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第53話 黒妖精の町を目指して
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魔術式飛行船が空を駆け抜ける。もう3日たつだろうか?この飛行船はミュウジィの声に反応する。魔術式フルオートパイロットシステムが搭載されているらしい。
「あと1日あれば黒エルフの町に着きます」
ミュウジィが皆にそう言う。
「あれ?3人程見当たらないけど・・・」
不意に魔族3人見当たらないのに気が付いたハイネ。
「まあ・・・魔族もな・・・あれだよ」
言葉を濁す魔族。奥の部屋で何やら聞こえる。そう言う事なのだろう。
「ウホッエキスありますけど・・・」
「後ろの口は使えない。使うと悪鬼になり破壊衝動に駆られるから」
「そうなのですか?」
「あぁ、1回悪鬼になると戻すのは難しい」
話から察するに魔族は口で慰め合うらしい。
(それにしても魔族の股間のモッコリしているのは気になるな)
そんな事を考えながら外に目をやる。すると遠くから何か飛んでくるのが見えた。瘴気の塊に見える。
「何かこちらへ飛んでくるけど」
ハイネがミュウジィに言う。するとはレーダーに目をやる。レーダーの端に何やら反応が出始めた。
「数が多そうですね。鳥の群れでしょうか?」
「それにしても瘴気の塊に見えます」
レーダーが反応する方向を双眼鏡で観察するミュウジィ。
「何やら翼の生えた少年の群れですね。色黒で角が生えています・・・そして全裸です」
(空飛ぶ美少年ですと!)
ハイネも双眼鏡を覗き込む。ゴブリンがハイネくらいの年になった感じか。そして蝙蝠の翼に頭に生える角。風圧で一物が激しく揺れている。
(目の保養だぁ)
「おい、全速力で振り切れ。あれはグレムリンだ」
「人を襲うんですか?」
「あぁ、あいつら肉食だ。人だろうが魔族だろうが襲ってくる」
「魔族の操作能力で操れませんか?」
ミュウジィが問いかける。
「操れるのは5匹が限度だ。100匹の集団だと流石にまずいな」
そう言いながら2人の魔族はグレムリンを操り進路妨害させる。すると他のグレムリンは操作された10匹を食いだした。
「今だ!速度を上げろ」
その言葉にミュウジィは飛行船の速度を上げる。1回はレーダーから姿を消すグレムリン。しかし再びレーダーに入ってくる。
「このままでは・・・」
ミュウジィが渋い表情になる。
「どうした?」
3人の魔族が入ってくる。
「お前らも手伝え。グレムリンだ」
魔族たちがグレムリンの方向を見ると数を増やしたグレムリンが見えた。
「おい、これまずくね?」
「あぁ、最悪外に出て戦うしかないな」
「弓矢はあるか?」
その言葉にミュウジィは魔術式弓矢を7張取り出す。
「戦うしかありませんね。上に狭間があります」
狭間とは弓矢を外に向けて撃つための穴である。魔族は直ちに戦闘配備に着く。そして弓矢を向けグレムリンが近付いてくるのを待つ。
「ちょっと・・・あれはなに?」
不意に魔力を感じたハイネが見たものは顔から胸にかけて人間。他は鳥という生き物が目に入る。その生き物はグレムリンめがけて突進する。
「セイレーンですね」
ミュウジィが答える。セイレーンは怪物を好んで食べる魔物らしい。
セイレーンの群れはグレムリンに襲い掛かる。グレムリンの魔石が飛び散る。それをセイレーンが食らいつく。
「助かりました。あの数が相手ではもしかしたら・・・」
ミュウジィの額から一筋の汗が滴る。
「闇魔法を使わなくて済んで良かった」
魔族が言う。聞いてみると闇魔法の威力は大きいらしい。ハイネ達を巻き込む可能性が高いそうだ。
「ちょっと燃料が減っていますね。どこかで燃料補給しましょう」
急加速して振り切ろうとしたのだ。予定より燃料が減ったのは仕方がない。
「ミュウジィ様、黒エルフの町まで持ちませんか?」
ハイネが問いかける。
「無理でしょう。近くの町に寄る必要があります」
ミュウジィは溜息をつく。
「この周辺の町だと・・・」
ハイネはスマホを片手にGPS位置情報と近くの町を確認する。少し大回りになるが近くに鬼族の町があるのを見つける。
「鬼族の町が一番近いですね。それ以外だと黒エルフの町になります」
「解りました。それでは鬼族の町に向かう事にしましょう」
飛行船は進路を変える。
しばらくすると丘の上に広大に広がる町が見えてきた。町は城壁で囲まれ町の中には幾重にも堀が囲む。まさしく鉄壁の城塞と言ったところだろうか。
「ねえ・・・あれを見て」
ハイネが皆に声を掛ける。そこには城塞へ続く道にアンデッドの群れが我先にと登っている。空ではグレムリンがセイレーンと戦っている。
「この町にも・・・」
ミュウジィは険しい顔をする。それにしても鬼族の兵士はむやみに弓矢を乱射している。浄化薬も切れているようだ。
「もしかして・・・眼鏡がないのでは・・・」
ハイネが不安そうに呟く。
「そうかもしれません・・・助ける必要があります」
ミュウジィは空間保管庫から魔術式眼鏡を取り出す。
「町の入り口は東西の2か所のようです。ハイネさんは東を。私は西へ助太刀に行きます」
「よし、ハイネには俺たち3人が付き添おう」
そう言いながら他の部屋でスッキリしてきた3人がハイネに近寄る。1人がハイネをお隙様抱っこして窓から飛び出す。他2人も続く。ミュウジィは西へと飛行船を進めた。
「あと1日あれば黒エルフの町に着きます」
ミュウジィが皆にそう言う。
「あれ?3人程見当たらないけど・・・」
不意に魔族3人見当たらないのに気が付いたハイネ。
「まあ・・・魔族もな・・・あれだよ」
言葉を濁す魔族。奥の部屋で何やら聞こえる。そう言う事なのだろう。
「ウホッエキスありますけど・・・」
「後ろの口は使えない。使うと悪鬼になり破壊衝動に駆られるから」
「そうなのですか?」
「あぁ、1回悪鬼になると戻すのは難しい」
話から察するに魔族は口で慰め合うらしい。
(それにしても魔族の股間のモッコリしているのは気になるな)
そんな事を考えながら外に目をやる。すると遠くから何か飛んでくるのが見えた。瘴気の塊に見える。
「何かこちらへ飛んでくるけど」
ハイネがミュウジィに言う。するとはレーダーに目をやる。レーダーの端に何やら反応が出始めた。
「数が多そうですね。鳥の群れでしょうか?」
「それにしても瘴気の塊に見えます」
レーダーが反応する方向を双眼鏡で観察するミュウジィ。
「何やら翼の生えた少年の群れですね。色黒で角が生えています・・・そして全裸です」
(空飛ぶ美少年ですと!)
ハイネも双眼鏡を覗き込む。ゴブリンがハイネくらいの年になった感じか。そして蝙蝠の翼に頭に生える角。風圧で一物が激しく揺れている。
(目の保養だぁ)
「おい、全速力で振り切れ。あれはグレムリンだ」
「人を襲うんですか?」
「あぁ、あいつら肉食だ。人だろうが魔族だろうが襲ってくる」
「魔族の操作能力で操れませんか?」
ミュウジィが問いかける。
「操れるのは5匹が限度だ。100匹の集団だと流石にまずいな」
そう言いながら2人の魔族はグレムリンを操り進路妨害させる。すると他のグレムリンは操作された10匹を食いだした。
「今だ!速度を上げろ」
その言葉にミュウジィは飛行船の速度を上げる。1回はレーダーから姿を消すグレムリン。しかし再びレーダーに入ってくる。
「このままでは・・・」
ミュウジィが渋い表情になる。
「どうした?」
3人の魔族が入ってくる。
「お前らも手伝え。グレムリンだ」
魔族たちがグレムリンの方向を見ると数を増やしたグレムリンが見えた。
「おい、これまずくね?」
「あぁ、最悪外に出て戦うしかないな」
「弓矢はあるか?」
その言葉にミュウジィは魔術式弓矢を7張取り出す。
「戦うしかありませんね。上に狭間があります」
狭間とは弓矢を外に向けて撃つための穴である。魔族は直ちに戦闘配備に着く。そして弓矢を向けグレムリンが近付いてくるのを待つ。
「ちょっと・・・あれはなに?」
不意に魔力を感じたハイネが見たものは顔から胸にかけて人間。他は鳥という生き物が目に入る。その生き物はグレムリンめがけて突進する。
「セイレーンですね」
ミュウジィが答える。セイレーンは怪物を好んで食べる魔物らしい。
セイレーンの群れはグレムリンに襲い掛かる。グレムリンの魔石が飛び散る。それをセイレーンが食らいつく。
「助かりました。あの数が相手ではもしかしたら・・・」
ミュウジィの額から一筋の汗が滴る。
「闇魔法を使わなくて済んで良かった」
魔族が言う。聞いてみると闇魔法の威力は大きいらしい。ハイネ達を巻き込む可能性が高いそうだ。
「ちょっと燃料が減っていますね。どこかで燃料補給しましょう」
急加速して振り切ろうとしたのだ。予定より燃料が減ったのは仕方がない。
「ミュウジィ様、黒エルフの町まで持ちませんか?」
ハイネが問いかける。
「無理でしょう。近くの町に寄る必要があります」
ミュウジィは溜息をつく。
「この周辺の町だと・・・」
ハイネはスマホを片手にGPS位置情報と近くの町を確認する。少し大回りになるが近くに鬼族の町があるのを見つける。
「鬼族の町が一番近いですね。それ以外だと黒エルフの町になります」
「解りました。それでは鬼族の町に向かう事にしましょう」
飛行船は進路を変える。
しばらくすると丘の上に広大に広がる町が見えてきた。町は城壁で囲まれ町の中には幾重にも堀が囲む。まさしく鉄壁の城塞と言ったところだろうか。
「ねえ・・・あれを見て」
ハイネが皆に声を掛ける。そこには城塞へ続く道にアンデッドの群れが我先にと登っている。空ではグレムリンがセイレーンと戦っている。
「この町にも・・・」
ミュウジィは険しい顔をする。それにしても鬼族の兵士はむやみに弓矢を乱射している。浄化薬も切れているようだ。
「もしかして・・・眼鏡がないのでは・・・」
ハイネが不安そうに呟く。
「そうかもしれません・・・助ける必要があります」
ミュウジィは空間保管庫から魔術式眼鏡を取り出す。
「町の入り口は東西の2か所のようです。ハイネさんは東を。私は西へ助太刀に行きます」
「よし、ハイネには俺たち3人が付き添おう」
そう言いながら他の部屋でスッキリしてきた3人がハイネに近寄る。1人がハイネをお隙様抱っこして窓から飛び出す。他2人も続く。ミュウジィは西へと飛行船を進めた。
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