VRゲームでも運と愛し合おう!

藤島白兎

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第五章 幸せに向かって

第三話 演目 師との別れ

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 縁達はアルデンセ王国の領土、グリムアルという街まで回想を進めた。
 ここに逍遥の母校、チーリメ学園がある。
 街並みは、異世界転生作品によくあるような街並みだ。
 市場があり、武器防具屋があり、ギルドがある。
 絵に描いたような街並みが広がっていた。

『ここがチーリメ学園がある街、グリムアルだね~』
『ふーむ、ぱっと見普通の街だな』

 巻物を開いた一本槍が、グリムアルへと辿り着いた。
 
「師匠、グリムアルに着きましたね」
「うむ、と、一本槍、巻物を開きながら街を歩くのは不審者に見える、閉じなさい、学園近くでまた開いてくれればいい」
「はい」

 巻物を閉じると、一緒に歩いていた逍遥が消えた。
 そして巻物を、備え付けのひもで縛り始める。

『逍遥さんて他の人には見えないの?』
『ある程度の実力を持っていれば姿は見れる、ただ開けるには一本槍君じゃないとだめだ』
『ふ~ん……で、な~んかクソムカつく視線がを一本槍に向けてる奴がいる』

 そう、一本槍は気付いていないが、先程から一本槍をニヤニヤしている目で見ている者が居た。
 真っ赤な髪色で猫耳と尻尾がある、猫の亜人だった、何処かの学校の制服を着ている。

 そしてその猫娘は物影から狙いを定め、一本槍に素早く近寄り巻物を奪った!

「なっ!」
「にゃははは! 頂きにゃん!」
「ま! 待て!」

 巻物を奪った猫娘は一目散に逃げ出した!
 一本槍も負けじと追いかけたが、視界に入れるだけで精一杯だった。

『……素早さだけは一本槍を超えているな』
『ああ、だけな、おうぞ』

 猫娘と一本槍は裏路地や屋根を駆け巡る、そして学園らしき場所へとやって来た。
 猫娘はすんなりと正面から入れて、一本槍は赤色の障壁に阻まれた!

「なっ!」
「にゃははん! ここはチーリメ学園の生徒じゃないと入れないにゃ、バイビー」
「くっ! ちくしょう!」

 一本槍の悲痛な叫びがこだまする、付いて来た縁と結びは、学園内へと入っていった。
 これはあくまでも過去の映像、2人を拒めるものは無い。

『結びさん、どんな奴らか顔を拝みに行くぞ』
『だね』

 猫娘の後を付いて行くと、体育館裏で悪さしてそうなメンツが居た。
 男の悪魔、ミノタウロス、ラミアだった。
 校舎の人が居なさそうな場所で、だらけて座っていた。
 明らかにサボっているような雰囲気を出している。

「おう、どうした猫娘、けったいな巻物なんて持って」
「にゃははん、旅人が持ってたから貰ったにゃん、神様の物っぽい」
「ふーん、で、何が書いてあるんだ?」

 猫娘は巻物を開こうとするがひもはとけなかった。

「……開かないにゃん」
「ぶっは! 役立たずじゃん」
「私に恥をかかせたにゃん! こんな巻物こうにゃ!」

 なんと巻物を思いっきり地面に叩き付けたのだ!

「いらないから燃やすにゃ! 神の炎にゃ!」

 猫娘は手から火を出した、そしてあっけなく巻物は燃え始めたのだ。

「おーよく燃えるにゃ」
「アブねぇな!」
「たき火には早い季節だぜ!」
「うけるー焼肉でもする?」
「お、いいな!」
「共食いだにゃ」
「魔物と動物は別だ!」

 後先考えない者達の宴、だが、神はそれを見ている。
 笑っていられるのもあと少しかもしれない。

『……なるほど、あれは火車かしゃの炎だ』
『確か悪事を働いた人間を燃やす妖怪だっけ?』
『ふむ……神の力も感じるが……まあそれは些細な事だ』
『てか簡単に燃えるものなの?』
『いや、学生で考えれば強いな、じゅないとあの巻物は燃やせない』
『ふむ』
『顔は覚えた、一本槍君が生ぬるい事をしたら、代わりに神罰を下す』
『じゃ、答え合わせだね、一本槍は数日後、桜野学園へ帰る』
『よし、そこまで飛ばそう』

 このまま見続ける趣味は無い。
 そして過去の映像な為、一本槍に声もかけられない。
 縁達が出来るのは、早送りだけだった。
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