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第62話 マキシマム・ソウル
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「僕が『マキシマム・ソウル』のリーダー、ライナスだ」
こいつすげえ!
たった今できたばかりの即席パーティーに名前を付け、あまつさえリーダーと名乗ったぞ。
並みの男にできる芸当じゃない!
「今日、僕らが出合ったのは偶然じゃない。運命だったのさ!」
しかもビートが迸《ほとばし》って、とんでもなくヒートしてるタイプか?
皆みんなちょっと引いてるけど、立ち去る冒険者はいなかった。
普段からポーターばかりしているせいだろう。
基本的にポーターは魔物を狩らせてもらえない。
荷物を持つだけの存在だ。
当然レベルも上がらないのだ。
たとえ第一階層の浅いところでスライムを狩るだけだとしても、彼らには魅力的な提案なのかもしれない。
それではライナスが立案した『マキシマム・ソウル』の編成と作戦を見てみよう。
前衛:ライナス 武器:ロングソード
前衛:男A武器:杖 ナイフ
前衛:男B武器:杖 ナイフ
前衛:男C武器:杖 ナイフ
前衛:男D武器:杖 ナイフ
前衛:男E武器:杖 ナイフ
前衛:男F武器:杖 ナイフ
後衛:俺武器:ハンドガン ゴーレム
陣形:ライナスが先頭を歩いて、後は適当。
作戦:敵を見つけたら殲滅。早い者勝ち。
これは作戦と言っていいものなのだろうか?
ポーターは重い荷物を背負って歩くので杖を持っていることが多い。
解体のためにナイフを所持するのも基本だ。
当然彼らの武器は上記のようになる。
かなり偏っているが、それでも第一階層1区なら何とかなるような気がする。
もはや俺も怖いもの見たさで参加しているだけだ。
「スライムがでたぞ!」
「わあーー!」
「こっちにもでたぞ!」
「わあーー!」
小学一年生のサッカーみたいだ。
みんなが一斉にボールに集まるのと同じ現象が起きている。
後衛の俺はまるでやることがない。
下手に銃弾を撃ち込めば味方に当たりそうで怖すぎる。
一応周囲の警戒はしているが、俺よりも前衛の人の方が敵を見つけるのが早かった。
戦闘の最中に後ろを警戒していたらライナスに怒られた。
「君、さっきから何もしてないじゃないか!」
「あ、はい」
怒りすらわかない。
むしろ吹き出しそうになるのを堪える。
「だめだよそれじゃあ。君も『マキシマム・ソウル』の一員という自覚を持って、きちんと自分の仕事をしなきゃ」
「……」
俺はなんて言えばいいんだろ?
「君の位階は?」
「第10位階っす!」
「ん~新人かぁ、じゃあ仕方がない部分もあるかな。僕はこう見えて第9位階だ。わからないことがあったら何でも聞いてくれたまえ」
ライナスは爽やかに笑って、ポンと俺の肩を叩いて前線に戻っていった。
かなりずれているけど悪い奴ではないようだ。
集団で無秩序に狩りをする姿を見て失笑してしまったが、ポーターには狩りをさせない、経験を積ませてやらないという風潮が彼らのこの状態を作り出しているのだ。
ライナスのやっていることを下らないことだと断ずることはできない。
普通はポーターをしながら冒険者の基本を学ぶ。
そこからコネクションを作り、パーティーに入れてもらったり、紹介してもらったりするのだが、コミュニケーションが苦手な人は一定数いるのだ。
自分を売り込むのが下手な人だっているだろう。
そういう人はなかなかパーティーに入れてもらえず、万年ポーターになることが多いそうだ。
彼らにとってライナスの誘いは渡りに船だったのだろう。
その代わり収入はほとんどないだろうが……。
スライムからとれる素材はない。
魔石もあまり出ないことで有名だ。
今日だってまだ2個しか出ていない。
買取価格は全部で3000リム。
8人で割れば1人400リムにすらならないのだ。
これでは生活は立ち行かない。
でもみんな嬉しそうだ。
久しぶりに経験値があがり、レベルが上がろうとしているのを実感しているのだろう。
たまにはこんな冒険もいいかもしれない。
さすがにこのまま2区へ行こうとしたら止めるけど、
ここなら死ぬこともないだろう。
小部屋を確保して俺たちは休憩した。
無口な人が多かったがその表情は皆明るかった。
うまい具合にどこかのパーティーがおいていった薪の燃えカスがあったので火をつけて暖をとる。
ついでにお湯を沸かして白湯《さゆ》を飲んだ。
お茶なんてないけど冷えた身体に湯が沁みるように美味かった。
リラックスしたところでメンバーの一人がおずおずと口を開いた。
「あのさあ、やっぱり陣形って必要じゃないかな?」
「あ、それ俺も思った……」
無秩序な攻撃をしていたが、彼らも冒険者なのだ。
自分たちの欠点にはとっくに気が付いていたようだ。
「そうだよな。今のところ魔物が少数だからいいけど、湧いたらひとたまりもないよな」
「前衛を時間で交代制にしたらどうでしょう」
「前衛から3-2-2-1で並べるのがいいと思うな」
「それだったら3-3-2でよくね?」
「後衛用の武器がないのが致命的だと思います」
「とりあえず石投げる?」
一人がしゃべりだすと皆が意見を言い始める。
なんだろこれ?
凄く楽しい感じだ!
みんなワクワクした顔をしている。
もしかして今、本当のパーティーが出来上がろうとしてるんじゃないのか。
その後、小部屋で陣形を決めたり、連携の練習をしたり、各種シミュレーションをして時間を過ごした。
奇襲する場合やされた場合の動きを想定して討論し、実際に試している内に時間は瞬く間に過ぎていった。
最終的になかなかいい動きになってきたと思う。
第一階層2区くらいまでなら問題ないんじゃなかろうか。
ライナスが満足げに頷いている。
「これで、次回は2区まで行けるんじゃないか?! いよいよ『マキシマム・ソウル』も本格始動だな!」
誰かがぼそりと呟く。
「俺、パーティー名は別のがいいな……」
「あ、私もそう思います……」
「同意……」
「じゃあ俺も反対ってことで……」
うん。
このパーティーはこれからですな。
頑張れライナス!
頑張れ『マキシマム・ソウル』(仮)!
ちなみに俺は既に『不死鳥の団』所属なので参加はお断りしました。
こいつすげえ!
たった今できたばかりの即席パーティーに名前を付け、あまつさえリーダーと名乗ったぞ。
並みの男にできる芸当じゃない!
「今日、僕らが出合ったのは偶然じゃない。運命だったのさ!」
しかもビートが迸《ほとばし》って、とんでもなくヒートしてるタイプか?
皆みんなちょっと引いてるけど、立ち去る冒険者はいなかった。
普段からポーターばかりしているせいだろう。
基本的にポーターは魔物を狩らせてもらえない。
荷物を持つだけの存在だ。
当然レベルも上がらないのだ。
たとえ第一階層の浅いところでスライムを狩るだけだとしても、彼らには魅力的な提案なのかもしれない。
それではライナスが立案した『マキシマム・ソウル』の編成と作戦を見てみよう。
前衛:ライナス 武器:ロングソード
前衛:男A武器:杖 ナイフ
前衛:男B武器:杖 ナイフ
前衛:男C武器:杖 ナイフ
前衛:男D武器:杖 ナイフ
前衛:男E武器:杖 ナイフ
前衛:男F武器:杖 ナイフ
後衛:俺武器:ハンドガン ゴーレム
陣形:ライナスが先頭を歩いて、後は適当。
作戦:敵を見つけたら殲滅。早い者勝ち。
これは作戦と言っていいものなのだろうか?
ポーターは重い荷物を背負って歩くので杖を持っていることが多い。
解体のためにナイフを所持するのも基本だ。
当然彼らの武器は上記のようになる。
かなり偏っているが、それでも第一階層1区なら何とかなるような気がする。
もはや俺も怖いもの見たさで参加しているだけだ。
「スライムがでたぞ!」
「わあーー!」
「こっちにもでたぞ!」
「わあーー!」
小学一年生のサッカーみたいだ。
みんなが一斉にボールに集まるのと同じ現象が起きている。
後衛の俺はまるでやることがない。
下手に銃弾を撃ち込めば味方に当たりそうで怖すぎる。
一応周囲の警戒はしているが、俺よりも前衛の人の方が敵を見つけるのが早かった。
戦闘の最中に後ろを警戒していたらライナスに怒られた。
「君、さっきから何もしてないじゃないか!」
「あ、はい」
怒りすらわかない。
むしろ吹き出しそうになるのを堪える。
「だめだよそれじゃあ。君も『マキシマム・ソウル』の一員という自覚を持って、きちんと自分の仕事をしなきゃ」
「……」
俺はなんて言えばいいんだろ?
「君の位階は?」
「第10位階っす!」
「ん~新人かぁ、じゃあ仕方がない部分もあるかな。僕はこう見えて第9位階だ。わからないことがあったら何でも聞いてくれたまえ」
ライナスは爽やかに笑って、ポンと俺の肩を叩いて前線に戻っていった。
かなりずれているけど悪い奴ではないようだ。
集団で無秩序に狩りをする姿を見て失笑してしまったが、ポーターには狩りをさせない、経験を積ませてやらないという風潮が彼らのこの状態を作り出しているのだ。
ライナスのやっていることを下らないことだと断ずることはできない。
普通はポーターをしながら冒険者の基本を学ぶ。
そこからコネクションを作り、パーティーに入れてもらったり、紹介してもらったりするのだが、コミュニケーションが苦手な人は一定数いるのだ。
自分を売り込むのが下手な人だっているだろう。
そういう人はなかなかパーティーに入れてもらえず、万年ポーターになることが多いそうだ。
彼らにとってライナスの誘いは渡りに船だったのだろう。
その代わり収入はほとんどないだろうが……。
スライムからとれる素材はない。
魔石もあまり出ないことで有名だ。
今日だってまだ2個しか出ていない。
買取価格は全部で3000リム。
8人で割れば1人400リムにすらならないのだ。
これでは生活は立ち行かない。
でもみんな嬉しそうだ。
久しぶりに経験値があがり、レベルが上がろうとしているのを実感しているのだろう。
たまにはこんな冒険もいいかもしれない。
さすがにこのまま2区へ行こうとしたら止めるけど、
ここなら死ぬこともないだろう。
小部屋を確保して俺たちは休憩した。
無口な人が多かったがその表情は皆明るかった。
うまい具合にどこかのパーティーがおいていった薪の燃えカスがあったので火をつけて暖をとる。
ついでにお湯を沸かして白湯《さゆ》を飲んだ。
お茶なんてないけど冷えた身体に湯が沁みるように美味かった。
リラックスしたところでメンバーの一人がおずおずと口を開いた。
「あのさあ、やっぱり陣形って必要じゃないかな?」
「あ、それ俺も思った……」
無秩序な攻撃をしていたが、彼らも冒険者なのだ。
自分たちの欠点にはとっくに気が付いていたようだ。
「そうだよな。今のところ魔物が少数だからいいけど、湧いたらひとたまりもないよな」
「前衛を時間で交代制にしたらどうでしょう」
「前衛から3-2-2-1で並べるのがいいと思うな」
「それだったら3-3-2でよくね?」
「後衛用の武器がないのが致命的だと思います」
「とりあえず石投げる?」
一人がしゃべりだすと皆が意見を言い始める。
なんだろこれ?
凄く楽しい感じだ!
みんなワクワクした顔をしている。
もしかして今、本当のパーティーが出来上がろうとしてるんじゃないのか。
その後、小部屋で陣形を決めたり、連携の練習をしたり、各種シミュレーションをして時間を過ごした。
奇襲する場合やされた場合の動きを想定して討論し、実際に試している内に時間は瞬く間に過ぎていった。
最終的になかなかいい動きになってきたと思う。
第一階層2区くらいまでなら問題ないんじゃなかろうか。
ライナスが満足げに頷いている。
「これで、次回は2区まで行けるんじゃないか?! いよいよ『マキシマム・ソウル』も本格始動だな!」
誰かがぼそりと呟く。
「俺、パーティー名は別のがいいな……」
「あ、私もそう思います……」
「同意……」
「じゃあ俺も反対ってことで……」
うん。
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頑張れライナス!
頑張れ『マキシマム・ソウル』(仮)!
ちなみに俺は既に『不死鳥の団』所属なので参加はお断りしました。
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