究極のポーター 最弱の男は冒険に憧れる

長野文三郎

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第92話 作ろう、僕らの秘密基地!

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 自動操縦だったことも幸いし、原付きは止まることなく車輪を回している。
 先ほど俺をハンマーで殴った張本人、キーシは再び走り始めた。

 俺は光学迷彩を施しているため、姿を認識することは困難である。
 科学と魔力、双方の技術を使っており、並大抵の方法では暴くことができないのだ。

「どういう条件で俺の居る場所を破壊したかは不明だけど、少なくとも進路上に立つのは避けておいてくれ」

《畏まりました。進路設定時の制限に、書き加えておきましょう》

「こっちに攻撃してくることを防ぐのは……無理そうだな。すぐに対応ができるようにして、処置にしよう」

 原付きを吹かし、進んでいく。
 マラソンという縛りがあるため、どうやら魔道具でも何でも『走る』という行動をしなければならないらしい。

 俺は原付きのタイヤが走っているためセーフだが、魔法で飛ぼうとした奴は完全に飛行していたためペナルティを受けていた。

 キーシは空間を破壊して回っているが、それでも地面に足を付けている。
 だいぶ緩々なルールだが、『SEBAS』が言うのだから間違いない。

「なら、こっちも使えるわけか。オプション02を起動してくれ!」

《オプション02『空翔機関』──起動を開始いたします》

 タイヤは大地から離れ、空へ向かう。
 しかし、タイヤがそれでも走る……結界の上に乗ることで、走ると定義させているぞ。

 空を飛べば、直線状にキーシと並ぶことはほぼ無くなる。
 進路は跳躍や異種族を想定してか、だいぶ高めに設定されているので上には行けるし。

「……『SEBAS』、今回の一位はやっぱり無理そうか?」

《空間破壊を可能としている以上、対を成すもう一つの破壊も可能でしょう》

「時間破壊か……もう、それをやられたら全部が無駄になるんじゃないか?」

 まあ、『SEBAS』の予想だと、あくまで運営がシステムに干渉してサポートしている部分にしか『破天』の効果は使えないっぽいので、こういうときしか使えなそうだが。

 砕くにも条件があるっぽいし、最初から自由に使えなかったことからも、空間を砕けるようになるのは能力の限界点に近いだろう。

「まあ、今回は無理でも次があるさ。一定順位で同じ景品だ、そう固執する必要もない。どうせなら、検証に当てる時間にしよう」

《どうなされますか?》

「もう、空間干渉のデータは収集できただろう? 転移では足りなかった分も、強制的な破壊の残滓で集められた……そこから何か試して、面白いことをしよう」

《仰せのままに》

 死亡理由として、空間属性を帯びたアイテムもいくつかある。
 魔改造を繰り返せば……一度限りの、お祭りが開けそうだ。

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