おばさん刑事、恋をする！ 〜超年下イケメン双子と甘々生活〜

三日目（その三）

　ラベンダー色の半袖のＴシャツ、それに黒のパンツを合わせ、同色のジャケットを手に持って錬が立っている。

　それだけなんだけど。
　なのにーーカッコいい。
　はい、認めます。間違いなくカッコいいですよ、あなたは。
　なんでこう、カッコいいかなあ。背が高くて手足も長い。おまけに顔も小さい。ほんと、見ためモデルさんだよね。
　そしてよくよく見れば、今日は左サイドの髪を少し編み込み、ピンで留めているではないか。
　うー、とってもセクシーユーなんですけど。
　ポーッと見とれていたのだが……ふと、気づく。

「あの、錬、そのＴシャツの色……」

　すると、私の隣にいた環くんが錬に近づく。
　そして後ろに回り込むと、両肩を掴んでピョコッと顔を出して言った。

「あはー、いいでしょ。ユリちゃんとお揃いの、ラベンダー色だよ♡」

　どうやら、錬の服も環くんのお見立てらしい。
　それにしても環くん、アナタはとにかく可愛すぎなんだよー。


　　　＊　＊　＊　＊　＊　＊


「錬はね、今日は大人っぽくしたんだよねー。ユリちゃんに釣り合うように。あ、ユリちゃん、これね。ただのＴシャツじゃないよ。ニットなんだ、オシャレでしょ？　それで逆にユリちゃんは可愛くて……どう？　バランスが取れてるでしょ？」

　錬が私に釣り合うようになんて。逆でしょー、環くん。ああ、年齢的に、なのかな？

「てゆうか、環くん。これで出かけるってこと？　環くんは？　これから着替えるの？」

　環くんはＴシャツとスウェットパンツ姿で起きたまま……にみえる。

「んふふー」

　環くんは不敵な笑みを浮かべると、こう答えた。

「今日は、ユリちゃんと錬のデートでーす♡」
「へっ？」

　えっと、なに、デートだと？　私が？　錬と？　このイケメン状態の……錬と？
　いやいやいや、むりむりむり。

「デ、デートって⁉︎    冗談はやめてね。そんなの無理に決まってーー」
「はいはい、いいからいいから。後は錬に任せて、いってらっしゃーい」

　環くんは私の言葉を遮ると、背中をグイグイ押しながら、有無を言わさない雰囲気であっという間に玄関から錬と私を送り出したのだった。

「えっ、えっ、ちょっと、環くん……」

　締められた玄関の扉に向かってそう言うと、後ろから声がかかる。

「ユリ、行くぞ」
「えっ、錬」

　そう言うと、どんどんと歩いていく。

「えっ、えっ、ちょっと待って」

　スニーカーをちゃんと履くと、急いで後を追った。