キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ

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第131話 街ぶら

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 まずはそこそこの宿を確保した。新しくカルラが旅の仲間に加わったことで5人となったが、フー太は俺と一緒のベッドに寝るということで4人用の部屋を確保する。

 相変わらず男の俺と一緒に女性3人が泊まることになるのだが、キャンピングカーでも毎晩一緒なわけだし今更だな。こちらは多少気にしているのだが、みんなはまったく気にしていないようだ。

 むしろ宿の人が多少困惑していた。今までのメンバーに外套をかぶった怪しい人物も加わったわけだし、それも当然か。

 不審に思われつつも宿は借りられたので、そのあとは屋台を巡って昼食を食べてきた。そしてそのままこの街の市場へと移動している。

「う~ん、シゲトの料理に比べると、あんましうまくなかったな」

「そうですね。ドラゴンの肉という素材の良さを差し引いてもシゲトの料理の方がはるかにおいしかったです」

「シゲトお兄ちゃんの料理はいろんな味がするし、焼いたり茹でたりするだけじゃなくて、いろんな食べ方があるもんね!」

「ホホー!」

「昨日はおいしい肉を食べたばかりだから一層そう感じられるのかもね。それに香辛料や調味料の種類がたくさんあって気兼ねなく使えるからだと思うよ」

 みんなは俺の料理を口々に褒めてくれるが、最近は天ぷら、ドラゴンの肉、焼き立てのパンにベーコンなど、俺がこの異世界に来てからの間で上位に入る料理を食べ続けていたから、多少舌が肥えている可能性も高い。

 あとは香辛料や調味料を自由に使えるのは大きいよな。本当にキャンピングカーの機能には感謝しないといけない。

「さて、次は買い物に行こう。食材とかはまとめて購入するから、その下見と各自でほしい物を探そうか。さすがに分かれるのは怖いから、みんなで一緒に回ろうね」

 このノクターラの街には特に見どころのある観光地はないらしいし、明日には次の街へ向けて出発する予定だ。人数も増えたことだし、食材もより多く買わないといけない。一度買い込んだらどこか人目の付かないところでキャンピングカーを出して、アイテムボックスに入れておかないと。

 冒険者ギルドでは少しだけ別行動をしたが、基本的には全員で行動をする。分かれて行動をしている時に襲われたりしたら大変だ。カルラが加わって俺たちが狙われる可能性は増えたかもしれないが、カルラは強いし安全性は今まで以上となった。

 これまで以上に周囲を警戒しつつ、市場を回っていくとしよう。



「へえ~いろんなもんが売っているんだな。あれもこれも欲しくなっちまうぜ!」

 カルラは街の市場のように人が多くいる場所にはあまり行かなかったようだから、市場の人の多さに驚いていた。そして自由に買い物をするということが楽しいらしく、テンションがかなり上がっている。

「あんまり遠くに行かないようにな。あとさっき渡したお金の使い道は自由だけれど、他の街にも行くことだし、ここであんまり使いすぎない方が良いぞ」

「ああ、わかっているって!」

 確かにいろんな物が売っている市場を回るのは楽しい。俺も新しい街の市場へ行った時はテンションが上がるし、それが久しぶりのカルラにとってはより楽しいだろう。

 ちゃんとした商店もあるが、シートを敷いたところに商品を置いてあるだけで、値札さえもないお店もあったりする。元の世界のフリーマーケットに近い感じかもしれない。

 カルラはあちこちのお店に目移りしている状態だった。

「僕もせっかくなら何か買ってみようかなあ」

「そうだね、お金は持っているだけじゃなくて、何かに使ってみた方がいいよ。新しい服とかもいいんじゃないかな?」

「う~ん、僕は古いのがあれば十分かな」

 コレットちゃんは前の街でも古着くらいしか買っていなかった。せっかくならこの機会に新しい服でもと思って勧めてみたのだが、必要ないらしい。この世界で旅をしていると、着飾るよりも実用性のある服の方がいいみたいだ。

「普段使う小物だけ買って、あとは何か欲しい物があった時のためにとっておくね」

「……うん。もしもお金が足りなかったら相談してね」

 コレットちゃんはまだ幼いのにしっかり者のようだ。本当に欲しい物だけを選んで購入しているらしい。

 この辺りは性格が出るよな。俺は結構自分が欲しい酒やツマミなんかを買っちゃうタイプだけれど、それ以外は必要な物くらいしか買わない感じだ。

「ホー!」

 フー太は食べ物しか欲しい物はないみたいだ。他の街では魚卵や果物なんかを買っていたな。あとで市場の食べ物を売っている場所にも行ってみよう。

「シゲト、あとで鍛冶屋に寄ってみたいです。少し本格的な剣の手入れが必要かもしれません」

「ああ、了解だよ。俺の方もこの前壊れちゃった予備のタンクを鍛冶屋で作ってもらいたいんだよね」

 レッドドラゴンと戦った時に破損してしまった金属製の燃料タンクだが、さすがに使い物にならなくなっていた。今後も予備の燃料が必要になったり、ないとは信じたいが燃料を爆発させることがあるかもしれない。

 アイテムボックスに保存しておけば大丈夫だとは思うが、燃料はちゃんと気密性のある容器に入れておきたい。そのためにもちゃんとした鍛冶屋で作ってもらうつもりだ。
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