136 / 165
第5章 いろんな客とトラブルがやってきた!?
第265話 カレーうどん
しおりを挟むジリリリリリッ
「……ふあ~あ。さて、みんなは大丈夫だったかな」
目覚ましの音が鳴って目が覚めた。
昨日は無事に料理大会が終了し、大会のあとはお客さんたちで楽しい宴を楽しんでいた。俺は今日の朝の準備があるから、日付が変わるくらいで管理棟に戻ってきて寝たけれど、みんなは大丈夫そうかな。
このキャンプ場に来てくれているお客さんはここで出すお酒に慣れているが、昨日は普段出していない高級なお酒を出していたし、大人数で楽しく飲んでいると普段よりお酒も進んでしまうものだからな。
「おはよう」
「「「おはようございます」」」
着替えて下の階に降りると従業員のみんなもほとんど揃っていた。
「ユウスケ。さっき見てきたが、酔いつぶれて寝てしまったお客様はいなかったみたいだぞ」
「おお、それはよかった。ありがとう、ウド」
俺も確認しようと思っていたところだが、すでにウドが見てきてくれたらしい。一応寝る前にちゃんと注意はしてきたが、どうやらみんな酔いつぶれて地獄絵図とはならなかったみたいだ。
「昨日は楽しい宴だったから、心配していたがよかったぞ。俺も昨日はとても楽しかった」
「僕もです!」
どうやらウドとイドも昨日は楽しんでくれたようだ。今回は大会中も大会が終わったあとも、従業員のみんなにも楽しんでもらえるようにしていたからな。
うちのキャンプ場は従業員もお客さんに混ざって楽しめるホワイトな職場だ。みんなも気を遣わないように責任者の俺が率先して楽しんでいるのである。うん、うちはそういう緩い職場でいいのだ。
「だけどまだ今回の大会は終わっていないからな。お客さんたちを見送るまで頑張っていこう」
「みなさん、おはようございます。朝食の準備ができておりますので、各自で中央まで取りに来てください」
いつものキャンプ場の朝食はホットサンドだが、今日はせっかくのカレー大会のあとということで、カレーうどんにしてみた。
またカレーかよ、と言われないようにめんつゆの割合を少し多めにしてある。うどん自体は従業員のまかないで作ったことはあったが、お客さんには出していなかったから、多少は喜んでもらえるだろう。
昨日余ったカレーはもうほとんど残っていなかったので、そちらをすべて混ぜたものに新たにカレールーを加え、それにめんつゆと水、野菜などと加えて味を整えた。みんなが作ってくれたカレーもベースは同じカレールーを使っていたから問題ない味に仕上がった。
材料費はほとんどかかっていないし、料金は取らないようにしておいた。朝から財布を取り出してお金の勘定とかって面倒くさいもんな。
「ほう、こいつはうまいな!」
「昨日のカレーに麺を加えた料理か。なるほど、カレーは米やナンだけでなく、こういった麺にも合うんじゃな!」
ダルガもアーロさんもおいしそうにフォークですくいながらズルズルとカレーうどんを食べてくれている。
「あえてカレーを多めに作っておいて、次の日に出汁と野菜と麺を加えれば朝食にもなるからな。スープはカレーを出汁で割ってあるから、あっさりしていてすんなり入るだろ」
「うむ、麺の方は小麦粉を練って作った少し太めの麺のようであるな」
「へえ~小麦粉があればできるのか」
「ええ、オブリさん、ランドさん。小麦粉と水さえあれば簡単に作れますよ。うちの故郷ではうどんと言います。うどんはカレーだけじゃなくていろいろなスープで食べられますからね」
「おお、こっちのシーサーペントのカツともよく合うのじゃ!」
「シーサーペントの肉をありがとうな、サンドラ。ちなみにこれは天ぷらと言って、カツとは衣が違うものなんだ。こっちのうどんも揚げ物にはよく合うんだよ」
赤いメイド服にカレーうどんの汁を盛大にこぼしながら、サンドラがフォークでカレーうどんを食べている。一応みんなにカレーうどんのつゆは服に付くと落とし難いと伝えてあるが、サンドラのメイド服は魔法によってできているらしいので、すぐに綺麗にすることができるようだ。
昨日サンドラからもらったシーサーペントの肉はかなり多かったので、今日の朝もトッピングとして使わせてもらっている。
やはりうどんには天ぷらの方が合うということで、今日はカツではなく天ぷらにしてみた。まあ、カツも天ぷらも同じ揚げ物ではあるが、うどんには天ぷらだよな!
シーサーペントの肉を提供してくれたサンドラが満足そうにしてくれていているのでなによりである。
「サンドラさん、とてもおいしかったです。本当にありがとうございました」
「サンドラお姉ちゃん、おいしかったです!」
商業ギルド職員のルフレさんと息子のケイシュくんがサンドラにお礼を言いに来てくれた。さっきカレーうどんを配る時にシーサーペントの食材はサンドラから提供してもらったと伝えていたからだろう。
「うむ、いっぱい食べて妾のように大きく育つのじゃ!」
「うん!」
ない胸を張りつつ、ドヤるサンドラ。お礼を言われてだいぶ嬉しいようだ。
サンドラも子供は可愛いようで、ケイシュくんの頭を撫でている。なんだかとても微笑ましい光景ではあるが、ケイシュくんが古代竜の大きさ並みに育ったらちょっと困るぞ……
212
お気に入りに追加
4,835
あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
異世界じゃスローライフはままならない~聖獣の主人は島育ち~
夏柿シン
ファンタジー
新作≪最弱な彼らに祝福を〜不遇職で導く精霊のリヴァイバル〜≫がwebにて連載開始
【小説第1〜5巻/コミックス第3巻発売中】
海外よりも遠いと言われる日本の小さな離島。
そんな島で愛犬と静かに暮らしていた青年は事故で命を落としてしまう。
死後に彼の前に現れた神様はこう告げた。
「ごめん! 手違いで地球に生まれちゃってた!」
彼は元々異世界で輪廻する魂だった。
異世界でもスローライフ満喫予定の彼の元に現れたのは聖獣になった愛犬。
彼の規格外の力を世界はほっといてくれなかった。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。