりを後口に咥えたまま脚を降ろされ、腰を掴んで持ち上げられた。

「お前にはそれしか芸がないんだ。せいぜい頑張って腰を振れ!」

もうどこが痛いのかも分からないが、朦朧としながらも腰を振る。

「…っ、あぁ、ァああ、んウゥ、ゥはあっ」

バチ!
「っあゥッ」

尻の片方が熱を持つ。

セウの白い肌に手の形がくっきりと浮き出たのを見て、男はニヤリと笑ったあと、双丘を力任せに鷲掴んだ。

「ひァッあ、あ」

捏ねられ、抓られ、張られる。

バチ!バチ!バチン!
「あぁ、あァああ、っんゥ、ああああっ」

香油と汗と体液で、滑るそこを、何度も、……何度も。


早く…。


どの位繰り返されたのか、、、

やっと、奥に熱いものが注がれ、セウはベッドの外に蹴り出された。


冷たい床が、熱を持つ傷に気持ちいい。

痛みに荒い息をついていると、早くしろと、声が投げられた。

セウはじくじくと熱と痛みに悲鳴をあげる体を起こした。
ベッドまで戻り、今まで自分の中を蹂躙していたものを手探りで探し出し、舌を使い、清めていく。

「グズめ、いつまで舐めてる、サッサと出ていけ。」

「…はい。」

セウは主人の衣服とベッドを整え、部屋から下がる。
冬の冷たい空気の中、痛め付けられた体を引きずり、手探りで寒く長い廊下を渡る。

…静かに、一歩ずつ。

散々に犯され痛め付けられた足は、軽いセウの体でさえ支える事が難しい。
セウは自分の部屋のドアに掛けられた目印を探すが、醜く曲がった指は凍えて震え、触れたそれが何かも分からない。

暫くしてやっと部屋に戻り、ベッドに倒れ込んだ。

熱を持った傷には、冷え切ったシーツが気持ち良かったが、他は凍えそうな程寒かった。

寒い…。

まだぼんやりとした意識は、現状を打開するにはたいして役には立たず、ただただ力無く投げ出された手足がまだ生きている事を知らせるように、時折、震えていた。
鞭で割かれた皮膚からはまだ血が滲んでいて、冷や汗も止まらない。
先程中に出された主人の精が香油と一緒に後口から流れ、太腿を伝うのだけが熱く感じられた。


今日は主人1人だったから、良かった。


良かったんだ…。






貴族が持ち物を自慢する為に、同じ趣味の仲間と集う事は儘ある。

年に何度かあるそれに連れて行かれれば、毎回体は傷と痣だらけで、後口は腫れ上がり、前は出るものが無くなるまで嬲られる。
そして、最後には何もかも分からなくなるほどの薬を使われた。

出るものは無いのに体が疼く。

普段無表情な美しい顔を歪ませ、気が狂いそうになっているセウを見て、男達は笑い、犯す。



その中でも、特に酷いのは『会合』と言われる集まりだ。

先日もその『会合』があった。

新年の祝いの席だった。


その日も、セウはいつものように鼻をツンと上げ、眉間にシワを寄せながら殆ど見えない目で男の足もとを見下していた。


「羨ましい限りですな。」


男はそう言った。


が、それはセウに対してではない。

セウの主人に対してだ。


セウ自身を羨む者は滅多にいない。


『嗜虐趣味者の性奴隷』


それが、セウの身分だからだ。



と、

僅かに、セウの顎が震えた。

薬と恐怖、そして、舐めるような視線。

震える体を必死に抑えても、呼気は既に熱を孕んでいる。



…いつものこと。


早く…、早く……終われ。


セウは、ただ、ただ、待つ。

それが、セウができる、たった一つのこと。


…いつもの、ことだ。


いつもの…


いつも、いつも、いつまでも。

果てしなく続く、交合と体罰。
薬は心を昂めず、身体ばかりがグズグズと燻る。

薬や卑猥な道具はもちろん、拘束具や拷問器具、鞭打たれ、檻に入れられ、磔台に四肢を繋がれ、月明かりの中のたうち回る事がセウの役目。
肌は擦れて赤くなり、鞭打たれて滲んだ真っ赤な血は更にその嗜虐欲を煽る。

高い頭を、吐き出されたもので滑る床に擦り付けて痛みさえ乞い願う日々。

病や老いからも遠く、死すら叶わない絶望。


早く……。

そう願わずにはいられない、凄惨な日々。



それでも人間の奴隷ならば、割とすぐに交換される。


羨ましくて仕方ない。

例え、最後が拷問紛いの交合で命が失われたとしても、それで終わるのだから。


夏の会合でも、良く見る女が生贄のような最期を迎えた。

どこかの国の身分の高い女だが、罪を犯し、死刑となったらしい。
美しいのが仇となり、秘密裏にここに連れて来られたようだった。

ひとおもいに殺してくれと泣き叫ぶ彼女を、主人達が散々に犯し、恥辱に染め、嬲る。

セウにできる事は、見ないでと願う彼女から見えない目を反らす事だけだった。


引き立てられる直前、彼女はセウの耳元で、これで楽になれる、と声を出さずに言った。



羨ましかった。



……早く、終われ…、、

早く…


が、結局、先日の会合でも、選ばれたのは別の奴隷だった。

セウは、前座だ。
その男が磔られる悲鳴を聴きながら、何人もの客人の前で張型を舐め、後口をほぐしていく。

ほぐす時間は短く、充分で無い事が多いから、こちらも必死だ。

相変わらず顰めっ面のセウの髪は綺麗に結い上げられ、セウが身じろぎすれば煌びやかな飾りがシャラシャラと鳴る。

着せられているのは薄い生地よりも装飾の方が多いような服だ。
前合わせで胸元はガラ空きだが、首には高い位置から装飾が巻かれ、そこから髪飾りと同じ飾りがジャラジャラと胸に垂れており、胸の紅い蕾はその反対の身頃に綺麗な鎖で繋がれていた。

腰で一旦結ばれた裾は、前と後ろに左右の身頃が重なり垂れが掛かるようになっているが、ヒラヒラしていて、チラリチラリと覗く下穿きが客人の目を楽しませる。

その下穿きも布が最低限しかないようなものだし、セウはいつもどおり薬を飲まされ、酒を飲まされ、そこは紅い色さえわかりそうな程張り詰め、少ない布の余裕を更に奪っていた。

下衣は乗馬の時の脚のカバーのような形で、吊り下げられた布が何箇所か装飾で止められているだけだった。

…先程までは。


今では下穿きは取り外され、上衣はただの布と成り果てぶら下がり、胸の蕾に負担をかけていた。

椅子に凭れ、肘掛けに膝を掛け、香油を足しながら露わになっている後口の襞を掻き分けて中に曲がった指を差し込む。

客人達の鼻息が聞こえてくるようで、セウは胸の底の方にある他人のような意識が、吐き気を堪えるのを感じた。

セウの主人はその舐めた張型でセウに自慰をさせた。
予想していた通りでもある。
こういう時、考えるのを辞める事にしているセウは言われた事に素直に従う。

…痛くない、なんでもない、考えない。

そう繰り返しながら慣れた手つきで張型を扱い、自身を昂めれば、薬に犯された体は容易く絶頂への階段を昇る。
が、その主人は達する寸前でセウに待てと言い、先走りが滲む先端に飾りを刺し、戒めた。

その苦しみにセウの顰めっ面が泣きそうなるのを客人達は楽しみ、酒を呷る。
セウはビク、ビクと痙攣しながらも立たされ、酒を注ぎに回らされる。

…痛くない、なんでもない、、、

歩く度に髪飾りと首飾り、そしてセウの先端の飾りがシャラシャラと音を立てた。

酔った客人達は、遠慮も容赦も羞恥も無いらしい。

昂ぶりに刺された飾りを抜き差しされ、胸の蕾をピックの先で突かれ、後口には少し温めたのも美味いからとまだ酒が入っている細い瓶を穿たれた。


「お前、私を誘惑したな。責任を取れ。」

一回りする頃には、皆だんだんと集まって来て、口に昂ったものを入れられる。
セウは半ば膝立ちになり、手にも握らされながらそれらを咥えては口淫する。
瓶を抜かれ、その昂ぶりを埋め込まれては揺らされ、紅く張り詰めたモノを飾り毎扱かれた。

…どこも痛く、ない…

セウの顰めっ面は泣き顔になり、解放と休息を懇願する。

が、その懇願が聞き入れられる事はない。

更に尻を張られ、縛られ、蝋を垂らされ、鞭打たれ…。


異様な熱気と狂気が、渦巻き始めたのを感じた。


セウを苛んだ者達が、磔られた男の元に1人2人と向かう。


酷い悲鳴が上がる。

が、やがて、それさえもなくなった。



結局、セウの戒めが解かれたのは、客共の上で腰を振りながら口にも咥え、上からも下からも精を垂れ流し、卑猥な姿で懇願してからだった。









…だから、今日は良かった。


過去を振り返って今を慰める。



早く…。


自分の体が恨めしい。


普通の人間ならば、長いことやっていれば痛みに慣れてしまうし、体は傷跡だらけになるし、歳をとるから性奴隷としての価値は下がる。
余程酷い罪でなければ、ただの奴隷として売られるのが常だ。

が、セウにそんな暴姦の傷跡は見当たらす、セウだけがその痛みにいつまでも慣れない。




ーーーハイエルフ



数は少ないが長命で高魔力、回復力も高く、少しの傷などすぐに治してしまう。

何度でも、何度でも。

慣れる事無く、苦しみ、のたうちまわる姿は、その者達を愉しませる。

傷跡がすっかり消えた、だが、恐怖と痛みの記憶を植え付けられた美しい体。

その記憶は蓄積し、高い矜持を残酷に食い潰してゆく。

恐怖に震える様は嗜虐欲を煽り、更に罰だ何だと理由を付けては泣き叫ぶ背中を鞭打つ。

とある国の王子だという実しやかな噂。

彼等にとってその興奮は如何程か、想像は容易い。


しかも、運の悪い事に人間が好む容姿をしていた。

金のような、銀のような、月光を思わせる絹糸のようにまっすぐな髪は、少しでも多く魔素を吸収する為、腰まで長く伸ばされていた。
理知的な額に、厳しそうなまっすぐの眉はほんの僅か眉尻が下がり、少しシワが刻まれている気難しそうな眉間から伸びるスラッとした高い鼻梁が、プライドの高さを物語る。
その下の唇は本来は厚みも色も薄く上品に引き締められているが、吸われた為か、酷使した為か、今は紅く腫れ血も滲んでいる。
それと同じくらい赤い目尻には涙が露のようにのっていて、目もとの冷ややかさを和らげており、伏せがちの二重のまぶたに濡れた長い睫毛を乗せた意志の強そうな瞳は、美しい翠にほんの少しの青が複雑に混ざっていた。

が、その瞳は、ほとんどその役目を果たしていない。

執拗な責め苦と強い媚薬、その重圧に耐える事ができず高熱を出し、気付いた時には光と影が解る程度にしか見えなくなっていた。








ブランケットを掛けても中々温まらない体が、モゾリと動いた。

夜はまだ深いようだが、背中や無理矢理広げられた後口がジクジクと熱を持って眠れないのだ。

セウは後口を解すことは許されていない。

自慰は許されているが、後ろを弄らないとイケないように調教されてしまったから、それは罰に直結する行為。
それがなくても、指は以前の主人に骨を砕かれたまま固定された為力があまり入らず不自由だし、入れるような物も、ワザと身の回りには置かれないようにされた。

セウは奴隷にされた時に掛けられた封魔の呪で、魔術は使えない。

魔素は溜まるばかりで、満月になると飽和し、性衝動として発散を求める。

後口を曝し達かせて欲しいと懇願するしか、その欲を発散する方法は無い。


セウは満月が嫌いだった。



主人達はそれをよく分かっており、いつも感心する程の想像力を持ってセウを蹂躙した。



……会合よりも、全然いい。


最悪を思い出し、今の自分を宥める。



早く、終われ…。


…早く、終われ…。


……早く…私を殺して…。

 


そう、願いながら。








ーーーーーーーーーーーーー







沈んだ意識の中の何かが異変を感じ取ったのは、あれから水を飲んで少し眠り、背中の傷の痛みが少しひいてきた頃だった。

まだ体は重く、動かすのが億劫で、セウは後口を拭っただけで後始末も着替えるのも後に回し、ただただ、眠っていた。


…イヤに静かだ…

このまま、目覚めなければいいのに…。



と、少しマシになった頭で思い、小さく溜息をついた時、



ガシャーン

どこかで、でも、それ程遠くないところで、何かが割れる音がした。

次いで聞こえる怒号と、悲鳴。

金属がぶつかる、高く、低い音。

重い何かが倒れる低い音に続いて、主人の名前を呼ぶ、悲鳴に近い声が聞こえた。

続けざまに何かが壊れるような大きな音がし、重なるように聞こえる、
悲鳴、悲鳴、悲鳴。


急速に意識が覚醒し始める。


少しの焦燥感と恐怖を感じるが、今までされてきた事以上に悪い事も想像できず、もしくは、やっと苦しい生から開放されるかもしれない、などと思い、思わず口の端がヒク、と動く。

異常な音は続いている。

この屋敷はロの字型をしていて、主人の部屋は主棟である南棟2階にある。
セウがいる使用人部屋は北棟の一階。

音は中庭に響いて、距離よりも大きく聞こえる。


少しずつ近づくそれに逃げる気もおきず、むしろ、期待している自分を冷静に感じながら、とりあえず、セウは水を飲んだ。


もし、逃げられたとして、この苦しみから抜け出せるとも思われなかった。

セウに掛けられた呪を解く事は、魔法に未熟なこの大陸では恐らく出来ない。
セウが生まれた大陸のあの国まで行くのに、ふた月。
いや、目が見えないセウには、辿りつけるのかすらわからない。
満月はまだ遠いが、確実にくるその日に体を支配する性的欲求。

その強さを思い、
その厭わしさを思い、
解呪する苦労を思い、
そこまでして生きる意味は
あまり無い事にも気付く。

どちらにしろ明るい光は見えず、だるい体を、諦念が支配した。


「ーは…。」

セウは小さくため息をつき、そして、またひと口、水を飲んだ。






この屋敷は、主人の男の趣味の為にある。


郊外にあるようで、セウは周りに人の気配を感じたことは無かった。

客室が並んでいて、中庭には何かを磔る為の大理石の台まである。
何度も何度も、客室で朝を迎え、何度も何度も、磔台で満月の光を浴びせられた。
出さないように縛られる事もあれば、出なくなっても嬲られる事もある。

地下の大きな部屋では、何か祝事があるたび、罪を犯したという人間の奴隷が拷問のような交合に耐え切れず、その短い命を終えた。

後ろめたさがそうさせているのだろう、警護も使用人も、最低限の人数しかいない。


内装から考えるに其れ程金を掛けられているとは思えないが、少しばかりの、しかし、庶民には一生得られない金品を狙い、強盗に目を付けられてもおかしくはない。

それが今だったのだろう。

それだけのことだ。


どうせなら、もっと、早く、、、





荒い足音が近づいてきた。

何人かいるらしいそれは、止まらない。


恐怖にか、期待にか、


セウは目を閉じる。




ドガッ!ドン!
バダン!!!


ドアが、蹴破られた。





鍵も掛からないドアをわざわざ蹴破って踏み込んできたのは、盗賊だろう男が数人と、興奮した息遣いのセウの主人のようだ。


セウはベッドに俯せたまま、どうしたら苦しまずに死ねるかを、いや、苦しんでも死ねばいいか、などと考えてみる。

「そ、その者が、先程お話ししました奴隷でございます。
セ、セウと申す、エルフでございます。
東のた、大陸から渡ってきた、大変珍、しい奴隷で、ふ、封魔の呪で魔術はつ、使えなくして、あります。」

つっかえながらも、主人自ら紹介された。

挨拶でもすればいいのだろうか。

顔もわからない主人だが、たいそうな贅肉と嗜虐欲の持ち主が、ヘコヘコと頭を下げている姿が脳裏に浮かんで、セウは少しだけ溜飲を下げた。

と、すぐ横のベッドが軋み、誰かが座り込むと同時に、後頭部の髪を掴まれ、無理矢理上半身をおこされた。
別の男が後ろに廻り、無表情だが美しい顔を前に曝す。

「っほう、さすがに綺麗な顔してんなあ。」

酒で焼け、掠れた声の男が言う。

品定めするように、いや、品定めそのものか、後ろの男に頭を固定され、無理矢理向けられた顔に、ふ、と臭い息をかけられた。
ごつく血の匂いがする親指が唇をなぞり、下顎をつかんで左右に振る。

「それはそ、れは、非常に、た、高くつきましたから。
美しいだけ、でなく、とても、じゅ、従順で、ど、ど、んな命令でも、従います。
後ろの具合も、とても、良く、あなたも、か、必ず、満足なさいますっ」

必死に売り込まれる。
まるで商人だ。

いつも偉そうなクセに、まるで高位貴族に対するようにへりくだる主人に、思わず笑いが漏れた。
ーー実際は、口の端しがヒクついただけだが。


茶番だ。

…くだらない。
もう、どうでも良い。


早く、、、早く、、、

セウは祈る。

多分、聞き届けられる事の無い祈り。

知ってはいるが、祈らずにはいられない。


「ようし、いいだろう。まずは味見だ。」

主人の下手な売り込みが功を奏した訳ではないだろうが、主人は安堵したのか、おお、と声をあげている。

が、後ろの男がセウの背中にこびりついた血に気がつき、酒焼け声の男に見せると、酒焼け声の男が、不良箇所だとクレームを付けた。

「おい、この背中の傷はなんだ。お綺麗な白いお肌をキズモノにしたんだ。治療費はバカになんねえぜぇ。
ほら、早く金出せ。早く出さねえと、お前、分かってんだろう?」

「ッヒィイ、ハイ、ハイ!ただいまお持ち致します!」

いそいそと金目の物をあげていく興奮した声と、何人かの足音が遠ざかる。



…どうせ殺されるのに。

悲しくも惜しくもない、羨ましいくらいだ。

盗賊が、正体を見られた者を放置する訳が無い。

何故わからないのか滑稽だが、ああ、と思い当たる。


人は信じたいものを信じる。
現実にある幸不幸は見方によってかわるが、真実は残酷な程はっきりと浮彫にされた、方式と答えだ。
そこには何ものも介入できず、式に当てはまれば、答えまで自ずと導き出される。

真実を見る勇気は、あの人間にはありそうも無かった。




私は、また、先に行けないのか。

それとも、進んでいる途中なのか。

後者であればいいのだが。

こんな事なら、ナイフでも隠しておけば良かったか。


セウはそんな事を考えながら、次に来るだろう事を思い、更にこの先の事を思い、心が沈んだ。


「さて、、、非常にお高いというのをお味見させて頂きますか。」

…好きにすればいい。


酒焼け声の男が、睨むでも暴れるでもなくされるがままのセウの首から頬を舐めあげる。

セウは後ろから手下の男に抱えられ、上体を起こされていた。
左の手と脚はまとめて縛られ、右の脚はベッドの足か何かに繋がれたようだ。

後ろの男に触れる背中の傷がまだ痛み、息が詰まる。

ベッドを軋ませ乗り上げてきた男の体臭と、血の匂いが鼻をつく。
縛られて閉じる事の出来ない脚が更に開かれ、下穿きを取り去られる。
秘部が冷たい空気に晒された。


「こっちは使われてねぇなあ。可愛い色してやがる。」


「っぅ!」

まだ柔らかいそこを堅い手で、だが、案外優しく揉み込まれ、喉がなる。

強い刺激に逃げようとする腰を背後の男に掴まれ、引く事も出来ない。

もう片方の手が、双丘を下から持ち上げるようにして割り開き、先程軽く拭っただけの後口を露わにされる。


「見ろよ、よだれ出てるぜぇ。お前、脚持ってろ。」

「へ!丸見えっすね。ホントいい色だ。こりゃあ高くつきますねぇ。」

セウは手下の男に両膝を抱えられ、脚を固定された。

双丘を割り広げながら、男の堅い指が後口の周りを擦る。

「たっかい香油なんだろうなあ!まだぬめるぜ。」

後口に指の先が入る。

「っつ!………ハッ」


少し芯を持ち始めたそれと、拭いきれなかった残滓でまだ濡れている後口を、同時に責められる。
後ろの男は、胸の小さな蕾を転がした。

調教された体は、
快楽に従順だ。


「…やめ、、ぁ、…、…、んっ、っつ。」

「反応も上々!」

「我慢する声たまんねぇ。」

「っつ、んあ、…は!」

いきなり太い指が後口に浅く入ってきたが、すぐに出て行く。

数時間前まで蹂躙されていた後口は、まだ濡れていて、それ程痛みも無かった。

後口の周りや会陰を揉みながら、解れ具合を確かめるように、ゴツく硬い指が浅く入っては出ていく。

何度も、何度も。


クチュ、クチ、、、

水音がたってきた。


普段からほとんど愛撫などされず、先の集いから放出もしていないセウのものは完全に立ち上がり、先端から透明な粘液を溢れさせている。
扱かれる度に溢れ出すそれは、後口まで垂れて卑猥な水音をより大きなものにしていた。

胸の蕾は花開く寸前のように色づき、ぷくりと立ち上がっており、後ろの男がそれを転がしたり、摘まんだり、捩り、潰し、引っ張り、爪を立ててみたり、触れるか触れないかの愛撫をしてみたり。


「んぅぅっく、…はっ、ッン。」

指が増やされた。
根元まで入れた指に中を広げられる。

…愛撫などせず、さっさと突っ込んで終わらせればいいものを。

快感を拾う自分の体が恨めしい。

痛みだけを与えられ、達くどころか勃ちもしなかった先程の陵辱が残した僅かな熾に、薪がくべられていく。

グチ、クチ、クチュ、
…ハァ、ハァ、ハァ、

水音にセウの荒い息が混ざり始めたところで、脚を解放された。


「ほら、今度はこっちだ。」

背後の男に上体を起こされ、更に前に倒されると、膝立ちになった酒焼け声の男の腹の辺りに、倒れ込むかたちになった。
左手脚は縛られているため、右手で男の腰に縋るような体制だ。

ガチャガチャと音がして、むわっとした空気と、饐えた臭いが口元に広がる。

「早くしねーと、後がつっかえるぞ?」



やらない事には終わらない。
終わらなければ休めない。


セウは、既に硬くなりいきり勃つモノに、口付けた。


何時もの事だ。


唇と舌を使い全体を濡らしていく。

唇で挟むようにして、舌で刺激する。

酷い匂いに吐きそうになり、生唾がわいてきた。
熱い芯に塗りこめるが、溢れて口の端から顎を伝い、
セウの白い首筋を汚す。


手下の男が、後口を弄りだした。
浅いところで何かを探っている。

エルフの体は多少人間と異なる。
前立腺は体の少し奥にあるのだ。
それを知らない様子に少し安堵し、目の前の作業に戻る。

裏側の筋に沿って何度も舌を這わせる。
先端の割れ目を吸い上げ、
裏筋を通って袋をやわやわとなぶる。

右手だけで上体を支えているため、手は使えない。

カリ首の周りを丁寧になぞっていると、じれったいのか、両手で頭を掴んで、上顎に亀頭を押し付けられた。

歯が当たらないように、口を開き、唇をすぼめる。

何度か出し入れされたあと、喉の奥にゆっくり入れられる。


「ウ、ん、」

「フゥ…。」

セウは喉を開き、キツイ臭いの下生えに鼻を突っ込むようにして全体を口の中におさめた。

何度か、喉の狭いところを出し入れしては、亀頭を舐め、また喉の奥まで咥え込む。

喉を動かし、亀頭あたりをキュッと締める付けると、男の腰が揺れ出した。

頭を掴んでいた手が、髪をすき、大きな耳を掴みながら後頭部に置かれる。

ハァ、ハァ、

荒い息が、降ってくる。
腰が振られる度に苦しくて涙が滲む。

早くなる腰の動きと、
強くなる頭を掴む手の力。

…は、やく…。


後口を弄る指が、増やされる。
心拍数が上がるが、喉が塞がり苦しくて身を捩る。

いま、噛み付いたら殺されるか考えてみるが、頭は回らず、そうこうしてるうち、獣のような唸りと共に昂ぶりが喉の奥ではじけ、口内に苦い味が広がった。


「ハハ、いいコだ。思わず出しちまったぜ。
なかなか上手にできたじゃねぇか、帰ってからまたたっぷり可愛がってやっからなあ。」

「ェ、ウェ、…」


口の中から引き出された今だヒクつく赤黒いモノが、セウの頬に擦り付けられる。

仕方なくもう一度口内に含み、残滓を吸い取り、飲み込んだ。



何時もの事だ。

今までだって、何度も何度もしてきた。

いつも、という事は、これからもするという事だ。

そして、これからは不潔で野蛮な男達から、常に性欲処理の相手をさせられる事になるのだろう。

毎日毎晩下品な男達に犯されるのを、悲しめばいいのだろうか。

それとも、これからは鞭や薬、道具はあまり使われないだろうから、痛みや苦しみは少なくなると、喜べばいいのだろうか。



どちらにしろ、
死ぬことも出来ず、
拒むことも出来ず、
狂うことも出来ない。

また絶望を感じた。




左手足の拘束を解かれた。

ここで抵抗したとして、殴るか噛み付く位しかその方法はない。

そんな事をしても、不自由な状態で犯されるだけだろう。


男が喉を鳴らし水を飲んでいる。

手下の男の荒い息遣いが聞こえる。


後がつっかえる、

酒灼け声の男が行っていた言葉を思い出した。


追い打ちをかけるように男が言った。


「さて、本番だ。
ほら、勃たせろ。」

男は芯を無くしたまだ濡れたそれを、セウの口元に押し付ける。

セウはまた口を開く。
唇で挟みながら舌で刺激する。
唇をすぼめ出し入れする。
鈴口に舌先を差し込み揺らす。
袋を手で揉む。
カリ首のキワを強めに咥える。
裏筋を舌でたどる。
手で扱く。
袋を舐める。
甘噛みして舌であとを追う。
口に咥えて亀頭を嬲る。
手で袋を揺らす。
吸い付く。
奥まで飲み込む。
喉で締める。
裏筋を舌で刺激する。


何度も何度も同じ事をしている。

これからもする。

それだけだ。


男のモノは、すぐに芯が通り、いきり立つ。

…くだらない。


「よしよし、こっちに尻を向けろ。
背中まだ痛いんだろう?擦れないように後ろから突いてやる。
ほら、自分で尻を割るんだよ。この体制じゃ、お前の自慢の顔が見れないんだ。その位サービスしろ。」



男なりの優しさなのかも知れないが、痛めた背中をこれ以上悪化させずに済んだのを喜ぶ気にもなれず、

男に尻を向けて、

自分で双丘を開いた。


「ほお、綺麗なもんだなぁ。
おい、入れてくださいって言えよ。
あと、そうだなぁ、両手で尻の穴が捲れるまで開いて、ヒクヒク動かせ。」


…くだらない。

もう、うんざりだ。


もっと酷かった事など、いくらでもある。

…痛く無い、なんでもない、考えない。

昔の自分を思い出し、今の自分を慰める。



卑猥な言葉を強要されるのも、
秘部を晒すのも、
縛られるのも、
薬を使われるのも、
鞭打たれるのも、
戒められるのも、
輪されるのも、
喉の奥を使うのも、
出されたものを飲むのも、
腰を振るのも、
殴られるのも、
道具を使われるのも、
中で出されるのも、
終わったモノを舐めるのも、

もう当たり前。


今更、こんな事何でもない。

痛く無いだけでもいい。

セウは言うのもするのも、もう、飽きていた。
本当にうんざりだ。


だから、そんなことを言うのは簡単だ。



…簡単だ。


…なんでもない。



「…お願い、します。
入れて、ください。」



…ほら、、、なんでもない。

セウはどこかが痛むのを無視する。

そして、顔をベッドに付け、両手で双丘を割り開き、男に向けた入り口の力を、入れたりぬいたりした。


「ふん。」

男は満足そうに鼻をならし、セウの後口に熱いモノを押し付け、滑りを確かめた。

セウは片手を離し上体を支えた。
息を吐きながら、なるべく傷付かないように入り口の力を抜くのは、習慣のようなものだ。

グゥッと体重をかけられ、
ズブズブと男のモノが入ってきた。

簡単なものだ。

あとは律動に合わせて喘ぎ、内壁に力を入れ、時折腰を振るだけだ。


今迄もやってきたし、これからもやるのだ。


こんな事のどこが楽しいのか全く分からないし、分かりたくもない。
他人の、しかも男の尻の穴など見て、何故興奮出来るのか、セウには全く分からない。


男は荒い息を吐きながら、喘ぎ、腰を振るセウの脇腹を押さえ、上から見下ろしているようだ。



もう一人の男が近づいてきた。

後ろを犯す男に何か言うと、顔を上げさせられ、喘いで開いた口に、先走りで滑る先端が押し込まれた。
頭を掴み喉の奥に入れてくる。

またか。

無理矢理されるのも慣れている。
傷つかないように喉を広げ舌で裏筋を刺激する。
すると口の中のモノの嵩が増し、喉を締めるとそこに先端が擦り付けられた。


後口を犯す男が、昂ったモノのカリの辺りを、入り口の括れで刺激してはグッと奥まで入れはじめた。
少し奥にある前立腺の辺りを刺激され、くぐもった声が漏れた。

男もそれに気付いたのだろう。
奥の方を目掛けて突き上げ出した。

気持ち良くなど無いが、身体は勝手に反応する。
セウのモノも熱くなってくる。

先に限界に達したのは、口を犯す男だった。
口を開け歯があたらないようにする。
喉の奥を締めると、頭をキツく下生えに押し付けられ、喉の奥に吐き出された。


後口を犯す男の動きも早く、激しくなってきた。
内壁を締めると、男が息をつめ、絶頂に向かって腰を振る。

其れ程待たずに中に精が吐き出された。



…うんざりだ。




セウの味見はそれで終わった。

セウは達する事もなく、後始末もされず、猿履と、手足を拘束され、布を巻かれて何処かに運ばれた。


屋敷の人達はどうなったのだろう。

彼らはセウと言葉を交わしてはいけないようだったから、どんな人達かも知らない。

ただ、布越しでもわかる程血の匂いがしたから、そういうことなのだろう。

セウは彼の世話をしてくれていた親切な老女が無事である事を願った。





ーーーーーーー






布が解かれたのは、暫く馬に揺られて、その後誰かに担がれて少し歩いてからだった。

昼前くらいだろうか。

拠点に着いたのだろう。
セウは何処かに降ろされ、巻かれた布を取り払われた。

セウの周りには多くの人がいた。

だみ声の男が、 セウの顎を取り、品定めしながら言った。

「上物だな、良くやった!これから皆で歓迎会だ!!」

周りで喝采が上がった。

「暫く起き上がれねえだろうが、まあ、仕方ねえわな。
みんなで可愛がってやっから楽しみにしときな。」

セウはテーブルの上にいるらしい。
巻かれた布は御誂え向きにシーツだった。

その場で服を脱がされた。
下穿きは屋敷で取られてから履いていない。


が、セウはもうどうでも良かった。

騒がしい。

それだけだった。



周りの男達が、手足をそれぞれ押さえ、セウを四つん這いにした。


「お頭、こいつは手放しで大丈夫ですぜ。
だいぶ躾が行き届いてるらしい。
ちゃんと自分がする事わかってらぁ。
腰も振れば、喉も使うし、いいもんですわ。」

酒焼け声の男だ。


「ほお、いいだろう。
顔あげろよ、ん?なんだ。早く欲しいか。
綺麗な顔しやがって、この耳も感じるのか?ん?
ほら、大好きなご飯の時間だ。」

頭の男は、片耳を掴み、股間の前にセウの顔を持ってきた。
饐えた匂いに吐き気が込み上げる。

今までの主人はほとんどが貴族だった為、香水臭い時はあったが、饐えた匂いなどしなかった。

セウは香水の有り難みを初めて知った。


「口だけで脱がしていかせたら、飯と酒と褒美をくれてやる。
どうだ、優しいご主人さまだろう?」

股袋式の下衣は上の留め紐を外すだけでいい筈だ。
どうせ碌でもない褒美だろう。

次から次へと犯される事に変わりはない。


面倒臭い。

何もかも、

全部早く終わればいい。



食い千切ってやれば終わるだろうか。

試してみるかどうするか考えるが、考える事すら面倒だった。



セウは股袋の上の留め具を歯を使い外した。

なかば形を変えたものが、鼻と口に当たる。




臭い。


もういい加減、うんざりだ。

空腹の為かイライラしてもいた。



取り敢えずやってみてダメなら次だ。

やるだけやってみようか。


ーーー久しぶりにやる気が湧いてきた。




そんな気分で開口一番、


セウは、

思い切り、

噛み付いてやった。








酷い悲鳴が上がり、目の辺りを殴られた。

喰いちぎることは出来なかったが、怒らせる事には成功したらしい。


殴られ、蹴られ、犯された。


それでもセウの心は穏やかだった。

痛くも痒くも無いーーー訳ではない。



…これで終わり。これで最後だ。


それだけが、希望の光。


蹴られ、踏みつけられる足。
無理な方向に捻じ曲げられる腕。
首を絞めあげながら引き起こされ、床に投げられる。
薄い腹を膝で蹴られ、
背中を踏まれ、
髪を掴まれて上体を起こされる。

太い張り型を無理矢理押し込まれ、セウのモノは何かを刺されたまま、袋と一緒に戒められた。


悲鳴をあげる事すら出来ない痛みに、気を失いかけるが、その度に気付けの薬を嗅がされ、楽にはなれなかった。

売り物にする為なのだろう、顔は最初に殴られたところしか目立った傷はないが、それが余計に身体の惨状を酷く見せていた。



セウが思い付きを実行した事を後悔し始めても、頭の男の怒りは収まらないらしい。

「おい、あいつ連れて来い。」

周りが騒つく。

…なんだろう?
やっと楽になれるのだろうか。


すぐに『あいつ』はやってきた。

セウの腕を掴む手が、背後に立つ気配が、大きい。
人にしては、大き過ぎる。

ジャイアントだ。

体格は人の倍はある。
大きい個体は3倍にもなるという。

この個体は混血で、純粋なジャイアントよりは小さかったが、3.5mは無いが3mはありそうだった。
172㎝のセウとは、大人と子供程も差がある。

それでも、セウは穏やかだった。

もちろん目が見えず、ジャイアントのいきり勃ったモノが見えなかったことも幸いだったが、

…これで最後、これでおしまいだ。



やっと、、、



「よし、いいぞ。やれ!」

流石にセウも、そこ迄大きいモノに犯されたことはなかった。

でも、これで終わりだ。

その期待の方が大きかった。



もちろん入りきる筈がない。

入り口どころか、奥まで裂けた。


ミシミシという音をさせながら入ってくるそれは、血を流しながら抜かれ、また入っては抜かれる。

声も出ない程の痛み。


が、もっと酷くしてくれれば良かったのに。

うまくいかないものだ。


ジャイアントは暫く単調な出入りを続け背中に出すと、それで終わってしまった。

出血が酷いが、多分、失敗だ。

薄れ行く意識の中、セウは、それでも少しの期待を胸に、ただただ眠り続けた。









時折浮上する意識の中で、セウはまた失敗した事を悟った。


涙さえ流さず、


セウは、また、ひとつ、


絶望の息を吸った。






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