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第5章 いろんな客とトラブルがやってきた!?
後日談
しおりを挟む「いやあ~平和だなあ。本当に平和が一番だよ」
昼下がりの午後。
外でハンモックに揺られながら、のんびりと漫画を読んで過ごしている。早いもので、ここから少し離れたシセロさんたちエルフの村にてスタンピードを撃退してから約3か月が過ぎた。
その間にもいろいろなことがあったけれど、このキャンプ場に巨大なイノシシ型の変異種の魔物が現れた時や、スタンピードの時ほど大きな事件は起きていない。
「まったく……私たち従業員だけを働かせて、自分はひとりでのんびりと休むなんていい度胸をしていますね」
「今日は俺が休みの日なんだから別にいいだろ、ソニア。それにしても、新しい従業員を雇って正解だったな。1日休みが増えるだけで大違いだし、忙しい昼や夜ご飯の時間帯でもお客さんを待たせることがなくなったよ」
この3か月でお金にはだいぶ余裕ができ、キャンプ場に来てくれるお客さんがたくさん増えたことで少し前に新たに2人の従業員を雇った。そのおかげで各従業員の休みが1日増えて、週3日休めることになった。うむ、休みが増えることは実に良きことだな。
俺の場合はキャンプ場で空いている一角を使って、のんびりとソロキャンすることが多い。やはり自分が作ったキャンプ場でキャンプするのは最高のぜいたくである。
「先ほどシセロ殿たちが来てくれて、ユウスケがいないかと聞かれましたよ」
「ああ、了解だ。久しぶりに来てくれたことだし、一緒に飲むとするか」
スタンピードの後はシセロさんたちもキャンプ場の常連さんになってくれた。とはいえ、シセロさんたちの村はキャンプ場から馬車でも数日かかるほど遠いこともあって、月に1度くらいの頻度になる。
「おお、ユウスケ殿。久しぶりであるな」
「お邪魔しておるぞ、ユウスケ殿」
「いらっしゃいませ、シセロさん、オブリさん。今日はオフの日なのでこの格好で失礼します」
今日はオフの日ということで、このキャンプ場の制服である執事服は着ていない。シセロさんたちだけでなく、サリアが暮らしていたオブリさんたちエルフ村の人たちもいた。
シセロさんたちが来る時は場所が遠いこともあって十数人で来ることが多い。オブリさんやサリアの両親もこっちに来ているから結構な大所帯だ。
「格好など気にする必要はないぞ。それにしても相変わらずここの料理や酒は本当にうまいわい。まったく、オブリのやつも儂らにここのことを黙っているとは人が悪いのう」
「なあに、あと数年もすれば教えてやったわい」
……数年は教えないつもりだったのか。相変わらず長命種族の時間の感覚だけはよくわからないな。
「まったくこやつは……。それにしてもユウスケ殿、この新しい飲み物の容器は本当にすごいのう。冷えた酒が全然ぬるくならぬわい。魔法が使われている訳でもないのに本当に不思議じゃ」
「ええ、これはタンブラーと言います。俺の故郷の技術になりますね」
新たにキャンプ場で取り入れたこのステンレス製のタンブラーは最新技術の真空断熱構造となっており、驚異の保冷効果を持っている。前にダルガたちにプレゼントした缶クーラーよりも保冷力が強いのだから本当にすごい。
うちのキャンプ場は酒の購入制限が5本となっていて、1本ずつゆっくりとお酒を味わう人が多いからかなり喜ばれている。まあ、容器を移すのが面倒だし、一気に1本飲む人も多いからタンブラーを使わない人も多い。
「あとはこっちの道具も便利じゃな。とても手軽に燻製が楽しめるわい」
「ええ、ダルガたちドワーフのみんなに大人気ですよ」
そして新たに導入したのが、この15センチメートルくらいの円形のトップスモーカーだ。トップスモーカーとは普通の燻製が煙を下から上に燻すことに対し、上から煙で燻すキャンプギアである。
大きなものもあるが、これはグラスやシェラカップの上に載せる小さなタイプだ。中に燻製したいものを入れ、上に燻製チップを入れて火を付ける。すると煙は穴を通って下へと充満するわけだ。
手軽に燻製の風味を付けることができるのでとても便利なキャンプギアである。何より素晴らしいのが、グラスでも使えるので、ウイスキーなどの酒にスモーキーな香りを付けることができるわけである。
これにはダルガたちドワーフが新しい酒の飲み方を見つけたと歓喜していたな。このように最新のキャンプギアは日々進化しているのである。
「おお、ユウスケもこっちにいたのじゃな!」
「……いっぱいいる」
「サンドラにアンネルさんもいらっしゃい」
シセロさんとオブリさんたちと話していると、サンドラとアンネルさんがこちらにやってきた。そういえば今日は週末だったな。
アンネルさんの方は昨日からキャンプ場に泊まってたっぷりと寝ていたのにまだ眠そうだ。いつも通りエネルギー消費の少なく可愛らしい子供姿で眠そうにしている姿はスタンピードの時に無双していた時と同一人物とはとても思えない。
スタンピードの報酬にずっとアンネルさんが欲しがっていた寝袋をプレゼントしたのだが、ありがたいことに今もサンドラと一緒にこのキャンプ場へ通ってくれている。ここの料理やお酒が気に入ってくれたのもあるが、今度はハンモックがほしいらしい。本当に寝具にかけての情熱は半端じゃない……
ちなみにあれから大人姿になって迫られることはなかった。……別に残念というわけではないからな!
「おっ、みなもここで飲んでいるようだな。儂らも混ぜてもらおうか」
「それにしてもここも人が増えたな。俺たちも混ぜてくれよ!」
ダルガたちやランドさんたちもやってきた。平日に休みが増えたことにより、こうやって昼間からお客さんたちと一緒に楽しむこともできるようになった。どうやら今日も大人数で宴会をするようだ。
今日は来ていないけれど、ジルベールさんやエリザさんに冒険者のお客さんもこれまで以上に仲良くキャンプ場を楽しんでくれている。それに従業員のみんなもとても楽しそうだ。
うむ、やはり平和が一番だ。
【お知らせ】
いつも拙作をお読みいただきありがとうございます
こちらは完結後の後日談となります。
それにしても最近はキャンプの天敵である夏が終わったと思ったら、過ごしやすい秋をすっ飛ばして一気に寒くなってきましたね!
ちなみに最新のキャンプギアをいくつか紹介していますがメーカーさんの回し者ではありません(笑)
こちらの作品の3巻がアルファポリス様より10/21より発売となります。今回は紙の本・電子書籍同時に発売されますが、紙の方は出荷に数日かかるそうです。
第3巻で完結となりますので、どうぞよろしくお願いいたしますo(^▽^)o
また、アルファポリス様の規定によりまして、出荷日前日に3巻該当部分を取り下げますのでご注意ください。
そして今回は3巻と同時に別作品である『キャンピングカーで往く異世界徒然紀行』の第1巻も発売となります!
続刊やコミカライズを目指していきたいので、こちらの作品もどうぞよろしくお願いします。
こちらの作品も10/20に1巻部分を取り下げますので、まだ読んでいない方はお早めにどうぞ!
せっかくの同時刊行なので、番外編としてキャンプ場とキャンピングカーのコラボ話を10/20から3話を毎日更新します。
ぜひこちらの方も読んでみてください(๑˃̵ᴗ˂̵)
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