VRゲームでも運と愛し合おう!

藤島白兎

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第五章 幸せに向かって

第二話 演目 名を与える

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 学園の訓練場にやって来た縁達。
 縁は生徒達に向かってハッキリした口調で言った。

「始める前に聞いてほしい、俺は正直、なんとなくで副担任をしていた、理由は結びさんに頼まれたからだ、だが」

 縁はウサミミカチューシャを外して、神様モードになった。

「俺も『教える』という覚悟を持った、だからこそ『神に教わる』って覚悟を持ってくれ」
「お、約束事かな~?」
「ああ……一つ、俺の技を使って好き勝手していいが、俺の責任にするな」
「あ~居るよね~人のせいにする奴」
「一つ、結びさんも言っているが、学生までは無償で守ってやる、それ以外は対価をよこせ」
「私のクラスにはバカは居ないから、神にお願いする事がどういう意味かわかるでしょ」
「一つ、これも結びさんも言っているが、不必要に危ない真似はするな、俺と結びさんのイチャイチャを邪魔するな」
「危ない事をする時は、ちゃんと事前に連絡してね~」

 危ない事、この言葉に反応したのは、一本槍、ファリレント、ツレだ。
 未来の預言で、危ない事が起こると分かっていた。
 それに自分の意志で突撃し、結果的に縁と結びに迷惑をかけた。
 無論、その後に怒られた『二度目は無い』と。

「小言はこれくらいにして、授業に入ろう」

 縁は地面に手を当てて、魔法陣を作った。

「兎術は自分自身を映し出す、難しい事は無い、自分自身を見つめ直す為の魔法陣だ」
「お兄様……コホン、縁先生、私が最初にしても?」
「ああ」

 絆は魔法陣の上に立って、静かに目を閉じて呟いた。

「おいでなさい『不釣ふつり』」

 魔法陣が光って表れたのは、絆と同じゴスロリ衣装で黒い兎が表れた。
 優雅に縁達にお辞儀をしていた。

「皆様、難しく考えずに、自分自身を理解して下さい、そしてちゃんと名を与える事ですわ」
「では次は私にやらせていただきます」

 ファリレントが魔法陣へと入り瞑想をした。
 すると、トライアングルの音色と共に、白と黒のぶち模様の兎が現れた。
 トライアングルを持っていて、楽しそうに鳴らしていた。

「うわ! いきなりでビックリした……あ、な、名前……あっちで決めようね!」

 ファリレントは魔法陣から、兎を抱えて出た。
 そして次はツレが魔法陣へと入った、難しい顔をしながら兎術と呟く。
 すると、茶色の毛並みに死神の鎌、デフォルメされたガイコツのお面をおでこに付けている。
 ツレが召喚した兎は、肩へとささっと登った、ふふんとドヤ顔をしてる。

「お、死神の兎? 名前は……よしよし、移動して決めるか」

 ツレは魔法陣から出た、次は未来が魔法陣へと入った。
 未来は水晶玉で占いを始めた、するといつの間にか、未来に似た兎が同じ事をしていた。
 絵に描いた様な占い師の衣装に身を包んだ、ねずみ色の兎が足元に居た。
 未来は少しビックリして、しゃがんで兎と目を合わせた。

「私は未来、あなたの名前は……はっ! 『導き』にする」

 導きと名付けられた兎、誘導するように未来と共に魔法陣から出で行った。
 今度は石田夫妻が、ゆっくり魔法陣へと入っていった。
 2人は手をつないで瞑想をすると、白と黒、茶色の毛並みの兎が二羽が表れた。
 一羽は薬籠やくろうを背負ったおばあちゃん兎。
 もう一羽は僧侶の衣服を身にまとい、何故かバケツをかぶって錫杖を持っていた。

「あらあら、可愛い兎さんだこと、お荷物重くないのかい? お名前はあっちで考えましょうね」
「……ふむ、虚無僧? なのか? 何故……バケツなんじゃ?」

 二羽の兎と共に、石田夫婦は魔法陣から出た。
 最後に一本槍、既に彼の兎術の『継続』は一瞬に歩いていた。

「縁先生、僕には継続が居ますが……どうすれば?」
「一本槍君はステップアップ出来るな」
「え?」
「言っただろう? 自分自身を映し出すと、今一度自分を見つめなおすといい」
「はい」

 魔法陣で一本槍は、今一度自分自身を見つめなおした。
 すると継続は光に包まれた、光が収まるとハチマキを巻き、紺色の武道着を着ている。
 回歴流創始者、逍遥しょうようと同じ武道着を着ていた。
 一本槍の二代目としての覚悟を表しているようだ。
 継続は軽くパンチとキックを繰り出した、やる気満々のようである。
  
「おお! とりあえずここから離れるよ、継続」

 一本槍と継続は魔法陣から出たした後、縁が少し大きく声を出しす。

「さて今日は皆、自分の兎術と対話をしてくれ、俺は見て回る」

 結びが縁の肩を、右手の人差し指でちょいちょいと突いた。

「ちょいちょい縁さんや」
「どうしたよ結びさん」
「私は?」
「やってみよう」
「おうよ、魔法陣に入って……『血風』おいで」

 赤い毛に今の結びと同じ武道家を着た血風が表れた。
 現れたと同時に、縁の足元に居た、身丈に向かってダッシュ。
 両手を広げてダイブした、身丈は血風を受け止める。
 イチャイチャしたい血風と、それを制止する身丈。
 縁と結びの何時も通りの光景だった。 

「……結びさんらしいな」
「はっはっは、そのまま返すよ?」

 その通りで、身丈の顔は幸せそうに笑っていた。
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