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第14話 愛知県③ 名古屋城、味噌カツ
しおりを挟む「ほお~! これは大きくて立派な建物じゃな!」
「ええ、これは見事なお城ですね」
「名古屋城は日本の城の中でも大きいほうだからね。それに大きいだけじゃなくて、豪華絢爛な本丸や、敵が攻めてきた時のための高い石垣や堀など多くの特徴があるんだ」
確か大阪城、熊本城と共に日本の三名城のひとつとして数えられているたはずだ。徳川家が威信をかけて建てた城だけのことはある。
「そして名古屋城といえばこの金のシャチホコだよな」
「まっ、まさかこれ全部が金でできておるのか!?」
「いや、このお城の上にあるのは本物の金だけど、下にあるこのシャチホコはレプリカだよ。やっぱりミルネさんの世界も金は高価だったりするの?」
「うむ。妾達の世界では錆びにくい金属であったため、今も貨幣として使われておるぞ。しかし屋上にあるのは巨大な金の塊なのか……やはりこちらの世界はとても裕福な世界なのじゃな」
「この国や他の国も昔は金を貨幣として使っていたんだよ。まあ、金のシャチホコは裕福さを見せるというよりも、自分達の権力を見せようとして作ったと言うほうが正しいかな」
「なるほど、どこの世界でも権力者というものは変わらんのう」
どうやらミルネさんの世界でも、心当たりがあるみたいだ。
「そういえばミルネさんの世界だと金以外の価値とかはどうなっているの? やっぱりレアメタルとか石油とかに価値が……」
「レアメタル? 石油?」
「佐藤さん! ちょっとよろしいでしょうか!」
「うわっ、びっくりするじゃないですか、喜屋武さん!?」
ミルネさんと話をしているといきなり喜屋武さんが話に割り込んできた。
「……佐藤さん、そのあたりの資源の価値につきましては、ミルネさんにくれぐれも秘密にしておいてくださいね」
「………………」
うわっ、せこいな。たぶん向こうの世界の人達がレアメタルなどの価値を知らない間に買い叩く気だろう。大人って本当に汚い……
「……ちなみにこの件につきましては、政府より正式に要請させていただきます。もしもこちらの要請を拒むようであれば……」
「はっはっは、もちろん拒むわけないですよ! イエス、ユア、マジェスティ!」
「ご理解いただけてなによりです」
こえーよ! 下手に拒んだら、俺消されるんじゃないのか……
どちらにせよ異世界との外交関係に口を突っ込む気はない。それにミルネさんに直接の被害があるというわけではないからな。
「アンリ、タケミツ、どうした。大丈夫か?」
「問題ないです。次の予定について、佐藤さんと少し話していただけですから」
「ああ、大丈夫だよ。さあ、城の中に入ろうか。名古屋城の中は、この国の昔の物を展示しているから、きっと面白い物がいろいろとあるよ」
「おお、この国の昔の物か。それは興味があるのじゃ!」
もし俺が異世界に行ったら、異世界の歴史とかすごい興味があるもんな。ミルネさんもこちらの世界の物には興味があるだろう。……レアメタルや石油のことはそのまま忘れてください。
「ほう、これがこの国の武器か。なんとも美しいのじゃな!」
「この剣は日本刀といって、この国独自の武器なんだ。世界一美しい武器とも言われているよ。美しいだけじゃなくて、耐久性にも優れていてよく斬れるんだ。
比較的柔らかい心鉄を包み込むように硬い鋼の皮鉄を巻き付ける。これによって外側は硬く内側は柔らかい構造になって、よく斬れるけれど折れにくいという性質を持たせることができるんだ。
そして刀に反りをつけることによって、対象を切りやすい斜めから切ることができ、また引く力も加えられて切れ味が増すような仕組みになっている。まさに芸術品だよね!」
「「………………」」
「あれっ、2人ともどうしたの?」
「いや、いつもの説明よりも力が入っておると思ってのう……」
「こっちの世界の男は子供の頃に乗り物や武器とかに興味を持つものなんだよ。カッコいい武器の作り方とかすごい気になるじゃん!」
普通は刀とか銃とかの作り方ってネットで調べたりするよね。……俺って普通だよね? 別にオタクとかじゃないよね?
「……正直キモイです」
「こら、そこ! もう少し俺に優しくして!?」
相変わらず喜屋武さんの言い方がひどい! もう少し俺に優しくしてくれてもいいじゃん!
「これは美しいのじゃ! 見事な絵じゃのう!」
「なかなか迫力がありますね。それに金の屏風なんて、なんだかとても贅沢な気がします」
名古屋城の本丸の襖や壁には金の屏風に描かれた虎や竹林などの美しい絵が描かれている。将軍が泊まる部屋である上洛殿には、美しい屏風だけでなく、天井や壁にまで美しい絵や彫刻が施されている。こんな豪華な部屋だと逆に眠れなくなりそうだけどな……
他にも名古屋城には城の周りには美しい公園や展示物、櫓や茶席などなど、いろんな見どころがある。さらには金シャチ横丁といって、名古屋めしが食べられるお店が並ぶ通りもある。名古屋に来たらぜひ訪れてほしい場所でもあるな。
「おおっ、これは大きいのじゃ! それになんとも言えん美味しそうな香りじゃな!」
「ソースがジュワジュワと焼けて、とても良い匂いがじすね」
そして名古屋城とその周りを楽しんだあとは、昼間にあえて食べなかった名古屋めしの代表格である味噌カツを食べにやってきた。
「カツと言って、衣を付けて高温の油に浸して揚げた肉に、八丁味噌をベースにした濃い目のソースをたっぷりとかけて食べるんだ。このお店は味噌カツで有名なお店で、この大きなカツに、これでもかとたっぷりの味噌ソースが掛かっているこの独特の味がクセになるんだよねえ」
「……これは確かに美味しいです。白いご飯を合わせるとさらに美味しいですね」
むしろご飯がないときついくらい味噌の味が強いからな。サラサラとしたソースだが、八丁味噌の甘辛い濃厚な味が、脂身の多いロースカツにとても合っている。肉の量が多いから、途中でゴマやカラシを付けて食べると、なおうまい!
この味噌ダレは付け合わせのキャベツにも合う。むしろキャベツとこの味噌ダレだけでご飯一杯いけるくらいだ。個人的には名古屋めしの中ではこの味噌カツが一番好きだぜ。
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