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第四章 縁と結びで縁結び
第六話 幕開き 助けを求めた結果
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ただただ、だだっ広い草原に縁は一人でいた。
縁は、七星了司の部下の策略により、過去へ飛ばされてしまった。
経緯を考えても仕方ない、何故ならその過去は縁の力に必要な信仰心が無かった。
つまり縁を知る者は居ない、対策を考えているとスファーリアがひょいと現れた。
スファーリアは単独で縁を迎えに来たらしい。
曰く、縁と強い結びつきがあるからこその芸当。
だがこれも結構な力技らしく、何回も出来るものではないらしい。
「すまないスファーリアさん、無理をさせてしまった」
「大丈夫、夫婦は助け合い」
「ありがとう、元の時間軸に何としても2人で戻らないとな」
「大丈夫、アテは有る」
「え?」
「この時代は私のおばあちゃんが、若かりし頃の音を感じる」
「かなり飛ばされたな」
「敵は本当はもっと飛ばしたかったのだろうけど、失敗したのかしら?」
「それは後で考えよう、てか助けてくれるのか?」
「ふふん、界牙流は全て想定している」
「あーそれ言われると納得」
縁の疑問ももっともだった。
未来から来た子孫が、子孫と名乗り助力を求める。
普通なら信じないだろう、だがそれは普通の場合の話だ。
「界牙流は世界と戦う流派、過去や未来の刺客と戦う事も想定している」
「なるほど、色々と想定しているんだな」
「世界を敵にまわしても、伴侶と共に五体満足で絶対生きる、それが界牙流……とりあえず助けを呼ぼう」
「おいそれと呼んでいいのかな、何て説明すればいいんだ?」
「ありのまま」
スファーリアがトライアングルをビーダーで叩いた。
すると縁の背後に音も無く突然人が現れた!
「ほう? これはまた珍しい客人だ」
「……この音、子孫ね? 私を呼ばない様に音を出したようだけど、まだまだね」
「うお!? ビックリした!」
縁が振り返ると女性が2人居た。
一人は風月に似ている女性、おそらくは霞の若かりし頃。
もう一人は、元の時間軸で縁は面識は無いが、もう一人の叔母だろう。
トライアングルビーダーを肩に担いで勇ましく立っていた。
顔や衣服もスファーリアに似ていて、スカートの絶滅り刺繡が目立っていた。
「こんにちは、おばあちゃん達」
「ああん? あ、お前娘とかじゃなくて孫か! 子供も居ないのに孫が来ちまったよ!」
「……孫」
「ってお前さんは絶滅演奏の開祖じゃねーか!」
「こんにちは界牙流二代目、噂は聞いているわ、私はフィーネ・フェルマータ、貴女は?」
「霞、二代目界牙流としての名は冥林だ」
霞とフィーネはお互いに握手をした。
「んで孫、お前からは半分しか感じないが」
「界牙流の修業に嫌気がさして、半分に別れた」
「ほう? 何故?」
「子供の時から伴侶も居ないのに世界と戦う力を得ろ、意味わからないから」
「んでお前は何か変わったか?」
「結果的に何も変わらない、もう一人の私は成人するまでずっと修業、私は私で絶滅演奏を極める為に母親と旅に出た」
スファーリアは何かを恨む様にビーダーを強く握りしめた、私はこれだけ苦労するんだと今言っても仕方ない。
祖母達から見てこれから起こる事で、若かりし頃の考えと祖母になってからの考え方は違うからだ。
「私の想いは今言っても仕方ない、助けて下さい、未来に帰られなくて困っています」
「お前の名前は?」
「私の本当の名前は風野音《かぜのおと》結び、界牙流の名前は風月、この姿の名前スファーリア」
「ほほう、風の祝福を強く受けているのか……今の姿に合わせてスファーリアと呼ばせてもらうよ」
「……貴女のトライアングルを叩いていいかしら?」
「ええ」
フィーネはスフーリアのトライアングルを、自前のビーダーで叩いた。
高い音と共に、フィーネの表示が動いた。
音からスファーリアの人生を感じ取ったのだろう。
「なるほど……スファーリア、私から送れる音は演奏術しかない」
「ハッ! そうか……私の怨み辛みを述べてる場合じゃない、おばあちゃん達の現役は貴重」
スファーリアはキラキラと輝かしい目で自分の叔母達を見た。
「おいおい、睨まれたと思ったら今度は目を輝かせたよ」
「ぴちぴち現役のおばあちゃん達、これは技のキレを見るチャンス」
「ああ……やっぱりババアになると劣ってくるのか」
「あ、ごめんなさい」
「まあいいや、んで元の時代に戻りたいんだったか?」
「うん」
「なら手伝ってくれ、ちょっと世話になった奴が殺されそうでね」
「どこに行くの?」
「ん? 結果的に国滅ぼしかな?」
「面白そうですね霞さん、言葉からその国の上層部はゲロカスと感じましたが?」
「おおう、言葉から……そうか音だからか」
「失礼、良ければお手伝いします、この先親族になるのですから」
「ああ、正直ありがたい、私は手加減が苦手でね」
「なるほど、死ななくていい人達は私にお任せください」
「よし、もうそろそろ旦那の飛空艇が――」
その時大きな音と共に空から船が降りてきた。
海に浮かんでそうな、木造作りの大きな船が空から現れる。
すぐさま男性の声が辺りに響いた。
「霞! 移動中に好き勝手動かないでくれ! あぶねぇだろ!」
「シラルド! 面白い客人が来たよ!」
「ああん!? またか!? ああもうめんどくせぇ! さっさと乗れ!」
「行こうか、案内するよ」
縁達は突然空から現れた船に乗船するのだった。
縁は、七星了司の部下の策略により、過去へ飛ばされてしまった。
経緯を考えても仕方ない、何故ならその過去は縁の力に必要な信仰心が無かった。
つまり縁を知る者は居ない、対策を考えているとスファーリアがひょいと現れた。
スファーリアは単独で縁を迎えに来たらしい。
曰く、縁と強い結びつきがあるからこその芸当。
だがこれも結構な力技らしく、何回も出来るものではないらしい。
「すまないスファーリアさん、無理をさせてしまった」
「大丈夫、夫婦は助け合い」
「ありがとう、元の時間軸に何としても2人で戻らないとな」
「大丈夫、アテは有る」
「え?」
「この時代は私のおばあちゃんが、若かりし頃の音を感じる」
「かなり飛ばされたな」
「敵は本当はもっと飛ばしたかったのだろうけど、失敗したのかしら?」
「それは後で考えよう、てか助けてくれるのか?」
「ふふん、界牙流は全て想定している」
「あーそれ言われると納得」
縁の疑問ももっともだった。
未来から来た子孫が、子孫と名乗り助力を求める。
普通なら信じないだろう、だがそれは普通の場合の話だ。
「界牙流は世界と戦う流派、過去や未来の刺客と戦う事も想定している」
「なるほど、色々と想定しているんだな」
「世界を敵にまわしても、伴侶と共に五体満足で絶対生きる、それが界牙流……とりあえず助けを呼ぼう」
「おいそれと呼んでいいのかな、何て説明すればいいんだ?」
「ありのまま」
スファーリアがトライアングルをビーダーで叩いた。
すると縁の背後に音も無く突然人が現れた!
「ほう? これはまた珍しい客人だ」
「……この音、子孫ね? 私を呼ばない様に音を出したようだけど、まだまだね」
「うお!? ビックリした!」
縁が振り返ると女性が2人居た。
一人は風月に似ている女性、おそらくは霞の若かりし頃。
もう一人は、元の時間軸で縁は面識は無いが、もう一人の叔母だろう。
トライアングルビーダーを肩に担いで勇ましく立っていた。
顔や衣服もスファーリアに似ていて、スカートの絶滅り刺繡が目立っていた。
「こんにちは、おばあちゃん達」
「ああん? あ、お前娘とかじゃなくて孫か! 子供も居ないのに孫が来ちまったよ!」
「……孫」
「ってお前さんは絶滅演奏の開祖じゃねーか!」
「こんにちは界牙流二代目、噂は聞いているわ、私はフィーネ・フェルマータ、貴女は?」
「霞、二代目界牙流としての名は冥林だ」
霞とフィーネはお互いに握手をした。
「んで孫、お前からは半分しか感じないが」
「界牙流の修業に嫌気がさして、半分に別れた」
「ほう? 何故?」
「子供の時から伴侶も居ないのに世界と戦う力を得ろ、意味わからないから」
「んでお前は何か変わったか?」
「結果的に何も変わらない、もう一人の私は成人するまでずっと修業、私は私で絶滅演奏を極める為に母親と旅に出た」
スファーリアは何かを恨む様にビーダーを強く握りしめた、私はこれだけ苦労するんだと今言っても仕方ない。
祖母達から見てこれから起こる事で、若かりし頃の考えと祖母になってからの考え方は違うからだ。
「私の想いは今言っても仕方ない、助けて下さい、未来に帰られなくて困っています」
「お前の名前は?」
「私の本当の名前は風野音《かぜのおと》結び、界牙流の名前は風月、この姿の名前スファーリア」
「ほほう、風の祝福を強く受けているのか……今の姿に合わせてスファーリアと呼ばせてもらうよ」
「……貴女のトライアングルを叩いていいかしら?」
「ええ」
フィーネはスフーリアのトライアングルを、自前のビーダーで叩いた。
高い音と共に、フィーネの表示が動いた。
音からスファーリアの人生を感じ取ったのだろう。
「なるほど……スファーリア、私から送れる音は演奏術しかない」
「ハッ! そうか……私の怨み辛みを述べてる場合じゃない、おばあちゃん達の現役は貴重」
スファーリアはキラキラと輝かしい目で自分の叔母達を見た。
「おいおい、睨まれたと思ったら今度は目を輝かせたよ」
「ぴちぴち現役のおばあちゃん達、これは技のキレを見るチャンス」
「ああ……やっぱりババアになると劣ってくるのか」
「あ、ごめんなさい」
「まあいいや、んで元の時代に戻りたいんだったか?」
「うん」
「なら手伝ってくれ、ちょっと世話になった奴が殺されそうでね」
「どこに行くの?」
「ん? 結果的に国滅ぼしかな?」
「面白そうですね霞さん、言葉からその国の上層部はゲロカスと感じましたが?」
「おおう、言葉から……そうか音だからか」
「失礼、良ければお手伝いします、この先親族になるのですから」
「ああ、正直ありがたい、私は手加減が苦手でね」
「なるほど、死ななくていい人達は私にお任せください」
「よし、もうそろそろ旦那の飛空艇が――」
その時大きな音と共に空から船が降りてきた。
海に浮かんでそうな、木造作りの大きな船が空から現れる。
すぐさま男性の声が辺りに響いた。
「霞! 移動中に好き勝手動かないでくれ! あぶねぇだろ!」
「シラルド! 面白い客人が来たよ!」
「ああん!? またか!? ああもうめんどくせぇ! さっさと乗れ!」
「行こうか、案内するよ」
縁達は突然空から現れた船に乗船するのだった。
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