異種族キャンプで全力スローライフを執行する……予定!

タジリユウ

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第5章 いろんな客とトラブルがやってきた!?

第272話 トマトジュースと温泉

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いつも拙作をお読みいただき誠にありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾

こちらの作品の第2巻が明日(4/17)から発売されます!

イドやサンドラの女の子バージョンが本当に可愛らしいので、イラストだけでも見ていってください∩^ω^∩

続刊やコミカライズを目指していきたいので、何卒よろしくお願いいたしますm(_ _)m

https://twitter.com/tajiriyu08/status/1775439313335107618

―――――――――――――――――――――


 
「ところでアンネルさん、こっちの飲み物を試してみませんか?」

「……これは?」

 アンネルさんの目の前へ真っ赤な液体が入ったグラスを差し出す。

「これはトマトという野菜のジュースです。うちの故郷ではこういう飲み物が好きな方もいらっしゃるので、ぜひ試してみてください」

 にんにくや日の光が大丈夫だから、好きであるかは分からないが吸血鬼にはこれかなと思って出してみた。

 ちなみにトマトジュースには血液と同じような成分が入っているわけじゃないぞ。ただ単純に色が血液に似ているから、血液の代替品として創作物の中で飲まれるようになったらしい。

 だからアンネルさんも別にトマトジュースは好きじゃない可能性もかなり高いが、単純に健康にもいいからな。

 このキャンプ場でも普段は野菜ジュースを出していて、たまに注文をしてくれるお客さんもいる。成分的にいうと鉄分の多いレバーなんかが好きな可能性が高いかもな。あとでレバーみたいな食材が好きかもとサンドラに伝えておくかな。

「ふぉい、ゆふふへ! ふぁらふぁもほふぃいのじゃ!」

「はいはい。もちろんサンドラの分もあるから、落ち着いて食え」

 サンドラが食べ物を口の中に入れながら行儀悪く話す。ちゃんとサンドラの分も持ってきている。

「駄目な人は駄目な味だから無理はしなくていいからな」

 野菜ジュースやトマトジュースは駄目な人は本当に駄目だからな。ちなみに俺は社畜時代に野菜の栄養は一日これ一本で大丈夫的なのをよく飲んでいた。

 終電時間まで働いていると、コンビニ弁当が多くなるから、少しくらい健康的なものを飲もうと思ったんだよな。まあ、健康的な生活を目指したいなら、毎日終電まで残業をという生活を改めるべきなんだが……

 うっ、過去の社畜時代のトラウマが!

「ううむ、あんまりおいしくないのじゃ……」

「まあ、どちらかというと味よりも健康に重きを置いた飲み物なんだ。好きな人は好きな味なんだけどね」

 俺は普通に飲めるけれど、子供だと野菜ジュースやトマトジュースは駄目な子が多いよね。キャンプ場の従業員にも出したけれど、イドやアルエちゃんはあんまり好きじゃなかったようだ。アリエスとアルジャは結構好みだったようで、今でもたまに出してあげている。

「……美味しい!」

 表情の変化が少ないアンネルさんの顔が少し緩んだように見えた。そしてそのままゴクゴクと一気に飲み干してしまった。吸血鬼は置いておいても好きな人は好きな味だからな。

「……妾の分もあげるのじゃ」

「ありがと!」

 サンドラは苦そうな顔をしつつ、トマトジュースの入ったグラスをアンネルさんの方へ差し出し、アンネルさんは嬉しそうにサンドラの飲みかけのトマトジュースを飲んでいる。

 気に入ってもらえたようで何よりだ。それにしても好き嫌いの少ないサンドラが苦手とは珍しいな。他にもセロリなんかも嫌いだから、苦めな味は駄目なのかもしれない。



「ふう~相変わらずここの料理はうまいのじゃ!」

「とてもおいしかった」

「お粗末さまでした」

 それからしばらくの間いろんな料理を持っていった。アンネルさんは普通の人と同じくらいの食事量で、持ってきたいろんな料理を一口ずつだけ食べていた。

 見たところ揚げ物なんかを一口以上食べていたから、特に揚げ物を気に入ってくれたのかもしれない。うん、カツにソースをかけて食べると最高に美味しいもんな。

「それでは温泉に行くぞ! ここの温泉は本当にすごいのじゃ!」

「……温泉?」

「当キャンプ場の自慢のお風呂ですよ。温泉と言って、地中深くにある熱湯をくみ上げて入るお風呂になります」

 食事に満足して、次は温泉に入るようだ。いつもサンドラが来た時は料理を堪能して、夜にサリアと一緒に温泉を楽しむことが多かったが、今日は先にアンネルさんと一緒に入るようだ。

「うむ、とても気持ちがいいのじゃぞ!」

 話ながら、サンドラとアンネルさんと一緒に管理棟に併設されている温泉施設へと向かう。

 ……それにしても、こうやって2人で歩いていると、可愛らしい少女が2人で歩いているようにしか見えない。しかし、その正体は悠久の時を生きる古代竜と吸血鬼らしいからな。



「うむ、やはり温泉はとても気持ち良かったのじゃ!」

「………………」

 今日は結構長湯をしたようで、一時間くらいしたあとに温泉施設の隣にある管理棟へとやってきて、フルーツ牛乳を飲んでいた。

 サンドラの方はいつも通り温泉に満足をしてくれて満面の笑みだが、アンネルさんの方はトロンとした表情でずっと無言だ。

「アンネルさん、大丈夫ですか? 温泉はあまりよくありませんでしたか?」

「……大丈夫。あまりに気持ち良くて眠いだけ」

「ああ、なるほど」

 確かに温泉に入ると気持ちよくて眠くなってしまうもんな。俺もたまに湯船の中でウトウトしてしまうことがある。

「こやつは温泉の中で何度も眠りに落ちそうになっていたのじゃ……あれだけ寝たばかりというのにのう」

「あの温泉というものは心地よすぎる。たっぷり寝たあとでも、気を強く持たないと3秒で落ちてしまう」

「な、なるほど……」

 そういえばアンネルさんは長い時は一月くらい寝ているってサンドラが言っていたな。どこかのメガネをかけた眠りの天才くんみたいだ……

 やっぱり吸血鬼って棺桶とかで眠るんだろうか?
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