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『南海琉生』編 【完結】
【4月】告げられた僕の残り時間
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産まれた時から体の弱かった自分は両親や周りの人達に大事にされた。
しかし、僕はそれが嫌だった。
僕は大事にされないように他の子と同じように学校へ行き、同じように部活も一生懸命頑張った。
もう、誰にも心配されないように…そのためか僕は特に大きな病気にかからない身体になったんだと勘違いをしていた。
だから、その仇が返ってきたらしい。
僕は急に意識を失い病院へ運ばれた。
そして、医師から衝撃的なことを告げられた。
「琉生くんの余命は残り1年です。」
1年。一年…。
ははっ…1年か…
母さんを見ると涙だけを流していて言葉は何も出てこなかったらしかった。
病室へ移った僕は特にやることもなく、携帯をいじっていた。
LINEを開くと50通程の通知が届いていた。
それも全部同一人物。
僕の幼馴染みである上野 祐希だ。
祐(祐希)からのLINEはほとんど同じ内容で、
『大丈夫か!?』『琉生っ!!』『返事しろ!!』など、心配してくれている内容だった。
俺はただ一言、『大丈夫。』とだけ送っといた。
余命宣告のことはもちろん伏せて。
それから更に時間が経つとドアのノック音が聞こえた。僕は小さく返事をするとそれに対して勢いよくドアは開けられ人が入ってきた。
祐だった。
祐は僕のことをみるとすぐに駆け寄り僕の肩を強く掴んだ。
「琉生…っ…一年って…なんだよっ…」
「聞いたんだね…」
祐は僕の余命のことを知っていたようだ。
まぁ、僕の親が祐に言ったんだろう。
祐の声は震えていていつもの祐では無かった。
「祐…っ…痛いっ…肩…」
「あぁ、すまない…つい…」
僕との間に沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのは僕だった。
「祐、あのね?僕は怖くないよ。死ぬことなんて。だって、本当はもっと早く来ていたはずなんだ。、でも僕は高校生にもなれたし、部活も楽しくすることが出来た。それはね祐がいつもそばにいてくれたからだよ。祐のお陰でここまで生きてこれたんだ。だから、そんな悲しい顔をしないで…」
僕は祐の頬を優しく撫でて、流れそうになっている涙を拭ってあげた。
すると、祐はいきなり僕のことを抱きしめてきた。
急だったからびっくりしたけど、祐はとても優しく抱きしめてくれた。
僕は少し安心して、いつの間にか眠ってしまった。
眠ってしまった僕は、確信は無いけど頬に柔らかな感触があったような気がする。
多分、祐が頬を撫でてくれたんだろう。
あと1年。僕の残った時間はもう少ないけど、少しでも長く生きたい。
少しでも、祐と一緒に……
あれ?なんでだろう…
まぁ、いいや…
今日は暖かい日差しをお布団にしてもう眠ってしまおう。
おやすみ。琉生。
僕の耳にはそう聞こえたような気がした。
しかし、僕はそれが嫌だった。
僕は大事にされないように他の子と同じように学校へ行き、同じように部活も一生懸命頑張った。
もう、誰にも心配されないように…そのためか僕は特に大きな病気にかからない身体になったんだと勘違いをしていた。
だから、その仇が返ってきたらしい。
僕は急に意識を失い病院へ運ばれた。
そして、医師から衝撃的なことを告げられた。
「琉生くんの余命は残り1年です。」
1年。一年…。
ははっ…1年か…
母さんを見ると涙だけを流していて言葉は何も出てこなかったらしかった。
病室へ移った僕は特にやることもなく、携帯をいじっていた。
LINEを開くと50通程の通知が届いていた。
それも全部同一人物。
僕の幼馴染みである上野 祐希だ。
祐(祐希)からのLINEはほとんど同じ内容で、
『大丈夫か!?』『琉生っ!!』『返事しろ!!』など、心配してくれている内容だった。
俺はただ一言、『大丈夫。』とだけ送っといた。
余命宣告のことはもちろん伏せて。
それから更に時間が経つとドアのノック音が聞こえた。僕は小さく返事をするとそれに対して勢いよくドアは開けられ人が入ってきた。
祐だった。
祐は僕のことをみるとすぐに駆け寄り僕の肩を強く掴んだ。
「琉生…っ…一年って…なんだよっ…」
「聞いたんだね…」
祐は僕の余命のことを知っていたようだ。
まぁ、僕の親が祐に言ったんだろう。
祐の声は震えていていつもの祐では無かった。
「祐…っ…痛いっ…肩…」
「あぁ、すまない…つい…」
僕との間に沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのは僕だった。
「祐、あのね?僕は怖くないよ。死ぬことなんて。だって、本当はもっと早く来ていたはずなんだ。、でも僕は高校生にもなれたし、部活も楽しくすることが出来た。それはね祐がいつもそばにいてくれたからだよ。祐のお陰でここまで生きてこれたんだ。だから、そんな悲しい顔をしないで…」
僕は祐の頬を優しく撫でて、流れそうになっている涙を拭ってあげた。
すると、祐はいきなり僕のことを抱きしめてきた。
急だったからびっくりしたけど、祐はとても優しく抱きしめてくれた。
僕は少し安心して、いつの間にか眠ってしまった。
眠ってしまった僕は、確信は無いけど頬に柔らかな感触があったような気がする。
多分、祐が頬を撫でてくれたんだろう。
あと1年。僕の残った時間はもう少ないけど、少しでも長く生きたい。
少しでも、祐と一緒に……
あれ?なんでだろう…
まぁ、いいや…
今日は暖かい日差しをお布団にしてもう眠ってしまおう。
おやすみ。琉生。
僕の耳にはそう聞こえたような気がした。
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