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第34話 山脈の町
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海の出来事から数日。ハイネは山脈の町に来ていた。ここはドワーフが住む町。ドワーフは魔術式機械の製造に長けている。
遡ること数日前、イリアの別荘でのこと。
「そろそろ新しい機械が必要だけど・・・特殊な機械だからオーダーメイドしかないけど・・・当てがなくて・・・」
シエルが朝食の席でふと言った。
「実は僕も。薬草栽培でより効率的なシステムが欲しいけど・・・なかなか無いよね」
カブも言う。それにしてもこの2人には凄いものがある。より効率的に物事を進めるためにはどうするか常に手段を考えているのだ。それに対してハイネはそこまで考えていない。必要な器具は部下の提案を吸い上げ精査するだけだ。彼らの部下は優秀だ。グレンが選び抜いた精鋭なのだから。それでも弱点はある。それは設備技術の開発能力である。
「どこかに当ては無いものか」
グレンは目を瞑りしばし考える。
「物を作るならドワーフですわね。でも当てがありません」
イリアはぽつりと言う。
「ねえ、ネトゲの仲間に聞いてみない?」
不意にハイネが言う。
「でも・・・どうだろう?みんな子供だよ?」
呟くカブ。
「僕たちも子供だけどね」
苦笑いするシエル。
「そうだけど僕たちが特殊なだけだよ。このメンツ見ればわかるだろ?」
カブは言う。確かに異なる種族がアーなことをした結果がここにある。そこに準王族と上級貴族がいたから実現できたに過ぎない。
「とりあえずダメもとで僕がドワーフに聞いてみるよ」
そう言うと朝食後にネトゲにインするハイネ。早速何人かに当てがないかと聞いてみたが都合のいい返事なんてない。諦めかけた時エルフ族の仲間が不意にこういった。
「今いないけどゾッドに聞いてみれば?あいつ大人と狩りに行くらしいし」
そう言えばドワーフの少年が大人と狩りに行くと言っていた。彼こそゾッドである。早速メールを送る。夕方、ゾッドからの返事は直接会ってから詳しい話を聞かせてだった。そして今に至る。
「ちょっと時間が早いな。支店の様子を見てからでも良いか」
そう言うとハイネはこの町の支店に足を運ぶ。町の中心地は巨大な洞窟の中にある。ハイネの会社の支店はちょうど大洞窟の入り口。奥を見渡すとドーム状の洞窟に街並みが目に入る。ハイネは暫く店周辺を観光すると店の中へ入っていく。中は活気があってなかなか良い感じだ。
「大先生、お待ちしておりました」
店長のドワーフの女性がハイネを迎え入れる。
「大盛況ですね」
「いえ、まだまだです」
謙遜する店長。店の中には人種に限らず多様な種が働いている。多人種の状況でここまで上手く店を仕切れるのは店長の手腕であろう。スタッフも腕が良い。
「店長の手腕があるからこそです。本当に頭が下がる思いですよ」
「そう言って頂くと有難いですね」
2人はしばし会話をした後、ハイネは指導員と一緒に指導を始める。大先生の直接の指導にスタッフにも熱が入る。
「大先生は本当に凄いですね」
「僕なんか全然大したことがないですよ」
「そんなご謙遜を。そこまで濃密な魔力を操作するなんて私等ではとても出来ませんよ」
彼らからすれば凄い事なのだろう。でも彼らのほうが遥かに魔力量が多い。彼らの言っている意味などこの時のハイネは解っていなかった。
「はい、ただいま確認いたします」
電話応対しているスタッフが受話器を置くとハイネに近づいてくる。どうやらこの地方の準王族の依頼らしいが、どこで知ったのかハイネを指名してきたのだ。話を聞くとゾッドとの約束の時間に近い。
(困ったな。ゾッドとの約束に遅れるかもしれない。でも相手は準王族だ・・・仕方がない)
ハイネは了解の旨をスタッフに伝えるとゾッドに遅れる旨のメールをする。
この世界の準王族は日本でいうところの知事である。故に各地方に準王族の家柄は1つしかない。そして居を構えるのは地方都市である。この地方を収めるのはモンド=フローズン準王族。彼とのコネクションを構築できれば今後の計画に拍車が掛かる。因みに王族は首都にしか居ない。ハイネは早速準備に取り掛かる。
「お初にお目にかかりますモンド卿。この度は御指名頂き誠にありがとうございます」
「あぁ、すまなかったね。急に呼び出して」
そう言いながらハイネより少し背の高い、体格はががっしりと、顔は彫りの深いドワーフがハイネを招き入れる。この世界のドワーフは彫りが深いイケメンだ。
早速、マッサージから始めるハイネ。モンドの逞しい体に股間にテントを張りそうだ。欲望を抑え処置を進める。何時しかモンド卿は涎を垂らして寝てしまった。ハイネのマッサージは電気ショックでツボを刺激し、磁力によりコリをほぐす。それからリンパ腺の流れを良くする。痛みより心地よさを感じるのだ。その心地よさで寝てしまう人は多い。暫くマッサージを続けるとハイネはモンドに声をかける。
「終わりました」
ハイネはモンド卿を起こす。
「流石は評判のマッサージ師だ。これ程とは思わなかった」
「おほめに預かり光栄です。それでは私はこれで失礼します」
「待ちたまえ」
モンド卿はハイネを呼び止める。
「おい、彼を案内しなさい。先生、待ち合わせ前にありがとうございました」
(この人がなんで待ち合わせがあるのを知っている?)
そう思いながらも使用人の後を付いていくハイネ。とある部屋の前まで連れていかれる。そして何やら中に話しかけている使用人。
「どうぞ、中へ」
そして開かれた扉。
「え?なんで?」
そこは工房だった。乱雑に散らばった設計図の中で1人の少年が何やら作業をしている。ゾッドだ。
「やあ、ハイネ。すまなかったね。父にハイネの事を話したばかりに仕事を増やしてしまって。初めましてだな。ゾルダーク=フローズンだ」
そう言いながら作業を続けるゾッド。
遡ること数日前、イリアの別荘でのこと。
「そろそろ新しい機械が必要だけど・・・特殊な機械だからオーダーメイドしかないけど・・・当てがなくて・・・」
シエルが朝食の席でふと言った。
「実は僕も。薬草栽培でより効率的なシステムが欲しいけど・・・なかなか無いよね」
カブも言う。それにしてもこの2人には凄いものがある。より効率的に物事を進めるためにはどうするか常に手段を考えているのだ。それに対してハイネはそこまで考えていない。必要な器具は部下の提案を吸い上げ精査するだけだ。彼らの部下は優秀だ。グレンが選び抜いた精鋭なのだから。それでも弱点はある。それは設備技術の開発能力である。
「どこかに当ては無いものか」
グレンは目を瞑りしばし考える。
「物を作るならドワーフですわね。でも当てがありません」
イリアはぽつりと言う。
「ねえ、ネトゲの仲間に聞いてみない?」
不意にハイネが言う。
「でも・・・どうだろう?みんな子供だよ?」
呟くカブ。
「僕たちも子供だけどね」
苦笑いするシエル。
「そうだけど僕たちが特殊なだけだよ。このメンツ見ればわかるだろ?」
カブは言う。確かに異なる種族がアーなことをした結果がここにある。そこに準王族と上級貴族がいたから実現できたに過ぎない。
「とりあえずダメもとで僕がドワーフに聞いてみるよ」
そう言うと朝食後にネトゲにインするハイネ。早速何人かに当てがないかと聞いてみたが都合のいい返事なんてない。諦めかけた時エルフ族の仲間が不意にこういった。
「今いないけどゾッドに聞いてみれば?あいつ大人と狩りに行くらしいし」
そう言えばドワーフの少年が大人と狩りに行くと言っていた。彼こそゾッドである。早速メールを送る。夕方、ゾッドからの返事は直接会ってから詳しい話を聞かせてだった。そして今に至る。
「ちょっと時間が早いな。支店の様子を見てからでも良いか」
そう言うとハイネはこの町の支店に足を運ぶ。町の中心地は巨大な洞窟の中にある。ハイネの会社の支店はちょうど大洞窟の入り口。奥を見渡すとドーム状の洞窟に街並みが目に入る。ハイネは暫く店周辺を観光すると店の中へ入っていく。中は活気があってなかなか良い感じだ。
「大先生、お待ちしておりました」
店長のドワーフの女性がハイネを迎え入れる。
「大盛況ですね」
「いえ、まだまだです」
謙遜する店長。店の中には人種に限らず多様な種が働いている。多人種の状況でここまで上手く店を仕切れるのは店長の手腕であろう。スタッフも腕が良い。
「店長の手腕があるからこそです。本当に頭が下がる思いですよ」
「そう言って頂くと有難いですね」
2人はしばし会話をした後、ハイネは指導員と一緒に指導を始める。大先生の直接の指導にスタッフにも熱が入る。
「大先生は本当に凄いですね」
「僕なんか全然大したことがないですよ」
「そんなご謙遜を。そこまで濃密な魔力を操作するなんて私等ではとても出来ませんよ」
彼らからすれば凄い事なのだろう。でも彼らのほうが遥かに魔力量が多い。彼らの言っている意味などこの時のハイネは解っていなかった。
「はい、ただいま確認いたします」
電話応対しているスタッフが受話器を置くとハイネに近づいてくる。どうやらこの地方の準王族の依頼らしいが、どこで知ったのかハイネを指名してきたのだ。話を聞くとゾッドとの約束の時間に近い。
(困ったな。ゾッドとの約束に遅れるかもしれない。でも相手は準王族だ・・・仕方がない)
ハイネは了解の旨をスタッフに伝えるとゾッドに遅れる旨のメールをする。
この世界の準王族は日本でいうところの知事である。故に各地方に準王族の家柄は1つしかない。そして居を構えるのは地方都市である。この地方を収めるのはモンド=フローズン準王族。彼とのコネクションを構築できれば今後の計画に拍車が掛かる。因みに王族は首都にしか居ない。ハイネは早速準備に取り掛かる。
「お初にお目にかかりますモンド卿。この度は御指名頂き誠にありがとうございます」
「あぁ、すまなかったね。急に呼び出して」
そう言いながらハイネより少し背の高い、体格はががっしりと、顔は彫りの深いドワーフがハイネを招き入れる。この世界のドワーフは彫りが深いイケメンだ。
早速、マッサージから始めるハイネ。モンドの逞しい体に股間にテントを張りそうだ。欲望を抑え処置を進める。何時しかモンド卿は涎を垂らして寝てしまった。ハイネのマッサージは電気ショックでツボを刺激し、磁力によりコリをほぐす。それからリンパ腺の流れを良くする。痛みより心地よさを感じるのだ。その心地よさで寝てしまう人は多い。暫くマッサージを続けるとハイネはモンドに声をかける。
「終わりました」
ハイネはモンド卿を起こす。
「流石は評判のマッサージ師だ。これ程とは思わなかった」
「おほめに預かり光栄です。それでは私はこれで失礼します」
「待ちたまえ」
モンド卿はハイネを呼び止める。
「おい、彼を案内しなさい。先生、待ち合わせ前にありがとうございました」
(この人がなんで待ち合わせがあるのを知っている?)
そう思いながらも使用人の後を付いていくハイネ。とある部屋の前まで連れていかれる。そして何やら中に話しかけている使用人。
「どうぞ、中へ」
そして開かれた扉。
「え?なんで?」
そこは工房だった。乱雑に散らばった設計図の中で1人の少年が何やら作業をしている。ゾッドだ。
「やあ、ハイネ。すまなかったね。父にハイネの事を話したばかりに仕事を増やしてしまって。初めましてだな。ゾルダーク=フローズンだ」
そう言いながら作業を続けるゾッド。
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