89 / 112
第89話 北海道② 五稜郭、ラッピ、神威岬
しおりを挟む「ここから見える景色は良いのう」
「タワーなんかから見る景色よりも低いけれど、この星型の景色が見られるのはいいよね」
朝市を楽しんだ後は函館五稜郭タワーへとやってきている。
五稜郭は日本で初めて築かれた西洋式の城郭だ。その特徴的な星形の水の堀は現在五稜郭跡として公園になっていて、誰もが訪れることができるようになっている。
そしてその星形の堀をこの五稜郭タワーから見ることができるわけだ。さすがにこの高さからだと綺麗な星形までは見えないけれど、斜めの星には見えている。高さは107メートルほどで、五稜郭だけでなく、函館市街や函館山も一望できるスポットだ。
タワーの形も少し特徴的で、上の方が大きく広がるようになっている。今は雪が少し残っているだけだけれど、真っ白な冬景色や紅葉の季節なんかには違った景色が見られるようだ。
他にも函館山や金森赤レンガ倉庫など、函館には様々な見どころがある。最近は北海道新幹線ができたことにより、飛行機ではなく新幹線で函館まで行くことができるようになったのも助かるよね。
「これは何とも大きなハンバーガーじゃのう……」
「さすがにこれはひとりでひとつは食べられないからみんなで食べようね」
五稜郭タワーへ登り、五稜郭跡を回って少し運動をした後、函館を中心に展開するハンバーガーチェーン店であるラッキーピエロへとやってきた。
ラッピ、ラキピの愛称で観光客だけでなく、地元民にも愛されているご当地ハンバーガー店だ。そしてこの店の名物である巨大なハンバーガーはかなりの高さを誇るハンバーガーなので、どんなに口を大きく開いても一口では食べることができない。
店によってはさらに大きなメニューがあるのも特徴だ。もちろん普通のサイズである一番人気のハンバーガーも本当においしいのでお勧めだ。面白いことに、この店はハンバーガーだけじゃなくて、カレーやオムライスや焼きそばなんてメニューも置いてあるんだよね。
「うむ、これは見た目もすごいが、味もおいしいのじゃ」
「そうですね、味もしっかりとおいしいです」
その大きさに驚くかもしれないけれど、味もしっかりとおいしい。北海道の函館周辺にしかないチェーン店なので、函館を訪れた時はおすすめするぞ。
他にも函館にはハセガワストアというご当地のコンビニがあり、ここで作られているやきとり弁当は値段も安くてとてもうまい。函館や道南の地域ではやきとりと言えば豚のことを指しているのも特徴的だ。本州で言うやきとりが欲しい時にはやきとりを鶏肉でと注文しなければならないらしい。
その辺りも地域で差があって面白い。何も知らずにやきとりを頼んだら、豚を焼いたものが出てくるんだからね。
「綺麗な青色をしておるのう!」
「他の場所よりも濃い青色な気がしますね」
「沖縄の海も綺麗だったけれど、北海道の海もなかなか綺麗だよね」
函館をあとにしてやってきたのはその北にある積丹(しゃこたん)だ。何をどう読んだらしゃこたんと読むんだと思う人も多いとは思うが、北海道はアイヌの時代があったため、面白い読み方をする地名が多い。
足寄(あしょろ)、重蘭窮(ちぷらんけうし)、興部(おこっぺ)、留萌(るもい)、長万部(おしゃまんべ)、占冠(しむかっぷ)などなど。地元の北海道民でも分からない地名が山ほどある。
「神威岬は元々女人禁制だったらしいね。この周辺で女性を乗せた船が近付くと転覆したといういわれがあるらしいよ」
積丹半島にある神威岬は日本海に突き出した岬だ。少し高い場所に位置する遊歩道を歩いて岬へと進むため、周囲300度が美しい色の積丹ブルーの海を見渡すことができる。
その美しい海にポツンとそびえ立つ神威岬と周囲の海がとても綺麗な光景を作り出している。
「これはなんとも豪勢ですね!」
「う~む、色はそこまで綺麗ではないのじゃ……」
「確かにウニの色は茶色でちょっと微妙かもね。こっちの世界だとウニは高級食材なんだよ」
続けてやってきたのは積丹にある食堂だ。この辺りでは赤ばふんウニという超高級なウニを生で食べることができる。普通のウニはすぐに状態が悪くなってしまうため、ミョウバンなどの添加物が加えられているが、ここ積丹では獲れたばかりの生のウニを食べられるんだよね。
「っ!? 濃厚で口の中でとろけていくこの味……これは素晴らしいですね!」
「うむ、味はとってもおいしいのじゃ!」
「うん、やっぱり生ウニは最高だね!」
その生ウニをたっぷりとしようしたウニ丼はこの旅で食べた味の中でも最高級の味だ。もちろんその分お値段もかなりお高いが、それに見合う味である。
積丹のウニは粘りの強い昆布を食べて育っているため、濃厚な甘さと深いコクが特徴的なのだ。北海道は昆布も有名だし、その昆布を食べて育ったウニがおいしくなるのも当然である。
20
第4回ファンタジーカップ現在第3位!(o^^o)
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
お気に入りに追加
238
あなたにおすすめの小説
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
転移先で世直しですか?いいえただのお散歩です
こうたろう
ファンタジー
小説家になろう にも 投稿中
同作品の加筆修正版になります。
建設現場の事故で死亡したかとおもいきや、見知らぬ場所で気がついた主人公 僕です。
そこは異世界の森の中
与えられた目的は寿命が尽きるまで
生きる事なの?
ファンタジーな世界の現実を見ながら
する事は世直し旅か
はたまた、ただの散歩的旅行か
異世界常識なにそれ?美味しいの?
口の悪いミニ女神様と
個性的な仲間達に囲まれながら
のんびり楽しく
刺激的な異世界旅行をするお話です
如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる