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第四章 縁と結びで縁結び
第五話 幕開き 積み上げてきた力
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縁達は界牙流の里へとやって来た。
以前風月が案内をした山の上にある風が吹く草原。
今日も心地よい風が2人を包んだ。
ここに来た理由は縁の必殺技の為に、風月の力を最大限に発揮出来る場所だからだ。
「さてさて、必殺技とは?」
「俺の力を完全に渡す」
「一本槍と手合わせした時に使ったやつの完全版?」
「ああ、そう考えていい」
「もちろん、リスクはあるよね?」
「今の君は半分だ、俺の力を受け取れるとは考えにくい」
「なるほど、暴走や不都合が色々とあると」
「神の力は侮ってはいけない」
「……なら、半分だけ渡すって出来る?」
「可能だ『神の力だけ』を君に渡す」
「つまり本来は縁と一つになると」
「ああ、新たな神になると言ってもいい、今は力だけだが」
「私と縁のイチャイチャを守るためなら、何だってやってやる」
「んじゃ、早速やってみるか」
「よっしゃこいや!」
2人握手をした、縁からキラキラと輝いた白い光が風月へと向かう。
縁の髪の毛は黒色に、風月は髪の毛が白になりウサミミも生えた。
「お? おおおおおお!? 縁の髪の毛が黒くなった!」
自分の変化よりも縁の変化に物凄く驚いた風月だった。
「驚くのはそっちかい」
「いや、眉毛は黒だったけど髪の毛白じゃん、神様になったら全部白になるけど」
「半分人間だからな、って自分に驚かないのか?」
「え? ウサミミ生えた程度でしょ? この間ちょいと貸してくれた時もそうだったし」
「正直いつも通りで予想外だ」
「神の力を受け取っても、私がいつも通りなのは私がそれだけ努力してきたって事、んでこの場所だからだね」
人知を超えた神の力を受け取っても何時と変わらない風月。
それは彼女が自分で語った通り努力してきたからだ。
影で自分のしてきた事の積み重ねの結果である。
「てか縁だって、私の知らない所で努力してるでしょ?」
「ああ、君に……結びさんにおんぶにだっこじゃ、かっこつかないだろ」
「よしよし、縁は偉いね~」
風月はよしよしと縁の頭を撫でた。
縁はビックリしながらも撫でられている
「どうしたいきなり」
「はっはっは、世の中小さい事にグチグチいう奴は多いけど、小さい事を褒める奴は少ないじゃん」
「……確かに、考えるとそうかもしれん」
「だから小さい事や些細な事を、感謝だったりお礼は大事って親が言ってた~」
縁は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。
そして軽く頭を下げたのだ。
「……すまない、いや、ごめんなさい」
「ど、どうしたよ~?」
「俺は心の何処かで、君は居て当たり前と思っていた」
「ほほう?」
「昔親に色々と言われたのに、今思い出したけど……忘れてるもんだな」
「ご両親に何を言われたの?」
「父さんからは『宝物は大切にしろ、だが慣れるとな? 雑になっていく、人の愛もそうだ』」
「おお……中々考えさせられる言葉だね」
「今撫でられた時、父さんのその言葉がよぎった」
「まあ待って縁、私達の愛は始まったばかり、雑になるには早すぎるよ~?」
「ああ、すまない」
「謝るくらいなら頭をなで返しなさい~」
「お、おお……」
縁は風月の圧に押されつつも、頭を撫でた。
それはもうとろけるとかいう次元ではない顔をする風月。
しばらくふにゃふにゃしていると、急にキリッとした顔になった。
「あ、ちなみにお母さんからは何か言われたの? 神は云々以外に」
「急にキリッとしたな」
「切り替えは大切~」
「『大切にされたかったら、自分を大切にして自分の価値を守りなさい』だな、一言で言えば」
「……本当はもっと長いの?」
「昔怒られた時にね、神としての心構えをガッチリと説教された」
「説教って一言で終わる事を長々と語るよね~」
「だな」
「さて、そろそろこの力は返すよおおよそわかった」
「感想としては?」
「本当に困った時に使う、神様に頼りっぱなしは駄目だからね」
「ああ、そうだな……って半分神様の俺が言うのも変だがな」
「今更だね~」
「それもそうか」
再び2人は手をつないで元の状態に戻った。
「あ、そうだ、私が一人に戻る儀式も準備してるよ」
「大変なのか?」
「いや? ぜんぜん」
「そうなのか? そういうのは大変なイメージだが」
「心は別れてないからね、初代様のたまものさ」
「そう――お?」
縁のカミホンの音が鳴り画面を確認する。
「知り合いの兎の神様から連絡だ」
「ほう?」
「頼み事らしいが」
「それ私もついてっいててやつ?」
「ああ」
「とりあえず行ってみよう、案内よろしく~」
「よし行くか」
その場にそよ風を残して2人は消えた。
以前風月が案内をした山の上にある風が吹く草原。
今日も心地よい風が2人を包んだ。
ここに来た理由は縁の必殺技の為に、風月の力を最大限に発揮出来る場所だからだ。
「さてさて、必殺技とは?」
「俺の力を完全に渡す」
「一本槍と手合わせした時に使ったやつの完全版?」
「ああ、そう考えていい」
「もちろん、リスクはあるよね?」
「今の君は半分だ、俺の力を受け取れるとは考えにくい」
「なるほど、暴走や不都合が色々とあると」
「神の力は侮ってはいけない」
「……なら、半分だけ渡すって出来る?」
「可能だ『神の力だけ』を君に渡す」
「つまり本来は縁と一つになると」
「ああ、新たな神になると言ってもいい、今は力だけだが」
「私と縁のイチャイチャを守るためなら、何だってやってやる」
「んじゃ、早速やってみるか」
「よっしゃこいや!」
2人握手をした、縁からキラキラと輝いた白い光が風月へと向かう。
縁の髪の毛は黒色に、風月は髪の毛が白になりウサミミも生えた。
「お? おおおおおお!? 縁の髪の毛が黒くなった!」
自分の変化よりも縁の変化に物凄く驚いた風月だった。
「驚くのはそっちかい」
「いや、眉毛は黒だったけど髪の毛白じゃん、神様になったら全部白になるけど」
「半分人間だからな、って自分に驚かないのか?」
「え? ウサミミ生えた程度でしょ? この間ちょいと貸してくれた時もそうだったし」
「正直いつも通りで予想外だ」
「神の力を受け取っても、私がいつも通りなのは私がそれだけ努力してきたって事、んでこの場所だからだね」
人知を超えた神の力を受け取っても何時と変わらない風月。
それは彼女が自分で語った通り努力してきたからだ。
影で自分のしてきた事の積み重ねの結果である。
「てか縁だって、私の知らない所で努力してるでしょ?」
「ああ、君に……結びさんにおんぶにだっこじゃ、かっこつかないだろ」
「よしよし、縁は偉いね~」
風月はよしよしと縁の頭を撫でた。
縁はビックリしながらも撫でられている
「どうしたいきなり」
「はっはっは、世の中小さい事にグチグチいう奴は多いけど、小さい事を褒める奴は少ないじゃん」
「……確かに、考えるとそうかもしれん」
「だから小さい事や些細な事を、感謝だったりお礼は大事って親が言ってた~」
縁は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。
そして軽く頭を下げたのだ。
「……すまない、いや、ごめんなさい」
「ど、どうしたよ~?」
「俺は心の何処かで、君は居て当たり前と思っていた」
「ほほう?」
「昔親に色々と言われたのに、今思い出したけど……忘れてるもんだな」
「ご両親に何を言われたの?」
「父さんからは『宝物は大切にしろ、だが慣れるとな? 雑になっていく、人の愛もそうだ』」
「おお……中々考えさせられる言葉だね」
「今撫でられた時、父さんのその言葉がよぎった」
「まあ待って縁、私達の愛は始まったばかり、雑になるには早すぎるよ~?」
「ああ、すまない」
「謝るくらいなら頭をなで返しなさい~」
「お、おお……」
縁は風月の圧に押されつつも、頭を撫でた。
それはもうとろけるとかいう次元ではない顔をする風月。
しばらくふにゃふにゃしていると、急にキリッとした顔になった。
「あ、ちなみにお母さんからは何か言われたの? 神は云々以外に」
「急にキリッとしたな」
「切り替えは大切~」
「『大切にされたかったら、自分を大切にして自分の価値を守りなさい』だな、一言で言えば」
「……本当はもっと長いの?」
「昔怒られた時にね、神としての心構えをガッチリと説教された」
「説教って一言で終わる事を長々と語るよね~」
「だな」
「さて、そろそろこの力は返すよおおよそわかった」
「感想としては?」
「本当に困った時に使う、神様に頼りっぱなしは駄目だからね」
「ああ、そうだな……って半分神様の俺が言うのも変だがな」
「今更だね~」
「それもそうか」
再び2人は手をつないで元の状態に戻った。
「あ、そうだ、私が一人に戻る儀式も準備してるよ」
「大変なのか?」
「いや? ぜんぜん」
「そうなのか? そういうのは大変なイメージだが」
「心は別れてないからね、初代様のたまものさ」
「そう――お?」
縁のカミホンの音が鳴り画面を確認する。
「知り合いの兎の神様から連絡だ」
「ほう?」
「頼み事らしいが」
「それ私もついてっいててやつ?」
「ああ」
「とりあえず行ってみよう、案内よろしく~」
「よし行くか」
その場にそよ風を残して2人は消えた。
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