45 / 87
第45話 長崎県① 出島、平和記念公園、長崎新地中華街
しおりを挟む「このあたりだけ古い建物が多いのじゃな」
「ああ、ここは出島と言って400年ほど前の江戸時代で貿易に使われていた人口島を再現した場所なんだ」
「ここが歴史で習ったことがある長崎の出島ですか。実際には島ではないのですね」
「昔は埋め立てられた人口島だったんだけど、今はこのあたり全体が埋め立てられているね。それにここは再現された場所で、実際には別の場所にあったんだよ」
誰しもが歴史の教科書で見たことがある長崎の出島。しかし今では川を挟んでいるとはいえ、長崎の街中にポツンとあったりする。
出島といえばあの扇形の島が思い浮かぶが、今では街中に川と木の塀で囲まれた場所となっている。
「確かに中は木造建ての昔の建物ばかりですね」
今では観光地として橋で川を渡って、再現された当時の建物や歴史などを学ぶことができるようになっている。
「ここはオランダ商館長が使っていた一番大きな建物で、その中でも商館長の住居と仕事場になっていたカピタン部屋だよ。カピタンはポルトガル語で商館長って意味らしい」
「シャンデリアや壁紙が綺麗でですね。当時にしてはとても豪華な部屋だったのではないですか?」
「もちろん。ここで外国のお偉いさんとかを招いていたらしいからね。だけどここよりも大広間のほうが豪華だよ」
「確かにこちらのほうが綺麗じゃな。これは当時の食事の再現かのう?」
「天井には複数のシャンデリアが飾られていて、大きなテーブルには当時の再現された食事があるんだ。まあ食事のほうは作りものだけどね」
大広間は一際豪華な部屋となっており、タイの塩焼きや牛肉、小魚のから揚げみたいな当時の食事が並んでいる。
個人的にはファンタジーの世界のお城での食事といったイメージなので、もしかしたらミルネさんの普段の食事を取る場所はこんな場所なのかもしれないな。
他にも筆者蘭人部屋ではオランダ人事務員住まいが復元されており、出島から世界へとつながっていることを示す資料などが展示されている。
「ずいぶんと大きな像じゃな」
続けてやってきたのは長崎の平和公園だ。ここは広島の平和公園と同様に原爆の悲惨さと世界平和の実現を願うための記念公園である。
「これは平和記念像で長崎出身の彫刻家が原爆犠牲者の冥福を祈ると共に世界平和を祈って作られたんだよ」
この公園にある平和の泉は被爆者たちが水を求めてさまよった手記を刻んだ石碑が設置されており、当時の原爆の悲惨さを表している。
そして長崎の原爆記念館では、当時被害を受けた資料や写真などが展示されている。なかでも11時2分を指して止まってしまった柱時計の惨状は、当時の原爆の威力を物語っていた。
こういった戦争の悲惨さを学び、二度と戦争を起こしてはならないという気持ちをひとりひとりが持つことも大事なのである。
「ふむ、ここは中華街という場所じゃな」
「そうそう。横浜と神戸と並ぶ日本三大中華街の長崎新地中華街だよ」
さすがに中華街も3度目となれば、建物の特徴で中華街ということが分かったみたいだ。中華街の独特な建物は特徴的だもんな。
「こちらは他の中華街と比べるとそれほど広くはないのですね」
「そうだね。長崎の中華街はメインの十字路と途中にある数本の道くらいしかないんだ。でもその中でもお店はいっぱい並んでいるからね」
確かに規模的には横浜や神戸よりも小さいが、たくさんのお店や食べ歩きできる店がたくさんある。
ここではゴマ団子や月餅などのデザートや角煮まんなども有名だな。
「そしてこれが長崎の名物のちゃんぽんだよ!」
「ちゃんぽん……ラーメンとは別なのかのう?」
「見た目は似ているんだけど、作り方とか麺とかスープで結構違いがあるんだよ」
見た目は野菜を乗せたラーメンに見えるちゃんぽんだが、実際にはラーメンとは結構な違いがある。
まず調理の過程だが、ラーメンは器にスープと茹でた麺とトッピングを別々に乗せていく。しかしちゃんぽんは炒めた野菜や肉、スープ、茹でた麺を合わせてさらに煮込む煮込み料理に分類される。
麺や具材をスープと一緒に煮込むので、スープの味が麺や具材に染み込むところが特徴となる。
そして麺は唐灰汁と呼ばれるかん水が使われている。麺を少し煮込むのに適しており、スープを程よく吸ってコシがありつつももっちりとした食感の麺が特徴的である。
ラーメンのスープは豚骨ベースに鶏ガラスープを加える店が多いがちゃんぽんは鶏ガラベースに豚骨スープを加えたスープが多いらしい。
「おおっ、麺がモチモチとしており、スープが少し染み込んでうまいのじゃ!」
「ええ。それにこのスープがとてもおいしいですね。かなり濃厚な味わいですが、後味はとてもスッキリしております」
そう、よくあるチェーン店のちゃんぽんもうまいにはうまいのだが、この店のちゃんぽんは本当に別物なんだよね。スープや麺それぞれがとてもおいしくて、ラーメンではなくちゃんぽんを食べているって感じがする。
しかもこの辺りには多くのちゃんぽんが有名な店もあるので、いろんな店のちゃんぽんを食べ歩いてみたいところである。
そして夜のおやつは当然ながら長崎県発祥のカステラである。優しくてふんわりとした甘さのカステラはお土産にも最適だ。
唯一の問題としては、有名なカステラ屋さんが多すぎて、どこのカステラにするか毎回迷うんだよね……お金に余裕があれば食べ歩きをするのもおすすめだぞ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
228
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる