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第129話 ノクターラの街
しおりを挟む「よし、できた」
「うわあ~おいしそうだね!」
「ホホ―♪」
今回作った料理はパンを半分に切って、分厚めに切って焼いた厚切りベーコンの上に卵を落として目玉焼きにしたものを挟んだものだ。
簡単にできてシンプルだが、絶対に間違いがないやつだな。シンプルな丸パンを半分に切っているから、見た目はハンバーガーみたいに見えるかも。
「っ! これはおいしいです! ふわふわのパンに塩っけのあるベーコンに半熟の目玉焼きが抜群に合いますね!」
「このままでもおいしいけれど、塩コショウ、醤油、ソースなんかをかけてもおいしいよ」
「そんじゃあ、俺はこっちのソースってやつをかけてみるか。……ドロッとしていて真っ黒でなんだか微妙だな。うおっ、こいつはうめえ!」
カルラはソースを見るのは初めてだった。やっぱりみんなと同じで最初はソースの色とドロッとしたところを微妙に思うらしい。確かにこっちの世界だと、ここまでトロミのついたソースや真っ黒な調味料なんかを見ないからか。
しかしソースは濃厚な味でいろんな食材に合うからな。
「お醤油をかけてもおいしいね!」
「塩コショウも風味や香りが加わっていけますね!」
「ホホ―♪」
目玉焼きに何を掛けるか問題はシビアな問題だからな。他にもケチャップやマヨネーズなどの派閥も存在する。
個人的には醤油をかけているが、今回は焼き立てのパンと塩気のある分厚いベーコンと一緒なので、シンプルなコショウをかけて食べるのがいいかもしれないな。
焼き立てのパンとベーコンが食卓に加わるのは大きいところだ。これで今後の旅がより快適になるだろう。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「さて、それじゃあノクターラの街に入ろう」
そして翌日、今日はみんなでノクターラの街へ入る。次の目的地の情報を集めつつ、ドラゴンの素材が売れるかの確認、食材の確保などいろいろとやることは山積みだ。
「どうだ、大丈夫そうか?」
「ああ、大丈夫だよ。翼は外に出ちゃっているけれど、鳥人の人もいるし、隠しているよりもこっちの方が良さそうだ」
カルラにはアステラル村で購入した大き目の外套をかぶってもらう。背中の部分には穴をあけて、カルラの真っ赤な翼は外に出ている。最初は翼も外套の中に入れてもらっていたけれど、背中がもっこりとしていて、余計に不審人物にしか見えなくなってしまった。
この世界には背中に翼の生えた鳥人という種族もいるし、それなら堂々と翼は出してもらうことにした。まあ、俺たちが目立っているのは今更だがな。
「おお、ここがノクターラの街か」
入場税の銀貨2枚を払って簡単なチェックを受けてから街の中へ入る。
チェックの際はカルラの外套も取らなくてはならず、衛兵の人たちにもだいぶ驚かれた。他にも森フクロウのフー太や黒狼族のコレットちゃんがいたことについても驚いていたな。
どうやらこの街ではそこそこ森フクロウや黒狼族については知られているようだ。ただそれよりもカルラが驚かれていたから、やっぱり龍人族はかなり有名なようだ。カルラには悪いが、街の中では外套をかぶってもらい、真っ赤な髪や白い角を隠しておいてもらうとしよう。
「オドリオの街と似たような雰囲気ですね」
「確かにね。これくらいの規模の街が普通なのかもしれないな」
ジーナの言う通り、この街はオドリオの街の雰囲気に似ていたな。ロッテルガの街ほど大きくてにぎわっているわけでもなく、マイセンの街のように湖に接した特徴的な街でもない。こういった街がこの異世界では多いのだろう。
「いや、村なんかと比べるととんでもなくすげえぞ! 街へ入るのは久しぶりだぜ」
「カルラはあんまり街へ入ったことはないの?」
「ああ、人が多い街だとたまに襲われるからほとんど入らねえからな。いつも寄るとしても小さな村くらいだぜ」
「なるほど……」
生まれつき持った力は強そうだけれど、龍人族というのはいろいろと大変そうだ。カルラの性格上、こうやって身を隠しながら街へ入ることはあんまりしなさそうだもんな。俺たちと一緒だからか、外套で身を隠してくれてありがたい。
「さて、まずはドラゴンの素材を買い取ってもらえるかを確認しに行こう」
「それじゃあ、冒険者ギルドへは俺とジーナで行ってくるから、少しの間だけ待っていてね。もしもはぐれるようなことになったら、この街の入り口に集合で頼むよ」
「おう、了解だぜ!」
「うん、わかった!」
「ホーホー!」
この街の冒険者ギルドの場所を確認し、建物から少し離れた目立たない場所でカルラ、コレットちゃん、フー太と一旦別れる。さすがにこの全員で冒険者ギルドへ入るのは目立ちすぎてしまうから、この中では比較的目立たないジーナと一緒に2人で行く。
さすがにコレットちゃんとフー太の2人と別行動をするのは少し不安だったから、カルラがいてくれてとても助かった。尾行なんかにも気を付けて、できるだけ目立たないように行動をするとしよう。
さて、無事にドラゴンの素材を換金できればいいのだが。
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◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
第1巻発売中!
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