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第5章 いろんな客とトラブルがやってきた!?
第252話 フルーツカレーと焼きチーズカレー
しおりを挟む「はい、うちらの特製フルーツカレーだよ」
自信満々にシャロアさんが出してきたカレーは茶色いカレーの上に色とりどりのフルーツが乗っていた。
なるほど、カレーの中に果物を入れるわけではなく、そのまんまカレーの上に果物を乗せているわけか。
「ご、ご飯よりもナンの方がおすすめです!」
「なるほど、それじゃあナンの方でお願いするよ」
確かに果物と合わせるのなら、ご飯よりもナンの方がおいしいかもしれない。元の世界でリンゴを隠し味に使うカレーは知っているが、直接果物をカレーに乗せて食べたことはないな。どんな味がするのかとても興味がある。
「うわあ~甘くてとってもおいしいです!」
「ええ、これはとてもおいしいです。カレーというよりもデザートに近いかもしれませんね」
「おお、さっきのドワーフチームのとは真逆だな。上の果物だけじゃなくて、カレー自体も甘くしてあるのか。確かにこれはご飯よりもナンの方があるかもしれない。うん、初めて食べる味でおいしいよ」
先ほど食べた激辛カレーの余韻を除いても、だいぶ甘いカレーに仕上がっている。酸味と甘みのあるフルーツがカレーの辛さを抑えつつも、香辛料の味を引き出している。
これは子供や女の子には受けそうなカレーだ。意外と甘めのカレーというのもうまいかもしれない。元の世界で食べたことはないが、もしかしたらフルーツカレーなんてものがあってもおかしくないな。
「ありがとうございます。ユウスケさんにそう言ってもらえると自信が出てきますよ」
「よし、このまま優勝を目指すわよ!」
「は、はい!」
どうやらチームワークも良いようだな。やはり冒険者は普段料理をすることが多いから、有利になるのかもしれない。
「おお、ユウスケ殿。いらっっしゃい」
「どうも、オブリさん。早速ですがカレーを3つお願いします」
「うむ、了解した。アルベ、カレーを3つ頼むぞ」
「はい、村長」
続けてエルフ村チームのテントへとやってきた。1チームのカレーの分量はほんの数口分しかないため、2チーム食べた時点で、むしろよりお腹がすいてきた気がする。
今日はサリアの両親や友達も来ているようだ。テントの奥の方にお邪魔すると見知ったエルフ村の面々がいた。
「昨日から皆さんにはいろいろとお手伝いしてもらって、本当に助かっています」
「なあに、これくらいお安い御用じゃ。いつも儂らが世話になっているからのう。役に立てて何よりじゃ」
エルフ村のみんなには収納魔法を使って、炊き立てのご飯とナンを収納してもらっている。管理棟に保温したご飯とナンを置いており、各チームに補充をお願いしている。そして管理棟のご飯やナンが少なくなったら、エルフ村のみんなにお願いして、収納していたものを出してもらうわけだ。
「そう言っていただけて良かったです。とはいえ、審査の方は別ですからね」
「うむ、もちろんじゃ。悪いがこの勝負はもらったぞ。儂ら長寿のエルフは味にうるさいから、料理でその辺りの者に負けるわけにはいかんのう」
「おお、それは楽しみです!」
審査は別と百も承知だと胸を張るオブリさん。確かにエルフの寿命は人のそれよりも長いから、様々な料理に触れてきたのだろう。これはとても楽しみだな。
「ユウスケさん、お待たせしました。焼きチーズカレーになります」
「ありがとうございます、カテナさん」
サリアの母親であるカテナさんが持ってきたカレーは上に2種類のチーズが乗っていた。そしてその2種類のチーズには綺麗な焦げ目がついている。カレーのおいしそうな香りと、チーズの焦げた香ばしい香りが合わさって、なんとも言えない良い香りが漂っている。
「カレーの上に儂らの村で作った2種類のチーズを乗せ、それを火魔法で軽く焦がしたチーズカレーじゃ」
エルフの村で作られているチーズを前面に押し出してのチーズカレーだ。やはりチーズとカレーの相性の良さに気付いたようだな。エルフは寿命が長い分、料理に研鑽してきた時間も他の種族よりも長いのだろう。
「香りも見た目もとてもいいですでね。それではいただきます……うん、チーズとカレーが絶妙にあっていて、とってもおいしいですよ! それに2種類のチーズは味が違っていて楽しめますね」
少し濃厚に味が付けられたカレーと、表面が少し焦げた香ばしいチーズにその下の柔らかくとろけたチーズが絡み合って見事な味に仕上がっている。
そしてコクのある濃厚な風味のチーズと、あっさり目で柔らかめのチーズの2種類のチーズの味が楽しめるようになっている。カレー自体はカレールーを少しだけ多めに入れてとろみを強くしてあり、チーズとより合うように味付けされている。
短い準備期間なのに、いろいろと研究をしつつ様々な工夫を試したようだ。さすがにエルフ村のみんなである。
「これは素晴らしいですね! 普通にチーズを乗せるだけよりもおいしいです」
「少し焦げたチーズがとってもおいしいです!」
このキャンプ場のまかないでカレーを出す際もチーズをトッピングで付けたりもするが、こちらの方が圧倒的にうまいな。今度はチーズ部分をバーナーで軽くあぶってみてもうまいかもしれない。
ソニアとサリアも満足しているみたいだし、チーズカレーは万人受けしそうだ。惜しむべきは、1人分の量が少ないということだな。エルフ村チームも優勝候補の一角のような気がする。
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