キャンピングカーで往く異世界徒然紀行

タジリユウ

文字の大きさ
上 下
40 / 59
連載

第129話 ノクターラの街

しおりを挟む

「よし、できた」

「うわあ~おいしそうだね!」

「ホホ―♪」

 今回作った料理はパンを半分に切って、分厚めに切って焼いた厚切りベーコンの上に卵を落として目玉焼きにしたものを挟んだものだ。

 簡単にできてシンプルだが、絶対に間違いがないやつだな。シンプルな丸パンを半分に切っているから、見た目はハンバーガーみたいに見えるかも。

「っ! これはおいしいです! ふわふわのパンに塩っけのあるベーコンに半熟の目玉焼きが抜群に合いますね!」

「このままでもおいしいけれど、塩コショウ、醤油、ソースなんかをかけてもおいしいよ」

「そんじゃあ、俺はこっちのソースってやつをかけてみるか。……ドロッとしていて真っ黒でなんだか微妙だな。うおっ、こいつはうめえ!」

 カルラはソースを見るのは初めてだった。やっぱりみんなと同じで最初はソースの色とドロッとしたところを微妙に思うらしい。確かにこっちの世界だと、ここまでトロミのついたソースや真っ黒な調味料なんかを見ないからか。

 しかしソースは濃厚な味でいろんな食材に合うからな。

「お醤油をかけてもおいしいね!」

「塩コショウも風味や香りが加わっていけますね!」

「ホホ―♪」

 目玉焼きに何を掛けるか問題はシビアな問題だからな。他にもケチャップやマヨネーズなどの派閥も存在する。

 個人的には醤油をかけているが、今回は焼き立てのパンと塩気のある分厚いベーコンと一緒なので、シンプルなコショウをかけて食べるのがいいかもしれないな。

 焼き立てのパンとベーコンが食卓に加わるのは大きいところだ。これで今後の旅がより快適になるだろう。




 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

「さて、それじゃあノクターラの街に入ろう」

 そして翌日、今日はみんなでノクターラの街へ入る。次の目的地の情報を集めつつ、ドラゴンの素材が売れるかの確認、食材の確保などいろいろとやることは山積みだ。

「どうだ、大丈夫そうか?」

「ああ、大丈夫だよ。翼は外に出ちゃっているけれど、鳥人の人もいるし、隠しているよりもこっちの方が良さそうだ」

 カルラにはアステラル村で購入した大き目の外套をかぶってもらう。背中の部分には穴をあけて、カルラの真っ赤な翼は外に出ている。最初は翼も外套の中に入れてもらっていたけれど、背中がもっこりとしていて、余計に不審人物にしか見えなくなってしまった。

 この世界には背中に翼の生えた鳥人という種族もいるし、それなら堂々と翼は出してもらうことにした。まあ、俺たちが目立っているのは今更だがな。



「おお、ここがノクターラの街か」

 入場税の銀貨2枚を払って簡単なチェックを受けてから街の中へ入る。

 チェックの際はカルラの外套も取らなくてはならず、衛兵の人たちにもだいぶ驚かれた。他にも森フクロウのフー太や黒狼族のコレットちゃんがいたことについても驚いていたな。

 どうやらこの街ではそこそこ森フクロウや黒狼族については知られているようだ。ただそれよりもカルラが驚かれていたから、やっぱり龍人族はかなり有名なようだ。カルラには悪いが、街の中では外套をかぶってもらい、真っ赤な髪や白い角を隠しておいてもらうとしよう。

「オドリオの街と似たような雰囲気ですね」

「確かにね。これくらいの規模の街が普通なのかもしれないな」

 ジーナの言う通り、この街はオドリオの街の雰囲気に似ていたな。ロッテルガの街ほど大きくてにぎわっているわけでもなく、マイセンの街のように湖に接した特徴的な街でもない。こういった街がこの異世界では多いのだろう。

「いや、村なんかと比べるととんでもなくすげえぞ! 街へ入るのは久しぶりだぜ」

「カルラはあんまり街へ入ったことはないの?」

「ああ、人が多い街だとたまに襲われるからほとんど入らねえからな。いつも寄るとしても小さな村くらいだぜ」

「なるほど……」

 生まれつき持った力は強そうだけれど、龍人族というのはいろいろと大変そうだ。カルラの性格上、こうやって身を隠しながら街へ入ることはあんまりしなさそうだもんな。俺たちと一緒だからか、外套で身を隠してくれてありがたい。

「さて、まずはドラゴンの素材を買い取ってもらえるかを確認しに行こう」



「それじゃあ、冒険者ギルドへは俺とジーナで行ってくるから、少しの間だけ待っていてね。もしもはぐれるようなことになったら、この街の入り口に集合で頼むよ」

「おう、了解だぜ!」

「うん、わかった!」

「ホーホー!」

 この街の冒険者ギルドの場所を確認し、建物から少し離れた目立たない場所でカルラ、コレットちゃん、フー太と一旦別れる。さすがにこの全員で冒険者ギルドへ入るのは目立ちすぎてしまうから、この中では比較的目立たないジーナと一緒に2人で行く。

 さすがにコレットちゃんとフー太の2人と別行動をするのは少し不安だったから、カルラがいてくれてとても助かった。尾行なんかにも気を付けて、できるだけ目立たないように行動をするとしよう。

 さて、無事にドラゴンの素材を換金できればいいのだが。
しおりを挟む

◆    ◇    ◆    ◇    ◆   ◇    ◆
        第1巻発売中!
◆    ◇    ◆    ◇    ◆   ◇    ◆
感想 40

あなたにおすすめの小説

憧れのテイマーになれたけど、何で神獣ばっかりなの⁉

陣ノ内猫子
ファンタジー
 神様の使い魔を助けて死んでしまった主人公。  お詫びにと、ずっとなりたいと思っていたテイマーとなって、憧れの異世界へ行けることに。  チートな力と装備を神様からもらって、助けた使い魔を連れ、いざ異世界へGO! ーーーーーーーーー  これはボクっ子女子が織りなす、チートな冒険物語です。  ご都合主義、あるかもしれません。  一話一話が短いです。  週一回を目標に投稿したと思います。  面白い、続きが読みたいと思って頂けたら幸いです。  誤字脱字があれば教えてください。すぐに修正します。  感想を頂けると嬉しいです。(返事ができないこともあるかもしれません)  

異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。 降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。 森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。 その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。 協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

辺境の街で雑貨店を営む錬金術士少女ノヴァ ~魔力0の捨てられ少女はかわいいモフモフ聖獣とともにこの地では珍しい錬金術で幸せをつかみ取ります~

あきさけ
ファンタジー
とある平民の少女は四歳のときに受けた魔力検査で魔力なしと判定されてしまう。 その結果、森の奥深くに捨てられてしまった少女だが、獣に襲われる寸前、聖獣フラッシュリンクスに助けられ一命を取り留める。 その後、フラッシュリンクスに引き取られた少女はノヴァと名付けられた。 さらに、幼いフラッシュリンクスの子と従魔契約を果たし、その眠っていた才能を開花させた。 様々な属性の魔法が使えるようになったノヴァだったが、その中でもとりわけ珍しかったのが、素材の声を聞き取り、それに応えて別のものに作り替える〝錬金術〟の素養。 ノヴァを助けたフラッシュリンクスは母となり、その才能を育て上げ、人の社会でも一人前になれるようノヴァを導きともに暮らしていく。 そして、旅立ちの日。 母フラッシュリンクスから一人前と見なされたノヴァは、姉妹のように育った末っ子のフラッシュリンクス『シシ』とともに新米錬金術士として辺境の街へと足を踏み入れることとなる。 まだ六歳という幼さで。 ※この小説はカクヨム様、アルファポリス様で連載中です。  上記サイト以外では連載しておりません。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。