上 下
181 / 192
第5章 いろんな客とトラブルがやってきた!?

第266話 大会が終わって

しおりを挟む

「今週は平和だなあ~」

 忙しい昼食時が過ぎて、夕食から忙しくなるまでのひと時。

 今日はキャンプ場に来てくれているお客さんもかなり少ないので、管理棟の食堂で従業員のみんなとのんびりお茶をしながら過ごしている。アリエスも先週はいろいろと忙しかったからか、さっき見たら厩舎のほうでのんびりと日向ぼっこをしていた。

「先週は忙しかったので、ちょうどいいですよ。普段のキャンプ場の営業に加えて、料理大会の準備もありましたからね」

「お客様も泊りがけで大会の準備をされている方が多かったですからね。今週はお客さんの数もだいぶ落ち着いています」

 ソニアとサリアの言う通り、このキャンプ場での初めての料理大会を開催してから2日経ったが、キャンプ場のお客さんの数はだいぶ落ち着いている。

 カレー料理大会という大きなイベントが終わって、今週はお客さんもそれほど多くなく、のんびりとした週を過ごせている。

「今週は食材の販売や調理器具の貸し出しが多いですね。先週のカレー料理大会で、自分たちで作る楽しみを感じてくれたのかもしれません」

「ああ。いつもよりも火を起こしているお客さんも多かった気がするぞ」

「本当か? だとしたらアルジャとウドの言う通り、料理に興味を持ったお客さんが増えてきてくれたのかもしれないな」

 先週の料理大会で、自分たちで料理をする面白さに気付いてくれたのなら素晴らしいことだ。

 あの大会の一番の目的はキャンプ場に来てくれているお客さんたちに自分たちで料理をする楽しさを広めることだったから、その目的は達したと言えそうだな。

 それに加えて、俺が異世界でみんなが作るカレーを楽しみたいという第二の目的も果たしたから大満足である。

「それにみんなのおかげで賞品も用意出来たし助かったよ」

 料理大会の賞品の希望はすでに入賞者の人たちから聞いている。ダルガたちの希望の酒もすでに準備できたから来週から少しずつ渡していく予定だ。

 一気に全部渡すことも可能だが、一気に飲み干してしまいそうだからな。すでに渡した半分のお酒はあの時キャンプ場に来てくれていた大勢のお客さんと一緒に呑んでいたからいいが、いくらドワーフのみんなとはいえ、酒精の強い高級なお酒の一気飲みは危険である。

 みんなに聞いたところ、一気に賞品をもらうと一気に飲んでしまうから、みんなも少しずつ渡される方が嬉しいと言っていた。

 商人さんチームの寝袋についてもすでに購入済みだ。いろんな場所を旅するらしいし、ちょっと高めな使用限界温度のかなり低めな寝袋を渡す予定だ。

「僕たちの方もいつもよりすごいシャンプーやコンディショナーや石鹸が楽しめてラッキーでした」

「とってもいい香りがして、髪の毛がサラサラになったニャ!」

 そして一位のエリザさんたちの賞品である少女コミックやレシピなんかも用意して、普段キャンプ場の温泉で使用しているシャンプーやコンディショナー、石鹸などよりも高級な女性用の製品を用意してある。

 これについては男かつ前世でまったく女性に縁がなかった俺にはさっぱりだったので、キャンプ場の女性のみんなに相談をさせてもらい、そこそこの値段のするものを毎日日替わりで試してもらっている。

「どれも本当に素晴らしかったです大きな街などで販売されている高価な化粧品なんかよりもよっぽど効果がありますよ。貴族に高値で売れることは間違いないでしょう!」

 ソニアが自慢の金色のポニーテールをかき上げると、サラサラとした美しい髪が綺麗に流れていく。

「その場合は間違いなく面倒ごとも一緒についてくるから、絶対に販売はしないからな。下手をしたら、酒よりもよっぽど面倒ごとを運んでくるかもしれないぞ……」

 どこの世界でも女性の美に対する欲求はとんでもないものだからな。この世界の貴族なんかは以前にキャンプ場へやってきた傲慢な貴族ばかりだろうし、これらの物は絶対にバレるわけにはいかない。

 エリザさんも王族だが、その辺りの線引きはしっかりしてキャンプ場に来てくれているから助かる。そうだ、一応エリザさんの兄であるこの国の第一王子であるレクサム様には見せないようにお願いしておかないと!

 普段はまともだが、あの人はエリザさんのこととなるとまともじゃなくなるからなあ……

 エリザさんのためならこのキャンプ場に国の全戦力を集結させたりしてしまいそうだ……まあ、さすがにこの国の国王様とエリザさんが止めるとは思うが。

「そうだ、せっかくなら今の落ち着いている間に畑を作ってみるか」

 そういえばだいぶ前からキャンプ場で野菜を育ててみようと思っていたことがあった。すでに畑を作っているエルフ村のみんなや、昔は農村出身だったという獣人のランドさんとバーナルさんから農業についていろいろと聞いている。

 ちょうど今はキャンプ場の営業ものんびりとしていることだし、キャンプ場の空いているスペースに少しずつ畑を作ってみよう。採れたての野菜を食べられたら最高だろうな。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

殿下の運命は私ではありません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,030pt お気に入り:27

猫耳幼女の異世界騎士団暮らし

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,195pt お気に入り:389

最後に全ては噛み合った

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,217pt お気に入り:61

婚約者様、あなたの浮気相手は私の親友ですけど大丈夫ですか?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,425pt お気に入り:29

落第錬金術師の工房経営~とりあえず、邪魔するものは爆破します~

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:915

ザ ゴブリンキング

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:2

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。