61 / 78
ずっと一緒にいたいから
7
しおりを挟む
カエデくんが着ていたニットを裾からたくし上げて脱がせ、改めてその肌へと手を伸ばす。堅く引き締まった筋肉に直に触れ、やっぱりたまらくなった。
彼の肌を指の腹でゆっくりとなぞる。なめらかな肌触りを堪能している途中で視界に入ったその色に、胸の奥がギュッとなった。
「やっぱりここ、赤くなってる……」
「え? ああ、ほんとだ」
カエデくんの左腕。私を孝治からかばってくれた時のもの。
「冷やしたほうが……」
「大丈夫だよ」
「ごめん。ごめんね……」
「なんで亜矢さんが謝るの? 全然大丈夫だよ。ね、それより、ほら、続き、どうぞ?」
「……もうっ」
カエデくんは私の手を取って、自らの肌へと触れさせる。
彼の引き締まった肌に触れ、私は一瞬でまた身体の奥が熱く焦げる衝動へと引き戻された。
この男は、どこまでもズルい。こんなにも一瞬で、私を彼の魅力の沼に突き落としてしまう。二度と抜け出せないと覚悟しなければならない。
そんなことを考えながら、彼の肌をまたそっとなぞる。
手の平に伝わる彼の体温が、私の体温を上昇させていく。身体の奥がじわりと熱くなる。
暑くて、熱い――。
私が自分が着ているブラウスのボタンに手をかけたところでカエデくんの手にそれを遮られた。思わずムッとしてカエデくんを軽く睨むと、いつもとは少し違う笑みを浮かべていて……。
「ダメ……。それ、僕が、やりたい」
私が手を離すと、カエデくんの手がゆっくりと私の服のボタンを外していく。カエデくんの綺麗な指が、ひとつひとつ……。
たまらず、私はカエデくんへと口づける。お互いの舌を絡め合うようにするだけでまるでひとつに溶け合うような感覚に陥って、気が遠くなりそうだ……。
いつの間にか私もカエデくんも一糸纏わぬ姿となって、お互いの熱さを確かめあって、今度こそ本当にひとつに溶け合う。
「……カエデくん、カエデ、くん……っ」
何度も何度も、彼の名前を呼ぶ。
好き、愛してる。そんな言葉では、到底足りない。
けれど、だからこそ、その想いを込めて――。
「カエデく、ん……っ」
「……亜矢さんっっ」
普段の優しい声とは違う、カエデくんの少し切羽詰まったような呼び声に、思考が焦げつく。私と同じぐらいに彼も私を求めてくれているのだと思うと、胸の奥の奥が、どうしようもなく熱くなった。
ひとつになって、どろどろに溶けて、二人で高みに昇って……。
あなたを好きだと、愛していると、強く強く思う、心の底から――。
――「……ごめん亜矢さん、おなか空いてた、よね……?」
互いの呼吸がようやく落ち着いた頃、ベッドの中で私を抱きしめながらカエデくんが私に問いかけた。
そう言えば帰って来てすぐに抱き合ったんだっけ……。夢中ですっかり忘れていた。
「あの時は空腹なんかより、カエデくんが欲しかったから……」
思ったままを口にすると、嬉しそうに微笑んだカエデくんに優しく口づけられた。
「……ほんと、亜矢さんってズルい」
「え……? どこが? 狡いのはカエデくんでしょ?」
だって、いつもふわふわ笑ってるくせに。ベッドの中では全然別人。優しく笑ってるいつものあの表情は、本当は全部誰かを騙すためのものなんじゃないの……?
ジロリと睨むと、やっぱりもう私を騙す準備ができていて、ふわりふわりと笑っている。
そんな風に騙す気満々っぽい彼の頬に手を伸ばし、むにゅ、と頬をつまむ。それでもなお笑ってる彼に、今度は私から軽く口づけた。
唇が離れると、カエデくんが少し不服そうに口をとがらせる。
「……ほら、やっぱり亜矢さんの方がズルいっ」
「違うでしょ、カエデくんがそんなズルい顔して笑ってるからでしょう?」
「そんなこと言って……。また襲っちゃうよ?」
「もう……っ、ばかっ」
彼の肩のあたりをポカリと叩く。
やっぱり「ふふっ」と笑ったカエデくんは「晩ご飯の用意してくる」と言ってベッドからスルリと抜け出した。
彼の肌を指の腹でゆっくりとなぞる。なめらかな肌触りを堪能している途中で視界に入ったその色に、胸の奥がギュッとなった。
「やっぱりここ、赤くなってる……」
「え? ああ、ほんとだ」
カエデくんの左腕。私を孝治からかばってくれた時のもの。
「冷やしたほうが……」
「大丈夫だよ」
「ごめん。ごめんね……」
「なんで亜矢さんが謝るの? 全然大丈夫だよ。ね、それより、ほら、続き、どうぞ?」
「……もうっ」
カエデくんは私の手を取って、自らの肌へと触れさせる。
彼の引き締まった肌に触れ、私は一瞬でまた身体の奥が熱く焦げる衝動へと引き戻された。
この男は、どこまでもズルい。こんなにも一瞬で、私を彼の魅力の沼に突き落としてしまう。二度と抜け出せないと覚悟しなければならない。
そんなことを考えながら、彼の肌をまたそっとなぞる。
手の平に伝わる彼の体温が、私の体温を上昇させていく。身体の奥がじわりと熱くなる。
暑くて、熱い――。
私が自分が着ているブラウスのボタンに手をかけたところでカエデくんの手にそれを遮られた。思わずムッとしてカエデくんを軽く睨むと、いつもとは少し違う笑みを浮かべていて……。
「ダメ……。それ、僕が、やりたい」
私が手を離すと、カエデくんの手がゆっくりと私の服のボタンを外していく。カエデくんの綺麗な指が、ひとつひとつ……。
たまらず、私はカエデくんへと口づける。お互いの舌を絡め合うようにするだけでまるでひとつに溶け合うような感覚に陥って、気が遠くなりそうだ……。
いつの間にか私もカエデくんも一糸纏わぬ姿となって、お互いの熱さを確かめあって、今度こそ本当にひとつに溶け合う。
「……カエデくん、カエデ、くん……っ」
何度も何度も、彼の名前を呼ぶ。
好き、愛してる。そんな言葉では、到底足りない。
けれど、だからこそ、その想いを込めて――。
「カエデく、ん……っ」
「……亜矢さんっっ」
普段の優しい声とは違う、カエデくんの少し切羽詰まったような呼び声に、思考が焦げつく。私と同じぐらいに彼も私を求めてくれているのだと思うと、胸の奥の奥が、どうしようもなく熱くなった。
ひとつになって、どろどろに溶けて、二人で高みに昇って……。
あなたを好きだと、愛していると、強く強く思う、心の底から――。
――「……ごめん亜矢さん、おなか空いてた、よね……?」
互いの呼吸がようやく落ち着いた頃、ベッドの中で私を抱きしめながらカエデくんが私に問いかけた。
そう言えば帰って来てすぐに抱き合ったんだっけ……。夢中ですっかり忘れていた。
「あの時は空腹なんかより、カエデくんが欲しかったから……」
思ったままを口にすると、嬉しそうに微笑んだカエデくんに優しく口づけられた。
「……ほんと、亜矢さんってズルい」
「え……? どこが? 狡いのはカエデくんでしょ?」
だって、いつもふわふわ笑ってるくせに。ベッドの中では全然別人。優しく笑ってるいつものあの表情は、本当は全部誰かを騙すためのものなんじゃないの……?
ジロリと睨むと、やっぱりもう私を騙す準備ができていて、ふわりふわりと笑っている。
そんな風に騙す気満々っぽい彼の頬に手を伸ばし、むにゅ、と頬をつまむ。それでもなお笑ってる彼に、今度は私から軽く口づけた。
唇が離れると、カエデくんが少し不服そうに口をとがらせる。
「……ほら、やっぱり亜矢さんの方がズルいっ」
「違うでしょ、カエデくんがそんなズルい顔して笑ってるからでしょう?」
「そんなこと言って……。また襲っちゃうよ?」
「もう……っ、ばかっ」
彼の肩のあたりをポカリと叩く。
やっぱり「ふふっ」と笑ったカエデくんは「晩ご飯の用意してくる」と言ってベッドからスルリと抜け出した。
1
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
推活♡指南〜秘密持ちVtuberはスパダリ社長の溺愛にほだされる〜
湊未来
恋愛
「同じファンとして、推し活に協力してくれ!」
「はっ?」
突然呼び出された社長室。総務課の地味メガネこと『清瀬穂花(きよせほのか)』は、困惑していた。今朝落とした自分のマスコットを握りしめ、頭を下げる美丈夫『一色颯真(いっしきそうま)』からの突然の申し出に。
しかも、彼は穂花の分身『Vチューバー花音』のコアなファンだった。
モデル顔負けのイケメン社長がヲタクで、自分のファン!?
素性がバレる訳にはいかない。絶対に……
自分の分身であるVチューバーを推すファンに、推し活指南しなければならなくなった地味メガネOLと、並々ならぬ愛を『推し』に注ぐイケメンヲタク社長とのハートフルラブコメディ。
果たして、イケメンヲタク社長は無事に『推し』を手に入れる事が出来るのか。
恋煩いの幸せレシピ ~社長と秘密の恋始めます~
神原オホカミ【書籍発売中】
恋愛
会社に内緒でダブルワークをしている芽生は、アルバイト先の居酒屋で自身が勤める会社の社長に遭遇。
一般社員の顔なんて覚えていないはずと思っていたのが間違いで、気が付けば、クビの代わりに週末に家政婦の仕事をすることに!?
美味しいご飯と家族と仕事と夢。
能天気色気無し女子が、横暴な俺様社長と繰り広げる、お料理恋愛ラブコメ。
※注意※ 2020年執筆作品
◆表紙画像は簡単表紙メーカー様で作成しています。
◆無断転写や内容の模倣はご遠慮ください。
◆大変申し訳ありませんが不定期更新です。また、予告なく非公開にすることがあります。
◆文章をAI学習に使うことは絶対にしないでください。
◆カクヨムさん/エブリスタさん/なろうさんでも掲載してます。
クリスマスに咲くバラ
篠原怜
恋愛
亜美は29歳。クリスマスを目前にしてファッションモデルの仕事を引退した。亜美には貴大という婚約者がいるのだが今のところ結婚はの予定はない。彼は実業家の御曹司で、年下だけど頼りになる人。だけど亜美には結婚に踏み切れない複雑な事情があって……。■2012年に著者のサイトで公開したものの再掲です。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
私の婚活事情〜副社長の策に嵌まるまで〜
みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
身長172センチ。
高身長であること以外はいたって平凡なアラサーOLの佐伯花音。
婚活アプリに登録し、積極的に動いているのに中々上手く行かない。
名前からしてもっと可愛らしい人かと…ってどういうこと? そんな人こっちから願い下げ。
−−−でもだからってこんなハイスペ男子も求めてないっ!!
イケメン副社長に振り回される毎日…気が付いたときには既に副社長の手の内にいた。
粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる
春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。
幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……?
幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。
2024.03.06
イラスト:雪緒さま
10 sweet wedding
国樹田 樹
恋愛
『十年後もお互い独身だったら、結婚しよう』 そんな、どこかのドラマで見た様な約束をした私達。 けれど十年後の今日、私は彼の妻になった。 ……そんな二人の、式後のお話。
幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在
一緒にいるのに 言えない言葉
すれ違い、通り過ぎる二人の想いは
いつか重なるのだろうか…
心に秘めた想いを
いつか伝えてもいいのだろうか…
遠回りする幼馴染二人の恋の行方は?
幼い頃からいつも一緒にいた
幼馴染の朱里と瑛。
瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、
朱里を遠ざけようとする。
そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて…
・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・
栗田 朱里(21歳)… 大学生
桐生 瑛(21歳)… 大学生
桐生ホールディングス 御曹司
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる