食いしんぼうエルフ姫と巡る、日本一周ほのぼの旅!

タジリユウ

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第103話 栃木県② ゆば、日光江戸村、宇都宮餃子

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「なんとも不思議な味なのじゃ」

「豆乳という大豆を水に浸してすりつぶして水を加えて煮詰めた汁を加熱すると表面に薄い膜が張るんだ。それをすくってできたものがこのゆばだよ」

 日光東照宮をいろいろと観光して、街中でぶらり食べ歩きをしている。日光では昔から修業を行う修験者が集まってきた。栄養が非常に豊富で消化吸収が良いゆばは精進料理としてだけでなく、日光の名物となったわけだ。

 ちなみにゆばは京都でも有名だが、実は京都のゆばは漢字で湯葉と書き、日光は湯波と書く。京都のゆばは膜の端に串を入れて引き上げる一枚となり、日光のゆばは中央部分に串を入れてふたつに畳んで折るので厚みのある2枚仕立てになるという違いがあるらしい。

 今はシンプルに刺身のように少し醤油をつけて食べているけれど、鍋仕立てにして食べたり、何かを巻いて食べたり、ゆばソフトクリームなどいろいろな食べ方があるのだ。

「この食感が面白いです。それにさっぱりとしていて日本料理には欠かせないですね」

「確かに懐石料理とか京料理とかではよく出てくるよね」

 超絶的にうまい、というわけではないけれど、ゆばは優しい味で食感もいいのである。



「ふ~む、やはりこの国の服は美しいのじゃ」

「ミルネ様、こちらは着物と言って、昔の服で今ではほとんど着られておりません。ここは昔の街並みを再現した場所なのでそれに合わせた服を貸し出しているようですね」

「………………」

 そう、現在ミルネさんと喜屋武さんは美しい着物姿である。ここ日光江戸村では着物のレンタルを行っている。

 それにしてもミルネさんの金髪もよく似合っている。外国人の着物姿も全然違和感がないものだな。そして喜屋武さんの着物姿も素晴らしい。黒髪ロングの着物美人といったところだろうか。

 やはり親しい女性が普段とは異なる服装を着ているのを見るとドキッとしてしまう。もちろんここ江戸村では着物姿だけでなく、町人、忍者など、様々な貸衣装をレンタルすることができる。

「江戸時代の街並みを歩けるだけじゃなくて、忍者体験や侍体験、江戸の謎解き捕物にも参加できるみたいだね」

 江戸の街並みを楽しみながら歩くだけではなく、様々なアトラクションが楽しめるようになっている。

「以前にミルネさんが楽しんでいた忍者屋敷もあるね。他にもお化け屋敷なんかもあるから行ってみようか」

「おお、楽しみなのじゃ!」

 やはり忍者屋敷は子供心をくすぐるのだろう。ミルネさんも楽しんでくれそうだ。

 他にも花魁や水芸のショーなどもあって、男女や年齢に関係なく楽しめる内容となっていた。

 ちなみにミルネさんはお化け屋敷が苦手だったのか、途中で魔法を使ってしまいそうになって喜屋武さんと2人でだいぶ慌てたが、それ以外は楽しく江戸村をまわることができた。



「確かこれは餃子じゃったかのう?」

「さすがだね。宇都宮餃子は三大餃子のひとつで、宇都宮市にはたくさんの餃子屋さんがあるんだよ」

 栃木県の宇都宮餃子、静岡県の浜松餃子、福岡県の八幡餃子が三大餃子だ。その中でも宇都宮餃子のお店は本当にたくさんある。宇都宮駅の目の前には餃子の銅像があったり、餃子広場というたくさんのお店が並んでおり、街全体で宇都宮餃子を押し出している。

 このお店は宇都宮でも有名なお店で、メニューは焼き餃子、揚げ餃子、水餃子の3種類とライスのみとなっていて、ヤキ、スイ、アゲと注文もシンプルだ。

「おお、これはおいしいのじゃ! ご飯にもとってもあうのう!」

「ええ。パリッとした皮の中からアツアツの野菜と肉汁が飛び出してきます。これは素晴らしいですね!」

 メニューはシンプルだけれど、味はマジでうまい。個人的には餃子の中ではこの店の餃子が一番好きなんだよな。

「こっちの水餃子もおいしいよ。揚げ餃子はパリパリとしていて食感が楽しめるよ」

「うむ、どれも本当においしいのじゃな」

「どれも味が違って楽しめますね。」

 焼きも好きなんだけれど、水餃子も好きなんだよなあ。アツアツだけどツルンといくらでも入ってしまいそうだ。揚げ餃子はビールと一緒に食べると本当に最高なんだよなあ……多分お酒の好きな喜屋武さんも同じ気持ちだろう。



「ここの店はいろいろな種類の餃子があるのですね」
 
「チーズ、エビ、シソ、キノコ、激辛、栃木のニラ……いろいろあって面白いよね」

 さっきの店だけでお腹いっぱい餃子を食べたいところだけれど、せっかく宇都宮に来たことだし、もう一店寄ってみる。

 このお店はいろいろな餃子を食べ比べできるお店だ。宇都宮餃子は店によって味が全然違うから、たくさんのお店を試してもらいたいところである。

 このお店の餃子もさぞビールにあうことだろう。持ち帰りの餃子を買って、後で喜屋武さんと楽しむとしよう。

「おおっ、どれも味が違っておいしいのじゃ!」

「ひとつずつ味が違っていて本当に面白いですね」

「さっきの店みたいにシンプルな餃子をウリにしている店もあれば、ここのお店みたいにいろんな種類の餃子を楽しめるお店もあるんだよ」

 宇都宮餃子といっても店によって本当に違って面白いのである。
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