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第68話 ダンジョン攻略スタート
しおりを挟む「ヒゲさん、第2階層へのゲートはあっちの方角だよ」
「ああ、ありがとう瑠奈」
瑠奈が第1階層にある第2階層へとつながるゲートの位置を調べて教えてくれた。このダンジョンも含めて、最近では低階層の情報などはすでに一般的に公開されている。本来ならば自分でセーフゾーンなどをマッピングして次のゲートを目指していった方が探索者としての実力は身に付いていくのだが、今はそんな時間がない。
もちろん41階層までは宝箱なんかを見つけても無視して、モンスターなんかがいても相手をせずに一直線で次の階層を目指していく。
モンスターについては低い階層なら動きが遅くてすぐにターゲットの範囲から外れるから大丈夫だが、深い階層ではモンスターを引っ張って他の探索者に擦り付けてしまう、いわゆるトレイン行為にはならないように気を付けないといけない。
「さあ、それじゃあ久しぶりにダンジョン攻略を始めますかね!」
それにしてもダンジョンを本気で攻略していくのはだいぶ久しぶりだ。しかも今回はできるだけ早くダンジョンを攻略をしていかなければならない。
さあ、集中だ!
「よし、行くぞ!」
一気に地面を蹴って、ダンジョンの中を走り出した。
モンスターを倒すことによって手に入った経験値は別のダンジョンの中でも適用される。ダンジョンの外とは比べ物にならないほどの速さでダンジョンを駆け抜ける。
第1階層は草原の階層で障害物なんかはほとんどない。たまにモンスターやダンジョン探索者を見かけたが、すべて無視をして先へ進んで行く。
「……よし、第2階層へのゲートが見えたぞ!」
モンスターやダンジョン探索者たちをすべて無視して、一直線にゲートの元へ走り抜けた。おそらく時間は10分間もかかっていないだろう。
全速力で走ると、人がいた時に衝突してしまうから、自分自身で急停止したり方向転換ができるくらいの速度だ。この辺りの階層は特に初めてダンジョンに入る駆け出し探索者たちが多いから、こちらの方が気を付けなければならない。
ところどころでジャンプをしてゲートが視界にないかを確認しつつ進んできた。もしも方向がおかしくなっていたり、何かあればリスナーさんたちが連絡をしてくれて、腕のデバイスに通知が入るように設定してある。
ゲートを通って第2階層へと進んで行く。
「ヒゲダルマさん、こっちです!」
「すごい……まだ10分も経っていないのに……」
ゲートを通って第2階層へと転移すると、華奈と瑠奈が俺を待っていた。2人は横浜ダンジョンの20階層まで攻略を勧めていたので、ゲートを通って20階層までの各階層の入り口まで一瞬で転移することが可能だ。
「ヒゲダルマさん、第2階層は森型の階層になります」
「ゲートはあっちの大きな木の根元だよ!」
「この階層は分かりやすい目印があるな。2人とも本当に助かるぞ」
華奈と瑠奈にお礼を言いつつ、第2階層を駆け抜ける。俺の今の身体能力ならば、高い木々の枝を飛んでダンジョンを進んで行くことが可能だ。この階層は次の階層までの分かりやすい目印もあるし、他の探索者に衝突する危険もないので、さっきよりも飛ばして進めそうだな。
「ここが第3階層目か」
「ヒゲさん、こっちだよ!」
「すごいですね、さっきの階層よりも早い時間です……」
「森の木々の上を進んで障害物がないみたいなものだったからな。3階層はまた草原の階層だな」
「うん。次の階層のゲートはあっちの方向だよ!」
「ああ、助かる。悪いが20階層までは案内を頼むぞ」
「はい、任せてください!」
俺がその階層を攻略している間にリスナーさんたちが次の階層までの方向と注意しなければならないモンスターがいないかを調べてもらって、それを華奈と瑠奈に共有してもらい、次の階層へ進んだ時にその情報を受け取るといった流れだ。さて、このまま攻略を進めていこう。
「7階層目は洞窟型の階層か」
攻略を開始し始めて約1時間、特に大きな問題もなく順調に6階層目まで攻略してきた。そして7階層目は洞窟型の階層のようだ。
「くそっ、洞窟型は面倒なんだよな」
「この階層はリスナーの皆さんがナビをしてくれますので、そちらを見て進んでくださいね」
「ああ、了解だ」
大宮ダンジョンの36階層もそうだが、ダンジョンにはそこそこの頻度で洞窟型の階層が現れる。この階層は他の広い階層とは異なって、狭い通路を通って進まなければならない。
もちろん他の探索者も通るし、通路内でモンスターと戦闘をしている可能性も十分にあるので、通路内ではあまりスピードを出せない。そのうえ、スピードを出さずに進まなけれならないから、モンスターをトレインしないようにすべて倒していかないと他の探索者に迷惑が掛かる。
迷惑が掛かるくらいならよいのだが、実際に他の探索者の命にも関わることだからな。月面騎士さんとも約束をしたし、他の探索者に被害を出さないようにしつつ、最速で攻略を進めていこう。
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