私を助けてくれたのは学校一有名なヤンキーでした!

高草木文歌

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極普通な日常

〝月曜日の放課後〟

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ヤンキーのマイキに手を繋がれ、今走ってる!
こここれは…駆け落ち!?
いや、違う違う…
なんでまず走る必要が?
すると後ろから足音が聞こえてくる。
数人?いや、これは…
「あはっきた~!」
呑気にマイキがいう。
そう、マイキのファンである。
そこには中学校の大半の女子がいた。
…私恨まれるやつじゃん。
いやぁ怖い怖い。
取り敢えず…状況がわかったことだし…
「うおっと!」
マイキが声を漏らす。
私はさっきより早く走り、マイキを引っ張る状態に。
…どうやらファンは居なくなったようだ。
「ハァハァ…」
ヤンキーでまともに授業に出てない分、運動神経が落ちたんだろう…息が上がっている。
「…はやく行きますよ」
私はマイキを置いて、歩き出す。
「待って…!」
走って追いかけてくるマイキ。
なんとなくこんな放課後が続いてほしかった。
だから…今日一日でどのくらい仲良くなれるか試してみようじゃないか!
私は家に帰りたくない。
家に帰れば召使として扱われる。
なら今この時間を…
名一杯楽しんでやる!
「キハ…!」
キハ…?
なんで名前が…わかるの?
「あ…ごめん、なんで名前が分かるか驚いたよね?ハハッ、君に会いたくてさ、勉強より集中して調べたんだよ」
笑いながマイキは言う。
流石にそこまでされると気持ち悪いが、なんとなく嬉しかった。
「そうか…じゃあよろしく、マイキ」
「お、おう!」
顔が赤くなっている。
…なんで?
「ちょっ!ジロジロ見んなって…!」
ツンデレかよ。
名前を呼んだだけで照れるなんて…結構可愛いな。
「じゃ、ゲーセン行くか」
「え?」
学校帰りにゲームセンター。
流石ヤンキーと言ったところだろう。
んー…どうしよう…
「ほら行くぞ!」
迷ってる私を気にせず引っ張るマイキ。
取り敢えず…今日は「時間が遅くなった」って言えば、母さんに許してもらえるかな。
私は家族より、マイキを優先した。
…きょ、今日だけだから…!

ゲームセンターに着く。
相変わらず音がうるさくて、耳が痛くなる。
UFOキャッチャー、オタゲー、音ゲー、パチンコ…様々なゲームがあったが、マイキが向かったのは…
「え?」
「どうしたの?」
「だってこれって…」
「プリだよ!さ、早く撮ろ!」
えぇ!?流石に私でもプリはほとんど撮らないし、異性の友達と来た時は、プリなんて撮らない!
マイキ…いろんな意味で凄い。

「どうする?ピンクがいい?」
「いや、私水色系がいい」
今は背景を選んでいる。
後ろは無地がいいらしい。
「じゃ、撮るよ~」
はじめのポーズは、指でハート。
二人でくっつけるヤツじゃないから、取り敢えずセーフ…
パシャ
次は…二人でハートを作る。
…ハート多いな。
取り敢えずハートを作った。
パシャ
最後に…猫のポーズ。
手をグーにして、耳の少し上で「ニャン」と言う感じにする。
…女子力高いな。
パシャ

撮影が終了し、デコもやってもらい、写真を貰う。
…目がでかい。やっぱりプリは慣れないな~
可愛くない私がやればやるほど、プリの意味がなくなっていく。
そんな私の横にいたマイキは…
めちゃくちゃ美形男子になっていた。
…使い慣れてる。
私もこれから友達と来た時はプリとか撮ると思うし、少し練習しとかなくちゃ。

UFOキャッチャーに向かう。
小さなクマのぬいぐるみが二つあった。
「…可愛い」
小さく言ったはずだけど、マイキには聞こえていた。
マイキはお金を入れ、クマをとる。
一発だ…!
「凄い!」
「はい、あーげる」
手に乗っているクマを取ろうとした時…
「なーんてね!クマが欲しいなら…明日一日中、俺の彼女ね」
「…え?」
どうしよう。
クマが欲しい…でも…
マイキには、ファンがいる。たくさんの女子が。
襲われるのが怖いし、やめとこうかな…
いや…でも…
明日だけ…明日だけだから…別にいいよね。
「…わかった」
「よっしゃ!」
ガッツポーズをするマイキ。
クマを貰う私。
明日だけのしんぼうだ。
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