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一日目(その十)
しおりを挟む「錬、早かったね」
タマキくんは私から離れると、黒のソファまで戻りレンに戯れるように話しかける。
「そうか? いつも通りだろ」
レンは髪を拭いていたタオルを首にかけると、タマキくんの隣に並んで言う。
(本当に……双子なんだ)
こうして並んだ姿を見ると、まさに瓜二つだ。
髪型髪色は違えど、顔のパーツは全く同じに見えるし、細身で長い手足もそっくりだ。
そんな私の視線に気づいたのか、レンが笑顔で近づいてきて言った。
「ちょっとぶり、刑事さん」
その言葉にハッとする。
「そうだった、あなたねー、一体どういうつもりよ⁉︎ さっきはよくもだましてくれて! それになんなのよ、これ。刑事を拉致して手錠で拘束って。これ立派な犯罪よ? 暴行! 拉致! 誘拐! 監禁! それにさっきのキスだってねー、強制わいせつ罪よ。自分のしたこと、わかってる⁉︎」
一気にまくしたててそう言うと、タマキくんが向こうでクスクス笑っている。
「すごいね、おねーさん。さっきと同じセリフ、二回目、ふふっ」
(うっ、だってそりゃ言うでしょ。本人が来たんだから)
「と、とにかくっ、まずは手錠を外して! 話はそれからよ!」
そう言ってレンを見ると、なぜだか不機嫌そうな顔をしている。
「ねえ、聞いてる? 早くこれ外してーー」
私の言葉を遮るようにレンが言った。
「もしかして、ふたりで楽しんでた?」
「はあ?」
* * * * * *
彼の視線を追って自分のお腹を見ると、先ほどのタマキくんのいたずらでタンクトップがまくれ上がったままになっている。
「やっ、ちがっ、これは……」
恥ずかしさで顔が熱くなってくるし、恥ずかしがっているのを見られるのも、なんだか恥ずかしい。
「あの、とりあえず……見ないでよ」
プイッと横を向くと、意外なことにレンは自分が着ているパーカーを脱ぐと、そっとお腹にかけてくれた。
そして、タマキくんの頭をスパァンッと思い切り引っ叩いた。
「なにすんだよ、錬。痛ったいよー」
「手ェ出すなって言ったろ、環」
「えー、だって、ただ待ってるだけなんて退屈じゃん?」
タマキくんはそう言うと、口を尖らせ拗ねるしぐさをしてみせる。
(この子、レンの前だとめっちゃ可愛い子ぶるな。確かに可愛いけども!)
「環、もう行けよ」
レンにそう言われると、タマキくんは軽くため息をつきながら私のほうを見て言った。
「はいはい、おじゃま虫は消えますよ。おねーさん、じゃあね。また後で♡」
そしてすぐに部屋から出ていった。
* * * * * *
「いや、おじゃま虫って古っ……ひゃっ!」
突然お腹に手の感触が感じられる。
かけられていたパーカーがどかされ、レンの手がお腹を触っている。
「ちょ、ちょっとなにしてるの。やめてよ!」
レンは、タマキくんがさっき座っていた椅子に座ると、まだ険しい表情のままできいてくる。
「環になにをされたの?」
「へっ? ……なにって」
なぜ、そんなことを気にするのか。返事に困っている私を、レンはジッと見ている。
「いや、その前にアナタがなにしてるのよ。勝手に触らないで」
「……そうだな、悪かった。じゃあ、触るぞ」
そう言ってまた触ってくる。
「いや、言ったからって、触っていいわけじゃないでしょ」
「ちゃんと断っただろ」
「だからそういうことじゃ……ひゃあっ!」
レンがタンクトップをみぞおち辺りまでまくり上げる。
「や、やだっ、なにするのよ」
「ねえ、ここ、痛かった?」
レンは、みぞおちをトントンッと人差し指でつつくときいてくる。
「い、痛かったに決まってるでしょ。大体なんでアナタこんなことしたのよ。いっとくけど、これ立派な犯罪だからね。そういうのわかってる?」
レンは突然しおらしくなり「悪かったよ、乱暴にして」と、私に謝ったのだった。
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