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第四章 縁と結びで縁結び

第二話 後説 本場のカレー屋のお知らせ

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 ロビーへと帰って来た縁とスファーリア。

「お疲れ様、縁君」
「お疲れ様、スファーリアさん」
「今日の縁君は何時も通りじゃなかった」
「神様モードだったしな」
「カンタパールさんの見せ場を作ろうとしていたね」
「流れでテキトーぶっぱしたけど、プレーヤーや運営の皆さんは流石の対応力だった」
「確かに……おお!?」
「ん!? ど、どうしたよ」
「ふと時計みたらもう夜の7時」
「おお……え? 3時間くらいの感覚だったんだが」
「なんかおなかがすくわけだ」
「今日は何か食べようか?」

 2人は晩御飯をどうするか話し合いをしていると、色鳥がバラを口に加えて優雅に歩いてきた。

「ちゃらららららーん、ちゃららららーんらーん」
「普通に絡んで来い、色鳥」
「はいお疲れ様2人共」
「おつ」
「お疲れ様です」
「さて、晩御飯を何処にするか悩んでいるあなた達に、一つ提案をしよう」
「ほう」
「実はカンタパールさんのプレーヤーはカレー屋をやっているのだよ」
「ほう!」
「祖父がインドの人らしく、本場のカレーが楽しめる」
「って事はナンを食べれるのか」
「そうそう、んでプレーヤーさんも歳だから、夜にお店に行くらしい」
「へー」
「と、いう訳で、行くなら俺が予約を入れといてやろう」
「え? 場所は?」
「お前が普段使っているゲートからなら……車で5分10分?」
「おお、近いな」
「で、行くか?」
「行ってみる?」
「うん、本場のカレーを食べたい」
「よし、ならお前の名字で予約しとくぜ、場所はスマホに送っておく」
「了解した」
「色鳥君は一緒に行かないの?」
「ああ、嫁さんの手料理が待ってるぜ」
「サラッと惚気やがった」

 そんな訳で長谷川達はログアウトをして、タクシーに乗り、目的地のカレー屋さんを目指したのだった。

「ここらしいな」
「ご~ご~」

 目の前に広がるお店には、本場インドカレー『ガーネ』の看板。
 旗やオススメカレーの広告もある、2人は意気揚々とお店へと入った。

「いらっしゃいませー」

 悠長な日本語で喋る外国人の店員が笑顔で接客する。
 店内は音楽が流れていて、壁にはゾウやインドの神様の絵が飾られていた。

「すみません、予約していた長谷川ですが」
「おお! てんちょー! 予約のお客様来たねー!」

 店員は小走りで店の奥へと消えていった。
 少しして、カンタパールによく似た人がやって来る。
 違いはスキンヘッドではなく、白髪のふさふさした髪があることか。 

「いらっしゃいませ、お席に案内いたします」

 2人は席に案内されて座り、店長はテーブルにメニューを広げた。

「本日はお越しいただきありがとうございます」
「おすすめは何でしょうか?」
「こちらのキーマカレーです」
「私は中辛キーマカレーと……プレーンナン」
「んじゃ俺は……甘口のチキンカレーとチーズナン」
「はい、かしこまりました……もしよろしければ、ドリンクとデザートはいかがでしょうか、サービスいたします」
「え、いいんですか?」
「ええ、我が国を救って下さいましたから」

 店長はお茶目に両手を胸の前に合わせている。
 長谷川はすかさずメニューに目を通した。

「すみません、お持ち帰りは出来ますか?」
「はい、出来ます」
「中辛のエビカレーとプレーンナンを、お持ち帰りでお願いします」
「かしこまりました」
「……あ、ラッシーがある、私ラッシーとマンゴープリン」
「んじゃ俺はウーロン茶とバニラアイス」
「少々お待ちくださいませ」

 店長は手を合わせて一礼して厨房へと向かった。

「流石長谷川君」
「何が?」
「すかさず追加注文するなと」
「客が出来る恩返しは何かを頼む事しか出来ないからね、これが身内なら違うんだろうけど」
「なるほど」

 少し雑談をしていると、店長が飲み物を持ってきた。

「お待たせしました、ラッシーとウーロン茶です」
「ありがとうございます」

 店長は再び一礼して去っていった。

「ああ、そうそう、グリオードから今度一緒に遊ばないかとお誘いが来た」
「ほう? 何する予定?」
「過去に飛ばされたグリオードを助けに行く」
「おおう、どんな話になるの?」
「軽く聞いた感じ、過去に行ったらついでに色々していたら、謎が一つ解けたとさ」
「謎?」
「グリオードは、賞賛の加護を使い王国を築いた、だがその加護の効果が無くなり人々が離れていった、まあそこから少しずつ繫栄するんだが」
「うんうん、そうらしいね」
「んで、初期に王国に移住した来た人で、昔助けられたから来た、って人がいたらしい」
「ははーん、その人の話をするって訳ね、つまりは未来のグリオード君に助けられ、恩を感じて王国にって事ね」
「そうそう」
「何が出来るか分からないけど、やりましょう」
「オッケー」

 それからしばらくして、店長が注文の品を持って来た。

「お待たせしました、キーマカレーとプレーンナン、チキンカレーとチーズナンです」
「おお!」
「これは美味しい、絶対美味しい」

 テーブルに置かれたのは、美味しそうなカレーとナンだ。
 キーマカレーはルーがしっかりとあるが、鶏ひき肉が美味しそうだ。
 プレーンナンはバケットの上に置かれている、無論はみ出す大きさだが、一人で食べきれそうである。
 チキンカレーは、ゴロゴロと鶏肉の塊が皿から溢れそうだ。
 チーズナンはたっぷりではなく、どっぷりチーズが盛られていて、直径15cmのピザ生地の様に丸い形だ。

 見てくれも美味しそうだが、何よりも美味しそうな匂いが漂っている。
 2人は食べ物から目を離せない。

「ごゆっくりおくつろぎください」

 店長は最後に伝票を置いて一礼して去っていった。

「これは美味い」
「ゴロゴロの鶏肉、チーズの量がはんぱねぇ」

 2人は言葉も忘れ、夢中でカレーとナンを食う。
 しっかりと噛み味わいながらか、美味い美味いと食べていく。
 味わって食べていても、あっという間に完食した。
 タイミングを見計らって、店長が食後のデザートを持って来た。

「デザートのマンゴープリンとバニラアイスです」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
「どうでしょうか? カレーは口に合いましたか?」
「本当に美味い」
「もっと食べたい」
「でしたら、当店は食べ飲み放題もご用意していますよ」
「なんと! 絶対今度また来ます」
「お待ちしております」

 その後はデザートを美味しく頂く、そして支払いをしてお持ち帰りのカレーも確保。

「ご来店ありがとうございました」
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした」

 お腹も心も満足な2人はお店を出た。

「すげー美味かった」
「うん、これは定期的に通いたくなる美味さ」
「うむ、そうするか」

 帰りの足取りはとても軽かった。
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