VRゲームでも運と愛し合おう!

藤島白兎

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第四章 縁と結びで縁結び

第六話 演目 愛で動く船

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 船に乗った縁達、出迎えたのは灰色のツナギに油汚れやホコリ等で汚れた姿のシラルド。
 機械作業用のゴーグルを頭に付けて、髪型は黒髪で短く第一印象は活発そうな青年だ。

「霞! 飛んでる最中に地上に降りないでくれ! 心配するだろうが!」
「はっはっは! 仕方ないだろうシラルド! 未来の孫が助けてほしいとさ! 敵の策略かなんかにかかったんだろうさ」
「ああん? 孫だぁ!?」
「ああ、そっちのスファーリアってのが私の……いや、私達の孫らしい」
「……お前と一緒に居ると奇想天外な事が多すぎる」
「こんにちはおじいちゃん」
「馬鹿野郎! まだ子供も居ないのに孫だぁ!? シラルドと呼んでくれ」
「あ、ごめんなさい」
「かぁー! 孫ってのは本当らしいな!」
「……ん? 何でわかるの?」
「おう、この船の機能だ、親族を反応する機能がある」
「すごい」

 船にはもちろんシラルド以外の乗組員が居る。
 全員がシラルドの様に作業着で、慌ただしくしていた。
 縁が先程から、何かが気になるのか辺りを見ましている。
 
「んで、霞、その未来の孫にも手伝わせてるのか?」
「ああ、かなりの実力者だ」
「おばあちゃんごめんなさい、私も彼も本来の力は出せない、最低限自分自身は守れるけど」
「だろうな、だから助けを求めたのだろう?」
「はい」
「よしよし、おばあちゃんが面倒見てやろう」
「あのな、さっきも言ったが俺達には子供も居ないだろうが」
「つまりは産まれるんだろ? 何の問題だ?」
「はぁ……お前に言っても仕方ないか、んでそっちの同じ……ん? 絶滅? もしかして絶滅演奏奏者か?」
「ああ彼女はフィーネ、何十年後かは知らんが親族になる人だ」
「……本当にお前と付き合う様になってから、ハチャメチャだぜ……ん? ならそっちのあんちゃんは?」
「スファーリアの旦那様だろうな」
「いえ、まだ結婚してませんよ」
「結婚はよ」
「スファーリアさん、落ち着いて」

 シラルドは、縁のウサミミカチューシャを興味深そうに見た。

「……お前さん、神様か? そしてそのウサミミは力を抑える為につけているな?」
「はい、合ってます」
「おう、名前は?」
「縁といいます」
「なるほど……縁、お前さんさっきからキョロキョロしてるが、この船の動力が気になるかい?」
「ええ、何か近しい力を感じまして」
「この船の動力……エネルギーと言った方がいいか、そいつを説明してやろう」
「聞きたいです」
「んじゃ、あたし達は女子会だな、行こうぜー」

 霞はそう言うと、スファーリアとフィーネを引き連れて何処かへと行った。

「まあ座りながら聞いてくれ」

 シラルドは簡易椅子を縁に差し出して、自分も座った。

「理論は置いとくぜ? この船の動力は『俺の愛』だ」
「……ん!? は!?」
「はっはっは! 何十年後からかは知らんが、俺の技術は誰も真似出来ねぇみたいだな!」

 普段縁も同じ様な事を言っている。
 自分と感覚では当たり前だと思っていた事。
 近しい事を他人から言われても理解できない。
 縁は改めて自分の言っている事も可笑しいんだなと理解した。

「ですがどうやってこのエネルギーや動力を?」
「俺の考えから聞いてもらっていいか?」
「はい」
「っても簡単よ、俺の技術をおいそれとマネされたくねぇからだ」
「なるほど」
「ああ、まあ俺も先人達の技術を参考にしたけどよ……なんつーか、自分の技術を簡単に使ってほしくねーんだ」
「シラルドさんは、夢を追ってくる人が好きって事ですか?」
「そうかもな、弟子入りとまでいかなくともよ……っと、この動力やエネルギーの名前だがな?」
「はい、愛をエネルギーにしてると言ってましたが」
「おう、そのまんまの意味だ、霞への愛がこの船の動力、機関といっていい、意味わかんだろ?」
「いえ、私も同じ様なものでして」
「ほう?」
「私の力は人々の縁です」
「なるほどな」
「でもどうやって作ったんです?」
「お! 聞いてくれるか!?」

 子供の様なキラキラとした笑顔でシラルドは縁を見る。

「是非お願いします」
「よしよし任せろ! 物凄く簡単に伝えられる練習してんだよ! 任せろ! まず、動力のエネルギーに『愛の結晶』って鉱石を使っていてな? ウェディングベルって大陸でよくとれるんだ」
「はい」
「そいつは恋人のプレゼントによく使われるんだ、送った人のあたたかい心ってのが伝わるんだよ」
「なるほど、そんな石が」
「だが高純度の石は使われて来なかったんだ」
「どうしてですか?」
「ああ、送った相手の嫌な部分とか見れたり、自分の嫌われている部分を感じたりな」
「なるほど」
「んで、これは使えるなと考えたのよ、エネルギーにな」
「何でその発想に?」
「そりゃ誰もやらなかったからよ」
「で、それをエネルギーにする理論やらなんやら考えて、この『純愛丸』はできたって訳よ」
「す、すごい名前ですね」
「はっはっは! ちなみにエネルギー変換理論の名前は『シラルドは霞を愛してるぜ』だ」
「は!?」

 流石の縁も声を上げた、自信満々で恥ずかしさのかけらも無く、そう言ったからだ。

「あ、す、すみません」
「いやいやいいんだよ! その反応が正しい! で縁よ、何でこの名前にしたかわかるか?」
「わかりません」
「俺は一応これ特許を持っててな? んで霞と一緒に居るとまあ敵がわんさか増えるんだよ、俺を消そうとする奴らから守ってくれてるんだがな」
「……もしかして、新しい技術の独り占めだからですか?」
「ああ、そう主張した国もあるな……でも面白いのはよ、例えば国とかの会議で『シラルドは霞を愛してるぜ』についてですが、とかやってたら面白いだろ!」
「えぇ……」

 シラルドは、子供のしょうもないイタズラが成功したかのような、キラキラで純粋な目をしている。

「ま、それはついでだ、縁、お前さんも界牙流の人間好きになったらわかるだろ? 愛する人は覚悟を決めて守ってくれてんだ」
「はい」
「だから俺も自分の出来る事で妻を守る、俺に出来るのは頑張っても飛空艇造れるだけだったがな」
「いやいや、凄いですよ!」
「……俺は普通の人間なんだ、一緒に戦えるのにも限度があるんだ」

 一瞬暗い表情をしたが、直ぐに深いため息をする。

「って愚痴るとな? 『そんな事を愚痴るなら、私とイチャイチャチュッチュッしろ』って言うんだよ」
「あー凄いわかります」
「お、縁も経験あるのか?」
「はい、身に覚えがあります」
「って事は血筋なのか」
「そうみたいですね」

 いきなり警報音が鳴りだした。
 乗組員達は更にわたわたと慌ただしくなる。
 シラルドの元に一人の少年が全力疾走で来た。

「シラルド整備長!」
「サブ! 航行中は呼び捨てにしろい! 何だ!」
「敵勢力を確認! 『グランアルス』の航空部隊です!」
「おうおう、お客様か! よし! ハデなやってやろうじゃねーか!」

 シラルドは両膝を両手で叩きながら立ち上がった!
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