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第32話 愛媛県② 今治城、今治タオル、道後温泉
しおりを挟む「おお、今までいろいろな城を見てきたが、この城は海に近く、中には美しい堀があるのじゃな!」
「今治城は日本でも珍しい海に面している海城だからね。この堀の水も海から引いているんだよ」
今治城は瀬戸内海に面しており、堀の水は海水から引いているという珍しい城である。直接海から堀の中に船で入れるという珍しい構造をしている。
また、海とつながっているため、海の魚が堀の中に入ってくる。魚どころかサメが入ってくることもあったらしい。
「それほど大きくはありませんが、白くて綺麗なお城ですね」
「姫路城みたいに大きくはないけれど、白いお城と綺麗な海に囲まれていて綺麗だよね」
世界遺産の姫路城ほどではないが、真っ白でとても綺麗なお城だ。城攻めをする際も、海から攻めるなんてほとんどの敵が経験したことないだろう。
「ここがあの有名な今治タオルを作っている場所なのですね」
「今治タオル?」
「日本では有名なタオル……手ぬぐいみたいな布だよ。ここ愛媛県今治の名産品なんだ」
今治タオルの特徴は吸水性の良さと肌触りの良さだ。ここ今治ではタオル作りに適した質の良い軟水に恵まれている。
また、繰り返し使っても固くなることがないのも今治タオルの特徴でもある。そしてそれを実現するためにタオルの素材にはこだわりがあるそうだ。
「この今治タオル美術館では今治タオルを作る過程を見学することができるんだ。他にもタオルで作ったアイスクリームやケーキのオブジェが並んでいるんだよ」
今治タオル美術館ではタオルの原料となる原綿から織り糸を紡いで、タオルを織り上げる工程を見学することができる。
「しかしこの世界で物を作るのはすべて機械が行っておるのじゃな。すさまじいスピードじゃ……」
「そうですね、こちらの世界では基本的な物作りのほとんどを機械が行ってくれます。今では反対に人の手で作るもののほうが手間がかかるので価値があったりしますね」
「ふ~む、それは面白いのう」
喜屋武さんの言う通り、こちらの世界では基本工場で機械によって作られている。伯方の塩の工場でも大半が機械の作業だからな。むしろ手作りのほうが価値がある。
ちなみにこのタオル美術館の半分以上は今治タオルを販売するフロアとなっており、様々な種類の今治タオルが購入できるようになっている。
人気のキャラクターの刺繡が入ったタオルや、自分の好きな文字や絵柄を刺繍してくれるサービスなどがあるので、愛媛県のお土産にもピッタリである。
「ちょっと早い晩ご飯は鯛めしだよ」
今治タオル美術館を楽しんで、ついでに今治タオルのお土産を買った後は、今治から松山へと移動してきた。そして愛媛県の名物料理と言えば鯛めしである。
「ふむ? これはどうやって食べるのじゃ?」
「実は鯛めしは2種類あるんだ。このお店では両方を食べ比べることができるんだよ。こっちのほうが宇和島の鯛めしで、こっちが松山の鯛めしだよ」
愛媛県は真鯛の養殖が盛んで、日本一の生産量を誇っている。
宇和島の鯛めしは生卵入りのタレに漬けた鯛のお刺身をタレごと温かいご飯にかけて食べる料理で、松山の鯛めしは焼いた鯛をのせて鯛のあらや骨や昆布で取った出汁を使ってふっくらと炊き込んだ料理だ。
「ほお! 甘辛いタレに漬けた生の魚の刺身はうまいのじゃ! それにこのタレが白いご飯によく合うのう!」
ミルネさんもだいぶ白い白米の魅力に取りつかれてきているな。宇和島の鯛めしは本当にご飯が進むので、ご飯お代わり自由のお店が多かったりする。俺も自転車で旅をしていた時は何杯ご飯をお代わりしたか覚えていないぞ。
「こちらの鯛めしはふっくらとした鯛の身と出汁で炊いたご飯があって、とてもおいしいです」
松山の鯛めしはひつまぶしと同様に、まずは普通に食べ、次に薬味を乗せて食べ、最後にはお茶漬け出汁をかけて食べる。ひつまぶしもそうだが、やはりこの出汁をかけて食べるのが最高にうまいよな。
他にも愛媛名物の鯛そうめんや松山酢、じゃこ天などといった愛媛料理を楽しんだ。
「なにやら歴史のありそうな建物のようじゃな」
「そうだね、道後温泉は有馬温泉と並ぶ日本三古湯のひとつで、なんと3000年以上の歴史を持っているんだよ」
「「3000年!?」」
ミルネさんだけでなく喜屋武さんも驚いている。中国3000年の歴史ではないが、3000年前って想像もつかないよな……
「ここ道後温泉本館の建物も歴史があって重要文化財にも指定されているんだよ」
道後温泉のシンボルとなっている道後温泉本館には神の湯と霊の湯に2種類の浴室がある。霊の湯は大理石で作られている高級感溢れる浴室となっている。
両方の温泉に入ろうとすると少し値段は上がるのだが、どちらの浴室も趣があって楽しめるので、せっかくなら両方入るのがおすすめだ。
ここ道後温泉の温泉街や駅前にある足湯や坊っちゃんカラクリ時計など、温泉だけでなくいろいろと楽しめる場所となっている。
「お風呂上がりのあとはちょっとしたお菓子……なんだけれど、愛媛県はいろいろなお菓子があるから、全部じゃなくて少しずつ食べてね」
いつものその県のお菓子を少し買ってきて、ミルネさんと喜屋武さんに渡しているのだが、ここ愛媛県にはたくさんの銘菓がある。
坊っちゃん団子、一六タルト、坂の上の雲、しょうゆ餅、母恵夢。ありがたいことにひとつ入りものがコンビニなどで売っているので、少しずつ楽しむことも可能だ。
そして愛媛県と言えばみかんなのだが、こちらもたくさんの種類がある。有名なところで甘平や紅まどんな、はるみ、他にもいよかんやポンカンやデコポンなどいろいろと含めると何十種類にもなるのだ。
「す、すごい種類があるのですね……」
「さすがに全部は食べきれなさそうなのじゃ……」
「全部は無理だから、好きなやつを少しずつ取ってね」
まあ全部食べたい気持ちはよくわかるが限度はあるからな。いろいろと食べ比べてみるのも面白いのだが、食べすぎてお腹を壊さないように気を付けないといけない。
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