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目が覚めたら
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足音が消え去り静寂が訪れて、彼が部屋を出て行ったことが分かる。
ゆるゆると掛け布団を頭の上から顔の下まで引き下げて、私は部屋を見回した。
ベッドはとても広くて、ダブル? クイーン? ぐらいのサイズだ。
フットライトしか灯りがついていない。
遮光カーテンの隙間から少し光が漏れているけれど、部屋全体を照らすほどではないから全てをはっきりと見ることは出来ない。
とりあえず床の上には私が着ていスーツなどは落ちていないようだ。
じゃあ、私の服は、どこ。
思わず、はぁ、とため息をつく。
この状況で考えられる事って、もしかして……。
もしかして、の先をはっきりと頭に浮かべる前に、彼が部屋へと戻ってきた。
再び掛け布団を顔の半ばまで引き寄せる。
彼はスウェットを履いていてホッと胸をなで下ろしたけれど、上半身は相変わらず裸だ。
線は細いけれど程よく筋肉が付いていて、あぁ、こう言うのを“細マッチョ”って言うんだろうな、なんて思ってしまう。
目の保養……、って言うか、目の毒。
可及的速やかに、何か着て欲しい。
「はい、水。どうぞ」
グラスを差し出され、私は掛け布団を首下までゆっくりと引き下ろしてずり落ちないように片手で押さえながらグラスを受け取った。
「ありがと……」
ブラジャーはつけているとは言え、勝負下着でも何でもない、ごく普通のブラだ。男に見せる前提じゃない。
まぁ既に下着姿を見られちゃってるんだろうけど、それでも……。
胸の上でギュッと掛け布団を抱き締めて、水を口に含む。
ひとくちゴクリと飲み込むと、スーッと冷たいものが身体の中を通る感覚がした。
思ったよりもずっと喉が渇いていたようで、そのままゴクゴクと全てを飲み干す。
彼は私の手から空になったグラスを受け取り、「大丈夫?」と再び尋ねた。
私がコクリと頷くと、ホッとしたように微笑む。
あー、完璧すぎる顔で微笑んだら、ほんと無敵だな……。
アーモンド型の目、スッと通った鼻筋、綺麗な形の唇、シャープな輪郭、ふんわりとウェーブしていて少し長めの茶色い髪。
思わず見惚れてしまうほど素敵だ。
他の人がいるときは人懐っこく笑ってたくせに、朝は気怠げに色っぽい笑みを浮かべる。
……反則だ。
部屋が薄暗くて良かった。でなければきっと、私の頬が赤くなってることがばれてしまっただろう。
「何か食べられそう?」
「……分からない」
「そっか。……シャワー使う?」
私は、うん、と頷いた。
「その扉の奥がバスルーム。着替えはバスローブが置いてあるから、とりあえずはそれで。あるものは何でも適当に使ってくれて大丈夫だから」
「……ありがとう」
「その間に何か食べられそうなもの用意しとくね。ゆっくり暖まってきて」
彼はそう言って、先にベッドルームから出て行った。
私は詰めていた息を、はぁ、と吐いた。
のそりと起き上がりベッドから降りて教えて貰った扉を開くと、洗面室は予想以上に広く綺麗で清潔な印象だった。
作りつけの棚にはホテルタイプのバスタオルやフェイスタオルが綺麗に並べられている。
綺麗好き、几帳面、完璧主義――。
思わずそんな言葉が私の頭の中をよぎる。
そう言う男は、めんどくさい。私の過去の男にもそんな男がいた。もれなく、めんどくさかった。
彼には深入りしない方が良い、きっと。
下着を脱いで、バスルームへと足を踏み入れる。
ゆるゆると掛け布団を頭の上から顔の下まで引き下げて、私は部屋を見回した。
ベッドはとても広くて、ダブル? クイーン? ぐらいのサイズだ。
フットライトしか灯りがついていない。
遮光カーテンの隙間から少し光が漏れているけれど、部屋全体を照らすほどではないから全てをはっきりと見ることは出来ない。
とりあえず床の上には私が着ていスーツなどは落ちていないようだ。
じゃあ、私の服は、どこ。
思わず、はぁ、とため息をつく。
この状況で考えられる事って、もしかして……。
もしかして、の先をはっきりと頭に浮かべる前に、彼が部屋へと戻ってきた。
再び掛け布団を顔の半ばまで引き寄せる。
彼はスウェットを履いていてホッと胸をなで下ろしたけれど、上半身は相変わらず裸だ。
線は細いけれど程よく筋肉が付いていて、あぁ、こう言うのを“細マッチョ”って言うんだろうな、なんて思ってしまう。
目の保養……、って言うか、目の毒。
可及的速やかに、何か着て欲しい。
「はい、水。どうぞ」
グラスを差し出され、私は掛け布団を首下までゆっくりと引き下ろしてずり落ちないように片手で押さえながらグラスを受け取った。
「ありがと……」
ブラジャーはつけているとは言え、勝負下着でも何でもない、ごく普通のブラだ。男に見せる前提じゃない。
まぁ既に下着姿を見られちゃってるんだろうけど、それでも……。
胸の上でギュッと掛け布団を抱き締めて、水を口に含む。
ひとくちゴクリと飲み込むと、スーッと冷たいものが身体の中を通る感覚がした。
思ったよりもずっと喉が渇いていたようで、そのままゴクゴクと全てを飲み干す。
彼は私の手から空になったグラスを受け取り、「大丈夫?」と再び尋ねた。
私がコクリと頷くと、ホッとしたように微笑む。
あー、完璧すぎる顔で微笑んだら、ほんと無敵だな……。
アーモンド型の目、スッと通った鼻筋、綺麗な形の唇、シャープな輪郭、ふんわりとウェーブしていて少し長めの茶色い髪。
思わず見惚れてしまうほど素敵だ。
他の人がいるときは人懐っこく笑ってたくせに、朝は気怠げに色っぽい笑みを浮かべる。
……反則だ。
部屋が薄暗くて良かった。でなければきっと、私の頬が赤くなってることがばれてしまっただろう。
「何か食べられそう?」
「……分からない」
「そっか。……シャワー使う?」
私は、うん、と頷いた。
「その扉の奥がバスルーム。着替えはバスローブが置いてあるから、とりあえずはそれで。あるものは何でも適当に使ってくれて大丈夫だから」
「……ありがとう」
「その間に何か食べられそうなもの用意しとくね。ゆっくり暖まってきて」
彼はそう言って、先にベッドルームから出て行った。
私は詰めていた息を、はぁ、と吐いた。
のそりと起き上がりベッドから降りて教えて貰った扉を開くと、洗面室は予想以上に広く綺麗で清潔な印象だった。
作りつけの棚にはホテルタイプのバスタオルやフェイスタオルが綺麗に並べられている。
綺麗好き、几帳面、完璧主義――。
思わずそんな言葉が私の頭の中をよぎる。
そう言う男は、めんどくさい。私の過去の男にもそんな男がいた。もれなく、めんどくさかった。
彼には深入りしない方が良い、きっと。
下着を脱いで、バスルームへと足を踏み入れる。
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