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第四章 縁と結びで縁結び
第五話 前説 兎の園のお知らせ
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今日も長谷川達はバイト、それなりのお客が来店して買い物をしていった。
とは言え普段は閑古鳥が鳴く店内、客が居ない時間の方が多い。
「長谷川君、ちょいといい?」
「どうしました」
「最近心が疲れるロールやシナリオだった、癒されたい」
「んじゃ前回の続きをちょいとしてから、何か癒される事を……お」
長谷川はスマホを取り出して画面を確認した。
何度か頷きながら荒野原の方を向く。
「うむ、これは癒されるかもしれない」
「何だ何だ」
「兎の神様から呼び出しだ」
「おお、縁以外にも兎の神様が?」
「そりゃ居るよ」
「それもそうか、その神様はどんな神様?」
「因幡の白兎って知っている?」
「鮫に噓ついて海を渡ろうとしたけど、噓がばれて皮をはがされる、痛さで泣いていると求婚に向かう神々が通りががって、クソみてぇな治療法を教える」
荒野原は火が付いたオタクの様に早口で語りだした。
「更に傷が酷くなった兎の前に、神々の荷物を押し付けられた後の大黒様が通る、ちゃんとして治療法で助けてもらった兎は『姫様は貴方を選ぶ』と言った……その兎がモチーフ?」
「お、おう、全部言うとは思わなかった」
「それは置いといて、知り合いの神様の名前は?」
「海渡福っていう」
「おお、福さん」
「ああ、皆にもそう言われているよ」
「福さんってどんな設定なの」
「うーむ……兎達のお悩み相談していたら、いつの間にか偉い神々になってしまった神様」
「おお」
「でもどちらかと言えば、プレイヤーさんの人徳が大きいかな」
「ほう?」
「人柄が良くてね、相手の困った事に手を貸す人、自分からまとめ役もやるし」
「ほほう、その実態を聞いていいのかな?」
「斬摩さんと同じで運営の人」
「おおう」
「仕事はリアルイベントを担当する部署にいる」
「そりゃまとめ役うってつけだね……って」
荒野原は長谷川の肩を軽くぺしぺしと叩いた。
「その人に会うと何がどう癒されるの?」
「その神様が居る場所は、動物の兎から亜人の兎まで様々な兎が居る」
「あ~一部の方々が喜びそう」
「行ってみるか?」
「うん、さっきも言ったけど、前回の続きを少しやってからいこう」
「おっけー……んじゃこのまま何時もの流れだな」
「ええ、途中でお昼ご飯を食べてゲートへと向かう」
いつもと同じ、バイトをして恋人と共にゲームをする。
このサイクルはしばらくは変わらないだろう。
日常に劇的な変化はそうそう起こらないものだ。
とは言え普段は閑古鳥が鳴く店内、客が居ない時間の方が多い。
「長谷川君、ちょいといい?」
「どうしました」
「最近心が疲れるロールやシナリオだった、癒されたい」
「んじゃ前回の続きをちょいとしてから、何か癒される事を……お」
長谷川はスマホを取り出して画面を確認した。
何度か頷きながら荒野原の方を向く。
「うむ、これは癒されるかもしれない」
「何だ何だ」
「兎の神様から呼び出しだ」
「おお、縁以外にも兎の神様が?」
「そりゃ居るよ」
「それもそうか、その神様はどんな神様?」
「因幡の白兎って知っている?」
「鮫に噓ついて海を渡ろうとしたけど、噓がばれて皮をはがされる、痛さで泣いていると求婚に向かう神々が通りががって、クソみてぇな治療法を教える」
荒野原は火が付いたオタクの様に早口で語りだした。
「更に傷が酷くなった兎の前に、神々の荷物を押し付けられた後の大黒様が通る、ちゃんとして治療法で助けてもらった兎は『姫様は貴方を選ぶ』と言った……その兎がモチーフ?」
「お、おう、全部言うとは思わなかった」
「それは置いといて、知り合いの神様の名前は?」
「海渡福っていう」
「おお、福さん」
「ああ、皆にもそう言われているよ」
「福さんってどんな設定なの」
「うーむ……兎達のお悩み相談していたら、いつの間にか偉い神々になってしまった神様」
「おお」
「でもどちらかと言えば、プレイヤーさんの人徳が大きいかな」
「ほう?」
「人柄が良くてね、相手の困った事に手を貸す人、自分からまとめ役もやるし」
「ほほう、その実態を聞いていいのかな?」
「斬摩さんと同じで運営の人」
「おおう」
「仕事はリアルイベントを担当する部署にいる」
「そりゃまとめ役うってつけだね……って」
荒野原は長谷川の肩を軽くぺしぺしと叩いた。
「その人に会うと何がどう癒されるの?」
「その神様が居る場所は、動物の兎から亜人の兎まで様々な兎が居る」
「あ~一部の方々が喜びそう」
「行ってみるか?」
「うん、さっきも言ったけど、前回の続きを少しやってからいこう」
「おっけー……んじゃこのまま何時もの流れだな」
「ええ、途中でお昼ご飯を食べてゲートへと向かう」
いつもと同じ、バイトをして恋人と共にゲームをする。
このサイクルはしばらくは変わらないだろう。
日常に劇的な変化はそうそう起こらないものだ。
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