80 / 98
第80話 シスターとグーラ(後)
しおりを挟む
――二年前、夜のスコティス。
男の名前はボブといった。
日雇いの労働者だ。
今日も夕方まで魔導鉄道のレール敷設《ふせつ》の作業をして五千リムの日銭《ひぜに》を稼ぎ、家に帰るところだった。
春とはいえ夕方ともなるとまだまだ寒い日が続いている。
酒場にでも寄りたいがそんな余裕はボブにはなかった。
ギャンブルで作った借金を今週末までに胴元へ返さなければならなかったのだ。
もし返さなかったら……ボブは自分の想像に身震いして考えるのをやめた。
パンでも買って帰り、狭い自分の下宿で安物のジンでも煽るくらいしか楽しみはない。
「もし」
鈴を転がすような美しい女の声が聞こえた気がした。
立ち止まって辺りを見回してみるが誰もいない。
「こちらですよ」
ボブの肌を愛撫《あいぶ》するようなクスクス笑いの声がしている。
その女は建物と建物の間にある狭い路地の暗闇の中にいた。
「どうしたんだい。そんなところで」
女はフードをかぶっていたが、口元と鼻筋を見ただけでたいそうな美人というのがわかった。
体つきもふるいつきたくなるような魅力に溢《あふ》れていた。
ボブも女がいる物陰にはいり身を寄せると、女はすっとボブの二の腕に白い手を乗せてきた。
「たくましい腕」
「お、おう。まあな。アンタはいったい……」
こんなところで、こんな風に声をかけてくる女は娼婦しかいないと思うのだが、女の美貌がボブに断定を躊躇《ためら》わせた。
「この奥に人の来ないところがあるの。そこに行って……ね」
まさかとは思ったが、目の前にいる絶世の佳人は娼婦のようだ。
美女の甘い吐息が鼻先をくすぐり、それだけで頭の芯がクラクラするようだったが、ボブは自分の財布の中身を思い出して絶望した。
街娼とはいえこれだけの女をはした金で買えるとは思わなかったのだ。
「うう……俺はそんなに持ってねえんだ」
俯《うつむ》くボブの頬を撫でて、女は妖艶《ようえん》な笑みを浮かべた。
「三千リムよ」
「さ、三千リム? ほんとか?」
暮れていく薄闇《うすやみ》の中、住居の陰で囁《ささや》くように会話する二人に気が付くものはいない。
やがてボブは女に手を引かれ、熱に浮かされた様な表情で路地の奥へと入っていった。
女はミランダと名乗った。
冷たい石壁にミランダを押し付けて、ボブは貪るようにその口を吸った。
ボブの左手は服の上からミランダの大きな胸をまさぐり、右手はたくし上げたスカートの中に入れられた。
「あんっ、慌てないで。あんまり責められると私……」
「お、俺……」
薄汚い路地裏で、深窓の令嬢のような女を自由にしているというシュールな光景がボブの興奮を異常に高めていた。
なんという滑《なめ》らかな太腿なんだろう。
こんなにすべすべした肌は初めてだった。
ボブの右手はミランダの太腿を割ってその奥へ進む。
「いやん。そんなにされたら私、私……我慢できなくなっちゃう」
指先がついにミランダの奥に触れた。
そこは熱く、涎を垂らしたように濡れていた。
そして……なんだ?
この無数の突起物は。
まるで牙のようなこれは……。
「うぎゃああああ――ングッ」
右手を何かに食いちぎられて悲鳴を上げるボブの口を、ミランダが信じられないような怪力で押さえつけた。
「もう、貴方のせいで我慢できなくなっちゃったじゃない。つい下のお口で食べちゃったわ」
爛々《らんらん》と瞳を輝かせ、唇を舐めるミランダの表情はまさに凄艶《せいえん》だった。
夕方の薄暗くなった時間帯を逢魔おうまが時ときと呼ぶが、ボブは本物の魔物に出合ってしまっていた。
シスターマリアと神官エヴァンはコンビを組んでレイクブクロ地区を巡回していた。
レイクブクロ地区北エリアは繁華街や花街《はなまち》、連れ込み宿などがたくさんある場所だ。
だからミランダ捜索の重点探索地域に指定されていた。
時刻は夕暮れ時で、家路を急ぐ者や酒場へ繰り出すものなどが大勢集まってきている。
エヴァンとマリアは表通りを避け、裏通りを移動した。
雑踏の中ではとてもミランダを見つけられるとは思わなかったし、街娼が立つとしたら裏通りの方が圧倒的に多かったからだ。
一見すると若いカップルの様に見えるが、二人は一様に仏頂面《ぶっちょうづら》だ。
とてもデートを楽しんでいる雰囲気ではなかった。
建物の間を縫って、男の叫び声が聞こえたのはそんな裏通りの一角だった。
「マリア、今叫び声がしなかったか?」
「こっちよ」
マリアは走り出していた。
もしかするとただの喧嘩か何かかもしれない。
これまでもそういうことは何度もあった。
だが、これまで聞いた叫び声とは何かが違っていた。
何が違うんだろう?
それはきっと恐怖の度合いだ。
あの叫びには人間が死に直面した時にだす、凄まじい恐怖が籠められていた。
狭い路地を抜けた先は小さな袋小路になっていた。
辺りはほとんど闇に包まれていて、ぼんやりとしか景色は見えない。
「おや、何だいアンタたちは。ここはあたしたちが使っているんだ。やるんだったらよそへ行ってやりなよ」
男の上に馬乗りになっているらしき女が乱暴な口をきいた。
「血の匂いがする」
マリアの言葉に女がピクリと肩を震わせる。
「神殿の祓魔師だ。貴様ミランダという娼婦だな」
エヴァンも詰問しながら剣を抜く。
マリアは後ろで持参していた魔導カンテラのスイッチをいれた。
柔らかい光に薄汚れた路地裏の様子が浮かび上がる。
そこにあるのは放置されたゴミ。
ネズミの死骸。
手首をなくしてうずくまる男などだった。
そしてそんな風景の中心に壮絶な美女が立っていた。
「あら、神官にしておくには勿体《もったい》ないくらい、いい男じゃない。貴方も私と遊んでいきます? それに……随分といやらしい体つきをしたシスターだね」
「なっ!? 貴様!」
マリアの抗議の声をミランダは無視する。
「この身体も悪くないが、お前の方が男好きしそうな体じゃないか。次に化ける時はアンタの姿を参考にさせてもらうかね」
「化けるって、お前は?」
エヴァンの疑問にミランダは愉快そうな笑みを漏らした。
「私はグーラさ。こうして何人もの生肝《いきぎも》をくらって生きてきたのさ!」
「お前に次があると思うな!」
叫びながらエヴァンが切りかかる。
マリアも神聖魔法の聖句を唱え始めた。
「神よ、悪しきものにその罪を負わせ、その謀《はかりごと》によって、かの魔物の罪の多さによってかの魔物を自ら倒れさせて下さい。あなたに背きし罪ゆえにかのものは――」
マリアの聖句が紡がれていくごとに、神聖魔法の濃密な聖属性魔法が場を満たしていった。
シスターは「ふう」と大きくため息をついて俺を見つめた。
「エヴァンの剣はグーラを切り裂き、私の魔法は大ダメージを与えたはずでした」
だが、傷ついたグーラは川べりまで逃れ、エヴァンの一太刀を受けて川に落ちたそうだ。遺体は上がらなかったがマリアたちはグーラが死んだと思ったそうだ。それ以降、連続殺人事件がぴたりと終息したことがマリアたちの疑念を晴らしてしまったわけだ。
「もう少しきちんとグーラの遺体を探すべきでした」
俺にはかける言葉が見つからない。
「おっさん、全員縛り上げたぞ。いつでも出発できる」
ジャンの報告を聞いて俺は立ち上がった。
「シスター、俺たちは一度地上に戻ります。貴女はどうします?」
「私は――」
「戻るべき……このまま行けば死ぬ」
ボニーさんがシスターの言葉を遮った。
「気を悪くしないでください。この人なりに気を使っているのです。ただ、俺もボニーさんと同意見ですね。この先ソロはきついと思いますよ。よかったら地上まで同行しませんか?」
俺たちの言葉にシスターは穏やかな笑顔で答える。
「お気遣いありがとうございます。少し迷宮を舐めていたようです。お言葉に甘えますわ。地上までご一緒させて下さい」
俺たちは25人の迷賊を縄でつなぎ、シスターを一行に加えて帰還を開始した。
男の名前はボブといった。
日雇いの労働者だ。
今日も夕方まで魔導鉄道のレール敷設《ふせつ》の作業をして五千リムの日銭《ひぜに》を稼ぎ、家に帰るところだった。
春とはいえ夕方ともなるとまだまだ寒い日が続いている。
酒場にでも寄りたいがそんな余裕はボブにはなかった。
ギャンブルで作った借金を今週末までに胴元へ返さなければならなかったのだ。
もし返さなかったら……ボブは自分の想像に身震いして考えるのをやめた。
パンでも買って帰り、狭い自分の下宿で安物のジンでも煽るくらいしか楽しみはない。
「もし」
鈴を転がすような美しい女の声が聞こえた気がした。
立ち止まって辺りを見回してみるが誰もいない。
「こちらですよ」
ボブの肌を愛撫《あいぶ》するようなクスクス笑いの声がしている。
その女は建物と建物の間にある狭い路地の暗闇の中にいた。
「どうしたんだい。そんなところで」
女はフードをかぶっていたが、口元と鼻筋を見ただけでたいそうな美人というのがわかった。
体つきもふるいつきたくなるような魅力に溢《あふ》れていた。
ボブも女がいる物陰にはいり身を寄せると、女はすっとボブの二の腕に白い手を乗せてきた。
「たくましい腕」
「お、おう。まあな。アンタはいったい……」
こんなところで、こんな風に声をかけてくる女は娼婦しかいないと思うのだが、女の美貌がボブに断定を躊躇《ためら》わせた。
「この奥に人の来ないところがあるの。そこに行って……ね」
まさかとは思ったが、目の前にいる絶世の佳人は娼婦のようだ。
美女の甘い吐息が鼻先をくすぐり、それだけで頭の芯がクラクラするようだったが、ボブは自分の財布の中身を思い出して絶望した。
街娼とはいえこれだけの女をはした金で買えるとは思わなかったのだ。
「うう……俺はそんなに持ってねえんだ」
俯《うつむ》くボブの頬を撫でて、女は妖艶《ようえん》な笑みを浮かべた。
「三千リムよ」
「さ、三千リム? ほんとか?」
暮れていく薄闇《うすやみ》の中、住居の陰で囁《ささや》くように会話する二人に気が付くものはいない。
やがてボブは女に手を引かれ、熱に浮かされた様な表情で路地の奥へと入っていった。
女はミランダと名乗った。
冷たい石壁にミランダを押し付けて、ボブは貪るようにその口を吸った。
ボブの左手は服の上からミランダの大きな胸をまさぐり、右手はたくし上げたスカートの中に入れられた。
「あんっ、慌てないで。あんまり責められると私……」
「お、俺……」
薄汚い路地裏で、深窓の令嬢のような女を自由にしているというシュールな光景がボブの興奮を異常に高めていた。
なんという滑《なめ》らかな太腿なんだろう。
こんなにすべすべした肌は初めてだった。
ボブの右手はミランダの太腿を割ってその奥へ進む。
「いやん。そんなにされたら私、私……我慢できなくなっちゃう」
指先がついにミランダの奥に触れた。
そこは熱く、涎を垂らしたように濡れていた。
そして……なんだ?
この無数の突起物は。
まるで牙のようなこれは……。
「うぎゃああああ――ングッ」
右手を何かに食いちぎられて悲鳴を上げるボブの口を、ミランダが信じられないような怪力で押さえつけた。
「もう、貴方のせいで我慢できなくなっちゃったじゃない。つい下のお口で食べちゃったわ」
爛々《らんらん》と瞳を輝かせ、唇を舐めるミランダの表情はまさに凄艶《せいえん》だった。
夕方の薄暗くなった時間帯を逢魔おうまが時ときと呼ぶが、ボブは本物の魔物に出合ってしまっていた。
シスターマリアと神官エヴァンはコンビを組んでレイクブクロ地区を巡回していた。
レイクブクロ地区北エリアは繁華街や花街《はなまち》、連れ込み宿などがたくさんある場所だ。
だからミランダ捜索の重点探索地域に指定されていた。
時刻は夕暮れ時で、家路を急ぐ者や酒場へ繰り出すものなどが大勢集まってきている。
エヴァンとマリアは表通りを避け、裏通りを移動した。
雑踏の中ではとてもミランダを見つけられるとは思わなかったし、街娼が立つとしたら裏通りの方が圧倒的に多かったからだ。
一見すると若いカップルの様に見えるが、二人は一様に仏頂面《ぶっちょうづら》だ。
とてもデートを楽しんでいる雰囲気ではなかった。
建物の間を縫って、男の叫び声が聞こえたのはそんな裏通りの一角だった。
「マリア、今叫び声がしなかったか?」
「こっちよ」
マリアは走り出していた。
もしかするとただの喧嘩か何かかもしれない。
これまでもそういうことは何度もあった。
だが、これまで聞いた叫び声とは何かが違っていた。
何が違うんだろう?
それはきっと恐怖の度合いだ。
あの叫びには人間が死に直面した時にだす、凄まじい恐怖が籠められていた。
狭い路地を抜けた先は小さな袋小路になっていた。
辺りはほとんど闇に包まれていて、ぼんやりとしか景色は見えない。
「おや、何だいアンタたちは。ここはあたしたちが使っているんだ。やるんだったらよそへ行ってやりなよ」
男の上に馬乗りになっているらしき女が乱暴な口をきいた。
「血の匂いがする」
マリアの言葉に女がピクリと肩を震わせる。
「神殿の祓魔師だ。貴様ミランダという娼婦だな」
エヴァンも詰問しながら剣を抜く。
マリアは後ろで持参していた魔導カンテラのスイッチをいれた。
柔らかい光に薄汚れた路地裏の様子が浮かび上がる。
そこにあるのは放置されたゴミ。
ネズミの死骸。
手首をなくしてうずくまる男などだった。
そしてそんな風景の中心に壮絶な美女が立っていた。
「あら、神官にしておくには勿体《もったい》ないくらい、いい男じゃない。貴方も私と遊んでいきます? それに……随分といやらしい体つきをしたシスターだね」
「なっ!? 貴様!」
マリアの抗議の声をミランダは無視する。
「この身体も悪くないが、お前の方が男好きしそうな体じゃないか。次に化ける時はアンタの姿を参考にさせてもらうかね」
「化けるって、お前は?」
エヴァンの疑問にミランダは愉快そうな笑みを漏らした。
「私はグーラさ。こうして何人もの生肝《いきぎも》をくらって生きてきたのさ!」
「お前に次があると思うな!」
叫びながらエヴァンが切りかかる。
マリアも神聖魔法の聖句を唱え始めた。
「神よ、悪しきものにその罪を負わせ、その謀《はかりごと》によって、かの魔物の罪の多さによってかの魔物を自ら倒れさせて下さい。あなたに背きし罪ゆえにかのものは――」
マリアの聖句が紡がれていくごとに、神聖魔法の濃密な聖属性魔法が場を満たしていった。
シスターは「ふう」と大きくため息をついて俺を見つめた。
「エヴァンの剣はグーラを切り裂き、私の魔法は大ダメージを与えたはずでした」
だが、傷ついたグーラは川べりまで逃れ、エヴァンの一太刀を受けて川に落ちたそうだ。遺体は上がらなかったがマリアたちはグーラが死んだと思ったそうだ。それ以降、連続殺人事件がぴたりと終息したことがマリアたちの疑念を晴らしてしまったわけだ。
「もう少しきちんとグーラの遺体を探すべきでした」
俺にはかける言葉が見つからない。
「おっさん、全員縛り上げたぞ。いつでも出発できる」
ジャンの報告を聞いて俺は立ち上がった。
「シスター、俺たちは一度地上に戻ります。貴女はどうします?」
「私は――」
「戻るべき……このまま行けば死ぬ」
ボニーさんがシスターの言葉を遮った。
「気を悪くしないでください。この人なりに気を使っているのです。ただ、俺もボニーさんと同意見ですね。この先ソロはきついと思いますよ。よかったら地上まで同行しませんか?」
俺たちの言葉にシスターは穏やかな笑顔で答える。
「お気遣いありがとうございます。少し迷宮を舐めていたようです。お言葉に甘えますわ。地上までご一緒させて下さい」
俺たちは25人の迷賊を縄でつなぎ、シスターを一行に加えて帰還を開始した。
0
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
追い出された万能職に新しい人生が始まりました
東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」
その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。
『万能職』は冒険者の最底辺職だ。
冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。
『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。
口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。
要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。
その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

キモおじさんの正体は…
クラッベ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生し、ヒロインとなったナディア。
彼女はゲーム通りにいかない悪役令嬢のビビアンに濡れ衣を着せ、断罪イベントの発生を成功させる。
その後の悪役令嬢の末路は、ゲーム通りでは気持ち悪いおっさんに売られていくのを知っているナディアは、ざまぁみろと心の中で嘲笑っていた。
だけどこの時、この幸せが終わりを迎えることになるとは、ナディアは思っても見なかったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる