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一日目(その十六)♡
しおりを挟むリビングに戻ると、ふたりの強い視線を感じる。
「あー、ごめんね。お待たせしちゃって」
その視線を避けながら元の席に座ろうとするが、環くんに呼び止められる。
「ユーリちゃん! こ、っ、ち」
三人掛けソファに座っているふたりの間に座るよう促されると……嫌な予感しかしない。
ーーそして予想通り……ふたりに挟まれ、尋問が始まったのだった。
「ユーリちゃん。今の男の人、誰?」
左側の環くんにきかれる。
「私の上司よ。捜査一課の課長」
「そいつじゃなくて。ナリタハルなんとかっていう、その後電話を代わったヤツだよ」
右側の錬にきかれる。
「本庁から来ている……偉い人よ」
「なんでそんな偉い人が、ユリちゃんと話したがるの?」
「……さあ、知らないわ。単なる気まぐれじゃないの?」
「そんな偉いヤツに『アンタの顔なんか見たくない』とか言うのかよ」
「ああ……はは、そうね。なんでだろ」
「「…………」」
沈黙が続いた後、ふたりが声を揃えて言った。
「「元カレ?」」
「……あー、どうだったかなー……はは」
(さすが双子、息ピッタリ!)
私の答えに納得したのかしないのか。錬も環くんも、なにも言わずにしばらく黙っている。
(なんで私こんなに恐縮してるの? 別に悪いことをしているわけでもなし! それに、ふたりに責められる理由なんてないのに。そうよ! どーんと構えてればいいのよ、どーんと。……ううっ、でも、空気が重い。ふたりの視線が痛い……)
* * * * * *
沈黙の中、環くんは突然立ち上がると、なぜか私の足元に来て正座をし私を見上げた。
「……環、くん?」
そして両手でそれぞれ拳を作ると、それを私の膝にチョコンと置く。
「……?」
そして小首を傾げると、なんとも甘い声でこう鳴いた。
「ニャアッ」
「⁉︎」
(……な、なにを突然この子は。猫? 猫なの?)
続いて膝に頭をスリスリと擦りつけたり、手でカキカキしてくる。
(えー……一体なんなの? か、可愛すぎるんですけど!)
「ミ……ミャッ?」
「⁉︎」
驚いて右側を見ると、なんと錬が戸惑いながらも私の頬に自分の頬を当て、スリスリと頬ずりをしてくるではないか。
「えっ⁉︎ えっ⁉︎ 待って……」
(なに? 錬、アナタも? アナタも猫なの? なんなのかしら、ふたりとも。……もしかしてこれって、さっきの猫カフェからの、猫マネ⁉︎)
ふたりの可愛すぎる行動に動揺していると、錬がペロペロと耳を舐めてくる。
「えっ! ちょっと待って! やだ、錬」
すると今度は環くんが左手で私の内腿を触り、右手を背中に回し腰の辺りをまさぐりだす。
「た、環くん、やだっ! やめて」
「だってユリちゃん、僕たちと遊んでくれるんでしょ? ニャッ?」
環くんはそう言うと、顔を下腹部辺りに近づけ鼻を擦りつけてくる。
「いやあっ……、違う、そういう意味じゃない……」
錬は耳たぶをカプッと何度か甘噛みすると、今度はいきなり耳の中へ舌先を侵入させてきた。
「あんっ!」
思わず声が漏れる。
その声に大きく反応した錬が、更に奥へと舌先を進め、いきなり中で激しく動き回る。
「あっ、やっ」
錬の少し荒い息遣いと、ピチャピチャといういやらしい音が響き合い、自分の耳の中から聴こえてくる。
「やあっ、ダメぇ……」
体中から力が抜けていく。
「んっ!」
胸元がヒヤリとしたかと思うと、環くんの右手がシャツの中へと入り込む。
更にタンクトップをくぐり抜け私の左胸に辿りつくと、まるで大きさを確かめるように優しく撫で回す。
「あっ、やだ、環くん、あ……んっ」
そして指先がその先端に触れると、一気に体に甘い電気が走る。
「あっ! はぁん……」
自分でも驚くほど甘い吐息が漏れる。
「ユリちゃん、可愛い♡」
「ユリ、あまり可愛い声……出すな」
* * * * * *
(どうしよう……ダメ……こんなの、久々すぎて)
錬は私のメガネをそっと外すとテーブルに置き、両手で私の頬を包むとキスをしてきた。
「んっ、んぅ」
すぐに舌が入ってきて、優しく絡めてくる。
(あのときは、触れたくらいだったのに)
そして右手を私の右胸へと移し、服の上からまさぐりだす。
「んんぅ、や……らめぇ」
環くんはとうとうシャツをまくり上げるとお腹にキスをし、熱を帯びた先端めがけ、舌を徐々に上へと這わせてくる。
「あっ、あぁん」
止められない、どうしよう……このままふたりと……ん? ふたりと? つまり…3《ピーッ》ってこと? ハタチそこそこの子たちと?
「だ、だめーっっ!」
慌ててふたりを押しのけると、ソファから勢いよく立ち上がる。
テーブル上のメガネを手に取ってかけると、ボディバッグと貰った服を抱え、急いで階段へと向かう。
「ふ、ふたりとも、からかわないでって言ったでしょ! そ、それに、私が嫌がることはしないんでしょ? 私、もう寝るから! さっきの部屋借りていいのよね? 明日はここに九時集合ね! ……じ、じゃあ、おやすみなさいっ!」
そう言って一気に階段を駆け上がると、部屋に入り後ろ手に扉を閉め、大きなため息をつく。
「はああ」
そうだ! 鍵……鍵をかけておこう! 念のため。
「ふうう」
鍵をかけるともう一度ため息をつき、その場にへたり込むと、しばらく動けなかった。
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