転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸

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第五十四話 運動会―前

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運動会の日、各地から貴族が集まってくる。息子の晴れ舞台を見る為に。

『第一種目、城塞旗取り競争です』

視界の言葉で紅白に別れた全校生徒が向き合う。

『それでは開始!』

その合図と共に雄叫びをあげながら突進する前衛。後衛は魔法で攻撃してくる。

(これは殺し合いだな)

安全配慮されていても一歩間違えば大怪我は避けられない。

(ここは一気に終わらせる)

ニーソックスチアリーダー服のレナンジェスが突貫する。

『レナンジェスだぁ!』

『弱点はパンチラだ!パンチラを視認せよ!!』

モブ貴族の怒声が聞こえる。そして全員がほふく前進を始めた。

(甘い!)

レナンジェスは華麗にスルーして敵陣を目指す。

『パンチラが見えないだと!』

『絶対領域で…俺はもう駄目だぁ』

『我等の屍を乗り越えてあいつを止めろ!!』

そう叫びながら倒れ伏すモブ男子。シケの花の香りがするのはスルーだ。

『女子全員で止めるわよ!』

モブ女子達が魔法を放ってくる。それを難なく回避するレナンジェス。

『なんて事ですの!あの動きでパンチラが見えないなんて!!』

『報告!絶対領域に釘付けにされる生徒多数!!』

『恐るべし絶対領域!!』

そんな声を無視してレナンジェスは敵陣の旗を取る。その瞬間に大ブーイングが起こった。

『見えそうで見えないのは反則だ!!』

『と言うか見せろ!!』

『空気を読め!!』

保護者石からのブーイングは凄まじい。

「これがワラワが考案した対貴族兵器である!」

第一王妃がマイク越しで叫ぶと皆は沈黙する。

『見えないのは反則ですわ』

『想像力が膨らんで…』

貴族達はそう言いながらレナンジェスを舐め回すように見つめる。

(この国の貴族は大丈夫なのか?)

そんな事を考えながらレナンジェスは自陣に戻って行った。

そして次の競技は伝令競争だ。

『次こそは…』

貴族全員がうつ伏せに寝ながら教義を見守る。そしてレナンジェスが走り出すと血走った目付きでレナンジェスを見る。

『スカートが揺れても見えないだと!』

『あのスカートはいったい…』

『あり得ませんわ!絶対防御のスカートなど…』

保護者が大騒ぎだ。そして競争でほふく前進してくる貴族は何なのか?

『グゥ…オレはここまでか…』

『まさか想像力が最大の敵とは…』

そう言いながら動かなくなる。

『援護射撃用意!』

モブ女子達がそう叫ぶと倒れた男達に風魔法や水魔法で攻撃する。するとモブ男子は転げまわりながら高速でレナンジェスに迫ってくる。

「それは反則では?」

『ベーコンレタスの為です!』

モブ女子はそう言いながら波状攻撃を加える。

(まずい…)

レナンジェスは速度を上げると早々に次の走者にバトンを渡す。

『使えない男子ですわ!!』

女子はそう言うとバトンだけ次の走者に飛ばした。どうやらバトンの受け渡しだけが重要らしい。

「ハァ…」

聖女ミュージーは溜息交じりで男子生徒を回復させる。

『父上が川の向こう岸で手を振っていた…』

意識を取り戻すと一斉に叫ぶ男子。

『勝手に殺すな!まだまだ現役だ!!』

モブ貴族が応援席から怒声を飛ばす。

その後、レナンジェスが広げた差でチームは1位になる。

『次こそは!!』

負けたチームは何故か円陣を組み『打倒!鉄壁のスカート!!』と叫んだ。



「王妃様…このままでは運動会になりません」

レナンジェスは王妃に懇願する。

「十分な運動量ではないか」

第一王妃はニヤリと笑いながら国王を見る。彼は顔を紅潮させながらチアリーダー服を持っている。

「今夜は熱帯夜ですわね」

第二王妃はそう言いながら悪戯な笑みを浮かべている。

(この人達もダメだ…)

レナンジェスは心の中で諦めていた。
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