六畳半のフランケン

彼女は自身を俯瞰していた。
眼に映すその情景を私の世界と認めるように。
彼女は笑って涙していた。
余りに小さなその輝きを尊いものだと囁くように。
彼女はか細く別れを告げた。
無力な僕の傍らで在る日常を慈しむように。

そうして、


彼女は僕の手の中で死んだ。

彼女の好きな丘の上。
自由を歌ったその街並みを
最後に眺めて、眠りについた。

盗み取りながら、壊した幸せ。
離れたはずの質素な夢が、

彼女の影を残す六畳半の中、
僕に再び目覚めを告げた。

見えない愛のカタチを捉え直す、
日常系ラブストーリー。



注) この作品はフィクションです。
実在の人物や団体などとは
関係ありません。
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