上 下
7 / 10
極普通な日常

〝水曜日の昼休憩〟

しおりを挟む
…昼休みだ!
私は他のクラスの友達のところへ向かう。
「なぽち~!」
「きゃー!アハハ」
〝ナルミ〟あだ名はなぽち。
ポチと呼んでいたが「ナルミの要素がない!」と言われたので「な」をつけたしこのあだ名だ。
なぽちは天然で、現在リア充。
スタイルがよく、モテモテな彼女。
…羨ましい。

「なぽちってさ、どんな告白されたことある?」
「えーと…歌と手紙と直接とメールかな」
「歌ぁ!?」
歌で告白だなんて…おとぎ話じゃないか。
そんなことをする人が本当にいるんだな…
「ま、断ったけどね~」
「はは!近所迷惑で終わったんだ」
爆笑が起きる廊下、すごく楽しかった。
笑顔の耐えないこの廊下に、あいつらがやってきた。
そう、ヤンキーだ。
他学年の階に行くのは階段までがセーフとされている。だが、彼らはヤンキー。戸惑うことなく廊下に入ってくる。
ヤンキーが来たことにより、男子まで静かになる。
なんとなくここに来た理由は分かる。
私を探しに来たんだ。
この前あんなことしたから…
そこにマイキはいない。また別の軍団だろうか。
だが、マイキの手下という事に変わりはない。
彼らの足の向く方向は、私だ。
今日の朝はマイキと約束したばかり。情報が届いていないのだろうか。
ヤンキー軍団には同じ黄組の先輩が三人揃っている。私の前に立つと、少ししゃがみ、目線を合わせてくる。
…小さい子扱いだ。
ヤンキーはもう怖くない。思う存分睨みつけた。
流石ヤンキーと言ったところだろうか、後退りなんてしない。用がないなら帰れって言いたかったが、口が開かない。まず、言おうとしたら相手が先に口を開いたんだ。
「マイキが呼んでる」
声の感じでは起こってない。優しかったし、少し微笑んでいた。マイキからの呼び出しというわけで、わざと優しく言ったのかもしれない。
これがいいことのなのか悪いことなのか区別がつかなかった。
私はなぽちに小さく手を振り、ヤンキーと共にマイキがいる視聴覚室に行く。
ヤンキーの一人は、私の腰に手を回し、しっかりとエスコートをしてくれる。
…いい人だ。
こんなに心優しい人なのに…なぜヤンキーに?
まず、私を今エスコートしてくれている人は、殴り合いをしていた人だ。
何が表で何が裏か分かんない…

視聴覚室に着く。教室にはマイキしかいなかった。電気はついていない。マイキはただ窓辺にすがって、色気を出していた。
ブラウスのボタンは上二つ空いていた。
「…なに?」
「来て」
手招きをするマイキ。側に行く私。
マイキが耳元で言った。
「今日は一緒に…」
「嫌だ」
マイキが言いかけた言葉。〝今日は一緒に帰ろう〟
あんなことがあったのに一緒に帰れるわけがない。それだけはお断りだ。
「えー」
「じゃあね」
マイキがわがままを言っている間に私は帰ろうとした。
…いる。
扉の前にはさっきのヤンキーが三人。
通れない。
どうにか頼めば通らせてくれるよね…?
「あの…」
「あ、すんませーん」
すんなりどけてくれた。私は急いで外に出る。
「おいバカ!なにどいてんだよ!」
マイキの怒鳴り声と同時にさっきのヤンキーが飛び出てくる。
私は急いで階段を駆け上がる。
「走りまセーン!」と言われても気にしない。私には今走る理由がある。
ヤンキーという訳で体育の授業もろくに受けてなかったんだろう。足が遅い。
私は教室に駆け込み、息を整える。
その時、ちょうどチャイムがなった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

【完結】捨てられ正妃は思い出す。

なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」    そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。  人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。  正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。  人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。  再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。  デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。  確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。 ––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––  他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。  前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。  彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。  

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」  静寂をかき消す、衛兵の報告。  瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。  コリウス王国の国王––レオン・コリウス。  彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。 「構わん」……と。  周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。  これは……彼が望んだ結末であるからだ。  しかし彼は知らない。  この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。  王妃セレリナ。  彼女に消えて欲しかったのは……  いったい誰か?    ◇◇◇  序盤はシリアスです。  楽しんでいただけるとうれしいです。    

王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。 ※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。

〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった…… 結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。 ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。 愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。 *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 *全16話で完結になります。 *番外編、追加しました。

御機嫌ようそしてさようなら  ~王太子妃の選んだ最悪の結末

Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。 生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。 全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。 ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。 時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。 ゆるふわ設定の短編です。 完結済みなので予約投稿しています。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

処理中です...