60 / 112
第60話 沖縄県④ 波照間島、宮古島
しおりを挟む
【宣伝】
いつも拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます∩^ω^∩
この度10/25発売の別作品、『異種族キャンプで全力スローライフを進行する……予定!』につきまして、各サイトで予約が始まりました!
とても素晴らしいイラストなのでそちらだけでも見ていただけるととても嬉しいです(о´∀`о)
何卒応援よろしくお願いいたします!
https://x.com/tajiriyu08/status/1714603022284996628
今日は日本最南端の波照間島で宿をとっている。とはいえこの島には今までに泊まってきたような10階建ての高級ホテルなんてあるわけはないので、リゾートペンションのような宿に泊まることとなった。
とはいえ南の島にはこっちのほうが合っているかもしれない。目の前には海が広がっているし、明かりも少ない島だから、星空がとても綺麗に見えた。天気も良かったので、例の南十字星もばっちりだった。
「それでは明日の予定はこんなところで」
「いよいよ喜屋武さんの実家かあ。実家に帰るのは久しぶりになるの?」
「そうですね、数年ぶりといったところです。やはり沖縄なので、気軽に帰ることができないですからね」
「なるほど」
喜屋武さんとの打ち合わせを終える。明日は西表島などの離島を回ってから喜屋武さんの実家である宮古島を訪れる予定だ。
今はミルネさんの転移魔法というチートがあるが、実際に離島を訪れるのは大変なのだ。今日行った与那国島や波照間島などはフェリーで数時間かかるうえに沖縄の海は波が激しいので、なかなか辛い道のりだ。
フェリー自体の便も少なく、フェリーにはいつ吐いてもいいように洗面器が常備されていることからゲロ船なんて呼ばれている。高速フェリーの方は速いが揺れがとても大きい。前高速フェリーに乗った時は子供たちが泣き叫び、嘔吐した人も多く、まさに地獄絵図だったな……
それにフェリーや飛行機の値段はなかなか高い。離島暮らしは羨ましいが、規制するのも大変そうだよな。
「それじゃあいつものやつだ。今日のはちょっと度数が高いやつだから気を付け……って言うまでもないことか。それに小さなボトルしか買っていないから大丈夫だし」
「泡波ですか。やはり沖縄のお酒と言えば泡盛ですよね」
沖縄と言えば泡盛が有名だ。そもそも泡盛とは蒸留酒の一種で、原料にタイ米を使用しており、黒麹菌を使用しているという大きな特徴がある。アルコール度数の低いものでは20度から、高いものでは50度近くになる。基本的には30~40度くらいのものが多い。
そしてこの泡波という泡盛はこの波照間島でしか販売していない幻の泡盛と呼ばれている。最近では小さなサイズのボトルが販売されている。多少割高だが、他の泡盛との飲み比べができるのでおすすめだぞ。
「それでは乾杯」
「乾杯」
つまみには沖縄名物の島ラッキョウやミミガー、海ブドウを用意してある。やはりその土地のつまみを食べながら飲む酒は格別である。
度数は高いが量は少ないので、喜屋武さんもさすがに酔ったりはしなかったが、地元の沖縄ということもあっていつもより饒舌だった気がした。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「おお~これは今までに見た海の中で一番きれいな海かもしれんのう!」
「宮古島の海はミヤコブルーと呼ばれており、日本一綺麗な海とも呼ばれておりますね」
「ダイビングやシュノーケリングでも有名らしいね」
宮古島の海は沖縄の海の中でも格別美しいので、大勢の観光客がここを訪れる。
今日は宮古島を訪れている。俺は前回の旅で宮古島には来たことがなかったので、今回は喜屋武さんの記憶をもとに転移魔法でここまでやってきた。
「ここはイムギャーマリンガーデンと呼ばれているビーチです。自然にできた入江の周りに橋やこの展望台などがある観光スポットですね」
高台の上から宮古島の美しい海と入江が見下ろせる場所だ。確かにこれは一見する価値があるな。
「今は時期ではないので観光客はおりませんが、夏場の時期は人の姿しか見られないくらいに大勢が押しかけますよ」
「夏の宮古島とか尋常じゃないほど混んでいそうだよね……」
どの観光地もピーク時は観光客がすごいが、沖縄の観光地は他の観光地とは段違いなんだろうな。
「ここが私の実家です」
続いてやってきたのは喜屋武さんの実家である。今日は喜屋武さんの実家に泊めてもらうことになっている。いつも通りホテルに泊まっても良かったのだが、ミルネさんが喜屋武さんの家に泊まってみたいという要望があった。正直なところ、俺も沖縄の一般の家がどうなっているのかは興味があった。
喜屋武さんの実家は沖縄でよく見かける昔ながらの家だった。沖縄はとても暑いため風通しの良さが特徴となっている。また台風も多いため、それを防ぐための石垣などがどの家にもある。そして屋根の上には沖縄定番のシーサーの置物があった。
「あれ、勝手に入っちゃっていいの?」
「ええ。両親は近くの宿に泊まってもらっています」
「なんじゃ、別に気を遣わんでも良かったのに」
「すみません、いろいろと機密保持のこともありましたから」
まあミルネさんや異世界のことを両親に説明するのは難しいもんな。
「地元の人と話すのは楽しいからちょっと残念だな」
実際に旅をしながらその土地に住む人たちと話をするのはとても楽しい。今回はミルネさんがいるのでそれは難しいが、喜屋武さんの両親なら話を聞けるかと楽しみにしていたのに……
「……おそらく方言でまともに会話ができないと思いますよ」
「あっ、確かに……」
地方によって方言はあるものだが、特に東北とここ沖縄の方言はとにかくヤバい。若い人なら全然会話になるのだが、高齢な方と話すと、はっきり言って会話がまったく成立しない。
同じ日本語とは思えないほど方言やなまりが分からないのだ。俺も東北で地元の人に声を掛けてくれたのは嬉しかったが、会話の半分以上が理解できずに相槌を打っていただけだったのを思い出す。
いつも拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます∩^ω^∩
この度10/25発売の別作品、『異種族キャンプで全力スローライフを進行する……予定!』につきまして、各サイトで予約が始まりました!
とても素晴らしいイラストなのでそちらだけでも見ていただけるととても嬉しいです(о´∀`о)
何卒応援よろしくお願いいたします!
https://x.com/tajiriyu08/status/1714603022284996628
今日は日本最南端の波照間島で宿をとっている。とはいえこの島には今までに泊まってきたような10階建ての高級ホテルなんてあるわけはないので、リゾートペンションのような宿に泊まることとなった。
とはいえ南の島にはこっちのほうが合っているかもしれない。目の前には海が広がっているし、明かりも少ない島だから、星空がとても綺麗に見えた。天気も良かったので、例の南十字星もばっちりだった。
「それでは明日の予定はこんなところで」
「いよいよ喜屋武さんの実家かあ。実家に帰るのは久しぶりになるの?」
「そうですね、数年ぶりといったところです。やはり沖縄なので、気軽に帰ることができないですからね」
「なるほど」
喜屋武さんとの打ち合わせを終える。明日は西表島などの離島を回ってから喜屋武さんの実家である宮古島を訪れる予定だ。
今はミルネさんの転移魔法というチートがあるが、実際に離島を訪れるのは大変なのだ。今日行った与那国島や波照間島などはフェリーで数時間かかるうえに沖縄の海は波が激しいので、なかなか辛い道のりだ。
フェリー自体の便も少なく、フェリーにはいつ吐いてもいいように洗面器が常備されていることからゲロ船なんて呼ばれている。高速フェリーの方は速いが揺れがとても大きい。前高速フェリーに乗った時は子供たちが泣き叫び、嘔吐した人も多く、まさに地獄絵図だったな……
それにフェリーや飛行機の値段はなかなか高い。離島暮らしは羨ましいが、規制するのも大変そうだよな。
「それじゃあいつものやつだ。今日のはちょっと度数が高いやつだから気を付け……って言うまでもないことか。それに小さなボトルしか買っていないから大丈夫だし」
「泡波ですか。やはり沖縄のお酒と言えば泡盛ですよね」
沖縄と言えば泡盛が有名だ。そもそも泡盛とは蒸留酒の一種で、原料にタイ米を使用しており、黒麹菌を使用しているという大きな特徴がある。アルコール度数の低いものでは20度から、高いものでは50度近くになる。基本的には30~40度くらいのものが多い。
そしてこの泡波という泡盛はこの波照間島でしか販売していない幻の泡盛と呼ばれている。最近では小さなサイズのボトルが販売されている。多少割高だが、他の泡盛との飲み比べができるのでおすすめだぞ。
「それでは乾杯」
「乾杯」
つまみには沖縄名物の島ラッキョウやミミガー、海ブドウを用意してある。やはりその土地のつまみを食べながら飲む酒は格別である。
度数は高いが量は少ないので、喜屋武さんもさすがに酔ったりはしなかったが、地元の沖縄ということもあっていつもより饒舌だった気がした。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「おお~これは今までに見た海の中で一番きれいな海かもしれんのう!」
「宮古島の海はミヤコブルーと呼ばれており、日本一綺麗な海とも呼ばれておりますね」
「ダイビングやシュノーケリングでも有名らしいね」
宮古島の海は沖縄の海の中でも格別美しいので、大勢の観光客がここを訪れる。
今日は宮古島を訪れている。俺は前回の旅で宮古島には来たことがなかったので、今回は喜屋武さんの記憶をもとに転移魔法でここまでやってきた。
「ここはイムギャーマリンガーデンと呼ばれているビーチです。自然にできた入江の周りに橋やこの展望台などがある観光スポットですね」
高台の上から宮古島の美しい海と入江が見下ろせる場所だ。確かにこれは一見する価値があるな。
「今は時期ではないので観光客はおりませんが、夏場の時期は人の姿しか見られないくらいに大勢が押しかけますよ」
「夏の宮古島とか尋常じゃないほど混んでいそうだよね……」
どの観光地もピーク時は観光客がすごいが、沖縄の観光地は他の観光地とは段違いなんだろうな。
「ここが私の実家です」
続いてやってきたのは喜屋武さんの実家である。今日は喜屋武さんの実家に泊めてもらうことになっている。いつも通りホテルに泊まっても良かったのだが、ミルネさんが喜屋武さんの家に泊まってみたいという要望があった。正直なところ、俺も沖縄の一般の家がどうなっているのかは興味があった。
喜屋武さんの実家は沖縄でよく見かける昔ながらの家だった。沖縄はとても暑いため風通しの良さが特徴となっている。また台風も多いため、それを防ぐための石垣などがどの家にもある。そして屋根の上には沖縄定番のシーサーの置物があった。
「あれ、勝手に入っちゃっていいの?」
「ええ。両親は近くの宿に泊まってもらっています」
「なんじゃ、別に気を遣わんでも良かったのに」
「すみません、いろいろと機密保持のこともありましたから」
まあミルネさんや異世界のことを両親に説明するのは難しいもんな。
「地元の人と話すのは楽しいからちょっと残念だな」
実際に旅をしながらその土地に住む人たちと話をするのはとても楽しい。今回はミルネさんがいるのでそれは難しいが、喜屋武さんの両親なら話を聞けるかと楽しみにしていたのに……
「……おそらく方言でまともに会話ができないと思いますよ」
「あっ、確かに……」
地方によって方言はあるものだが、特に東北とここ沖縄の方言はとにかくヤバい。若い人なら全然会話になるのだが、高齢な方と話すと、はっきり言って会話がまったく成立しない。
同じ日本語とは思えないほど方言やなまりが分からないのだ。俺も東北で地元の人に声を掛けてくれたのは嬉しかったが、会話の半分以上が理解できずに相槌を打っていただけだったのを思い出す。
10
第4回ファンタジーカップ現在第3位!(o^^o)
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
お気に入りに追加
238
あなたにおすすめの小説
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
転移先で世直しですか?いいえただのお散歩です
こうたろう
ファンタジー
小説家になろう にも 投稿中
同作品の加筆修正版になります。
建設現場の事故で死亡したかとおもいきや、見知らぬ場所で気がついた主人公 僕です。
そこは異世界の森の中
与えられた目的は寿命が尽きるまで
生きる事なの?
ファンタジーな世界の現実を見ながら
する事は世直し旅か
はたまた、ただの散歩的旅行か
異世界常識なにそれ?美味しいの?
口の悪いミニ女神様と
個性的な仲間達に囲まれながら
のんびり楽しく
刺激的な異世界旅行をするお話です
如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる