201 / 304
第四章 縁と結びで縁結び
第四話 演目 これが間に合うという事
しおりを挟む
縁達は最初の目的地の村を目指す。
他の町へと続く道の途中に、巧みに隠された目印を進む。
それを辿ると迷いそうな森に到着した。
だが縁や風月には無意味な自然の迷宮だった。
「さてはて縁、そろそろ最初の村に着くね」
「ああ」
「気に入らない奴をぶっ殺す~」
「だな、人間がそうしてきたように好き勝手しよう」
「珍しく本気で怒ってるね~」
「昔の自分と、人にな」
昔の自分が甘く、敵対する者達を情けで逃した結果、自分以外の者が苦しんでいる。
その事実に縁は苛立ちを覚えていたようだ、そして二度目は無い、そう顔に書いてあった。
「人は……好き勝手に他人を笑い、勝手に他人を自分の物差しではかり、好き勝手言う、愚かしい」
「んじゃ、私達はそうならない様にしないとね~」
「……好き勝手しているお前らが言うな、と言われそうだな?」
「他人の発言気にしてたら――」
風月はへらへらとした雰囲気が消え、険しい顔になる。
「村から界牙流を知っている者の危機を感じる、一族ではないようだ」
「……助けるぞ、良き縁を感じた」
「ほいさ、お先!」
風月は突風の如き速さで走り出して、縁もそれには負けるが走り出しす。
2人が目指していた村、縁と絆に復讐を誓った名も無き村。
村の広場、異質な光景が広がっていた。
手枷足枷首枷で拘束された赤髪の少女、それを囲むのは村の大人達。
手には大きい斧を持っていて、その斧は血で錆びていた。
そして少女の身内なのか、おばあさんが村人達に取り押さえられ、暴れている。
その光景を当たり前の様に見下ろしている、返り血を浴び微笑んでいる女神の銅像が建っていた。
「はっはっはっはっは! わざわざ神の生贄になりに来るとはな!」
「娘は……娘はやらせん!」
「喜べ! 貴様の娘は我が神の生贄に! 血肉となって生きるのだ」
「お、お母さん!」
少女は動こうにも拘束されて動けず、泣き叫ぶだけしかできない。
おばあさんを村人は更に強い力で抑えて動けない。
「ハッハッハ! かつて暗殺で名を残した女も老いればこれか!」
「罪滅ぼしに孤児院とは笑わせる」
「お前の人殺しの罪は消えないぞ?」
大きな斧を持った男がおばあさんに近寄り、ゆっくりと斧を振り上げた。
少女の声にもならない叫び、おばあさんの震え。
今この場に2人を助ける者は居ない、ただ……風が吹いただけ。
「……そんなに神に許しを得たいなら、我々の神に直接会ってくると良い!」
「お、お母さん! 誰か! 誰か助けて!」
「むははは! 我々の神が救って――」
斧を振り上げた男は突然消えた、否、正しくは光を超える速さで蹴り飛ばされた。
普通の人間ならばまず生きてはいない、何故ならそれは風月の蹴りだからだ。
有無を言わさず風月は、少女とおばあさんの周りに居る村人達も空の星にする。
「あ! あれは界牙流!」
おばあさんが顔をあげて、風月を見て声を上げた!
風月は少女の拘束を解いた、少女はすぐさまおばあさんに駆け寄る。
おばあさんと少女は泣きながら抱き合った。
「間に合った、貴方は『内絶』の伝承者ですね? 初代様がお世話になりました」
「……やはりそうか界牙流……お主は何代目じゃ?」
「四代目です」
「そうか、そりゃワシもババアになるか」
「お、おか、お母さん、この人は?」
少女は怯えた目で風月を見た瞬間、優しい風が吹き抜けた。
その目は段々と閉じていき、少女は寝息を立て始める。
「失礼、娘さんには少し眠ってもらいました」
「配慮感謝するよ……ああ、四代目の名前を聞いていいかね?」
「風月です」
風月が自己紹介をするとほぼ同時に、血だらけの女神様は粉々に崩れ落ちた。
そこから現れる様に、神様モードの縁が立っている。
「邪魔な像だ……私に復讐したいと聞いてな、直々に来てやったぞ?」
「ま、まさか貴様は縁! 我が一族の敵!」
「ハッハッハ! わざわざ殺されに来るとは!」
風月の登場と行動で理解が追い付かなかった村人達。
だが縁を目の前にした時、目に怒りと生気が満ちる。
「無駄話はしない、死ね」
村全体が一瞬強い風に覆われた、その村で命と呼べる者は縁、風月、おばあさんと少女だになった。
何故なら風が駆け抜けると同時に、村達が死んだからである。
理由はとても簡単だ、縁が界牙流を使ったからだ。
そして縁と風月は何時も通りの雰囲気に変わった。
「これは私の技『界牙流・滅びの風』だね~何時の間に習得したのさ」
「俺は縁が強い者の力を使える」
「ああ、そうだったね~でも何で反動が無いの? この前斬銀にただの蹴り使った時さ、血を吐いてたのに」
「俺も日々鍛錬してるって事さ」
「おおう、何時の間に……っと惚気はここまでにしといて、この人達はどうしよう?」
「困った時のグリオードだ」
縁はカミホンを取り出したその時、目の前に光に包まれて現れた男に話しかけらた。
それはこの間、グリオードを助けに行った時に知り合った青年ゾーク。
昔会った時は青年のゾークだったが、10年も時間が経てば中年だ。
「その必要は無いぜ? 縁さん、ついでにお久しぶりです」
「おあ、ゾークさんじゃないですか、お久しぶりです、何でここに?」
「グリオードが先を見通して……と言えばいいですかね」
「アイツらしい、賞賛に値するな」
「まだやる事があるでしょ? ここは任せて下さい」
「恩に着る、行こうか風月」
「あいあいさ~」
ゾークに後始末を任せて、縁達は次の村へと向かうのだった。
他の町へと続く道の途中に、巧みに隠された目印を進む。
それを辿ると迷いそうな森に到着した。
だが縁や風月には無意味な自然の迷宮だった。
「さてはて縁、そろそろ最初の村に着くね」
「ああ」
「気に入らない奴をぶっ殺す~」
「だな、人間がそうしてきたように好き勝手しよう」
「珍しく本気で怒ってるね~」
「昔の自分と、人にな」
昔の自分が甘く、敵対する者達を情けで逃した結果、自分以外の者が苦しんでいる。
その事実に縁は苛立ちを覚えていたようだ、そして二度目は無い、そう顔に書いてあった。
「人は……好き勝手に他人を笑い、勝手に他人を自分の物差しではかり、好き勝手言う、愚かしい」
「んじゃ、私達はそうならない様にしないとね~」
「……好き勝手しているお前らが言うな、と言われそうだな?」
「他人の発言気にしてたら――」
風月はへらへらとした雰囲気が消え、険しい顔になる。
「村から界牙流を知っている者の危機を感じる、一族ではないようだ」
「……助けるぞ、良き縁を感じた」
「ほいさ、お先!」
風月は突風の如き速さで走り出して、縁もそれには負けるが走り出しす。
2人が目指していた村、縁と絆に復讐を誓った名も無き村。
村の広場、異質な光景が広がっていた。
手枷足枷首枷で拘束された赤髪の少女、それを囲むのは村の大人達。
手には大きい斧を持っていて、その斧は血で錆びていた。
そして少女の身内なのか、おばあさんが村人達に取り押さえられ、暴れている。
その光景を当たり前の様に見下ろしている、返り血を浴び微笑んでいる女神の銅像が建っていた。
「はっはっはっはっは! わざわざ神の生贄になりに来るとはな!」
「娘は……娘はやらせん!」
「喜べ! 貴様の娘は我が神の生贄に! 血肉となって生きるのだ」
「お、お母さん!」
少女は動こうにも拘束されて動けず、泣き叫ぶだけしかできない。
おばあさんを村人は更に強い力で抑えて動けない。
「ハッハッハ! かつて暗殺で名を残した女も老いればこれか!」
「罪滅ぼしに孤児院とは笑わせる」
「お前の人殺しの罪は消えないぞ?」
大きな斧を持った男がおばあさんに近寄り、ゆっくりと斧を振り上げた。
少女の声にもならない叫び、おばあさんの震え。
今この場に2人を助ける者は居ない、ただ……風が吹いただけ。
「……そんなに神に許しを得たいなら、我々の神に直接会ってくると良い!」
「お、お母さん! 誰か! 誰か助けて!」
「むははは! 我々の神が救って――」
斧を振り上げた男は突然消えた、否、正しくは光を超える速さで蹴り飛ばされた。
普通の人間ならばまず生きてはいない、何故ならそれは風月の蹴りだからだ。
有無を言わさず風月は、少女とおばあさんの周りに居る村人達も空の星にする。
「あ! あれは界牙流!」
おばあさんが顔をあげて、風月を見て声を上げた!
風月は少女の拘束を解いた、少女はすぐさまおばあさんに駆け寄る。
おばあさんと少女は泣きながら抱き合った。
「間に合った、貴方は『内絶』の伝承者ですね? 初代様がお世話になりました」
「……やはりそうか界牙流……お主は何代目じゃ?」
「四代目です」
「そうか、そりゃワシもババアになるか」
「お、おか、お母さん、この人は?」
少女は怯えた目で風月を見た瞬間、優しい風が吹き抜けた。
その目は段々と閉じていき、少女は寝息を立て始める。
「失礼、娘さんには少し眠ってもらいました」
「配慮感謝するよ……ああ、四代目の名前を聞いていいかね?」
「風月です」
風月が自己紹介をするとほぼ同時に、血だらけの女神様は粉々に崩れ落ちた。
そこから現れる様に、神様モードの縁が立っている。
「邪魔な像だ……私に復讐したいと聞いてな、直々に来てやったぞ?」
「ま、まさか貴様は縁! 我が一族の敵!」
「ハッハッハ! わざわざ殺されに来るとは!」
風月の登場と行動で理解が追い付かなかった村人達。
だが縁を目の前にした時、目に怒りと生気が満ちる。
「無駄話はしない、死ね」
村全体が一瞬強い風に覆われた、その村で命と呼べる者は縁、風月、おばあさんと少女だになった。
何故なら風が駆け抜けると同時に、村達が死んだからである。
理由はとても簡単だ、縁が界牙流を使ったからだ。
そして縁と風月は何時も通りの雰囲気に変わった。
「これは私の技『界牙流・滅びの風』だね~何時の間に習得したのさ」
「俺は縁が強い者の力を使える」
「ああ、そうだったね~でも何で反動が無いの? この前斬銀にただの蹴り使った時さ、血を吐いてたのに」
「俺も日々鍛錬してるって事さ」
「おおう、何時の間に……っと惚気はここまでにしといて、この人達はどうしよう?」
「困った時のグリオードだ」
縁はカミホンを取り出したその時、目の前に光に包まれて現れた男に話しかけらた。
それはこの間、グリオードを助けに行った時に知り合った青年ゾーク。
昔会った時は青年のゾークだったが、10年も時間が経てば中年だ。
「その必要は無いぜ? 縁さん、ついでにお久しぶりです」
「おあ、ゾークさんじゃないですか、お久しぶりです、何でここに?」
「グリオードが先を見通して……と言えばいいですかね」
「アイツらしい、賞賛に値するな」
「まだやる事があるでしょ? ここは任せて下さい」
「恩に着る、行こうか風月」
「あいあいさ~」
ゾークに後始末を任せて、縁達は次の村へと向かうのだった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした
せんせい
ファンタジー
自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。
その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ!
約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。
―――

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
疲れ切った現実から逃れるため、VRMMORPG「アナザーワールド・オンライン」に没頭する俺。自由度の高いこのゲームで憧れの料理人を選んだものの、気づけばゲーム内でも完全に負け組。戦闘職ではないこの料理人は、ゲームの中で目立つこともなく、ただ地味に日々を過ごしていた。
そんなある日、フレンドの誘いで参加したレベル上げ中に、運悪く出現したネームドモンスター「猛き猪」に遭遇。通常、戦うには3パーティ18人が必要な強敵で、俺たちのパーティはわずか6人。絶望的な状況で、肝心のアタッカーたちは早々に強制ログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク役クマサンとヒーラーのミコトさん、そして料理人の俺だけ。
逃げるよう促されるも、フレンドを見捨てられず、死を覚悟で猛き猪に包丁を振るうことに。すると、驚くべきことに料理スキルが猛き猪に通用し、しかも与えるダメージは並のアタッカーを遥かに超えていた。これを機に、負け組だった俺の新たな冒険が始まる。
猛き猪との戦いを経て、俺はクマサンとミコトさんと共にギルドを結成。さらに、ある出来事をきっかけにクマサンの正体を知り、その秘密に触れる。そして、クマサンとミコトさんと共にVチューバー活動を始めることになり、ゲーム内外で奇跡の連続が繰り広げられる。
リアルでは無職、ゲームでは負け組職業だった俺が、リアルでもゲームでも自らの力で奇跡を起こす――そんな物語がここに始まる。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる