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(明日からまた近くで働けるの、嬉し~~~!)

 一日の終わり、仕事の準備を終え風呂で温まった体を布団に包み、エイリは改めて喜びに悶えていた。ヴァルゼウスに言われたことを思い出してはぷるぷると尻尾を揺らす。

「心の声が聞こえなくても、そのままの俺でいいって・・・」

(そもそも、心の声が聞こえてたとか言い出した俺を、馬鹿にもしないでいてくれたし。ああ、ヴァルゼウス様、好き・・・。)

 彼を思い浮かべるだけでぽわあっと顔が赤らみ、息が乱れてくる。

(あ、やば、発情してる・・・。)

 昂ってきた下肢を動かすと、ぞくぞくとした疼きが背中を伝って上がってきた。ヴァルゼウスに抱きしめられていた時からそうなっていたのだ、もう我慢なんてできない。

 エイリは着ているものを全て脱ぎ捨て、ベッドにバスタオルを広げた。枕元の引き出しから潤滑油を取り出し、横に置いておく。まずは期待に膨らんで先から汁を溢れさせているものを構ってやろうと、うつ伏せになった。ゆっくりと腰を捻りながら押し付ける。

「ん、はっ、はっ、はっ、ちんこ、きもちいっ」

 こういうオナニーはすべきではないと聞いたことがするが、たまにはいいだろうと稚拙な腰振りは止まらない。ずり、ずり、とタオルに裏筋を押し付けて擦るたびに脳が痺れるような快感が生まれた。

「俺、交尾じゃないのにっ、腰振ってる、んんッ」

 自分の浅ましい姿に興奮して腰の動きが早くなる。あふれた我慢汁がタオルを濡らし、ぬめりを纏った先端が激しく擦り立てられた。

「ふっ、ふっ、はあっ、も、イキそ・・・っ」

 絶頂の予感につま先まで足が伸びる。じーんと快感が背筋を昇り、エイリの頭の中が痺れた。

「イく前の気持ちいいの、キたぁ・・・ッ!」

 ぞわぞわ、びりびり。絶頂直前の心地よさに浸りながら、まだそれを手放したくないと抗う。力の入りそうになる足を必死に緩めながら、大きく息を吐いた。

「イッちゃう、イッちゃうっ!やだ、まだッ、イきたくな、いっ、ゔ~~~!」

 腰を上げ、陰茎の摩擦を止める。タオルと陰茎の間に何本もの透明の糸が引いているのが見え、ごくりと生唾を飲み込んだ。寸前で快感を取り上げられた陰茎がびくんびくんと大きく脈動している。

「は、は、もっかい・・・」

 ぐ、と腰をベッドに沈めると、我慢汁の冷たさに体が震えた。それも束の間、すぐに強く押し付け小刻みに揺らし始める。

「ふっ、ふっ、ふっ、あ゙ーー、すぐイキそ、に、なるっ」

 射精してしまいそうな予感に、ぎゅう、と尻尾で陰茎の根本を縛った。行き場をなくした精液が逆流し、エイリの瞼の中がチカチカと明滅する。

「あ゙ーー!きもちい、きもちい、ヴァルゼウス様、イきたいっ」

 想い人に責められている妄想がより体を熱くする。エイリは夢中になって根本を縛ったままもう一度腰を落とし、がむしゃらに振り立てた。我慢汁のせいで摩擦感が減り、絶頂に手が届きそうで届かない。もどかしさに手で握って扱きたくなるのを堪えながら、体を強くベッドに押し付け、タオルとの間に陰茎を挟みこんで必死に揺すった。

「あ、あ、来るッ!も、無理、イく、イきます、ヴァルゼウス様ッ!ん゙ーー!!」

 陰茎が射精の予感に激しく痙攣する。もう我慢できなくて、縛っていた尻尾を外し思い切り絶頂を駆け上がった。ピーンと足が伸び腰が反る。腹筋に押しつぶされた陰茎から、我慢した分大量の精液が噴き出した。

「んっ、ふっ、ぅ゙、ッ」

 びゅ、びゅ、と精液がしぶくたびにエイリの体が強張り、呻き声が漏れる。とろけるような快感に体の痙攣がおさまらない。最後の精液がどろりと漏れ出ると、エイリの体が大きく震え、ぐったりと力が抜けた。

「は、ふ・・・めっちゃ出た・・・」

 生暖かい精液のぬかるみの中で、陰茎が余韻に小さく脈動している。達したはずなのにまだ体の中はずくずくと疼いたままで、尻尾を持ち上げ、後孔の表面を撫でさすった。

(ケツ、久しぶりだけどできるかな・・・いつかヴァルゼウス様が入れてくれるかもしんないし、って、想像しただけでヤバい・・・っ!)

 彼を思い浮かべるだけで後孔がきゅんきゅんと収縮する。かつて知り合いのサキュバスに「男は尻を開発すると死ぬほど気持ちいい」と聞いたことがあった。男同士で交尾をする時に使うのだとも。
 悪魔は本能に忠実、ということで、エイリはそれを聞いてアナルの自己開発に励んだことがある。結局その時はやんわり気持ちよくなるくらいで、イけたことはなかったのだが。

(ヴァルゼウス様のでイけるようになりたい・・・入れてほしい。)

「あぁ、ヴァルゼウス様、ヴァルゼウス様ぁっ」

 近くに置いていた潤滑油を開け、尻尾に塗りたくる。尖った先端にぬるぬると指を這わせると鈍い快感に襲われた。早く後孔に入れたいと思うのに、尻尾を弄って得られる目先の快感に蕩ける。

「あ、あ、あ、はあうッ」

 ちゅこちゅこちゅこ。まるで陰茎を扱くように力を込めると、心地よさで頭の中がぼやけてきた。エイリは無意識に空いた手で乳首をつまむ。

「あ、胸、だめぇっ」

 合わせた指でこりこりと捏ねると、一層脳内に靄がかかった。ぞくぞくとしたものが腰から駆け上がってくる。

「は、あ、あ、ぅ゙ー・・・っ」

 快感に耐えられず尻尾を強く握った瞬間、じーんと体に痺れが走り、エイリの体が小刻みに震えた。は、は、と短い息を吐きながら甘い絶頂感に浸る。

(尻尾で甘イキとか、発情しすぎ・・・。)

 陰茎からは透明な液体だけが大量にあふれていた。先ほど出した精液と混じって下腹部に纏わりついてくるのが少し気持ち悪い。ムズムズする後孔は諦めて、もう今日は片付けて寝てしまおうかと思うが、尻尾だけが落ち着かなさげに揺れていた。

「ゔ~、寝たいけどぉ・・・ヴァルゼウスさま・・・」

 その顔を思い浮かべるとやはりダメだった。力の入らない両手は投げ出し、なんとか腰だけを高く掲げる。ゆるく足を開き、ぬめった尻尾で後孔をさすった。

「はー・・・はー・・・」

 二度の絶頂でそこは少し緩んでいた。ぬちゅ、と湿った音を立てながら尻尾の先端が蕾を犯す。

「ぅ゙、っはあ!」

 浅いところを広げるようにぐちゅぐちゅと出し入れすると、排泄しているような、なんとも言えない感覚に襲われる。痛くはないが生理的な違和感で鳥肌がすごい。

(やっぱ、久しぶりだから、あんま気持ちよくない、か、も。)

「ん゙ん゙、ヴァルゼウスさま・・・」

 これは想像力でなんとかするしかない、と、エイリは一生懸命ヴァルゼウスに後孔をほぐしてもらっている場面を想像する。

『エイリ、痛くないか?無理するな』

「ああッ!ヴァルゼウス様、変な感じ、ですっ」

 効果は絶大だった。違和感は薄れ、むしろヴァルゼウスに焦らされているような気さえしてくる。その上性感帯である尻尾が自分の肉筒に包まれているのだ。じんわりとした快感が体を包み、ゆるゆると腰が揺れ始めた。

『腰が揺れてるぞ、浅いところは物足りないか?』

「ああ、ああ、勝手に動いちゃう、の、やぁっ!」

『エイリ、エッチで可愛いな』

「うあああん!」

 頭の中のヴァルゼウスが笑って唇を寄せてくる。エイリはたまらなくなって尻尾を少しだけ奥に沈めた。

「ああッ!ここ、ここ、俺のきもちいとこ、ですッ」

『ん?ここか?』

「ああああ!嘘、前は、そんなに、ッ、ん゙ああッ」

 ぐるりとしっぽを回すと、陰茎の裏あたりが擦れてエイリの体が大きくしなる。自己開発した時に唯一快感を感じられた場所だと思うが、こんなに気持ちよくはなかったはずだ。おかしいと思いながらも、そのしこりを尻尾で揉み潰すのがやめられない。

「ひぃ、っん゙ん゙!!やだやだ、ここ、だめッ」

『エイリ、前に誰かに尻を弄られたことがあるのか?このしこりを揉まれたのか?どうなんだ』

「や、ちがうッ、ここ、ヴァルゼウス様だけっ!俺が自分で、しただけだからぁ!」

『エイリが自分で触ったのか?エッチで可愛いな』

「ぁ・・・っ、言わな、で!そこッ、だめなとこ、ぉ゙!すごい、きもちい、ヴァルゼウス様あ」

『愛している、エイリ。気持ちいいところ、たくさん触ってやろうな』

「あ゙ーーー!」

 ゴリゴリとしこりを捏ねると、瞼の奥で火花が散る。知らない、こんなに気持ちいいのは知らない。

『ここ、どうするのが好きだ?押すのがいいか?挟むのは?ああ、挟んで揺らすとエイリのここからどろどろと汁が垂れる』

「や、ああ!イッちゃうから、やめ、あ゙あ゙!イッちゃうってぇ!」

『尻だけでイくのか?』

「あ゙ーーー!もうダメ!ヴァルゼウス様にお尻こねこねされてイッちゃう!お尻、イく、イクイク、ぅ、あ゙ーーー!!」

 がくん、と腰が突き上がり、そのままぶるぶると痙攣した。今まで経験したことのない激しい絶頂に尻たぶがぎゅっと寄り、つま先が丸まる。後孔が何度も尻尾を締め付け、それがまたエイリを次の絶頂に押し上げた。その間も尻尾は動きを止めず、痙攣する蜜壺を穿ち続ける。

「あ゙ーー!ダメ、やめて、やめて、ヴァルゼウスさまああ!イッてる、イッてる、のに、あああまたイく、イく・・・お゙ぉ゙ッ、イ゙、ぐぅ・・・ッ」

 喉を反らせ、激しく腰を振りたくる。それでも尻尾は的確にしこりを捉え続け、エイリを頂に連れて行った。完全に後ろだけで極まっており、陰茎は柔らかいままだ。前後する腰に合わせて激しく揺れ、透明な汁わ撒き散らした。

「ゔーーー!ゔーーー!も、ダメ、ヴァルゼウスさま、も、無理ぃッ」

『可愛いなエイリ。大好きなここがパンパンに腫れているぞ。ほら、もう一回』

「やああああッ!だめ、だめ、だめ、ッ、ん゙ーーー!!」

『イッたのか?イく時はちゃんと教えなさい』

「あああ!ごめ、なさッ、イッてますっ!お尻、で、ずっとぉ、イ゙ッ、イ゙ッてる、から、あああ、だめえええッ」

 エイリは降りられない絶頂に泣き叫びながら、脳内のヴァルゼウスに許しを乞い続けた。






 ヴァルゼウスは扉をノックしようと上げた手を止めた。

「ぁ・・・、・・・さまっ、・・・ぃ」

「エイリ?」

 寝る前に少しだけエイリの顔を見たいと部屋に寄ったのだが、中から小さく声が聞こえる。

(こんな夜中に誰かがエイリの部屋に?)

 一気にどす黒い感情が噴き出した。過去の過ちから二度と表に出すまいと誓ったはずの、内なる凶暴性が今にも発露しそうになる。ヴァルゼウスは息を殺してドアに手を伸ばし、静かに開いた。

「あ、だめ・・・ッ、もう、イけな、あああ!」

 それがエイリの嬌声だと気づき、怒りで視界が真っ赤に染まる。勝手に部屋に入るなどいくら魔王でも許されないと止める理性は全く働かなかった。そのままずんずんと声の元に歩みを進める。

「あ゙、あ゙、イく、また、イくの、んあッ、イクイク、あ゙ーー!!」

 ぐちゅぐちゅと湿った音が響く中、ガタンと大きくベッドが鳴った。無表情の中に隠しきれない怒気を孕んだヴァルゼウスが寝室に足を踏み入れると、そこにはーーー。



「あ、待って、もうお尻無理っ、もうイけないッ、だめ、しないで、ヴァルゼウスさまぁぁ!!」



 うつ伏せになり、シーツを握りしめて泣き喚いているエイリが一人。その尻には自身の尻尾が埋められ、ぐちゅぐちゅと中を弄っていた。

(エイリ・・・っ?!)

「あ゙あ゙、だめ、また、ヴァルゼウスさまッ!お尻やだ、やだ、あ゙ーーー!きもちいの、またくるッ、あっあっ、お尻イく、ヴァルゼウスさまああッ!」

 足の間、ふるふると揺れるエイリの陰茎から、ぷしゅっと透明な液体が噴き出たのが見える。腰を震わせながら何度もそれを噴き上げ、その度にエイリが声にならない声をあげていた。

(これ、は・・・っ!)

 先ほどまでの怒りはどこへやら。ヴァルゼウスが慌てて寝室から出る。そのままエイリの部屋を後にし、自室に駆け込んだ。

「エイリ・・・、エイリ!」

 下履きを緩め、見たことがないほど猛った自身を取り出す。それは血管が浮き上がり、先端からは我慢汁がぽたぽたと滴っていた。

「エイリ、エイリ、ああっ」

 軽く握っただだけで達しそうだった。

(エイリ、君は私のことを考えながらシていたのか?そうだろう?あんなに私の名前を呼んで、尻尾なんかで、尻を・・・ッ!)

「ゔッ!」

 三往復もしないうちに射精し、指の間から大量の精液があふれた。あっという間に白濁塗れになった自身の陰茎を見て呆然とする。まるで精通したての餓鬼のようだと情けなくなった。

(エイリの男根は萎えていたから、尻だけで達していたんだな。潮まで噴いて、何度も何度も・・・クソ、おさまらん!)

「ふ、ッぐ!」

 萎える気配のない陰茎を掴み直し、根本から扱き始める。さっき出した精液がぐちゅぐちゅと音を立て泡立った。

(ああ、エイリ!あのぬかるんだ尻穴を犯したい。尻尾なんかじゃなく、私のもので一番奥まで埋めて孕ませたい。ああクソ、昼のうちに番っておけばよかった・・・!)

 エイリの蜜壺に自身の剛直を突き立てることを想像しながら、手の中に腰を振る。妄想だけであんなに乱れていたエイリを実際抱けばどうなってしまうのだろうか。とびきり優しく抱いてやりたい気もするし、二度と誰の目にも触れないよう閉じ込めて手酷く抱き潰してやりたくもある。

「ゔっ!エイリ・・・っ」

 またもすぐに射精感が湧き上がり、腰を突き上げながら何度も精液を噴き上げた。

「は、は、は、クソ・・・!」

 やはりおさまらない。虚な目で血管の浮いたままの陰茎を握り直す。

 結局ヴァルゼウスは、この日朝方まで自慰に耽り、魔王になって初めて寝坊することになった。



「寝坊とは珍しいですね。エイリも朝から見当たりませんし。今日から政務に復帰だというのに、全くあいつは」
「ん゙ん゙っ」

 朝食をとりながらザルヴァンに小言を言われ、咳払いで誤魔化す。むしろエイリがいなくてよかった、また熱がぶり返しそうだ、などとヴァルゼウスが思っているとは、板についた無表情のおかげで、誰ひとり読み取れないのだった。


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