126 / 165
第5章 いろんな客とトラブルがやってきた!?
第255話 様々なカレー
しおりを挟む「いやあ、どのカレーも本当にうまいな」
「ええ。どのチームも様々な工夫を凝らしておりますね。中には自分では絶対に思いつかないようなアイディアもあって本当に楽しめました」
「それに皆さん、とても楽しそうに料理をしていました。お祭りみたいでとても楽しいですね!」
ソニアとサリアと一緒に他のチームのカレーをすべて回ってきた。
ソニアの言う通り、元の世界の俺にはとても思いつかないようなカレーも色々とあった。この世界特有の素材を使った黒い色のカレーや具材に芋虫を使ったカレーなんかもあったな。2人はあまり気にしていないようだったが、さすがにあれは俺には見た目が受け付けられなかった……
他のお客さんも気にしていなかったし、こっちの世界では普通に虫なんかも食材として扱うのだろう。日本でもイナゴやハチの幼虫なんかを食べたりするしな。
とはいえ、サリアが言うようにどのチームもとても楽しそうに料理をしており、審査員としてカレーを食べに来たお客さんたちもおいしいカレーを食べられてとても楽しそうだ。まさにお祭りのような様子で、ここにいるだけでウキウキしてくる。
「みんなが作ったカレーを楽しむという意味でも、みんなに料理の楽しさを知ってもらう意味でも今のところは大成功だな」
「そうですね。それにお客様だけでなく、私たち従業員も楽しむことができました。月に一度くらい開いてもいいかもしれませんね」
「……まあ、俺たち従業員も楽だからな」
ソニアが言いたいのはむしろそこだろ。いろいろと準備は必要だったが、当日は飲み物を提供したり進行をするだけで、おいしいカレーを楽しめるからだいぶ楽だ。
キャンプ場ではご飯とナンを準備するだけでいいし、審査もお客さんたちと一緒に行うから、そこまで気を負うこともない。とはいえ、参加者には料理を勉強する時間も必要だし、キャンプ場でしか手に入れられないものをあまりばらまきすぎるのも良くないだろう。
やはり数か月に一度くらいがちょうどいい気もする。そのあたりもみんなと相談いろいろと考えていくことにしよう。
「おお、ユウスケ殿!」
「ドナルマさん、お久しぶりです」
すべてのチームが作ったカレーを食べてからお気に入りのカレーをもう一杯食べ、ぼちぼち時間になったので戻ろうとしたところ、冒険者ギルドマスターのドナルマさんがいた。
どうやら今日は審査員として参加してくれているようだ。
「お久しぶりですね、ギルドマスター」
「おう、ソニアも相変わらず元気そうだな。サリアのお嬢ちゃんも久しぶりだな」
「お、お久しぶりです!」
相変わらず見事なスキンヘッドでちょっとだけ強面なドナルマさんは少し――いや、結構見た目が怖かったりする。実際には冒険者想いのとてもいい人だ。
「それにしても面白えことをしているな。このキャンプ場で出していたカレーも食ったことはあるが、どのチームもそれに負けないくらいうまい飯を作るもんだぜ」
「ありがとうございます。ドナルマさんは料理をしないんですか?」
「ああ。俺はあまり料理をしないから、今日は普通に楽しむ側として参加したぜ。それでも十分に楽しめているぞ」
「それは良かったです。ちなみにドナルマさんはどのカレーが好きでした?」
「う~ん、なかなか難しい問題だよな……どのチームのカレーも本当にうまかったぜ。あえて言うならアンリ――じゃなかった、エリザ嬢のカレーがうまかったと思うぞ。あれはすべての面でレベルが高かったな」
「なるほど。確かに俺もエリザさんのチームが作ったカレーは3本の指に入ると思いますね」
うん、貴族のエリザさんだからな。その辺は間違えないようにお願いしますよ、マジで!
確かに執事のルパートさんと女騎士のベレーさんたちが作ったあのカレーは絶品だった。少なくとも3位以内には入るだろうな。
「あと個人的には商人チームが作っていたエイベン虫のカレーも好きだったぜ。俺の票はあれに入れようかなと思っているところだ」
「……なるほど」
ちなみに商人チームが作っていたエイベン虫のカレーというのは例の芋虫のカレーだ。審査のためにちゃんと食べたが、どうしてもあの見た目が駄目だったんだよね。
衣を付けて揚げたようで、外はカリッとしていて中はトロリと柔らかく、カレーにもよく合うようにできていたんだよなあ……ただ、あの見た目がどうしても受け入れられなかった。まあ今回の投票は自分の一番好きなカレーに投票するわけだし、見た目は審査に含んでいいだろう。
「それにしてもエリザ嬢だけでなく、ジルベールやオブリ様にセオド殿まで参加しているんだから、とんでもねえ参加者だよな……そして何よりあの赤い服を着たお嬢ちゃんは何者なんだか……」
「そのあたりは秘密ということで」
言われてみると、ものすごい面子だよなあ……
そういえばドナルマさんは変異種討伐後の宴の際にサンドラと会っていたっけ。ドナルマさんのような強い人だとサンドラの強さが分かるらしいからな。
「まあ今日は一人の客として楽しませてもらているぜ。さて、もう何杯か食ってくるとするか」
「ええ、ぜひ楽しんでくださいね!」
163
お気に入りに追加
4,833
あなたにおすすめの小説
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。