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3巻
3-2
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他のお客さんとは離れている場所にサンドラを案内して、テーブルや椅子を組み立てる。
ちなみにアルエちゃんと入れ替わるような形で、今はソニアが一緒に接客してくれている。
ソニアはまだサンドラに対する警戒を解いていないようなのだ。
結界もあるし護衛は大丈夫と言ったのだが、『心配なので一緒に行きます』と言って聞かなかった。
サンドラはいいやつだが、最強の古代竜であることに変わりはない。
ソニアほど戦闘力が高いと、サンドラから放たれる圧みたいなのを敏感に感じ取ってしまうみたいで、どうしても不安に思ってしまうようだ。
加えて、自立式のハンモックをストアで購入。
初めは地面で寝ると言っていたのだが、さすがにそれは不憫だ。
竜だから地面に横になって眠ることには慣れているだろうけど、他のお客さんから見た印象もあまりよくないし。
「ほう、これはいいのう! ゆらゆら揺れて、気持ちいいのじゃ!」
サンドラは早速ハンモックの寝心地を試している。
昔はハンモックといえば、木と木の間に布を張る吊り下げ式の物しかなかったが、最近では室内でも使用できるような自立式のハンモックが販売されている。
そして、値段が一万円を切るような安い商品もある。
……いや一万円は高いと思うかもしれないが、悲しいことにキャンプギアの中では安いほうなんだよ。
「ユウスケ、あとでお金を払うので、私にもハンモックとやらを買ってください」
「ああ~、わかったわかった」
ソニアが俺にだけ聞こえるように小声で言ってきた。
警戒は解いていないようだが、そんな状況でも欲望に忠実なのは、ソニアらしい。
まぁ、ハンモックに揺られながらのんびりと過ごすのは気持ちいいからな。
アウトドアチェアもいいが、あれとは違った心地よさがハンモックにはある。
他のお客さんにも貸し出せるように、もういくつか買っておくとしよう。
「夜に寝る時はそれを使ってくれ。これなら最悪ドラゴンの姿に戻ったとしても大丈夫だろ」
「いろいろと気遣ってもらって悪いのう。金が足りないようであれば、また何か金目の物を出すぞ」
サンドラはかなり高価な装飾品やら武器やらを持っている。
現金はないようなので、前回はその中の一つである首飾りをもらう形で支払ってもらったんだよな。
もっとも、提供したサービスに対して、首飾りは高価すぎる。
「以前もらった首飾りで十分賄えると思うから、大丈夫だ。というか明日の休みの日に換金するつもりだったから、まだ現金が用意できていなくて……お釣りは次回来た時に渡すような形でもいいか?」
「う、うむ! 次回じゃな、全然構わんぞ!」
「………………」
『また次回』があることに、だいぶ喜んでいるようだ。
この寂しがりやさんめ。
「そういえば何か食材は持ってきてくれたか? 明日明後日はこのキャンプ場が休みだから、もうあんまり食材は残っていないんだ」
昨日ソニアが二日分の食材を街で買ってきてくれたが、それほど残っているわけではない。
彼女は見た目からは想像できないほどの健啖家。
前回来た時に、自分の分の食材は持ち込んでくれとお願いしたんだよな。
「うむ、妾が自分で狩ってきた肉を持ってきたぞ!」
収納魔法によって仕舞われていた、数メートルはある巨大な肉の塊がテーブルの上にドンッという音とともに置かれた。
ありがたいことに塊に切り出して持ってきてくれたようだ。
さすがに解体作業をこのキャンプ場でやるとなったら大変だったろうから、助かる。
それにしても、鮮やかな色の赤身に白い網目状のサシが入った、見事な霜降り肉だな。
「これはすごく美味そうな肉だな! いったいなんの肉なんだ?」
「ふっふっふ、聞いて驚け! これはアースドラゴンの肉じゃ! 昨日オリヴァン峡谷までわざわざ狩りに行ってきたのじゃ!」
「「………………」」
「ん、どうしたのじゃ? アースドラゴンじゃぞ! 確か滅多に食べることができない珍しい食材のはずじゃぞ!?」
アースドラゴンというドラゴンの種類まではわからないが、以前にソニアからもドラゴンの肉はとても珍しく高価で売買されていると聞いていた。
ただ、俺が言いたいのはそういうことじゃなくて……
「いや……アースドラゴンの――ドラゴンの肉を本当に食べるのか?」
古代竜がドラゴンを食ってしまったら、共食いになってしまうんじゃないのだろうか?
当然とも言える疑問を口にしたつもりだったのだが、サンドラはじとっとした目で俺を見てくる。
「んん……おい、ユウスケ。まさかとは思うが、古代竜である妾とアースドラゴン風情を同列に考えているのではないじゃろうな?」
「えっと、すまん。俺はかなり田舎から来たから、ドラゴンについて詳しく知らないんだ」
「まったく、あんな知能もないトカゲもどきと、妾のような知性溢れる、永き時を生きる古代竜を一緒にされては困るのじゃ。尻尾を巻いて逃げればいいものを、格の違いもわからず妾に向かってくるような雑魚じゃぞ? 一撃で仕留めてやったわ! それに、鱗の色だって全然違うのじゃ! やつらの鱗の色は濁っておるからのう!」
「……ちなみにですが、アースドラゴンは超高級食材であり、Aランク冒険者パーティでの討伐が推奨されております。私でも、一人だと倒せるかどうか……」
ソニアからの補足説明が入る。
……いや、ソニアも一人で渡り合えるんかい! というツッコミはさておき。
同じドラゴンでも種類が違えば別の生き物として認識しているんだな。
同じ哺乳類でも牛やら豚やらを普通に食べるようなイメージか?
「そうか。知らなかったとはいえ、すまなかった。確かにサンドラの深紅の鱗は本当に綺麗だし、他のドラゴンとは全然違うんだろうな」
「ほ、ほう!? 妾の鱗の美しさがわかるのか! うむ、許してやるのじゃ!」
……サンドラの鱗って一枚あたり金貨何枚分くらいで売れるんだろうな、とか俗物的なことを考えていたのは秘密にしておくとしよう。
それにしてもドラゴン……ドラゴンか。
元の世界の住人であれば誰しもがどんな味か気になって仕方がないはずだ。
事実、俺も初めて街の市場に行った時には、肉屋でドラゴンの肉が売っていないかを確認したものだ。
あとでソニアに聞いた話によれば、ドラゴンであればどんな種類でも相当高価らしく、基本的に一般人の手に渡ることはないようだ。
Aランク冒険者の彼女でも数回しか食べたことがない代物らしい。
ドラゴンに近いワイバーンであれば、高級店で出てくることもあるみたいだが。
……正直に言うと食べてみたい。この世界に来てからここまで惹かれた食材は初めてだと言えるくらいには!
「なあ、サンドラ。お願いがあるんだけど、このアースドラゴンの肉を少し俺たちにも分けてくれないか? こんな高級食材は今までに見たこともないし、ちょっと食べてみたいんだ」
「ふむ、別にまだまだたくさんあるから一向に構わんが……いや待て、せっかくだから一つ条件を付けるとしよう。ユウスケがこの肉を使って料理を作り、それに妾が満足したら少し分けるというのはどうじゃ?」
正直超高級食材をただ分けてもらうのは多少気が引けるところもあったので、そういった条件が付いたのはかえってよかったかもしれない。
俺は拳を握る。
「言ったな! よし、絶対にサンドラが満足する料理を作ってやるからな!」
「ほう、それでは楽しみにしておるぞ!」
前回来た時は普通の料理でも満足してくれていたのだし、こんな高級食材で元の世界の料理を作れば絶対に満足してくれるはずだ。
いっちょ気合を入れて作るとしよう。
管理棟に戻ってきた俺は、台所でアースドラゴンの肉と睨めっこをする。
今は昼過ぎ。一番忙しい時間帯を過ぎた頃だ。
だからある程度料理に集中できる。
とはいえ、あんまりサンドラだけを特別扱いするわけにはいかないから、それほど時間や手間の掛かる料理は作れない。
まずは試しにほんの少しだけ肉を切り分ける。高級な肉だと聞いていたからするっと切れるかと思いきや、意外に力がいる。
脂が多い箇所だったので油を引くことなく、切り分けた肉を熱したフライパンの上へ。
じゅわじゅわと音を立てながら脂身が溶け出し、赤身に薄ら焼き色が付く。
ほんの少ししか焼いていないのに、既に厨房に香ばしい匂いが充満している。
ゴクリと思わず喉が鳴った。
これがドラゴンの肉か。匂いだけで味に奥行きがあると想像できる。
味見のため……そう味見のためだ。焼き上がった肉を小さく切って口に運ぶ。
「う、美味い!!」
切る時は少し硬いとすら思ったのに、なんて柔らかいんだ!
焼くと柔らかくなる性質でもあるのか、噛むことなく肉が解けていくような感覚だ。
そうして口いっぱいに溢れ出す肉汁や脂の旨みは、牛肉や豚肉の比ではない。
濃厚で多層的な味わいがあるのにしつこくなく、軽やか。
後引かないので、もう一口食べたくなってしまう。
くっ、一切れだけじゃなくて分厚く切って焼いたこのドラゴンの肉に思い切りかぶりついてみたい!
そんな時、ふと視線を感じる。
「………………」
横を向くと、ソニアが物欲しそうにこちらを見ていた。
気持ちは痛いほどわかる。
わかったから、絶対にサンドラを満足させて肉を分けてもらうから!
そう思い、俺は調理に取り掛かるのだった。
「お待たせ、まずはドラゴンステーキからだ」
俺はテーブルについたサンドラの前に、皿を置く。
やっぱりドラゴンの肉といえばステーキだよな。
「待ちくたびれたぞ! ふむ、ドラゴンの肉を焼いた物じゃな」
「ああ。だけど、ただ焼いたわけじゃないんだぞ。焼き方も工夫してあるし、いろんな味も用意してみた。まあ食べてみてくれ」
「ほう、自信がありそうじゃな」
ステーキの焼き方は、以前にソニアと食べた時と基本は同じだ。
軽く下味を付けたドラゴンの肉を、炭で熱して牛脂(今回はドラゴン脂)を塗ったスキレットへ投入。
強火で一気に両面を焼き上げてから、すぐにアルミホイルで肉を包み、数分間休ませる。
違うのは、筋切りをしたり、タマネギと一緒に、ビニールバッグに入れておいたりしていないことだ。
そうしなくとも十分すぎるほどに柔らかいからな。
また、今回はスキレットに乗るギリギリくらいのビッグサイズにドラゴン肉を切っている。
健啖家のサンドラからしても、食べ応えがあるはずだ。
「こっちの皿から順番に、塩コショウ、ステーキソース、おろしダレで味付けをした物だ。今後の参考にもしたいから、どれが一番美味しかったか教えてくれ」
「どれ……まずは全て味わってみるとしよう」
サンドラはちゃんとナイフを使って、ドラゴンステーキを半分ほどの大きさに切っていく。
やはり肉質は柔らかく、ナイフを走らせるとスッとなんの抵抗もなく切れた。
まあ、サンドラの力が強いという可能性もあるけど。
半分に切ったドラゴンステーキを、サンドラは一口で食べる。
少女の口でよくこんな大きな肉をバクッといけるものだ。
「むおっ!?」
驚きの声を上げたと思えば、残り半分のステーキをすぐさま口に運び、呑み込む。
そしてそのまま残り二皿も、貪るように食べる。
「ムゴムグムガ……」
「少し落ち着いて食え! あと食べながら喋るなよ……ほら、ビールも置いておくぞ」
とりあえず落ち着いて食べてほしい。
たぶん想像よりも美味くて興奮しているのだろうけど、食べ物を口に入れているせいで何を言っているのか全くわからない。
また、前回サンドラが来た時は、ドラゴンにお酒なんて飲ませて大丈夫かわからなかったから、出さなかった。
しかし、さっき話を聞いたらお酒はドワーフ並みに飲めると言っていたし、酒に酔って暴れるなんてこともないらしいから、今回は缶ビールを提供することにしたんだよな。
「ゴクゴクゴク、ぷはあ! な、なんじゃこの肉は!? 妾がいつも食べているアースドラゴンとは別物じゃぞ!!」
メイド服を着た少女が缶ビールを飲んで「ぷはあ」と息を吐く姿はかなりシュールだが、それはこの際置いておこう。
「中々美味いだろ。今回はそれほど火を通さずに焼いてみたけど、もう少し焼くと、また違った味わいになる。とにかく火加減が大事なんだ。そうそう、肉の味が濃厚だったから味が濃いタレにも負けないんじゃないかと思って使ってみたんだが、合うか?」
「すごいのう、ブレスで焼いた肉とこんなに味が違うんじゃな。絶妙な火加減じゃ。味付けはどれも美味いが、 妾はこの真ん中の味が一番好きじゃ!」
「ステーキソースか。……ふむ、やっぱり濃い味が好きな人が多いみたいだな」
確かソニアもステーキソースが一番好きだと言っていたものな。
この世界の人たちが濃い味を好む舌を持っているのか、あるいは普段あまり濃い味の料理を食べられないからなのか。
ともあれ、参考になる。
そんなふうにうんうん頷いていると、サンドラはもう一度ぐびっと缶ビールを飲むと、目を輝かせる。
「それにこの酒はなんじゃ! 冷えた酒なぞ初めて飲んだのじゃが、とても飲みやすい上に味もいいぞ!」
「それは俺の故郷で造っている酒だ。冷たくて肉にもよく合うだろ。でも結構酒精が強いから、あんまりガブガブ飲まないように注意してくれ」
既に缶ビールが一本空いてしまった。
このペースで飲んだら、酒に強いドワーフたちでも酔っぱらってしまうから、釘を刺しておかないとな。
「うむ、わかったのじゃ! しかし、こんなに美味くて飲みやすいと、止まらなくなってしまうのじゃ……」
「言い忘れていたけれど、このキャンプ場での酒の販売は一人あたり一日五本までだからな」
「な、何!? たった五本じゃと!? いくらなんでもそれは少なすぎるのじゃ!」
ドワーフたちと同じことを言うなあ……
「販売制限をしないと飲みすぎて倒れる人だって出てしまう。それに、ここにはお茶や果汁のジュースみたいな、他の美味しい飲み物もあるから、そっちを楽しむのも手だぞ」
「う~む、妾は酒がいいんじゃが……なあユウスケ、もう少しだけおまけしてくれんかのう?」
うっ……メイド服姿の少女の上目遣いはずるいぞ……
「駄目だな」
だが断る!
ドワーフのみんなの頼みも断ったからな。さすがにサンドラだけを特別扱いできない。
「ぐぬぬ……妾の頼みを断るとは! まあよい、とりあえずこの味には満足したのじゃ。あとで肉を渡してやろう。それより、他の料理も持ってくるのじゃ!」
「ああ。料理はまだまだ出せるから、楽しみにしていてくれ!」
まさか、ステーキだけでオーケーをもらえるなんて。
それだけドラゴン肉のポテンシャルが高かったってことだな!
そのあともドラゴンの肉をいろいろな方法で料理したが、サンドラはどの料理にも満足してくれたようだった。
金色の味に、辛味噌炒め、オイスター炒め、バター醤油炒め、生姜焼き、コチュジャン、ネギ塩などなど、思いつく味付けをいろいろと試してみた。もっとも、味付けを変えて肉を炒めるだけだから、それほど時間と手間は掛かっていない。
他のお客さんもいて時間に限りがあるため、あまり凝った料理が作れなかったのはこちらとしても残念だったな。休日にもっと凝った料理を作って、次にサンドラが来る時にも出してやろう。
そして……サンドラが出してくれた巨大な肉の塊は、全て彼女のお腹の中へと消えていった。
どう考えても質量的におかしいのだが、魔法もある世界だし今更か。
前回はこのキャンプ場の食材を食べ尽くした上で足りないと嘆いていたが、今回はちゃんとお腹いっぱいになってくれたようで、よかった。
と、思った時には、サンドラはもう既に寝てしまっていた。
お酒はちゃんと五本までで我慢してもらったが、それでも眠くはなってしまったらしい。
まだ報酬のドラゴンの肉をもらっていないんだけどなあ……
だが、気持ちよさそうにハンモックに揺られる彼女の寝顔を見ると、わざわざ起こす気にもなれなかった。
今日の晩ご飯にドラゴンの肉を食べられないのは残念だが、まあいっか。
現在の時刻は二十時半。
管理棟の営業時間が終わって、俺は従業員のみんなと一緒に管理棟の中で雑談していた。
「……これは中々いいですね。もっと早く出してくださいよ」
ソニアが、先ほど購入してあげたハンモックに揺られながらそう言った。
「アウトドアチェアでも十分だろ。ハンモックも気持ちがいいのはわかるんだけれど、場所を取るのが難点なんだよなあ」
全長、三メートルくらいあるからな。管理棟の中にそういくつも置けるわけではない。
「ソニアお姉ちゃん、次は私にもやらせてほしいニャ!」
「はい、もういいですよ!」
ソニアは相変わらずアルエちゃんには甘々だな。
すぐに降りてアルエちゃんにハンモックを譲ってあげている。
「ニャ、ニャ!?」
ゆらゆらと揺れるハンモックに揺られながら遊んでいるアルエちゃん。
そんな彼女に優しい視線を一瞬送ってから、アルジャが言う。
「それにしてもユウスケさんは、よくあのサンドラさんを相手に普通に接することができますね。竜の姿や強大な魔力を一度見てしまったら、とてもできませんよ」
「ああ~、やっぱりアルジャもそうなのか。俺は魔法が使えないし、魔力に関する感覚も鈍いのかもしれない。確かに元の竜の姿は怖いけど、人の姿ならあまり気にならないんだよな」
「……俺もあまり気にはならんな。普段魔力というものに触れていなかったから、その感覚はわからん。さすがにあの竜の姿は恐ろしかったが」
俺の言葉にウドがそう続けた。サリアもそれに頷く。
ちなみにアルエちゃんと入れ替わるような形で、今はソニアが一緒に接客してくれている。
ソニアはまだサンドラに対する警戒を解いていないようなのだ。
結界もあるし護衛は大丈夫と言ったのだが、『心配なので一緒に行きます』と言って聞かなかった。
サンドラはいいやつだが、最強の古代竜であることに変わりはない。
ソニアほど戦闘力が高いと、サンドラから放たれる圧みたいなのを敏感に感じ取ってしまうみたいで、どうしても不安に思ってしまうようだ。
加えて、自立式のハンモックをストアで購入。
初めは地面で寝ると言っていたのだが、さすがにそれは不憫だ。
竜だから地面に横になって眠ることには慣れているだろうけど、他のお客さんから見た印象もあまりよくないし。
「ほう、これはいいのう! ゆらゆら揺れて、気持ちいいのじゃ!」
サンドラは早速ハンモックの寝心地を試している。
昔はハンモックといえば、木と木の間に布を張る吊り下げ式の物しかなかったが、最近では室内でも使用できるような自立式のハンモックが販売されている。
そして、値段が一万円を切るような安い商品もある。
……いや一万円は高いと思うかもしれないが、悲しいことにキャンプギアの中では安いほうなんだよ。
「ユウスケ、あとでお金を払うので、私にもハンモックとやらを買ってください」
「ああ~、わかったわかった」
ソニアが俺にだけ聞こえるように小声で言ってきた。
警戒は解いていないようだが、そんな状況でも欲望に忠実なのは、ソニアらしい。
まぁ、ハンモックに揺られながらのんびりと過ごすのは気持ちいいからな。
アウトドアチェアもいいが、あれとは違った心地よさがハンモックにはある。
他のお客さんにも貸し出せるように、もういくつか買っておくとしよう。
「夜に寝る時はそれを使ってくれ。これなら最悪ドラゴンの姿に戻ったとしても大丈夫だろ」
「いろいろと気遣ってもらって悪いのう。金が足りないようであれば、また何か金目の物を出すぞ」
サンドラはかなり高価な装飾品やら武器やらを持っている。
現金はないようなので、前回はその中の一つである首飾りをもらう形で支払ってもらったんだよな。
もっとも、提供したサービスに対して、首飾りは高価すぎる。
「以前もらった首飾りで十分賄えると思うから、大丈夫だ。というか明日の休みの日に換金するつもりだったから、まだ現金が用意できていなくて……お釣りは次回来た時に渡すような形でもいいか?」
「う、うむ! 次回じゃな、全然構わんぞ!」
「………………」
『また次回』があることに、だいぶ喜んでいるようだ。
この寂しがりやさんめ。
「そういえば何か食材は持ってきてくれたか? 明日明後日はこのキャンプ場が休みだから、もうあんまり食材は残っていないんだ」
昨日ソニアが二日分の食材を街で買ってきてくれたが、それほど残っているわけではない。
彼女は見た目からは想像できないほどの健啖家。
前回来た時に、自分の分の食材は持ち込んでくれとお願いしたんだよな。
「うむ、妾が自分で狩ってきた肉を持ってきたぞ!」
収納魔法によって仕舞われていた、数メートルはある巨大な肉の塊がテーブルの上にドンッという音とともに置かれた。
ありがたいことに塊に切り出して持ってきてくれたようだ。
さすがに解体作業をこのキャンプ場でやるとなったら大変だったろうから、助かる。
それにしても、鮮やかな色の赤身に白い網目状のサシが入った、見事な霜降り肉だな。
「これはすごく美味そうな肉だな! いったいなんの肉なんだ?」
「ふっふっふ、聞いて驚け! これはアースドラゴンの肉じゃ! 昨日オリヴァン峡谷までわざわざ狩りに行ってきたのじゃ!」
「「………………」」
「ん、どうしたのじゃ? アースドラゴンじゃぞ! 確か滅多に食べることができない珍しい食材のはずじゃぞ!?」
アースドラゴンというドラゴンの種類まではわからないが、以前にソニアからもドラゴンの肉はとても珍しく高価で売買されていると聞いていた。
ただ、俺が言いたいのはそういうことじゃなくて……
「いや……アースドラゴンの――ドラゴンの肉を本当に食べるのか?」
古代竜がドラゴンを食ってしまったら、共食いになってしまうんじゃないのだろうか?
当然とも言える疑問を口にしたつもりだったのだが、サンドラはじとっとした目で俺を見てくる。
「んん……おい、ユウスケ。まさかとは思うが、古代竜である妾とアースドラゴン風情を同列に考えているのではないじゃろうな?」
「えっと、すまん。俺はかなり田舎から来たから、ドラゴンについて詳しく知らないんだ」
「まったく、あんな知能もないトカゲもどきと、妾のような知性溢れる、永き時を生きる古代竜を一緒にされては困るのじゃ。尻尾を巻いて逃げればいいものを、格の違いもわからず妾に向かってくるような雑魚じゃぞ? 一撃で仕留めてやったわ! それに、鱗の色だって全然違うのじゃ! やつらの鱗の色は濁っておるからのう!」
「……ちなみにですが、アースドラゴンは超高級食材であり、Aランク冒険者パーティでの討伐が推奨されております。私でも、一人だと倒せるかどうか……」
ソニアからの補足説明が入る。
……いや、ソニアも一人で渡り合えるんかい! というツッコミはさておき。
同じドラゴンでも種類が違えば別の生き物として認識しているんだな。
同じ哺乳類でも牛やら豚やらを普通に食べるようなイメージか?
「そうか。知らなかったとはいえ、すまなかった。確かにサンドラの深紅の鱗は本当に綺麗だし、他のドラゴンとは全然違うんだろうな」
「ほ、ほう!? 妾の鱗の美しさがわかるのか! うむ、許してやるのじゃ!」
……サンドラの鱗って一枚あたり金貨何枚分くらいで売れるんだろうな、とか俗物的なことを考えていたのは秘密にしておくとしよう。
それにしてもドラゴン……ドラゴンか。
元の世界の住人であれば誰しもがどんな味か気になって仕方がないはずだ。
事実、俺も初めて街の市場に行った時には、肉屋でドラゴンの肉が売っていないかを確認したものだ。
あとでソニアに聞いた話によれば、ドラゴンであればどんな種類でも相当高価らしく、基本的に一般人の手に渡ることはないようだ。
Aランク冒険者の彼女でも数回しか食べたことがない代物らしい。
ドラゴンに近いワイバーンであれば、高級店で出てくることもあるみたいだが。
……正直に言うと食べてみたい。この世界に来てからここまで惹かれた食材は初めてだと言えるくらいには!
「なあ、サンドラ。お願いがあるんだけど、このアースドラゴンの肉を少し俺たちにも分けてくれないか? こんな高級食材は今までに見たこともないし、ちょっと食べてみたいんだ」
「ふむ、別にまだまだたくさんあるから一向に構わんが……いや待て、せっかくだから一つ条件を付けるとしよう。ユウスケがこの肉を使って料理を作り、それに妾が満足したら少し分けるというのはどうじゃ?」
正直超高級食材をただ分けてもらうのは多少気が引けるところもあったので、そういった条件が付いたのはかえってよかったかもしれない。
俺は拳を握る。
「言ったな! よし、絶対にサンドラが満足する料理を作ってやるからな!」
「ほう、それでは楽しみにしておるぞ!」
前回来た時は普通の料理でも満足してくれていたのだし、こんな高級食材で元の世界の料理を作れば絶対に満足してくれるはずだ。
いっちょ気合を入れて作るとしよう。
管理棟に戻ってきた俺は、台所でアースドラゴンの肉と睨めっこをする。
今は昼過ぎ。一番忙しい時間帯を過ぎた頃だ。
だからある程度料理に集中できる。
とはいえ、あんまりサンドラだけを特別扱いするわけにはいかないから、それほど時間や手間の掛かる料理は作れない。
まずは試しにほんの少しだけ肉を切り分ける。高級な肉だと聞いていたからするっと切れるかと思いきや、意外に力がいる。
脂が多い箇所だったので油を引くことなく、切り分けた肉を熱したフライパンの上へ。
じゅわじゅわと音を立てながら脂身が溶け出し、赤身に薄ら焼き色が付く。
ほんの少ししか焼いていないのに、既に厨房に香ばしい匂いが充満している。
ゴクリと思わず喉が鳴った。
これがドラゴンの肉か。匂いだけで味に奥行きがあると想像できる。
味見のため……そう味見のためだ。焼き上がった肉を小さく切って口に運ぶ。
「う、美味い!!」
切る時は少し硬いとすら思ったのに、なんて柔らかいんだ!
焼くと柔らかくなる性質でもあるのか、噛むことなく肉が解けていくような感覚だ。
そうして口いっぱいに溢れ出す肉汁や脂の旨みは、牛肉や豚肉の比ではない。
濃厚で多層的な味わいがあるのにしつこくなく、軽やか。
後引かないので、もう一口食べたくなってしまう。
くっ、一切れだけじゃなくて分厚く切って焼いたこのドラゴンの肉に思い切りかぶりついてみたい!
そんな時、ふと視線を感じる。
「………………」
横を向くと、ソニアが物欲しそうにこちらを見ていた。
気持ちは痛いほどわかる。
わかったから、絶対にサンドラを満足させて肉を分けてもらうから!
そう思い、俺は調理に取り掛かるのだった。
「お待たせ、まずはドラゴンステーキからだ」
俺はテーブルについたサンドラの前に、皿を置く。
やっぱりドラゴンの肉といえばステーキだよな。
「待ちくたびれたぞ! ふむ、ドラゴンの肉を焼いた物じゃな」
「ああ。だけど、ただ焼いたわけじゃないんだぞ。焼き方も工夫してあるし、いろんな味も用意してみた。まあ食べてみてくれ」
「ほう、自信がありそうじゃな」
ステーキの焼き方は、以前にソニアと食べた時と基本は同じだ。
軽く下味を付けたドラゴンの肉を、炭で熱して牛脂(今回はドラゴン脂)を塗ったスキレットへ投入。
強火で一気に両面を焼き上げてから、すぐにアルミホイルで肉を包み、数分間休ませる。
違うのは、筋切りをしたり、タマネギと一緒に、ビニールバッグに入れておいたりしていないことだ。
そうしなくとも十分すぎるほどに柔らかいからな。
また、今回はスキレットに乗るギリギリくらいのビッグサイズにドラゴン肉を切っている。
健啖家のサンドラからしても、食べ応えがあるはずだ。
「こっちの皿から順番に、塩コショウ、ステーキソース、おろしダレで味付けをした物だ。今後の参考にもしたいから、どれが一番美味しかったか教えてくれ」
「どれ……まずは全て味わってみるとしよう」
サンドラはちゃんとナイフを使って、ドラゴンステーキを半分ほどの大きさに切っていく。
やはり肉質は柔らかく、ナイフを走らせるとスッとなんの抵抗もなく切れた。
まあ、サンドラの力が強いという可能性もあるけど。
半分に切ったドラゴンステーキを、サンドラは一口で食べる。
少女の口でよくこんな大きな肉をバクッといけるものだ。
「むおっ!?」
驚きの声を上げたと思えば、残り半分のステーキをすぐさま口に運び、呑み込む。
そしてそのまま残り二皿も、貪るように食べる。
「ムゴムグムガ……」
「少し落ち着いて食え! あと食べながら喋るなよ……ほら、ビールも置いておくぞ」
とりあえず落ち着いて食べてほしい。
たぶん想像よりも美味くて興奮しているのだろうけど、食べ物を口に入れているせいで何を言っているのか全くわからない。
また、前回サンドラが来た時は、ドラゴンにお酒なんて飲ませて大丈夫かわからなかったから、出さなかった。
しかし、さっき話を聞いたらお酒はドワーフ並みに飲めると言っていたし、酒に酔って暴れるなんてこともないらしいから、今回は缶ビールを提供することにしたんだよな。
「ゴクゴクゴク、ぷはあ! な、なんじゃこの肉は!? 妾がいつも食べているアースドラゴンとは別物じゃぞ!!」
メイド服を着た少女が缶ビールを飲んで「ぷはあ」と息を吐く姿はかなりシュールだが、それはこの際置いておこう。
「中々美味いだろ。今回はそれほど火を通さずに焼いてみたけど、もう少し焼くと、また違った味わいになる。とにかく火加減が大事なんだ。そうそう、肉の味が濃厚だったから味が濃いタレにも負けないんじゃないかと思って使ってみたんだが、合うか?」
「すごいのう、ブレスで焼いた肉とこんなに味が違うんじゃな。絶妙な火加減じゃ。味付けはどれも美味いが、 妾はこの真ん中の味が一番好きじゃ!」
「ステーキソースか。……ふむ、やっぱり濃い味が好きな人が多いみたいだな」
確かソニアもステーキソースが一番好きだと言っていたものな。
この世界の人たちが濃い味を好む舌を持っているのか、あるいは普段あまり濃い味の料理を食べられないからなのか。
ともあれ、参考になる。
そんなふうにうんうん頷いていると、サンドラはもう一度ぐびっと缶ビールを飲むと、目を輝かせる。
「それにこの酒はなんじゃ! 冷えた酒なぞ初めて飲んだのじゃが、とても飲みやすい上に味もいいぞ!」
「それは俺の故郷で造っている酒だ。冷たくて肉にもよく合うだろ。でも結構酒精が強いから、あんまりガブガブ飲まないように注意してくれ」
既に缶ビールが一本空いてしまった。
このペースで飲んだら、酒に強いドワーフたちでも酔っぱらってしまうから、釘を刺しておかないとな。
「うむ、わかったのじゃ! しかし、こんなに美味くて飲みやすいと、止まらなくなってしまうのじゃ……」
「言い忘れていたけれど、このキャンプ場での酒の販売は一人あたり一日五本までだからな」
「な、何!? たった五本じゃと!? いくらなんでもそれは少なすぎるのじゃ!」
ドワーフたちと同じことを言うなあ……
「販売制限をしないと飲みすぎて倒れる人だって出てしまう。それに、ここにはお茶や果汁のジュースみたいな、他の美味しい飲み物もあるから、そっちを楽しむのも手だぞ」
「う~む、妾は酒がいいんじゃが……なあユウスケ、もう少しだけおまけしてくれんかのう?」
うっ……メイド服姿の少女の上目遣いはずるいぞ……
「駄目だな」
だが断る!
ドワーフのみんなの頼みも断ったからな。さすがにサンドラだけを特別扱いできない。
「ぐぬぬ……妾の頼みを断るとは! まあよい、とりあえずこの味には満足したのじゃ。あとで肉を渡してやろう。それより、他の料理も持ってくるのじゃ!」
「ああ。料理はまだまだ出せるから、楽しみにしていてくれ!」
まさか、ステーキだけでオーケーをもらえるなんて。
それだけドラゴン肉のポテンシャルが高かったってことだな!
そのあともドラゴンの肉をいろいろな方法で料理したが、サンドラはどの料理にも満足してくれたようだった。
金色の味に、辛味噌炒め、オイスター炒め、バター醤油炒め、生姜焼き、コチュジャン、ネギ塩などなど、思いつく味付けをいろいろと試してみた。もっとも、味付けを変えて肉を炒めるだけだから、それほど時間と手間は掛かっていない。
他のお客さんもいて時間に限りがあるため、あまり凝った料理が作れなかったのはこちらとしても残念だったな。休日にもっと凝った料理を作って、次にサンドラが来る時にも出してやろう。
そして……サンドラが出してくれた巨大な肉の塊は、全て彼女のお腹の中へと消えていった。
どう考えても質量的におかしいのだが、魔法もある世界だし今更か。
前回はこのキャンプ場の食材を食べ尽くした上で足りないと嘆いていたが、今回はちゃんとお腹いっぱいになってくれたようで、よかった。
と、思った時には、サンドラはもう既に寝てしまっていた。
お酒はちゃんと五本までで我慢してもらったが、それでも眠くはなってしまったらしい。
まだ報酬のドラゴンの肉をもらっていないんだけどなあ……
だが、気持ちよさそうにハンモックに揺られる彼女の寝顔を見ると、わざわざ起こす気にもなれなかった。
今日の晩ご飯にドラゴンの肉を食べられないのは残念だが、まあいっか。
現在の時刻は二十時半。
管理棟の営業時間が終わって、俺は従業員のみんなと一緒に管理棟の中で雑談していた。
「……これは中々いいですね。もっと早く出してくださいよ」
ソニアが、先ほど購入してあげたハンモックに揺られながらそう言った。
「アウトドアチェアでも十分だろ。ハンモックも気持ちがいいのはわかるんだけれど、場所を取るのが難点なんだよなあ」
全長、三メートルくらいあるからな。管理棟の中にそういくつも置けるわけではない。
「ソニアお姉ちゃん、次は私にもやらせてほしいニャ!」
「はい、もういいですよ!」
ソニアは相変わらずアルエちゃんには甘々だな。
すぐに降りてアルエちゃんにハンモックを譲ってあげている。
「ニャ、ニャ!?」
ゆらゆらと揺れるハンモックに揺られながら遊んでいるアルエちゃん。
そんな彼女に優しい視線を一瞬送ってから、アルジャが言う。
「それにしてもユウスケさんは、よくあのサンドラさんを相手に普通に接することができますね。竜の姿や強大な魔力を一度見てしまったら、とてもできませんよ」
「ああ~、やっぱりアルジャもそうなのか。俺は魔法が使えないし、魔力に関する感覚も鈍いのかもしれない。確かに元の竜の姿は怖いけど、人の姿ならあまり気にならないんだよな」
「……俺もあまり気にはならんな。普段魔力というものに触れていなかったから、その感覚はわからん。さすがにあの竜の姿は恐ろしかったが」
俺の言葉にウドがそう続けた。サリアもそれに頷く。
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